フォト

weathernews

ツイッターでつぶやく

無料ブログはココログ

« 2008年2月 | トップページ | 2008年4月 »

2008年3月の記事

2008年3月31日 (月)

低周波治療器販売業者に対する業務停止命令(特商法)

 経済産業省は本日(3/31)、株式会社日本ライフパートナー(静岡)に対して、特定商取引法8条に基づき、6か月間、訪問販売に関する勧誘、申込みの受付及び契約の締結を停止するよう命じています。
 → 経済産業省サイト報道発表

 ちょっと興味を引いたのですが、発表内容によれば、同社は、この業務停止命令の動きに対抗して、今月22日に東京地方裁判所に「営業停止処分及び実名公表処分差止請求」及び「仮の差止命令申立」を行っていたようですが、27日に仮の差止命令申立ては却下され、同社は翌28日に差止請求を取り下げたということです。

 これで3月後半に4回目の業務停止命令ですね。なお、特定商取引法に基づく行政処分の状況は → 経済産業省サイト「特定商取引法の執行状況」

(業務停止命令の内容)
 平成20年4月1日から9月30日まで(6か月間)の間、特定商取引法2条1項に規定する訪問販売に関する業務のうち、次の業務を停止すること。
①訪問販売に係る売買契約の締結について勧誘すること。
②訪問販売に係る売買契約の申込みを受けること。
③訪問販売に係る売買契約を締結すること。

(取引の概要)
 株式会社日本ライフパートナーは、低周波治療器(「快足サロンデラックス」、「快足サロン」)、健康食品(「与那国青汁」)等の販売の事業を行っているところ、足裏マッサージの無料体験を口実に訪問した消費者の住居において、低周波治療器等の勧誘を行い、当該住居において当該契約の申込みを受け又は当該契約を締結していた。

(業務停止命令の原因となる事実)
 同社は、以下のとおり特定商取引法に違反する行為を行っており、訪問販売に係る取引の公正及び購入者の利益が著しく害されるおそれがあると認められた。
(1)勧誘目的の不明示(特定商取引法3条)
 同社は、消費者の住居を訪問する際に、「私どもの会社は、医療機器の会社なのですが、普通は1回3千円頂いている足つぼの医療用機器が、無料でお試しいただけます。」、「今、医療機器をみなさんに体験してもらっています。無料ですので試してみませんか。」、「今回、○○(地名)の方を廻っています。無料で足のマッサージをさせていただいております。非常に人気があって、皆さんに喜んでもらっています。。今回は経験だけで無料なのでいかがでしょうか」等と告げるだけで、勧誘に先立って、低周波治療器の売買契約の締結について勧誘する目的である旨を明らかにしていなかった。

(2)不実告知(特定商取引法6条1項1号)
 同社は、足裏マッサージの無料体験を口実に訪問した消費者の住居において、本件商品の売買契約の締結について勧誘をするに際し、明確な根拠を有していないにもかかわらず、「血をきれいにして、身体が元気になります。」、「足の痛みとか、そういうのは無くなります。」、「これは、糖尿病にも、リュウマチにも効く。」、「健康にいいから、どんな病気にも効くから。」等と、あたかも様々な病気の予防や治療に効能があるかのように本件商品の効能について不実のことを告げていた。

(3)判断力不足に乗じた契約締結(特定商取引法7条3号に基づく同法施行規則7条2号)
 同社は、判断力が不足していると認められる消費者に対して、その判断力の不足に乗じて本件商品の売買契約を締結させていた。

2008年3月29日 (土)

ロコ・ロンドン取引の賭博性を認めた東京高裁判決

 「ロコ・ロンドン取引」(ロコ・ロンドン貴金属取引、ロコ・ロンドン金(銀)取引)とよばれる高リスクの投資については、一昨年から国民生活センターや各地の消費生活センターなどに相談が寄せられており、その相談をみると、70歳代~80歳代の高齢者が取引の仕組みを理解できないまま、100万円以上の高額なお金を投資し、トラブルに巻き込まれているケースが多くみられる、とのことです。
 → 国民生活センターサイト「新手の投資話『ロコ・ロンドン金』に注意!」

  日本弁護士連合会でも、早くから、この問題を取り上げ、昨年3月には「『ロコ・ロンドン金取引』商法の被害に関する意見書」(PDF)をとりまとめ、国に法整備と迅速・適切な対処を求めています。この取引の内容や法的な問題点(賭博罪、詐欺罪等)については、この意見書に詳しく書かれています。
 なお、この取引は、昨年7月から特定商取引法の規制対象となっています。
 → 経済産業省サイト「悪質な『ロコ・ロンドン取引』と称する金の取引及び海外商品先物オプション取引等の仲介サービスにご注意を!」

 また、経済産業省農林水産省が、この取引を含む海外商品先物取引の業者について法規制を強化する方針を固めた旨、読売が昨日、報道しています。

 そんな中、昨日(3/28)の時事通信の報道によれば、「ロコ・ロンドン貴金属取引」で損失を被った東京都の無職女性(80)が、投資会社や同社の役員を相手に約107万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決(東京高裁)があり、取引について「違法な賭博行為に該当する」として、約65万円の支払いを命じた、とのことです(判決日不明)。
 これまで、外国為替証拠金(FX)取引の悪質商法事案(公の市場を通さないもの)で、賭博性を認めた裁判例は複数ありますが、「ロコ・ロンドン取引」で賭博性を認めて損害賠償を認めた判決は初めてかもしれません(今回の控訴審判決の原審地裁判決がどのようなものだったのか不明です。)。
(参考 外国為替証拠金取引関連の当ブログ記事)
 「『外国為替証拠金取引は賭博』判決」(07/4/13)
 
「FX取引に賭博性を認めた判決:もう一丁」(07/9/6)
 
「外国為替証拠金取引について従業員らの責任を認めた判決」(07/11/28)

 上記の国民生活センターのサイトによれば、「ロコ・ロンドン金取引」とは「ロンドンにおいて金を受け渡しする取引」という意味だそうです。さらに、他にも、「ロコ・ニューヨーク金」など「ロコ・○○△△」(○○=市場名、△△=商品名等)という名称の取引に関する相談がみられ、注意が必要である、としています。
 「ロコ・ロンドン金取引」は、業者が提示する「ロンドン渡しの金現物価格」を差金決済指標とする差金決済取引であり、顧客が証拠金(保証金)を預託して行う「投資商品」として勧誘・販売されているものであって、その実態は、顧客と業者がそれぞれ互いに契約の当事者となって金銭の得喪を争う、相対(あいたい)取引による商品デリバティブ取引であり、価格変動を利用した差金決済を証拠金(保証金)の預託により行う点では商品先物取引に類似し、証拠金(保証金)による差金決済取引を業者と顧客の相対取引で行う点では「外国為替証拠金取引」(FX取引)と同一の構造を持つ取引である、とされています(上記日弁連意見書に基づく)。
 そもそも、「外国為替証拠金取引」について公の市場を通さない悪質業者による同様の被害事例が相次ぎ、金融先物取引法(現:金融商品取引法)による規制対象となったため、このような悪質業者が規制逃れのために法規制の及んでいなかった「ロコ・ロンドン取引」の事業に商売替えしたというのが、この取引被害の急増の背景にあります。

【追記】(3/30)
 3月27日の毎日(地方版かもしれません)の報道で、「ロコ・ロンドン金取引」に虚偽の説明で勧誘され損害を受けたとして、大津市内の男性が東京都の仲介業者に約600万円の損害賠償を求める訴えを大津地裁に起こした、とされています。
 昨年1月、電話で「持っているだけで金利が付く。危険性はない」などと勧誘された男性が6月までに計約500万円を支払ったが、金利は付かず、業者と連絡が取れなくなったため解約したが、現金は戻らなかった、ということです。

消費者団体訴訟制度の動き:まとめを兼ねて

 京都のNPO「京都消費者契約ネットワーク」(KCCN)が不動産業者に対する差止請求訴訟を提起して、いよいよ消費者団体訴訟手続が実際に動き出したことは、先日書きました(その後、KCCNのサイトにも公表されていて、訴状も見ることができます。)。
 → 「初めての消費者団体訴訟提起」(3/26)

 それに続いて、同じく消費者団体訴訟の適格消費者団体であるNPO「消費者支援機構関西」(KC’s)が、貸金業者(ニューファイナンス株式会社)に対して、「申入書兼消費者契約法41条1項に基づく事前請求書」を3月26日付で送付したことが昨日公表されています。
 今年2月1日付で、消費者支援機構関西が、ニューファイナンスの貸金契約の内容にある「早期完済違約金」や「過酷な期限利益喪失事由」の廃止など5項目を申し入れしたのに対して、同社から回答が全くなされず、今回の「申入書兼消費者契約法41条1項に基づく事前請求書」の送付に至ったということです。
 → 消費者支援機構関西 公表資料

 消費者契約法41条1項とは、消費者団体訴訟の手続に関する規定の1つで、消費者団体が差止請求の裁判を起こすときは、被告事業者に対し、あらかじめ、請求の要旨及び紛争の要点などを記載した書面を送って差止の請求を行い、その書面が到達して一週間経過しなければならない、としているものです。
 現行の消費者団体訴訟手続については → 国民生活センターサイトへ

 したがって、京都に続いて、近々、消費者団体訴訟の第2弾が提起されるかもしれませんね(私はKC’s会員ですが、この件については関与してませんので、具体的な予定については全く知りません。)。
【追記】(4/8)
 本日(4/8)京都地裁にニューファイナンスを被告とする差止請求訴訟が提起されました。消費者団体訴訟の第1号と第2号が京都地裁ということになりましたね。
【追記の追記】(4/11)
 消費者支援機構関西のサイトニューファイナンスに対する訴訟について公表されており、訴状等の資料も公開されています。

【当ブログの消費者団体訴訟関連記事まとめ】
「公取委 団体訴訟制度研究会(第1回)」(07/5/12)
「独禁法・景表法の団体訴訟制度 2題」(07/6/25)
「独禁法の団体訴訟制度研究会(第5回)議事概要」(07/7/5)
「独禁法(景表法)の団体訴訟の続き」(07/7/9)
「団体訴訟制度研究会の第1回議事録」(07/7/18)
「消費者団体訴訟の適格団体の認定」(07/8/23)
「独禁法団体訴訟のパブコメ意見」(07/10/16)
「消費者団体訴訟における団体認定等の一本化方針」(08/2/19)
「特定商取引法・景品表示法についての団体訴訟制度」(08/3/4)
「前記事の続き:景品表示法と団体訴訟」(08/3/5)
「特定商取引法と割賦販売法の改正案の国会提出」(8/3/7)
「初めての消費者団体訴訟提起」(08/3/26)
      ※今となっては、重要ではない記事も含んでます。

