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2008年3月の記事

2008年3月31日 (月)

低周波治療器販売業者に対する業務停止命令(特商法)

 経済産業省は本日(3/31)、株式会社日本ライフパートナー(静岡)に対して、特定商取引法8条に基づき、6か月間、訪問販売に関する勧誘、申込みの受付及び契約の締結を停止するよう命じています。
 → 経済産業省サイト報道発表

 ちょっと興味を引いたのですが、発表内容によれば、同社は、この業務停止命令の動きに対抗して、今月22日に東京地方裁判所に「営業停止処分及び実名公表処分差止請求」及び「仮の差止命令申立」を行っていたようですが、27日に仮の差止命令申立ては却下され、同社は翌28日に差止請求を取り下げたということです。

 これで3月後半に4回目の業務停止命令ですね。なお、特定商取引法に基づく行政処分の状況は → 経済産業省サイト「特定商取引法の執行状況」

(業務停止命令の内容)
 平成20年4月1日から9月30日まで(6か月間)の間、特定商取引法2条1項に規定する訪問販売に関する業務のうち、次の業務を停止すること。
①訪問販売に係る売買契約の締結について勧誘すること。
②訪問販売に係る売買契約の申込みを受けること。
③訪問販売に係る売買契約を締結すること。

(取引の概要)
 株式会社日本ライフパートナーは、低周波治療器(「快足サロンデラックス」、「快足サロン」)、健康食品(「与那国青汁」)等の販売の事業を行っているところ、足裏マッサージの無料体験を口実に訪問した消費者の住居において、低周波治療器等の勧誘を行い、当該住居において当該契約の申込みを受け又は当該契約を締結していた。

(業務停止命令の原因となる事実)
 同社は、以下のとおり特定商取引法に違反する行為を行っており、訪問販売に係る取引の公正及び購入者の利益が著しく害されるおそれがあると認められた。
(1)勧誘目的の不明示(特定商取引法3条)
 同社は、消費者の住居を訪問する際に、「私どもの会社は、医療機器の会社なのですが、普通は1回3千円頂いている足つぼの医療用機器が、無料でお試しいただけます。」、「今、医療機器をみなさんに体験してもらっています。無料ですので試してみませんか。」、「今回、○○(地名)の方を廻っています。無料で足のマッサージをさせていただいております。非常に人気があって、皆さんに喜んでもらっています。。今回は経験だけで無料なのでいかがでしょうか」等と告げるだけで、勧誘に先立って、低周波治療器の売買契約の締結について勧誘する目的である旨を明らかにしていなかった。

(2)不実告知(特定商取引法6条1項1号)
 同社は、足裏マッサージの無料体験を口実に訪問した消費者の住居において、本件商品の売買契約の締結について勧誘をするに際し、明確な根拠を有していないにもかかわらず、「血をきれいにして、身体が元気になります。」、「足の痛みとか、そういうのは無くなります。」、「これは、糖尿病にも、リュウマチにも効く。」、「健康にいいから、どんな病気にも効くから。」等と、あたかも様々な病気の予防や治療に効能があるかのように本件商品の効能について不実のことを告げていた。

(3)判断力不足に乗じた契約締結(特定商取引法7条3号に基づく同法施行規則7条2号)
 同社は、判断力が不足していると認められる消費者に対して、その判断力の不足に乗じて本件商品の売買契約を締結させていた。

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2008年3月29日 (土)

ロコ・ロンドン取引の賭博性を認めた東京高裁判決

 「ロコ・ロンドン取引」(ロコ・ロンドン貴金属取引、ロコ・ロンドン金(銀)取引)とよばれる高リスクの投資については、一昨年から国民生活センターや各地の消費生活センターなどに相談が寄せられており、その相談をみると、70歳代~80歳代の高齢者が取引の仕組みを理解できないまま、100万円以上の高額なお金を投資し、トラブルに巻き込まれているケースが多くみられる、とのことです。
 → 国民生活センターサイト「新手の投資話『ロコ・ロンドン金』に注意!」

  日本弁護士連合会でも、早くから、この問題を取り上げ、昨年3月には「『ロコ・ロンドン金取引』商法の被害に関する意見書」(PDF)をとりまとめ、国に法整備と迅速・適切な対処を求めています。この取引の内容や法的な問題点(賭博罪、詐欺罪等)については、この意見書に詳しく書かれています。
 なお、この取引は、昨年7月から特定商取引法の規制対象となっています。
 → 経済産業省サイト「悪質な『ロコ・ロンドン取引』と称する金の取引及び海外商品先物オプション取引等の仲介サービスにご注意を!」

 また、経済産業省農林水産省が、この取引を含む海外商品先物取引の業者について法規制を強化する方針を固めた旨、読売が昨日、報道しています。

 そんな中、昨日(3/28)の時事通信の報道によれば、「ロコ・ロンドン貴金属取引」で損失を被った東京都の無職女性(80)が、投資会社や同社の役員を相手に約107万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決(東京高裁)があり、取引について「違法な賭博行為に該当する」として、約65万円の支払いを命じた、とのことです(判決日不明)。
 これまで、外国為替証拠金(FX)取引の悪質商法事案(公の市場を通さないもの)で、賭博性を認めた裁判例は複数ありますが、「ロコ・ロンドン取引」で賭博性を認めて損害賠償を認めた判決は初めてかもしれません(今回の控訴審判決の原審地裁判決がどのようなものだったのか不明です。)。
(参考 外国為替証拠金取引関連の当ブログ記事)
 「『外国為替証拠金取引は賭博』判決」(07/4/13)
 
「FX取引に賭博性を認めた判決:もう一丁」(07/9/6)
 
「外国為替証拠金取引について従業員らの責任を認めた判決」(07/11/28)

 上記の国民生活センターのサイトによれば、「ロコ・ロンドン金取引」とは「ロンドンにおいて金を受け渡しする取引」という意味だそうです。さらに、他にも、「ロコ・ニューヨーク金」など「ロコ・○○△△」(○○=市場名、△△=商品名等)という名称の取引に関する相談がみられ、注意が必要である、としています。
 「ロコ・ロンドン金取引」は、業者が提示する「ロンドン渡しの金現物価格」を差金決済指標とする差金決済取引であり、顧客が証拠金(保証金)を預託して行う「投資商品」として勧誘・販売されているものであって、その実態は、顧客と業者がそれぞれ互いに契約の当事者となって金銭の得喪を争う、相対(あいたい)取引による商品デリバティブ取引であり、価格変動を利用した差金決済を証拠金(保証金)の預託により行う点では商品先物取引に類似し、証拠金(保証金)による差金決済取引を業者と顧客の相対取引で行う点では「外国為替証拠金取引」(FX取引)と同一の構造を持つ取引である、とされています(上記日弁連意見書に基づく)。
 そもそも、「外国為替証拠金取引」について公の市場を通さない悪質業者による同様の被害事例が相次ぎ、金融先物取引法(現:金融商品取引法)による規制対象となったため、このような悪質業者が規制逃れのために法規制の及んでいなかった「ロコ・ロンドン取引」の事業に商売替えしたというのが、この取引被害の急増の背景にあります。

【追記】(3/30)
 3月27日の毎日(地方版かもしれません)の報道で、「ロコ・ロンドン金取引」に虚偽の説明で勧誘され損害を受けたとして、大津市内の男性が東京都の仲介業者に約600万円の損害賠償を求める訴えを大津地裁に起こした、とされています。
 昨年1月、電話で「持っているだけで金利が付く。危険性はない」などと勧誘された男性が6月までに計約500万円を支払ったが、金利は付かず、業者と連絡が取れなくなったため解約したが、現金は戻らなかった、ということです。