2008年3月28日 (金)

また・また・また貨物運送業者に対する勧告(下請法)

 2日前(3/26)に「またまた貨物運送業者に対する勧告(下請法)」という記事を書いたところですが、貨物運送事業に関して、今日も別の勧告が出ました。
 今回は、三菱電機ロジスティクス株式会社(東京)に対する勧告です。 
 → 公取サイト報道発表資料(PDF)

  公正取引委員会は、三菱電機ロジスティクスに対し下請代金支払遅延等防止法(下請法)4条1項3号(下請代金の減額の禁止)に違反するとして勧告を行いました。 

(違反事実の概要)
 三菱電機ロジスティクスは、貨物自動車運送の全部又は一部を下請事業者に委託しているところ、下請事業者の責に帰すべき理由がないにもかかわらず、下請事業者に対して、「値引き」等と称して下請代金の額に一定率を乗じて得た額を負担するよう要請し、前記要請に応じた下請事業者に対し、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、当該下請事業者に支払うべき下請代金の額を減じていた。 

(勧告の概要)
ア  平成18年4月から同19年6月までの間に、「値引き」等と称して下請代金の額から減じていた額(総額1億5791万9405円)を下請事業者(21名)に対して速やかに支払うこと。
イ  減額行為が下請法の規定に違反するものである旨及び今後、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じることをしない旨を取締役会の決議により確認すること。 
ウ  今後、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じることがないよう、自社の発注担当者に対する下請法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講じるとともに、その内容等を自社の役員及び従業員に周知徹底すること。 
エ  前記ア,イ及びウに基づいて採った措置を取引先下請事業者に周知すること。 

【追記】(3/28)
 上の記事をアップした直後に、同じく貨物自動車運送事業に関する公取の勧告が公表されました。
 これは、濃飛西濃運輸株式会社(岐阜県)に対するものです。

 同様の下請代金の不当減額の事案ですが、具体的には、以下の公取公表資料をご覧ください。
 → 公取サイト報道発表資料(PDF)

 同時に、公取委からは、「ポリプロピレン製シュリンクフィルムの製造販売業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令について」という価格カルテルに関する独占禁止法違反事件の公表もされてますが、これは割愛。
 → 公取サイト報道発表資料(PDF) 

ヤフーオークション詐欺被害訴訟の判決(名古屋地裁)

 日本のネットオークション最大手のヤフー・オークションで、落札・入金しても商品が届かない詐欺被害にあった利用者780人が、オークションを主催するヤフーを被告として、計約1億5800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が、本日昼過ぎに名古屋地裁でありました。
 報道によれば、黒岩裁判長は「同社は被害防止のため時宜に沿った注意喚起をしていた」として、被告ヤフーの損害賠償責任を認めず、原告らの請求を棄却したようです。
 原告は全国46都道府県に及んでおり、総落札点数は1086点。

 → 原告団のサイト(ちょっと読みにくいけども)

 このブログでも何度か紹介させていただいた、ネットオークションのシンポジウム(3/8 主催:消費者支援機構関西)には、この原告団の訴訟代理人をされていた名古屋の山森広明弁護士にもパネリストとして出席いただいていました。
 判決の詳細がわかりませんので現時点で結論についてはコメントしにくいですが、オークション主催業者は、単に取引の場を提供しているだけとは言えないと思いますので、個々のオークション取引のトラブル、被害発生について、どこまでの注意義務があるのか、という点が問題となる事案ですね。
 下にリンクした消費者支援機構関西の提言では、主催者のオークション運営のあり方に関して、以下の5項目の提言を行っています。
(1)出品者についての情報開示
(2)出品者についての調査義務
(3)代金決済制度の改善
(4)出品物、規約、苦情窓口等の表示の明確化
(5)トラブル回避のための利用者への啓蒙活動

 → シンポ(3/8)の模様
 → 消費者支援機構関西の提言
  
「インターネットオークションにおけるトラブルの防止と消費者保護について」

【追記】(3/29)
 上記の原告団のサイトに「判決要旨」がアップされていました。

 それによれば、原告ら詐欺被害者の主張は以下のようなものです。
 被告ヤフーには、詐欺の被害を生じさせないインターネットオークションシステムを構築するために、(1)詐欺の被害防止に向けた注意喚起、(2)第三者機関による信頼性評価システムの導入、(3)利用者に対する出品者情報の提供・開示(匿名性の排除)、(4)エスクローサービス利用の義務付け、(5)詐欺被害に対する補償制度の完備、をすべきであるのに怠った。

 これに対して、被告ヤフーの反論主張は、(1)注意喚起は十分に行っている、(2)日本には信頼性評価を行う第三者機関は存在しない、(3)被告ヤフーの判断で利用者情報を開示することは憲法、電気通信事業法の「通信の秘密」上、困難である、(4)エスクローサービスを利用するかどうかを利用者に委ねても不合理ではない、(5)補償制度は事後的な救済であって、これによって詐欺が防止できるわけではない、というもの。

 そして、裁判所は、
1.被告ヤフーには、詐欺の被害防止に向けた注意喚起を時宜に沿って行う義務はあるが、被告は時宜に沿った注意喚起を行っていたと認められる。
2.その他の原告主張の具体的義務(上記の(2)~(5))については、被告ヤフーにこれらの具体的義務を要求することは困難であるから認められない。

として、被告ヤフーに原告らの詐欺被害についての損害賠償責任はない、と判断しています。

【追記の追記】(4/9)
 原告サイトに判決文が載りましたので、別記事を書きました。
 → 「ヤフーオークションの運営者の注意義務(名古屋地裁判決続報)」(4/9)

【追記の追記の追記】(9/4)
 本日(9/4)、名古屋高裁で控訴審の第1回口頭弁論期日が開かれたようです。審理は終結し、判決は10月7日の予定とか。

【追記の追記の追記の追記】(11/18)
 結局11月11日に高裁判決があったようですね。
 → 「ヤフーオークション詐欺被害訴訟の控訴審判決(名古屋高裁)」(11/18)

2008年3月27日 (木)

下請法の勧告事案もう一丁(公取委)

 今回は、印刷、製本等の業務の下請に関する不当減額の事案です。

 公正取引委員会は、株式会社平河工業社(東京)に対し、下請代金支払遅延等防止法(下請法)4条1項3号(下請代金の減額の禁止)に違反する事実が認められたとして、勧告を行いました。 
 → 公取サイト報道発表資料(PDF)

(違反事実の概要)
 平河工業社は、印刷,製本,製版等の全部又は一部を下請事業者に委託しているところ、下請事業者の責に帰すべき理由がないにもかかわらず、下請事業者に対して、「協力値引き」等と称して下請代金の額に一定率を乗じて得た額を負担するよう要請し、前記要請に応じた下請事業者に対し、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、当該下請事業者に支払うべき下請代金の額を減じていた。 

(勧告の概要) 
ア  平成18年5月から同19年6月までの間に、「協力値引き」等と称して下請代金の額から減じていた額(総額2763万7006円)を下請事業者(48名)に対して速やかに支払うこと。 
イ  減額行為が下請法の規定に違反するものである旨及び今後、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じることをしない旨を取締役会の決議により確認すること。 
ウ  今後、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じることがないよう、自社の発注担当者に対する下請法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講じるとともに、その内容等を自社の役員及び従業員に周知徹底すること。 
エ  前記ア,イ及びウに基づいて採った措置を取引先下請事業者に周知すること。 

昨日の積み残しの整理2題

 昨日は記事を連発したので、今日は休むつもりでしたが、積み残し分の「覚え書き」を残しておきたいので・・・2つまとめて・・・

〔高島易断総本部に業務停止命令(経産省:特定商取引法)〕
「特定商取引法違反事業者に対する行政処分について」(3/26)
 経済産業省は、易鑑定後の祈願契約及び仏具等の販売契約を締結させていた訪問販売業者である宗教法人幸運乃光(通称名「高島易断崇鬼占(すうきせん)相談本部」又は「高島易断総本部」:千葉県袖ヶ浦市)に対して特定商取引法の違反行為を認定し、同法8条1項の規定に基づき、平成20年3月28日から3ヶ月間、同法人の訪問販売に関する勧誘、申込みの受付及び契約の締結を停止するよう命じました。 
 → 経産省報道発表資料

〔ガス用フレキシブル管等カルテルに対する排除措置命令、課徴金納付命令(公取委:独占禁止法)〕
「ガス用フレキシブル管及びガス用フレキシブル管継手の製造販売業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令について」 (3/26発表)
 公正取引委員会は、ガス用フレキシブル管及びガス用フレキシブル管継手の製造販売業者に対し、独占禁止法3条(不当な取引制限の禁止)に違反する行為を行っていたとして、3月24日、排除措置命令及び課徴金納付命令を行いました。
 → 公取委報道発表資料(PDF)

 この事件でも、自主申告に基づく課徴金減免制度(リニエンシー)が使われています(本件の対象事業者は、公取委サイトのわかりにくい所に公表されてます。)。

 なお、ガス管、水道管がらみのカルテル事件は、昨年夏にも、このブログで記事を書いてます。
 → 「塩ビ管カルテルで強制調査(公取委)」(07/7/10)

2008年3月26日 (水)

またまた貨物運送業者に対する勧告(下請法)

 本日、公正取引委員会は、第一貨物株式会社に対し、下請代金支払遅延等防止法(下請法)4条1項3号(下請代金の減額の禁止)に違反するとして勧告を行いました。
 → 公取サイト報道発表資料(PDF)

(違反事実の概要) 
 第一貨物は、貨物運送の全部又は一部を下請事業者に委託しているところ、自社の利益を確保するため、下請事業者に対して、「割戻し」、「値引き」等と称して下請代金の額に一定率を乗じて得た額を負担するよう要請し、前記要請に応じた下請事業者に対し、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、当該下請事業者に支払うべき下請代金の額を減じていた。 

(勧告の概要)
ア  平成18年9月から同19年9月までの間に、「割戻し」、「値引き」等と称して下請代金の額から減じていた額(総額1億1723万6276円)を下請事業者(344名)に対して速やかに支払うこと。
イ  前記(1)の減額行為が下請法の規定に違反するものである旨及び今後,下請事業者の責に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じることをしない旨を取締役会の決議により確認すること。
ウ  今後、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じることがないよう、自社の発注担当者に対する下請法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講じるとともに、その内容等を自社の役員及び従業員に周知徹底すること。
エ  前記ア、イ及びウに基づいて採った措置を取引先下請事業者に周知すること。