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消費者団体訴訟制度の動き:まとめを兼ねて

 京都のNPO「京都消費者契約ネットワーク」(KCCN)が不動産業者に対する差止請求訴訟を提起して、いよいよ消費者団体訴訟手続が実際に動き出したことは、先日書きました(その後、KCCNのサイトにも公表されていて、訴状も見ることができます。)。
 → 「初めての消費者団体訴訟提起」(3/26)

 それに続いて、同じく消費者団体訴訟の適格消費者団体であるNPO「消費者支援機構関西」(KC’s)が、貸金業者(ニューファイナンス株式会社)に対して、「申入書兼消費者契約法41条1項に基づく事前請求書」を3月26日付で送付したことが昨日公表されています。
 今年2月1日付で、消費者支援機構関西が、ニューファイナンスの貸金契約の内容にある「早期完済違約金」や「過酷な期限利益喪失事由」の廃止など5項目を申し入れしたのに対して、同社から回答が全くなされず、今回の「申入書兼消費者契約法41条1項に基づく事前請求書」の送付に至ったということです。
 → 消費者支援機構関西 公表資料

 消費者契約法41条1項とは、消費者団体訴訟の手続に関する規定の1つで、消費者団体が差止請求の裁判を起こすときは、被告事業者に対し、あらかじめ、請求の要旨及び紛争の要点などを記載した書面を送って差止の請求を行い、その書面が到達して一週間経過しなければならない、としているものです。
 現行の消費者団体訴訟手続については → 国民生活センターサイトへ

 したがって、京都に続いて、近々、消費者団体訴訟の第2弾が提起されるかもしれませんね(私はKC’s会員ですが、この件については関与してませんので、具体的な予定については全く知りません。)。
【追記】(4/8)
 本日(4/8)京都地裁にニューファイナンスを被告とする差止請求訴訟が提起されました。消費者団体訴訟の第1号と第2号が京都地裁ということになりましたね。
【追記の追記】(4/11)
 消費者支援機構関西のサイトニューファイナンスに対する訴訟について公表されており、訴状等の資料も公開されています。

【当ブログの消費者団体訴訟関連記事まとめ】
「公取委 団体訴訟制度研究会(第1回)」(07/5/12)
「独禁法・景表法の団体訴訟制度 2題」(07/6/25)
「独禁法の団体訴訟制度研究会(第5回)議事概要」(07/7/5)
「独禁法(景表法)の団体訴訟の続き」(07/7/9)
「団体訴訟制度研究会の第1回議事録」(07/7/18)
「消費者団体訴訟の適格団体の認定」(07/8/23)
「独禁法団体訴訟のパブコメ意見」(07/10/16)
「消費者団体訴訟における団体認定等の一本化方針」(08/2/19)
「特定商取引法・景品表示法についての団体訴訟制度」(08/3/4)
「前記事の続き:景品表示法と団体訴訟」(08/3/5)
「特定商取引法と割賦販売法の改正案の国会提出」(8/3/7)
「初めての消費者団体訴訟提起」(08/3/26)
      ※今となっては、重要ではない記事も含んでます。

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2008年3月28日 (金)

また・また・また貨物運送業者に対する勧告(下請法)

 2日前(3/26)に「またまた貨物運送業者に対する勧告(下請法)」という記事を書いたところですが、貨物運送事業に関して、今日も別の勧告が出ました。
 今回は、三菱電機ロジスティクス株式会社(東京)に対する勧告です。 
 → 公取サイト報道発表資料(PDF)

  公正取引委員会は、三菱電機ロジスティクスに対し下請代金支払遅延等防止法(下請法)4条1項3号(下請代金の減額の禁止)に違反するとして勧告を行いました。 

(違反事実の概要)
 三菱電機ロジスティクスは、貨物自動車運送の全部又は一部を下請事業者に委託しているところ、下請事業者の責に帰すべき理由がないにもかかわらず、下請事業者に対して、「値引き」等と称して下請代金の額に一定率を乗じて得た額を負担するよう要請し、前記要請に応じた下請事業者に対し、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、当該下請事業者に支払うべき下請代金の額を減じていた。 