 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆

 下請法に基づく貨物運送業者に対する勧告事件は、今年度だけでも、本件以外に、「ライフサポート・エガワ」事件「札幌通運」事件「丸全昭和運輸」事件「昭和冷蔵」事件と続いています。
 公取委国交省は、3月4日に「軽油価格高騰に対処するためのトラック運送業に対する緊急措置について」(PDF)をとりまとめており、この中で、公取委の実施する施策として、「独占禁止法・下請法の取締の強化」を挙げて、運賃等の料金改定交渉を巡る不当行為を含めて、荷主による独占禁止法(物流特殊指定)違反行為に対する監視を強化する等、独占禁止法及び下請法の厳正な運用に努めるものとしています。 

 なお、下請法違反に対する勧告については、以下の同法7条に規定があります。本件は7条2項に基づく勧告ですね。

第7条
 公正取引委員会は、親事業者が第4条第1項第1号,第2号又は第7号に掲げる行為をしていると認めるときは、その親事業者に対し、速やかにその下請事業者の給付を受領し、その下請代金若しくはその下請代金及び第4条の2の規定による遅延利息を支払い、又はその不利益な取扱いをやめるべきことその他必要な措置をとるべきことを勧告するものとする。

 公正取引委員会は、親事業者が第4条第1項第3号から第6号までに掲げる行為をしたと認めるときは、その親事業者に対し、速やかにその減じた額を支払い、その下請事業者の給付に係る物を再び引き取り、その下請代金の額を引き上げ、又はその購入させた物を引き取るべきことその他必要な措置をとるべきことを勧告するものとする。

 公正取引委員会は、親事業者について第4条第2項各号のいずれかに該当する事実があると認めるときは、その親事業者に対し、速やかにその下請事業者の利益を保護するため必要な措置をとるべきことを勧告するものとする。

公取委と経産省の協力スキームのようですが

 3月25日付で、公正取引委員会「不公正な取引方法に係る経済産業省との協力スキームについて」というのを公表しています。経済産業省も同時に同様の発表をしています。

 その内容は、
「一般消費者や中小企業に不当な不利益を与える不公正な取引方法については、独占禁止法に基づき適切に対応することが重要であり、公正取引委員会は、従前から、不公正な取引が問題となっている業種を所管する省庁等との間において、所要の協力を行ってきたところである。
  このたび、
公正取引委員会及び経済産業省は、不公正な取引方法に係る違反被疑行為に係る情報を効果的に収集し、機動的に調査・処分を行うため、添付資料のとおり、不公正な取引方法に係る協力スキームを構築し、これを円滑に運用するために協力していくこととした。
  
公正取引委員会としては、経済産業省の協力も得ながら、引き続き、不公正な取引方法について適切に対応していくこととしている。」
です。

 要するに、不公正な取引方法に関して、協力体制をとり、連絡会議も作りましょ、ということのようですね。それ自体は結構だと思います。ただ、私には、今回あえて一般公表するような内容とは思えないのですが、わざわざ出したというのには両省庁にそれなりに意味があるのでしょうねぇ。

  「不公正な取引方法に係る協力スキームについて」
    (経産省大臣と公取委委員長連名) 
   その別添資料「不公正な取引方法に係る協力スキーム」

【追記】(4/2)
 これについて、3月26日付の公取委事務総長記者会見内容が出ているのに気づきました。もっとも、それほど深い内容のあるものではありませんが。
 → 公取委サイト事務総長定例会見記録

初めての消費者団体訴訟提起

 消費者契約法に基づく消費者団体訴訟制度は、昨年6月から導入され、現在は、その対象を特定商取引法景品表示法についてまで拡大する法案が国会で審議中となっていますが、昨日(3月25日)ようやく消費者契約法上の消費者団体訴訟第1号京都地裁に提起されたようです。

 これは、京都のNPO「京都消費者契約ネットワーク」(KCCN)が、マンションなど賃貸物件の退去時に生じる原状回復費の一部を賃借人に負担させる「定額補修分担金」条項は消費者契約法10条に違反して無効であるとして、京都市内の不動産会社に当該条項の使用差し止めを求めるものです。

 通常の使用による物件の自然損耗の回復費を借り手に負担させることは、違法であると最高裁も判断しており、KCCNは「一般的に過失による損耗は少なく、分担金は実質的に自然損耗の回復費を敷金に代えて脱法的に負担させるもの。消費者に一方的に不利で消費者契約法に反する」と主張している、とのことです。
 さきほど、訴状案を拝見しましたが、請求の趣旨など、参考になります(現段階で、ここで公開するのは差し控えますが)。

 KCCNは、昨年12月に「適格消費者団体」の認定を受けていて、今年2月末に差止を求める書面を不動産業者に送ったが、業者が回答せずに返送してきたため提訴に踏み切った、とされています。

【追記】(3/29)
 続きを、3/29付「消費者団体訴訟制度の動き:まとめを兼ねて」を書きました。

2008年3月25日 (火)

ただの日記です。。。

【この記事は、3月25日に書いたものですが、26日朝までココログのメンテナンスのため、公開されてませんでした(うっかりしてました)。】

 顧問会社の会議が1時から金沢市内であるため、京都から乗り込んだサンダーバード車内で書いてます。
 京都駅で切符を買おうとすると、既に指定席は売り切れ。春休みの観光シーズンだからなのか(おまけに今日は快晴)、いつもこうなのかはわかりませんが、仕方なく自由席へ。
 私はタバコは吸いませんが、少し空いてるかと思って喫煙車両に乗ってみると、車内にタバコの香りがしみついてます。満員ながら何とか座席を確保してヤレヤレ。これから2時間、タバコの煙を我慢して、と覚悟を決めました。
 ところが、案外、喫煙する人は少ない。私のような非喫煙者がたくさんもぐり込んでいるのでしょうか。
 あるいは、この頃は喫煙者といえどもなるべく吸わないようにしているのか。。。まぁ、いつでも吸いたいときに吸えるという安心感と、車両にしみついた香りで、中毒症状が結構緩和されるのかもしれません。

 一昨日買った、佐々木俊尚「ウェブ国産力 日の丸ITが世界を制する」(アスキー新書)を早々に読み終えました。いや面白かった(我ながら貧弱なコメント)。
 経済産業省が音頭をとっている「情報大航海プロジェクト」については、ずいぶん前にこのブログでも触れたことがありましたが、この本を読んでやっとその位置づけが理解できたように思えました。

 すみません、今回は単なるモノローグです。
 ここ数日、多くの方が読まれているので、かなり緊張して書いてたため、ちょっと休憩。
 3の付く日は「アホ」なことを書いて、5の倍数の日は「カシコイ」ことを書く、というような「世界のナベアツ」的ブログにするという企画も思いついたのですが、実名ブログでは、さすがに、それもなぁ・・・
                          駄文で失礼

2008年3月24日 (月)

日本銀行情報流出事件と北海道警捜査資料流出事件訴訟判決

 日本銀行松江支店職員のパソコンからの情報流出が報道されていますね。3月21日朝に、日銀松江支店に「インターネット上に当店のものと思われる資料が掲載されている」旨の連絡が匿名であり、それが同支店の職務関連資料で、特定の金融機関等に関する情報が含まれていた、ということです。個別企業の信用に関わる資料もあったようです。

 日本銀行のサイトでの説明では、「情報が記載されていた金融機関等に対しては、個別に事情を説明させていただき、謝罪致しました。また、情報の掲載がこれまでに確認されたサイトに対しては情報の削除依頼を行い、削除済となっています。」となっています。

 ただ、情報は単に2ちゃんねるなどの掲示板に掲載されていたというのではなく、職員のパソコンが感染していたウイルスによって、P2Pソフトを介してネット上にばらまかれてしまっているようです(実際にファイルがどの程度流出してしまったかは不明ですが)。今日の報道では、6件の文書の流出が確認されており、当該職員のパソコンには39件の内部文書ファイルがあったということなので、判明している以外にも情報が流出している恐れがかなりあると見るべきでしょう。

 流出文書を貼り付けたような掲示板の記事をいったん削除しても、また改めて掲載される可能性は充分にあるわけで、本件に限らずこのようなネット上への流出情報を完全に回収することは不可能に近く、取り返しのつかないことになったり、被害がずっと継続するというようなケースも考えられます。

 自衛隊員や警察官などのパソコンからこのような機密情報が流出する事件は最近よく聞かれるのですが、民事裁判になったものとして、被疑者の捜査情報が、北海道警の警察官が自宅に持ち帰った私有パソコンからウイルス感染により情報流出したという同様の事件につき、北海道警察本部長、当該警察署長、管理担当者らの不法行為が成立するとして、国家賠償法に基づいて、当該被疑者が北海道に対して損害賠償(慰謝料200万円)を求めた訴訟があります。
 1審の札幌地裁(平成17年4月28日判決)は、当該文書をパソコン内に保存したまま自宅に持ち帰り、インターネットに接続させた行為は、捜査関係文書の保存、管理という点において捜査関係文書の作成という職務行為と関連して一体不可分のものというべきであって職務行為に当たるとして、被告の北海道に責任を認めて慰謝料40万円の支払を命ずる原告一部勝訴の判決を言い渡しました。
 しかし、2審の札幌高裁(平成17年11月11日判決)は、警察官の職務行為又は社会通念上職務の範囲に属すると見られる場合に当たらず、また、ウイルスによる流出の予見可能性もなかったとして、原告逆転敗訴の判決を言い渡しています(最高裁にて確定している模様)。

 同じような事件であっても、その職務行為性や管理の実態によっても判断は異なりますし、ウイルスによる流出についての予見可能性というのも判断の微妙なところですし、北海道警の訴訟では、現実に1,2審で判断が分かれたわけですが、今回の日銀の事件を考えるうえでは参考になる裁判例だと思います。

【追記】(4/15)
 本日(4/15)、日銀は、本件内部情報流出問題の調査結果と関係者の処分を発表しています。これについては、別の記事にしました。
 → 「日本銀行松江支店情報流出事件の調査報告」(4/15)

2008年3月23日 (日)

AKB48の企画中止と独占禁止法

 一般紙などには報道されてないので気づかなかったのですが、独占禁止法がらみで面白いのを見つけました。ひさしぶりの芸能ネタでもあります。
 昨年末の紅白にも出た人気女性アイドルグループの「AKB48」に関するものです。ファンにとっては古いニュースかも知れませんけども。

 AKB48のシングルCD「桜の花びらたち2008」(2月27日発売)について、公式サイト上で2月25日に、秋葉原「AKB48劇場」での先行販売分(2月26日から)に、特別プレゼントとしてメンバー全員分のソロポスター44種類がもらえ、全種類集めると特別のイベント「春の祭典」に招待されるという特典が発表されました。
 これは、CD1枚購入でポスターが1枚付くというもので、しかもポスターの種類は指定できずランダムで渡されるので、全種類集めるためには相当数のCDを買う必要があったものです(最低でも44枚必要ですが、確率的にはすごい枚数を買わなきゃ独力では無理でしょうね)。

 いくつかのネット上の報道を見ると、この企画については、ネット上でもファンから批判が相次き、また、ポスターがネットオークションに多数出品されるなどの騒動にもなったようです。

 そして、CD発売の翌日の2月28日には、発売元のデフスターレコーズ(ソニー・ミュージックエンタテインメント系列)は、サイト上で、「AKB48劇場販売限定特典ポスター・コンプリート購入者ほか対象『春の祭典』ご招待施策中止のご案内」を発表するに至りました。
 そこでは、上記の企画が、ファンの過熱を招いたことを謝罪したうえで、「当企画の『桜の花びらたち2008』発売に伴う『春の祭典』ご招待施策が『独占禁止法』上の『不公正な取引』に抵触する恐れがありましたので、AKB48『春の祭典』の実施を含め、施策を中止とさせていただきます。」として、企画の取りやめを発表しています。また、AKB48劇場でCD複数枚を購入した人には希望により返品等の処置をとる(3月末日まで)、とのことです(詳しくは上記発表内容参照)。

 この企画中止発表の前日のJ-CASTニュースは、この企画について、景品表示法上の「不当景品」に該当するか否かの問題を取り上げ、公正取引委員会や消費者法に詳しい村千鶴子弁護士の見解などを紹介して、景品表示法違反を法的に問うのは難しいのではないか、としていました。

 しかし、上記の企画中止発表によれば、景品表示法ではなく、独占禁止法で禁止されている不公正な取引方法に該当する恐れがあるとしています。景品表示法独占禁止法不公正な取引方法規制の特例法ではありますが、発表内容からすれば、親玉の独占禁止法自体の違反の可能性も検討されたようですね(ひょっとすると、公取委から何らかの示唆があったのかもしれません)。
 「不公正な取引方法」の一般指定のどれかに該当しそうだということになるのですが、おそらく「不当な利益による顧客誘引」(同9項)なのでしょうね(この行為の特別な規制が景品表示法の不当景品規制)。実際の宣伝の仕方によっては「欺まん的顧客誘引」(一般指定8項)も検討できるかな(こちらの行為の特別な規制が景品表示法の不当表示規制)。

 この企画中止によって、ネットオークションでのポスター落札でトラブルが生じないか、というのも心配ですね。

〈参考〉
不公正な取引方法「一般指定」(公正取引委員会告示)抜粋
8 ぎまん的顧客誘引
 自己の供給する商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について、実際のもの又は競争者に係るものよりも著しく優良又は有利であると顧客に誤認させることにより、競争者の顧客を自己と取引するように不当に誘引すること。
9 不当な利益による顧客誘引
 正常な商慣習に照らして不当な利益をもつて、競争者の顧客を自己と取引するように誘引すること。

2008年3月22日 (土)

金融庁による日本ファースト証券の破産申立

 金融庁から破産を申し立てられていた日本ファースト証券(東京)が、3月21日、東京地裁から破産手続開始決定を受けました。破産手続開始決定というのは、数年前の破産法改正までは「破産宣告」と呼ばれていたものです。
 同社は、商品先物取引や外国為替証拠金(FX)取引を手掛ける会社で、負債総額約15億円、債権者数約700人と報じられています。

 金融庁の発表によれば、
 店頭デリバティブ取引(外為証拠金取引)に係る顧客から預託を受けた証拠金等の区分管理違反及び自己資本規制比率が100%を下回る状況となったことから、昨年12月3日、関東財務局長が金融商品取引法に基づいて、全ての金融商品取引について6ヶ月の業務停止を命じ、業務改善命令(区分管理不足の速やかな解消、自己資本規制比率の改善等)を出していました。
 しかし、区分管理違反の状態が解消できず、財産状況に照らし支払不能に陥るおそれがある状況となっており、また、自己資本規制比率についても回復を図ることが困難な状況となっていると認められたことから、3月19日、関東財務局長が、同社の金融商品取引業の登録の取消を行いました。
 また、同社は資産超過の状況で、店頭デリバティブ取引(外為証拠金取引)の顧客を含めた債権者に全額弁済できる可能性がある現時点において、顧客資産の保全等を図る必要があることから、金融庁長官が、「金融機関等の更生手続の特例等に関する法律」490条1項、495条1項に基づき、東京地裁に対して、破産手続開始の申立と保全管理命令の申立を行った、ということです。
 なお、日経の報道によれば(破産管財人の記者会見内容)、FXの預かり資産が1~2割棄損する可能性があるとのことです。
 → 金融庁報道発表資料(3/19)

 「金融機関等の更生手続の特例等に関する法律」てな法律に、金融庁長官による金融機関等の破産申立権限が規定されていたのですね。このニュースを見たときに「ヘェ~」と思ってしまいました。もっとも、一般の株式会社についても要件を満たせば、法務大臣が解散命令の申立を裁判所に対してできるのだから(会社法824条)、それほど不思議なことでもないのですけれど。

2008年3月21日 (金)

下請法:中小企業庁長官から公取委への措置請求

 ふと見ると、公取委ではなく、何故か経済産業省のサイトに下請法に関する報道発表が本日ありました。
 → 「株式会社ミカドに対する下請代金支払遅延等防止法の措置請求について」

 内容は、中小企業庁が、株式会社ミカドに対し、下請代金支払遅延等防止法(下請法)4条1項3号(下請代金の減額の禁止)に違反する事実が認められたので、本日、公正取引委員会に対して、措置請求を行った、というものです。
 中小企業庁は、経済産業省の外局の1つですが、この公取委への請求については下請法にちゃんと規定がされています。下請法6条は、中小企業庁長官が同法違反行為の事実の有無の調査をして、その事実があると認めるときは、公取委に対して同法の規定にしたがって適当な措置をとるべきことを求めることができる、としている規定です(中小企業庁長官の請求)

【違反事実の概要】
 ミカドは、システムキッチン等の部品、部材の製造を下請事業者に委託しているが、今般自社の利益を確保するため、下請事業者に対して販売協力金の要請を行うとともに、これに合意した下請事業者に対しては、支払うべき下請代金額から一定の比率分を差し引いていた事実が確認された。 
 具体的には、平成17年7月から平成19年5月までの間に、下請事業者39社に対して、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、支払うべき下請代金の一部(約3,663万円)を減額していた。 

【追記】(4/9)
 本日、上記事案につき、公正取引委員会から勧告が出ました。
 → 「システムキッチン部品製造の下請法違反勧告(公取委)」(4/9)

JUKIミシン販売の特商法違反(経産省)

 昨年締めくくりの当ブログに書きました2007年アルファブロガーの山口利昭弁護士「ビジネス法務の部屋」で当ブログをご紹介していただいたため、今日未明より多くのアクセスをいただいています。
 山口弁護士と訪問いただいた皆様に感謝しつつも、若干のプレッシャーを感じながら、今日も平常心で書きたいと思います(微笑)。

 さて、新聞等でも報道済ですが、3月19日に、経済産業省は、特定商取引法違反行為があったとして、JUKI家庭製品株式会社(以下、JUKI家庭製品)に対して、今月20日から9月19日までの6か月間、訪問販売に関する勧誘、申込みの受付及び契約の締結を停止するよう命じています特定商取引法8条1項)。経産省が、認定した違反行為は、勧誘目的の不明示、不実告知、債務の履行拒否、迷惑勧誘、判断力不足に乗じた契約締結等です(後記参照)。
 → 経済産業サイト報道発表

 なお、命令の対象となった「JUKI家庭製品」は、JUKI株式会社(以下、JUKI)の子会社です。
 しかし、JUKI家庭製品という会社は、平成19年4月1日付で、JUKIの家庭製品販売事業を子会社に継承させて、商号変更した会社であり、この継承日以前は、JUKIが訪問販売を行っていた、とのことです。
 したがって、今回の業務停止命令の対象は子会社たるJUKI家庭製品ですが、違反行為を行っていたのは(昨年4月1日以前までは)JUKIということになります。

 経産省が認定した違反事実の概要は、
「同社は、消費者宅を訪問する際、その勧誘に先立って勧誘の相手方に対して売買契約の締結について勧誘をする目的である旨を明らかにしていなかったほか、ミシンを十分点検することなく、修理できる可能性があるにもかかわらず「これは修理不能です。」等と勧誘をする際に不実のことを告げていた。
 また、消費者から商品の売買契約の解除を行ったのに対して、それに応じなかったりするなど、契約締結の解除によって生ずる債務の履行を拒否したり、商品の勧誘に際し長時間居座ったり、消費者が断っても執拗に勧誘を続ける等、消費者に迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘を行っていた。
 さらに、認知症等を患っている消費者にその判断力の不足に乗じて販売契約を締結させたり、高齢者であって当該売買契約について知識、経験及び支払能力が極めて脆弱であると認められる消費者に対して、それに照らして不適当と認められる勧誘を行っていた。」
というもの。

 このような違反行為について、過去に自治体等から何度も指導や改善要請がなされていたにもかかわらず、同社は依然として同様の違反行為を繰り返したということで、今回の厳しい処分に至ったようですね。

【違反該当事実】
(1)勧誘目的の不明示(特商法3条)
 勧誘に先立って 勧誘の相手方に対し、「。ミシンを無料で点検します」等と告げるだけで、本件商品に係る売買契約の締結について勧誘をする目的である旨を明らかにしていなかった。

(2)不実告知(特商法6条1項6号)
 ミシンを点検すると告げて訪問し、ミシンを十分点検することなく、修理できる可能性があるにもかかわらず、。「これは修理不能です」、「このミシンは壊れている。」等本件商品に係る売買契約の締結について勧誘をする際に不実のことを告げていた。

(3)債務の履行拒否(特商法7条1号)
 契約の翌日「やっぱり返したい。」と契約の解除を行ったのに対してそれに応じなかったり、相手方が電話でクーリングオフの申し入れをしたのにもかかわらず「手取り足取り教えるから信用してくれ」等と言って応じなかったりするなど契約の解除によって生ずる債務の全部又は一部の履行を拒否していた。

(4)迷惑勧誘(特商法7条3号に基づく特商法施行規則7条1号)
 訪問後に勧誘にあたり、顧客が「夕食の支度があるから帰って」と断っても帰ろうとしない等長時間居座ったり、断っても執拗に勧誘を続ける等、顧客に迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘を行っていた。