(勧告の概要)
ア  平成18年4月から同19年6月までの間に、「値引き」等と称して下請代金の額から減じていた額(総額1億5791万9405円)を下請事業者(21名)に対して速やかに支払うこと。
イ  減額行為が下請法の規定に違反するものである旨及び今後、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じることをしない旨を取締役会の決議により確認すること。 
ウ  今後、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じることがないよう、自社の発注担当者に対する下請法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講じるとともに、その内容等を自社の役員及び従業員に周知徹底すること。 
エ  前記ア,イ及びウに基づいて採った措置を取引先下請事業者に周知すること。 

【追記】(3/28)
 上の記事をアップした直後に、同じく貨物自動車運送事業に関する公取の勧告が公表されました。
 これは、濃飛西濃運輸株式会社(岐阜県)に対するものです。

 同様の下請代金の不当減額の事案ですが、具体的には、以下の公取公表資料をご覧ください。
 → 公取サイト報道発表資料(PDF)

 同時に、公取委からは、「ポリプロピレン製シュリンクフィルムの製造販売業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令について」という価格カルテルに関する独占禁止法違反事件の公表もされてますが、これは割愛。
 → 公取サイト報道発表資料(PDF) 

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ヤフーオークション詐欺被害訴訟の判決(名古屋地裁)

 日本のネットオークション最大手のヤフー・オークションで、落札・入金しても商品が届かない詐欺被害にあった利用者780人が、オークションを主催するヤフーを被告として、計約1億5800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が、本日昼過ぎに名古屋地裁でありました。
 報道によれば、黒岩裁判長は「同社は被害防止のため時宜に沿った注意喚起をしていた」として、被告ヤフーの損害賠償責任を認めず、原告らの請求を棄却したようです。
 原告は全国46都道府県に及んでおり、総落札点数は1086点。

 → 原告団のサイト(ちょっと読みにくいけども)

 このブログでも何度か紹介させていただいた、ネットオークションのシンポジウム(3/8 主催:消費者支援機構関西)には、この原告団の訴訟代理人をされていた名古屋の山森広明弁護士にもパネリストとして出席いただいていました。
 判決の詳細がわかりませんので現時点で結論についてはコメントしにくいですが、オークション主催業者は、単に取引の場を提供しているだけとは言えないと思いますので、個々のオークション取引のトラブル、被害発生について、どこまでの注意義務があるのか、という点が問題となる事案ですね。
 下にリンクした消費者支援機構関西の提言では、主催者のオークション運営のあり方に関して、以下の5項目の提言を行っています。
(1)出品者についての情報開示
(2)出品者についての調査義務
(3)代金決済制度の改善
(4)出品物、規約、苦情窓口等の表示の明確化
(5)トラブル回避のための利用者への啓蒙活動

 → シンポ(3/8)の模様
 → 消費者支援機構関西の提言
  
「インターネットオークションにおけるトラブルの防止と消費者保護について」

【追記】(3/29)
 上記の原告団のサイトに「判決要旨」がアップされていました。

 それによれば、原告ら詐欺被害者の主張は以下のようなものです。
 被告ヤフーには、詐欺の被害を生じさせないインターネットオークションシステムを構築するために、(1)詐欺の被害防止に向けた注意喚起、(2)第三者機関による信頼性評価システムの導入、(3)利用者に対する出品者情報の提供・開示(匿名性の排除)、(4)エスクローサービス利用の義務付け、(5)詐欺被害に対する補償制度の完備、をすべきであるのに怠った。

 これに対して、被告ヤフーの反論主張は、(1)注意喚起は十分に行っている、(2)日本には信頼性評価を行う第三者機関は存在しない、(3)被告ヤフーの判断で利用者情報を開示することは憲法、電気通信事業法の「通信の秘密」上、困難である、(4)エスクローサービスを利用するかどうかを利用者に委ねても不合理ではない、(5)補償制度は事後的な救済であって、これによって詐欺が防止できるわけではない、というもの。