(5)判断力不足に乗じた契約及び知識、経験及び支払能力に照らして不適当と認められる勧誘(特商法7条3号に基づく特商法施行規則7条2号、3号)
 認知症等を患って判断力が不足していると認められる顧客に契約を締結させたり、高齢者であって当該売買契約について知識、経験及び支払能力が極めて脆弱であると認められる顧客に対して、それに照らして不適当と認められる勧誘を行っていた。

2008年3月20日 (木)

消費者庁設置:自民党調査会決定と首相意向表明

 昨日(3/19)、自民党消費者問題調査会(野田聖子会長)が、消費者行政を一元化する新組織に関する最終とりまとめを決定しました。

 この「消費者庁」の設置を骨とするとりまとめについては、福田首相も前向きな考えを示した模様です。
 このとりまとめによれば、消費者担当大臣を置いて、国民生活センターを消費者庁に移管するなどとなっているようです。

 ところで、公正取引委員会は、自らを消費者取引に関する一元化組織の核とするような意見を出していましたが、今回の自民党とりまとめでは、新組織は、公取委とは別組織ということになっていますね。

 今回のとりまとめを踏まえて、政府が5月に具体案を示す予定のようです。

 ただ、いくつもの省庁の権限を新組織(消費者庁)に移管することになり各官庁からの抵抗、また、経済界からの抵抗もかなり予想されるうえ、政局がかなり流動的な状況となっていることもあって、すんなり行くかどうかはまだわかりません。

2008年3月19日 (水)

08年独占禁止法改正(その4 景表法の課徴金)

 前回の(その3)では、今回の改正案で、独禁法の不公正な取引方法の一部についての課徴金による制裁が追加されていることを紹介しましたが、今回は、それに関連する景品表示法上の不当表示への課徴金の導入の話です。

 景品表示法(正確には「不当景品類及び不当表示防止法」)は、独占禁止法の特例法ですが、一般消費者向けの不当な表示や景品を規制して、不当な顧客誘引を禁止するものです。

 今回の独禁法改正と併せて出されている改正案の要点は、1つには、既に禁止行為をやめている場合にも排除命令が出せる場合を明確化したことと、もう1つが、上記の不当表示行為への課徴金制度導入です。
 なお、この改正とは別に、このコラムでも先日書いたように、景品表示法への消費者団体訴訟制度の導入の改正の法案も提出されています。

 課徴金制度は新たに6条の2を新設する形で入りました(分量のかなり大きな条文になってます)。
 この新たな課徴金対象行為は、景品表示法の規制の内、同法4条1項1号2号の行為のみで、つまり、いわゆる「優良誤認」「有利誤認」と呼ばれる不当表示事案です。不当景品については対象になっていません。

 課せられる課徴金は、その不当表示を行っていた期間(最長3年)の当該商品等の売上額の3%となっています。なお、この算定額が300万円未満の場合や、不当表示であることを知らないことにつき著しい注意を怠ったものではない者の場合は除くなどの例外規定(同法6条の2第1項但し書き)も置かれています。

【追記】(09/6/12)
 上記は、結局廃案となった平成20年提出の改正案についてのものです。特に景表法関係は消費者庁への移管が決まりましたので、平成21年の独占禁止法改正(成立)の際には、上記の改正は含まれていません。

2008年3月17日 (月)

NTTドコモがソフトバンクモバイルに仮処分申立(不正競争防止法)

 本日、NTTドコモ富士通が、ソフトバンクモバイル東芝に対して、携帯電話端末「821T」の製造、販売等の差止めを求める仮処分命令を求めて、東京地方裁判所に申し立てたことを発表しています。
 両社のサイトで報道発表がされているとともに、日経などでも報道されています。

 不正競争防止法違反ということで差止の仮処分を求めたものですが、要するに、3月8日に発売されたソフトバンクモバイル「かんたん携帯SoftBank 821T」(東芝製)のデザインなどが、従来から販売されているNTTドコモ「らくらくホン」(富士通製)に極めて類似しているという主張ですね。不正競争防止法2条1項1号で定める周知商品等表示か、同法2条1項2号著名商品等表示のどちらか(あるいは両方か)に該当するという主張だと思われます。3号のデッドコピーの可能性もなくはないですが。(以上は私の勝手な推測です。)
 NTTドコモは記者発表の席で、ボタンなどのデザインだけではなく、操作性の類似も指摘したようですが、普通は操作性を「商品等表示」に含めるのはちょっと無理かなと思います。

 なお、一般的には、仮処分事件では、申立人からの証拠資料等を裁判所が見て、相手方の反論は聞かずに出されることが多いのですが、この種の仮処分は相手方への影響が大きいこともあって、相手方の主張なども見て審理されるので、すぐに裁判所が結論を出すということは通常ないです。したがって、普通の裁判と同じくらいの時間がかかる場合も珍しくありません(というか、私の経験でも、このような知的財産事件では、本案訴訟と同時並行的に手続が進み、本案訴訟の判決のほうが、仮処分の決定より早く出ることもよくあります。)。

【追記】(3/18)
 この両方の携帯電話について、日経NET ITプラスの連載コラム「石川温のケータイ業界事情」1月下旬の記事『auとソフトバンクの春モデルを採点・勢いがあるのは?』によれば、「もしやOEM供給かと思いきや、実はかつて富士通に在籍し、らくらくホンに携わっていた開発者が、ソフトバンクモバイルに転職して821Tを東芝と一緒になって開発したのだという。」とありますね。
 いずれにせよ、昨夜から今朝にかけて、テレビや新聞などでもニュースで大きく取り上げられていて、シニア向け携帯電話市場にとっては、結構な宣伝効果はあったのだろうな(どっちも)、とは思いました。

【追記の追記】(09/4/15)
 上記仮処分事件で和解が成立したようですね。
 → 「かんたん携帯の仮処分申立事件が和解成立」(09/4/15)

2008年3月15日 (土)

談合防止の日弁連シンポジウム

 先日、このブログでも紹介しましたが(2月20日付「談合防止についてのシンポジウム(日弁連)」)、本日、東京の日弁連会館で、日弁連主催のシンポジウム「談合防止は進んでいるか-あるべき入札制度改革を探る」に参加してきました。私の所属している日弁連消費者問題対策委員会独占禁止法部会が企画、準備してきたものです(私自身は大してお手伝いできてません。すみません。)。

 今日は、隣の部屋では、華やかに日弁連法務研究財団の会社法の内部統制についてのシンポジウムが開かれていました(町村北大教授のブログでも紹介されていた)。でも、当方のシンポも地味なテーマながら、結構参加者も来られ、時間が足りないくらいで、中身も充実していたのではないか、と思います。

 今回公表した、全国の自治体の入札状況のアンケート結果については、時事通信や東京新聞が既にネット配信していますね。明日の朝刊記事にはなっているかもしれません。

【追記】(3/16)
 上記の東京新聞の記事は共同通信の配信記事のようです。
 ただ、その中に「日弁連は『原則として一般競争入札とし、高落札率は20%以下が望ましい』としている。」とありますが、この内容は、日弁連の意見というよりは、報告者の松葉弁護士の改革提言の一部ではないのかな。

08年独占禁止法改正(その3 不公正な取引方法)

 今回の独占禁止法の改正案では、「不公正な取引方法」の扱いに関してはガラガラと変わっています。マスコミは、気楽に「不当廉売に課徴金」などといってますが、そう単純でもないですね。

 現在の独禁法では、「不公正な取引方法」の具体的な規制対象行為は、独禁法自体に規定されず、公正取引委員会の指定によるという形式になっています。そして、公取委は、一般指定特殊指定というのを告示してますけど、一般指定は全ての業種が対象となります。そこに、「不当廉売」や「優越的地位の濫用」や「再販売価格維持」などが規定されています。

 しかし、今回の改正案の「不公正な取引方法」への課徴金の導入については、告示に任せるわけにもいかないので、独禁法本体に、課徴金対象行為を明定しました。
 だから、従前の一般指定に規定されてきた「不当廉売」「優越的地位の濫用」「再販売価格維持」などが、そのまま課徴金対象になったのではなくて、後で述べる通り、これまでの一般指定とは別に新たに独禁法本体に規定された行為の内、悪質なものについて、課徴金が付されることになったものです。

 今回の改正案は、独禁法2条9項「不公正な取引方法」の定義規定を大幅に変えて、従前の一般指定に列挙されていた行為の内、「共同取引拒絶(共同ボイコット)」、「差別対価」、「不当廉売」、「再販売価格維持」、「優越的地位の濫用」を、ほぼそのまま法律上の規定に移しました。
 そのうえで、20条に枝番を一杯付ける形で、それらを課徴金対象行為としたのですが、2条9項に規定された行為要件に、行為の繰り返しや継続というような要件が加わったものについて課徴金が課されるということになっています。
 詳しくは、「共同取引拒絶(共同ボイコット)」(20条の2)、「差別対価」(20条の3)、「不当廉売」(20条の4)、「再販売価格維持」(20条の5)、「優越的地位の濫用」(20条の6)の各条文をご覧ください。
 → 改正案(新旧条文対照)

 となると、これまでの一般指定(公取委告示)も、上の5つを抜くなどの改正がされることになるのでしょうね。

 この改正案シリーズもう少し続ける予定です(たぶん)。

〈関連記事〉

 → 「08年独占禁止法改正(その2 閣議決定と法案公表)」(3/11)

 → 「08年独占禁止法改正(その1)」(2/15)

【追記】(09/6/12)
 上記は、結局廃案となった平成20年提出の改正案についてのものです。成立した平成21年改正案(成立)と共通する部分も多いですが、ご注意ください。

2008年3月14日 (金)

労働契約法が3月から施行

 3月から施行されている労働契約法ですが、私も不勉強で、ちゃんと把握してなかったので、ここにまとめ。
 基本的には、これまで裁判例などで認められてきた労働関係の基本的な民事ルールをまとめたものということだと思いますので、すごく新しい基準ができた、というものでもなさそうですが、法律で明文化した点に意義があると思われます。

 → 厚生労働省サイトの「労働契約法のポイント」(PDF)
 → 同「労働契約法の概要」(PDF)
 → 同「条文」(PDF)

 たいした量でもないので、(私の趣味でちょっとだけ体裁を変えましたが)労働契約法の条文を、ちっちゃい字で下に貼り付けておきます。

第1章 総則
第1条 (目的)
 この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。
第2条 (定義)
 この法律において「労働者」とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいう。
2 この法律において「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいう。
 
第3条(労働契約の原則)
 労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。
2 労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
3 労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
4 労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。
5 労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。
 
第4条 (労働契約の内容の理解の促進)
 使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。
2 労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。

第5条 (労働者の安全への配慮)
 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

第2章 労働契約の成立及び変更
第6条 (労働契約の成立)
 労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。
第7条
 労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。
第8条 (労働契約の内容の変更)
 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。
第9条 (就業規則による労働契約の内容の変更)
 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。 
第10条
 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。
第11条 (就業規則の変更に係る手続)
 就業規則の変更の手続に関しては、労働基準法第89条及び第90条の定めるところによる。
第12条 (就業規則違反の労働契約)
 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。
第13条 (法令及び労働協約と就業規則との関係)
 就業規則が法令又は労働協約に反する場合には、当該反する部分については、第7条、第10条及び前条の規定は、当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約については、適用しない。

第3章 労働契約の継続及び終了
第14条 (出向)
 使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。
第15条(懲戒)
 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。
第16条(解雇)
 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

第4章 期間の定めのある労働契約
第17条
 使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。
2 使用者は、期間の定めのある労働契約について、その労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。

第5章 雑則
第18条(船員に関する特例)
 第12条及び前条の規定は、船員法の適用を受ける船員に関しては、適用しない。
2 船員に関しては、第7条中「第12条」とあるのは「船員法第100条」と、第10条中「第12条」とあるのは「船員法第100条」と、第11条中「労働基準法第89条及び第90条」とあるのは「船員法第97条及び第98条」と、第13条中「前条」とあるのは「船員法第100条」とする。

第19条 (適用除外)
 この法律は、国家公務員及び地方公務員については、適用しない。
2 この法律は、使用者が同居の親族のみを使用する場合の労働契約については、適用しない。

2008年3月13日 (木)

NTT「DIAL104」の不当表示(景表法)

 本日、公正取引委員会は、東日本電信電話(NTT東日本)と西日本電信電話(NTT西日本)が提供する「DIAL104」(電話番号案内)を利用した顧客に対して案内した電話番号に接続するサービスに関する表示について、景品表示法4条1項2号(有利誤認)に違反するとして排除命令を行いました。 
 → 公取委サイト報道発表資料

 このサービスは、電話案内後に自動音声案内に従って「1#」のボタンを押すかオペレーターに依頼すれば、電話を切らずにそのまま相手先に接続される、というもの。
 私自身は利用したことがありませんが、昨年からテレビコマーシャルではよく見かけましたね。昨年7月から始まったようですが、公取委が調査をしていることは、先月下旬にマスコミ報道されていました。

違反事実の概要
 上記NTT2社は、DIAL104を一般消費者に提供するに当たり、エヌ・ティ・ティ番号情報株式会社に委託して、テレビコマーシャル,新聞広告,雑誌広告,駅貼りポスター並びに鉄道及びバスの車内広告に、放送又は記載するなどして、実際には、DIAL104の利用には接続手数料が掛かるものであり、更にDIAL104を利用して接続した先との通話が区域内通話の場合には、当該通話の通話料はDIAL104を利用しない場合の通話料よりも割高となるものであるにもかかわらず、その旨を放送若しくは記載しない又は明りょうに放送若しくは記載しないことにより、あたかも、DIAL104の利用には料金が掛からず、かつ、DIAL104を利用しても、利用しない場合と同じ通話料で接続された先との通話ができるかのように示す表示をしていた。 

排除措置の概要
ア  前記表示は、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるものである旨を公示すること。 
イ  再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。 
ウ  今後、同様の表示を行わないこと。 

【追記】(3/14)
 この件に関して、総務省も3月13日付で、指導、要請を行ったようです。
 → 総務省サイト報道資料
 これは、総務省が、NTT両社に対して、今後作成する広告において、利用者が誤認するおそれのない分かりやすい情報の提供と適正な表示を行うよう、また、平成18年の総務省の要請の趣旨を踏まえ、本サービスの提供に係るオペレータが十分な説明を行うことを徹底するよう指導し、(社)電気通信事業者協会に対しては、広告表示に係る指導の趣旨を会員事業者に周知するよう要請したというものです。

2008年3月11日 (火)

08年独占禁止法改正(その2 閣議決定と法案公表)

 今朝、独占禁止法、景品表示法の改正案が閣議決定され、これから国会で審議されることになります。

 改正案などは、公正取引委員会のサイトの報道発表資料から見ることができます。
 公取委が、独占禁止法等の一部改正法案の概要として発表したのは以下の通りです。少し詳しく触れたいところもありますが、今回はひとまず概要紹介のみ。

1  課徴金・排除措置命令関係
(1)  課徴金の適用範囲の拡大
 (ア)  排除型私的独占
 (イ)  不当廉売,差別対価,共同の取引拒絶,再販売価格の拘束
       (同一の違反類型を繰り返した 場合)
 (ウ)   優越的地位の濫用
 (エ)    不当表示【景品表示法の改正】   

(2)  主導的役割を果たした 事業者に対する課徴金の割増算定率
   (5割増    例:製造業等の大企業10 %⇒15 %)

(3)  課徴金減免制度の拡充
   (最大3社⇒最大5社,グループ会社による 共同申請可)

(4)  事業譲渡等が行われた場合の課徴金納付命令等に係る名宛人の取扱い
   (事業を承継した 一定の企業に対しても 命令)

(5)  課徴金納付命令等に係る除斥期間の延長  (3年⇒5年)

2  企業結合関係
(1)  株式取得の事前届出制の導入

(2)  届出基準の見直し等  (総資産⇒売上高,届出閾値の簡素化  等)

3  その他
(1)  海外当局との 情報交換に関する規定の整備
   (情報交換を行う場合の条件等を法定化)

(2)  利害関係人による 審判の事件記録の閲覧・謄写規定の整備
   (正当な理由がある場合には開示を制限)

(3)  民事救済制度の拡充
   (差止訴訟における 文書提出命令の特則の導入)

(4)  事業者団体届出制度の廃止

(5)  公正取引委員会職員等の秘密保持義務違反に係る罰則の引上げ
   (10 万円以下⇒100 万円以下)

 なお、今回は見送られた審判手続の改正ですが、改正案の附則の19条は、次のようになっています。

附則19条(検討)
  政府は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の審判手続に係る規定について、全面にわたって見直すものとし、平成20年度中に検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

2 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、新独占禁止法及び新景品表示法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、新独占禁止法及び新景品表示法の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

〈関連記事〉
 → 「08年独占禁止法改正(その1)」(2/15)
 → 「08年独占禁止法改正(その3 不公正な取引方法)」(3/15)

【追記】(09/6/12)
 上記は、結局廃案となった平成20年提出の改正案についてのものです。成立した平成21年改正案と共通する部分は多いですが、ご注意ください。

新しい消費者行政を考えるシンポジウム(大阪)

 今度の土曜日(3/15)ですが、大阪弁護士会など主催で、「新しい消費者行政を考えるシンポジウム」が開催されますので、ご案内。

 このブログでも何度か取り上げてますように、福田首相は「消費者行政を統一的・一元的に推進する強い権限を持つ新組織を発足させ、消費者行政担当相を常設」する考えを表明し、政府は急ピッチで検討を進めています。

 この流れの中で、消費者・生活者の視点からあるべき行政のしくみを議論し提起するためのシンポジウムを開催するということです。多くの参加をお願いします(すみません。私は当日、談合関連のシンポが東京・日弁連であるので、こちらには出席できません。)。なお、事前申込は不要ですので、当日直接会場にお越しください。

「新しい消費者行政を考えるシンポジウム」

日時:3月15日(土) 13:30~16:30
場所:大阪弁護士会館2階ホール → 地図(大弁サイト)
内容:○基調講演 ~ 新しい消費者行政組織をめぐる現在の情勢 ~
      原 早苗氏(消費者行政推進会議委員、国民生活審議会委員)
      圓山茂夫氏(明治学院大学法学部准教授)
   ○「消費者庁」の創設を求める意見書(日弁連)の報告
   ○リレートーク ~新しい消費者行政に向けた消費者からの提言~
      新しい消費者行政の機能や権限、組織のあり方などについて、
      消費者団体などから具体的な提言をリレー報告

2008年3月10日 (月)

児童ポルノDVDの外国からの輸出罪についての最高裁決定

 もうひとつ、刑事事件の最高裁の決定です。
 児童買春・児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(児童ポルノ禁止法、児童ポルノ処罰法)7条6項児童ポルノを外国から輸出する罪の成否についてのもの。

 平成20年3月4日 最高裁決定 (上告棄却)→ 最高裁サイト

 タイに居住していた被告人が、児童ポルノのDVDを、日本のネットオークションに出品して、その落札者に対して、国際郵便でDVDを送付したという事案です。
 児童ポルノ禁止法7条6項(児童ポルノを外国から輸出する罪)は、その輸出が「不特定の者に販売する目的で」あることが要件になっています。しかし、この事案では、日本に向けて郵送する際には、既に特定された落札者に向けて送られているわけですので、「不特定の者に販売する目的で」輸出されたことにならないのではないか、という弁護人主張についての判断です。

 児童ポルノ事件では有名な大阪の奥村徹弁護士が弁護人として上告したものですが、最高裁は、刑訴法405条の上告理由に当たらない、としたうえで、職権で以下のような判断を行いました。
「被告人は,本件児童ポルノであるDVDを送付する時点では,特定の者にあてて国際スピード郵便に付している。しかし,被告人は,児童ポルノであるDVDをインターネット・オークションに出品して不特定の者から入札を募り,入札期間の終了時点で最高値の入札者を自動的に落札者とし,その後当該落札者にあてて落札されたDVDを送付したものであって,
本件輸出行為は,上記DVDの買受人の募集及び決定並びに買受人への送付という不特定の者に販売する一連の行為の一部であるから,被告人において不特定の者に提供する目的で児童ポルノを外国から輸出したものというを妨げない。法7条6項にいう『第4項に掲げる行為の目的で』との要件を肯認した第1審判決を是認した原判断は,結論において相当である。」

 要するに、オークション出品から輸出までの一連の行為をとらえて、最後の輸出行為自体の時点では特定の者であるが、全体的にみれば、不特定の者といってよい、としたものですね。

 この最高裁決定の原審である名古屋高裁判決(平成18年5月30日)も見てみましたが、弁護人の主張は多岐にわたっています。そのうち、上記論点についての原審判決の判断を参考のため抜粋しておきます。
「・・・児童ポルノ処罰法7条6項,4項は,児童ポルノを不特定又は多数の者に提供する目的のある場合を処罰しているところ,関係証拠によると,被告人が児童ポルノをインターネットオークションに出品し,これを落札した者には,その者が誰であっても輸出する意思であったことは明らかであり,現に多数の者に輸出されていることからも,被告人にそのような目的のあったことが優に認められる・・・」