 そして、裁判所は、
1.被告ヤフーには、詐欺の被害防止に向けた注意喚起を時宜に沿って行う義務はあるが、被告は時宜に沿った注意喚起を行っていたと認められる。
2.その他の原告主張の具体的義務(上記の(2)~(5))については、被告ヤフーにこれらの具体的義務を要求することは困難であるから認められない。

として、被告ヤフーに原告らの詐欺被害についての損害賠償責任はない、と判断しています。

【追記の追記】(4/9)
 原告サイトに判決文が載りましたので、別記事を書きました。
 → 「ヤフーオークションの運営者の注意義務(名古屋地裁判決続報)」(4/9)

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2008年3月27日 (木)

下請法の勧告事案もう一丁(公取委)

 今回は、印刷、製本等の業務の下請に関する不当減額の事案です。

 公正取引委員会は、株式会社平河工業社(東京)に対し、下請代金支払遅延等防止法(下請法)4条1項3号(下請代金の減額の禁止)に違反する事実が認められたとして、勧告を行いました。 
 → 公取サイト報道発表資料(PDF)

(違反事実の概要)
 平河工業社は、印刷,製本,製版等の全部又は一部を下請事業者に委託しているところ、下請事業者の責に帰すべき理由がないにもかかわらず、下請事業者に対して、「協力値引き」等と称して下請代金の額に一定率を乗じて得た額を負担するよう要請し、前記要請に応じた下請事業者に対し、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、当該下請事業者に支払うべき下請代金の額を減じていた。 

(勧告の概要) 
ア  平成18年5月から同19年6月までの間に、「協力値引き」等と称して下請代金の額から減じていた額(総額2763万7006円)を下請事業者(48名)に対して速やかに支払うこと。 
イ  減額行為が下請法の規定に違反するものである旨及び今後、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じることをしない旨を取締役会の決議により確認すること。 
ウ  今後、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じることがないよう、自社の発注担当者に対する下請法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講じるとともに、その内容等を自社の役員及び従業員に周知徹底すること。 
エ  前記ア,イ及びウに基づいて採った措置を取引先下請事業者に周知すること。 

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昨日の積み残しの整理2題

 昨日は記事を連発したので、今日は休むつもりでしたが、積み残し分の「覚え書き」を残しておきたいので・・・2つまとめて・・・

〔高島易断総本部に業務停止命令(経産省:特定商取引法)〕
「特定商取引法違反事業者に対する行政処分について」(3/26)
 経済産業省は、易鑑定後の祈願契約及び仏具等の販売契約を締結させていた訪問販売業者である宗教法人幸運乃光(通称名「高島易断崇鬼占(すうきせん)相談本部」又は「高島易断総本部」:千葉県袖ヶ浦市)に対して特定商取引法の違反行為を認定し、同法8条1項の規定に基づき、平成20年3月28日から3ヶ月間、同法人の訪問販売に関する勧誘、申込みの受付及び契約の締結を停止するよう命じました。 
 → 経産省報道発表資料

〔ガス用フレキシブル管等カルテルに対する排除措置命令、課徴金納付命令(公取委:独占禁止法)〕
「ガス用フレキシブル管及びガス用フレキシブル管継手の製造販売業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令について」 (3/26発表)
 公正取引委員会は、ガス用フレキシブル管及びガス用フレキシブル管継手の製造販売業者に対し、独占禁止法3条(不当な取引制限の禁止)に違反する行為を行っていたとして、3月24日、排除措置命令及び課徴金納付命令を行いました。
 → 公取委報道発表資料(PDF)

 この事件でも、自主申告に基づく課徴金減免制度(リニエンシー)が使われています(本件の対象事業者は、公取委サイトのわかりにくい所に公表されてます。)。

 なお、ガス管、水道管がらみのカルテル事件は、昨年夏にも、このブログで記事を書いてます。
 → 「塩ビ管カルテルで強制調査(公取委)」(07/7/10)