排除措置命令違反罪についての最高裁決定

 公正取引委員会が行った排除措置命令に違反すれば、50万円以下の過料に処するという規定(独占禁止法97条)があるのですが、これに関する抗告審の決定が最高裁判所から出ています。大した分量ではなく、珍しい決定なので、決定理由全文を下に貼り付けておきますが、これだけ読んでも事案が良くわかりませんね。原審決定を探したのですが、見あたりませんでした。
 決定内容から見ると、景品表示法の原産国不当表示事案のようです。

平成20年3月6日最高裁決定〈平成19(行フ)6号〉
 排除措置命令違反に対する過料事件の決定に対する許可抗告事件
 原審 東京高等裁判所〈平成19(行タ)52号 〉 平成19年10月23日決定
裁判要旨
 排除措置命令に違反した者を私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律97条の定める過料に処さないこととした原審の判断が是認された事例(抗告棄却)

〔 理  由 〕
抗告人の抗告理由について
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律97条の規定は,排除措置命令に違反したものは50万円以下の過料に処する旨を定めており,同条の趣旨に照らせば,裁判所は,審理の結果,排除措置命令に違反する行為が認められる場合には,原則として,当該行為をした者を過料に処すべきであるが,違反行為の態様,程度その他諸般の事情を考慮して,処罰を必要としないと認めるときは,上記の者を処罰しない旨の決定をすることもできるものと解するのが相当である。
 これを本件についてみると,相手方は,公正取引委員会から,一般消費者の誤認を排除するための措置として,本件商品の原産国について相手方が行った表示が事実と異なるものであり,一般消費者に誤認される表示である旨を速やかに公示すること等を命じる旨の審決を受けたにもかかわらず,同審決の履行をけ怠していたものであるが,相手方が本件商品の不当表示を同審決を受ける約2年半前に取り止めた上,ウェブサイトや店頭告知で不当表示をしていた事実を公表し,商品の回収や代金の返還にも応じて,一般消費者の誤認やその結果の排除に努めていたことなど本件記録上うかがわれる事情に照らせば,相手方を処罰しないこととした原審の判断は,結論において是認することができる。論旨は採用することができない。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。

2008年3月 7日 (金)

特定商取引法と割賦販売法の改正案の国会提出

 明日3月8日(土)は、しつこく書きましたネットオークションシンポがあります。私もちらっと「出演」する予定ですので、ドタ参でも結構ですので、是非お越し下さい(大阪ですけど)。
 → 「改めて、ネットオークション・シンポのご案内」(2/18)

 さて、本題です。
 既に各社で報道されていますが、特定商取引法割賦販売法の改正案が国会に提出されました。経産省によれば、規制の抜け穴の解消、訪問販売規制、クレジット規制、インターネット取引等の規制の強化などを内容とする特定商取引法、割賦販売法の一部を改正する法律案を本日閣議決定し、第169回通常国会に提出することとなりました、ということです。

 福田首相がずいぶん熱心なせいもあり、消費者関連でいろんな動きが一気に出てきています。私の守備範囲ではあるのですが、ウォッチするだけで相当に大変です。
 ・・・今回の改正以外に、消費者庁(消費者政策統一組織)、消費者団体訴権、独禁法改正、偽装表示問題、迷惑メール規制などなど・・・

 さて、改正案の主な内容ですが(詳しくは後記の経産省サイト参照)、
(1)指定商品・役務制度の原則廃止 
  原則すべての商品・役務を規制対象に

(2)訪問販売規制の強化
① 訪問販売業者に、契約を締結しない旨の意思を示した消費者に対しては、当該契約の勧誘をすることを禁止
② 訪問販売による過量販売の場合、契約後1年間は契約の解除等を可能に。

(3)クレジット規制の強化
① 個別クレジットを行う事業者を登録制の対象とし、立入検査等、行政による監督規定を導入
② 個別クレジット業者に訪問販売等を行う加盟店の行為について調査することを義務づけ、不適正な勧誘があれば消費者への与信を禁止
③ 訪問販売業者等が虚偽説明等による勧誘や過量販売を行った場合、個別クレジット契約も解約し、既に支払ったお金の返還も請求可能に
④ クレジット業者に対し、指定信用情報機関を利用した支払能力調査を義務づけ、消費者の支払能力を超える与信契約の締結を禁止

(4)インターネット取引等の規制の強化  
① 返品の可否等を広告に表示していない場合、8日間、送料消費者負担での返品(契約の解除)を可能に
② 消費者の事前同意のない電子メール広告の送信禁止
③ クレジット事業者に対して、個人情報保護法規制を超えてクレジットカード情報の保護のために必要な措置を講じることを義務づけ、カード番号不正提供・不正取得をした者等を刑事罰の対象に

(5)その他
① 違反事業者に対する罰則強化
② クレジット取引の自主規制等を行う団体を認定する制度の導入
③ 訪問販売協会による自主規制の強化

 → 経産省サイト「特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案について」

2008年3月 6日 (木)

競輪場外車券売り場開設の処分取消についての近隣住民の原告適格(大阪高裁判決)

 ちょっと地味な判決だと思いますが、大阪ミナミに昨年3月オープンした競輪の場外車券場「サテライト大阪」をめぐって、生活環境が悪化するなどとして、平成17年9月に経済産業大臣が設置を許可した処分について、地元住民が国に取消を求めた訴訟の控訴審判決が3月6日大阪高裁でありました。

 原審の大阪地裁は、住民の原告適格を否定して訴えを却下したのですが、今回の大阪高裁の控訴審の判決では、その地裁判決を取り消して、審理を地裁に差し戻しています。

 このような行政処分の取消などの訴訟での「原告適格」は以前から難しい問題ですが、今回の判決では、場外車券場設置に関する規則について「住民が、生活環境への悪影響による著しい被害を受けないという具体的利益を保護したもの」と判断したとのことで、許可申請に当たり、施設から1キロ以内にある学校や病院の位置などを記した見取り図の添付が求められていることを根拠に、周辺1キロ以内の住民に原告適格を認めた、ということです。

個人情報保護法の政令改正案のパブコメ:市販名簿関連

 3月4日に「個人情報の保護に関する法律施行令の一部改正案に関する意見の募集について」という意見募集(パブコメ)が、内閣府から公表されています。個人情報取扱事業者の該当基準に市販名簿掲載データ数を除外するというもので、意見の受付締切日は4月2日です。
 → 内閣府サイトの公表ページ

 内容は、個人情報保護法施行後3年が経ち、法の運用状況及び国民生活審議会「個人情報保護に関する取りまとめ(意見)」(平成19 年6 月29 日)を踏まえ、市販される名簿は随時に購入可能であり、事業者が加工等せずに保有していても、個人情報の量及び利用方法からみて個人の権利利益を害するおそれが低く、また、市販される名簿を持っているからというだけで、法第4章の義務(安全管理義務等)が課せられることは酷であると考えられることから、個人情報保護法施行令の一部改正を行う、とするもの。

 個人情報保護法の適用対象となる「個人情報取扱事業者」は、全ての事業者ではなく、一定の規模の個人情報データベースを有している者とされています。
 この基準は、政令により、その事業の用に供する個人情報データベース等を構成する個人情報によって識別される特定の個人の数の合計が過去6ヶ月以内のいずれの日においても5000を超えない者とされています。
 そして、この5000件の個人の数の計算は、政令によって、「当該個人情報データベース等の全部又は一部が他人の作成に係る個人情報データベース等で個人情報として氏名又は住所若しくは居所(地図上又は電子計算機の映像面上において住所又は居所の所在の場所を示す表示を含む。)若しくは電話番号のみが含まれる場合であって、これを編集し、又は加工することなくその事業の用に供するときは、当該個人情報データベース等の全部又は一部を構成する個人情報によって識別される特定の個人の数を除く。」とされていて 、要するに電話帳などを持っていても、その個人の数は算入しないこととされているのです。そうしないと、電話帳を持っている事業者はほとんどですから、結局全部が、「個人情報取扱事業者」として法律の対象となってしまうからです。

 今回の政令の改正案は、この例外をさらに拡大して、「一般国民(不特定多数者)がいつでも購入できるような市販される名簿」に掲載された情報についても、その個人の数は参入しない、とするものです。

 まあ、当然だと思います。

2008年3月 5日 (水)

前記事の続き:景品表示法と団体訴訟

 今回、消費者団体訴訟制度が導入される改正案が国会に提出された特定商取引法景品表示法の内、景品表示法について昨日の記事の続きです。
 というよりも、今日は、東京で、日本弁護士連合会(日弁連)消費者問題対策委員会があって、私はその独禁法部会に出席していたのですが、今回の景品表示法の団体訴訟導入に関して意見の叩き台を出す役目を仰せつかったので、そのまとめを兼ねてなのですが・・・

 まず、今回、団体訴訟についての手続的な面は消費者契約法の中の改正で対応していますが、その点は置くとして、差止請求権の中身は景品表示法の改正になります。それは、新たに後記の11条の2が新設されることになっています。

 とすると、この法律の体裁から考えて、景品表示法4条2項「不実証広告」の規定は、この団体訴訟で消費者団体が利用することはできないと思われます。
 「不実証広告」というのは、景品表示法4条2項により、公正取引委員会が商品・サービスの内容について実際のものよりも著しく優良であると示す表示等(優良誤認表示)に該当するか否かを判断するために必要があると認めるときは、その表示をした事業者に対し、期間を定めて表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求め、資料が提出されない場合に当該表示を不当表示とみなすことができるとするもので、このブログでも何度か書いてますが、この規定によって、排除措置が出されている不当表示が結構あります(なお、有利誤認については、この規定は使えません。)。

 ということは、消費者団体訴訟での差止請求では、通常の民事訴訟の立証責任の考え方にしたがって、不当表示であることを原告の消費者団体側が主張し、立証しなければなりません。
 しかし、例えば、健康食品の効能、効果や、最近のカビよけや燃費向上に関する不当表示事案で、それが効き目のないことを消費者団体側が主張立証することは困難な場合が多いと思われます。したがって、景表法4条2項と同様に、この団体訴訟においても、当該表示が不当表示ではないことを事業者側が主張立証すべきという「立証責任の転換」が図られるべきであると思われます。そのためには、4条2項同様の民事訴訟上の推定規定を置くことが必要だと思います。

 なお、今回の改正案のように、このような法律上の推定規定が置かれないとしても、広告などに置いてその商品の表示が正しいかどうかについては、消費者向けに表示する以上は、本来その事業者が資料等を有しているはず、という観点からして、訴訟において事業者からそれなりの資料が出されない場合は、表示が不当なものであるという認定がなされても不公平ではないと思いますので、裁判所としては、事業者側に正当な表示であることを証明する資料の提出を促し、それが充分になされない場合には、不当表示であることを積極的に認定するという事実認定をなすべきと考えます(訴訟法でいう「事実上の推定」)。

景品表示法11条の2(改正案)
  消費者契約法(平成12年法律第61号)第2条第4項に規定する適格消費者団体は、事業者が、不特定かつ多数の一般消費者に対して次の各号に掲げる行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、当該事業者に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為が当該各号に規定する表示をしたものである旨の周知その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。

1 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、実際のもの又は当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良であると誤認される表示をすること。

2 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると誤認される表示をすること。

景品表示法4条2項(現行)
 公正取引委員会は、前項第1号に該当する表示(注:優良誤認)か否かを判断するため必要があると認めるときは、当該表示をした事業者に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。この場合において、当該事業者が当該資料を提出しないときは、第6条第1項及び第2項の規定(注:公取委による排除命令)の適用については、当該表示は同号に該当する表示とみなす。

2008年3月 4日 (火)

特定商取引法・景品表示法についての団体訴訟制度

 本日、特定商取引法景品表示法消費者団体訴訟制度を導入するための消費者契約法等の改正案が、閣議決定されました。今後、国会で審議されることになります。

 この改正が行われると、適格消費者団体の認定を受けた団体は、これまでの消費者契約法違反事案に加え、以下のような差止請求訴訟を提起することができることになります。
〈特定商取引法関連〉
ア.訪問販売や通信販売等における不当な勧誘行為等
 訪問販売・通信販売・電話勧誘販売・連鎖販売取引・特定継続的役務提供・業務提供誘引販売取引といった特定商取引類型において、販売業者等が不実告知や威迫行為等の不当勧誘、あるいは著しい虚偽・誇大広告を現に行い又は行うおそれがある時は、それらの行為の差止めや予防に必要な措置をとること等の請求ができる。
イ.訪問販売や電話勧誘販売等における不当な特約の締結
 訪問販売・電話勧誘販売・連鎖販売取引・特定継続的役務提供・業務提供誘引販売取引の特定商取引類型において、販売業者等がクーリング・オフを無意味にするような特約を含む契約の締結等を現に行い又は行うおそれがある時は、その行為の差止めや予防に必要な措置をとること等の請求ができる。
〈景品表示法関連〉
 事業者が、不特定かつ多数の一般消費者に対して、商品又は役務の内容について著しく優良であると誤認される表示や、商品又は役務の取引条件について著しく有利であると誤認される表示をする行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、当該行為の差止請求をすることができる。

 内容については、経済産業省公正取引委員会のサイトで紹介されています。

 特定商取引法関係
→ 消費者契約法等の一部を改正する法律案について(経産省サイト)

 景品表示法関係
→ 「消費者契約法等の一部を改正する法律案」の国会提出について(公取委サイト)

 景品表示法に関して言うと、原告の消費者団体が、事業者の表示が優良誤認、有利誤認の表示であることを主張立証することが実際にはなかなか難しい場合も多いでしょう。景表法4条2項の不実証広告の規定は、団体訴訟手続には直接は使えないだろうと思うのですが、同様の立証責任の転換が図られる必要があるのではないか、と考えてます。

【追記】(3/5)
 上の記事の最後のところを、もう少し詳しく、本日付の次の記事「前記事の続き:景品表示法と団体訴訟」に書きました。

2008年3月 3日 (月)

公共工事の低価格入札と「不当廉売」(公取委)

 毎日が、本日(3/3)「不当廉売:低価格入札でゼネコンなど数十社を調査…公取委」と報じています。
 要するに、公共工事で著しく予定価格を下回る低価格の入札が相次いでいる問題で、公正取引委員会独占禁止法違反(不当廉売)の疑いで、ゼネコンなど数十社に対する調査を始めた、というものです。

 この低価格入札(ダンピング入札)の問題は、新しい問題ではなく、既に公取は、昨年「公共建設工事に係る低価格入札問題への取組について」(平成19年6月26日)という文書を公表しています。
 このときには、独禁法19条(不公正な取引方法6項〔不当廉売〕)に違反するおそれがあるものとして,5社(大成建設、大林組、間組、馬淵建設、丸本組)に警告を行っています。そして、公取は、引き続き、独禁法で禁止する不当廉売として問題のある行為が認められた場合には、必要な措置を採ることとする、としていました。
 また、平成16年9月15日にも同様の取組がなされ、栃木県の1社に対して、同様の警告がなされています。→ 公取公表資料

 なお、公取の「公共建設工事における不当廉売の考え方」(平成16年9月15日)および過去の同種事例については、上記各公表資料に添付の資料をご覧ください。

 確かに、ゼネコンなどが、不当に安い価格で公共工事を落札していけば、力の弱い競争業者が排除される結果となり、競争政策上の問題もあるうえ、安値受注は、工事の品質低下や下請への不当な圧力の原因ともなるので、問題も多いことは事実です。
 ただ、だからといって、談合=カルテルによる高値安定が許されるわけではありませんので、「談合も仕方ないのだ。」という傾向に流れることがないようにしていただきたいと考えます。

2008年3月 1日 (土)

ネットの記載と名誉毀損罪(無罪判決)

 今朝の朝刊で報道されているように、インターネットのwebサイト(ホームページ)上にラーメンチェーン店を中傷するような内容を書き込んだことが刑法上の名誉毀損罪に該当するとして起訴された被告人に対して、昨日(2/29)、東京地裁が無罪判決を言い渡しています。

 名誉毀損罪(刑230条)は、「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する」となっています。

 今回の判決は、マスコミと一般個人を区別したうえで、内容の真実性を信じていた、として無罪にしたようですが、新聞記事のみでは、法的な構成が必ずしも明確ではないように見えますので、現時点では論評しにくいですが、今後、この判決内容についてはいろいろと議論が出てくることと思います。私もブログでいろいろと書いている立場であり、大きな関心があります。

 ただ、書き込む側として、この無罪判決が出たからと言って、中傷的な記事を書くことが広く許された、というわけではありません。
 今回の判決は刑事事件の判決ですが、犯罪は成立しなくても、民事の損害賠償責任の要件は異なるので、事案によっては、刑事は無罪でも民事では賠償責任が生じるということは充分に考えられます。刑事の名誉毀損罪故意犯しか罰せられないが、民事の損害賠償は故意がなくても過失で責任を問われる、というような大きな違いもあります。

 なお、本件の刑事弁護人を務めた紀藤正樹弁護士のサイトでも、この判決について触れられています。

【追記】(3/12)
 本日、東京地検が控訴したようです。

(続)庁内LAN掲示板への記事掲載判決について

 先日、速報した判決が最高裁サイトに出たので、中身について、ちょっと書きます。

 東京地裁平成20年2月26日判決
 平成19年(ワ)第15231号 著作権侵害行為差止等請求事件

 事案は、社会保険庁が管理運営する庁内LANシステム内に新聞報道等掲示板があり、その掲示板に職員が、同庁に関連する新聞や雑誌の記事を複写・掲載していた。そして、この掲示板に、原告の週刊誌記事(4本の連載記事)を掲載した、というもの。

 原告の請求内容は、差し止めについては、
 1 掲示板からの削除請求 と 2 将来の掲載行為の予防的差止請求 の2つですが、1については、判決は、既に削除済であるとして認めませんでした。
 2については、原告の請求は、「LANシステム上に原告の著作物を掲載してはならない。」旨のものだったところ、判決は、「社会保険庁LANシステムの電子掲示板用記録媒体に当該著作物を記録し,又は当該著作物を公衆の求めに 応じ自動送信させてはならない。」旨の表現で認めています(原文は変えてます)。ここは、実務的には参考になりますね。

 そして損害賠償請求については、原告の374万円と遅延損害金の請求に対して、判決は42万0500円と遅延損害金を認めました。損害の算定の判断も争点ですが、本稿では省略します。

 さて、この判決は、掲示板用の記録媒体に本件著作物を順次記録した行為について、公衆送信権侵害を認めました。

 そして、著作権法42条1項(「著作物は・・・行政の目的のために内部資料として必要と認められる場合には,その必要と認められる限度において,複製することができる。」)の適用については、この規定が、特定の場合に,著作物の複製行為が複製権侵害とならないことを認めた規定であり,この規定が公衆送信権(自動公衆送信の場合の送信可能化を含む。)の侵害行為について適用されないことは明らかである、として、そもそも公衆送信権侵害行為についてはこの規定が適用されないと判断しています。

 さらに、この規定は行政目的の内部資料として必要な限度において複製行為を制限的に許容したものだから、本件のように、社会保険庁全体の多数の者の求めに応じ自動的に公衆送信を行うことを可能にした本件記録行為については、実質的にみても、著作権法42条1項の拡張的な適用をする余地がないことは明らかである、としました。

個人情報保護法「経済産業分野を対象とするガイドライン」改正(経産省)

 一昨日付の記事「個人情報ガイドライン説明会と個人情報流出公表(経産省)」にも触れたように、2月29日、経済産業省は、「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」(平成19年厚生労働省・経済産業省告示第1号)の改正を告示しました(施行3月1日)。
 → 経産省公表資料

 個人情報保護法の解釈、運用についてのガイドラインは、事業分野別に各省庁からたくさん出されていますが、この「経済産業分野に対するガイドライン」は、広く事業一般に関するガイドラインです。
 → 各省庁のガイドラインの一覧(内閣府サイト)

 今回の改正のポイントは、委託先、再委託先に対する委託元の監督責任のあり方について具体的に明記したという点。

<改正の主な内容>
(1)委託先に対する必要のない個人データの提供の禁止
 委託する業務内容に対して、委託先に必要のない個人データを提供しないことを明記。

(2)委託先に対する「必要かつ適切な監督」の内容を明確化
 委託先に対して必要かつ適切な監督を行うための措置として、以下の3つを明記。
①委託先を適切に選定すること
委託先を適切に選定するためには、委託先において実施される個人データの安全管理措置が、委託する当該業務内容に応じて、少なくとも法第20条で求められる安全管理措置と同等であることを、合理的に確認することが望ましい。また、委託先の評価は適宜実施することが望ましい。

②委託先との間で必要な契約を締結すること
委託契約には、当該個人データの取扱いに関する、必要かつ適切な安全管理措置として、委託元、委託先双方が同意した内容とともに、委託先における委託された個人データの取扱状況を合理的に把握することを盛り込むことが望ましい。

③委託先における委託された個人データの取扱状況を把握すること
委託先における委託された個人データの取扱状況を把握するためには、委託契約で盛り込んだ内容の実施の程度を相互に確認することが望ましい。なお、漏えいした場合に二次被害が発生する可能性が高い個人データ(例えば、クレジットカード情報(カード番号、有効期限等)を含む個人データ等)の取扱いを委託する場合は、「より高い水準において 必要かつ適切な監督」を行うことが望ましい。

« 2008年2月 | トップページ | 2008年4月 »