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2008年3月26日 (水)

またまた貨物運送業者に対する勧告(下請法)

 本日、公正取引委員会は、第一貨物株式会社に対し、下請代金支払遅延等防止法(下請法)4条1項3号(下請代金の減額の禁止)に違反するとして勧告を行いました。
 → 公取サイト報道発表資料(PDF)

(違反事実の概要) 
 第一貨物は、貨物運送の全部又は一部を下請事業者に委託しているところ、自社の利益を確保するため、下請事業者に対して、「割戻し」、「値引き」等と称して下請代金の額に一定率を乗じて得た額を負担するよう要請し、前記要請に応じた下請事業者に対し、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、当該下請事業者に支払うべき下請代金の額を減じていた。 

(勧告の概要)
ア  平成18年9月から同19年9月までの間に、「割戻し」、「値引き」等と称して下請代金の額から減じていた額(総額1億1723万6276円)を下請事業者(344名)に対して速やかに支払うこと。
イ  前記(1)の減額行為が下請法の規定に違反するものである旨及び今後,下請事業者の責に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じることをしない旨を取締役会の決議により確認すること。
ウ  今後、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じることがないよう、自社の発注担当者に対する下請法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講じるとともに、その内容等を自社の役員及び従業員に周知徹底すること。
エ  前記ア、イ及びウに基づいて採った措置を取引先下請事業者に周知すること。

 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆

 下請法に基づく貨物運送業者に対する勧告事件は、今年度だけでも、本件以外に、「ライフサポート・エガワ」事件「札幌通運」事件「丸全昭和運輸」事件「昭和冷蔵」事件と続いています。
 公取委国交省は、3月4日に「軽油価格高騰に対処するためのトラック運送業に対する緊急措置について」(PDF)をとりまとめており、この中で、公取委の実施する施策として、「独占禁止法・下請法の取締の強化」を挙げて、運賃等の料金改定交渉を巡る不当行為を含めて、荷主による独占禁止法(物流特殊指定)違反行為に対する監視を強化する等、独占禁止法及び下請法の厳正な運用に努めるものとしています。 

 なお、下請法違反に対する勧告については、以下の同法7条に規定があります。本件は7条2項に基づく勧告ですね。

第7条
 公正取引委員会は、親事業者が第4条第1項第1号,第2号又は第7号に掲げる行為をしていると認めるときは、その親事業者に対し、速やかにその下請事業者の給付を受領し、その下請代金若しくはその下請代金及び第4条の2の規定による遅延利息を支払い、又はその不利益な取扱いをやめるべきことその他必要な措置をとるべきことを勧告するものとする。

 公正取引委員会は、親事業者が第4条第1項第3号から第6号までに掲げる行為をしたと認めるときは、その親事業者に対し、速やかにその減じた額を支払い、その下請事業者の給付に係る物を再び引き取り、その下請代金の額を引き上げ、又はその購入させた物を引き取るべきことその他必要な措置をとるべきことを勧告するものとする。

 公正取引委員会は、親事業者について第4条第2項各号のいずれかに該当する事実があると認めるときは、その親事業者に対し、速やかにその下請事業者の利益を保護するため必要な措置をとるべきことを勧告するものとする。

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公取委と経産省の協力スキームのようですが

 3月25日付で、公正取引委員会「不公正な取引方法に係る経済産業省との協力スキームについて」というのを公表しています。経済産業省も同時に同様の発表をしています。

 その内容は、
「一般消費者や中小企業に不当な不利益を与える不公正な取引方法については、独占禁止法に基づき適切に対応することが重要であり、公正取引委員会は、従前から、不公正な取引が問題となっている業種を所管する省庁等との間において、所要の協力を行ってきたところである。
  このたび、
公正取引委員会及び経済産業省は、不公正な取引方法に係る違反被疑行為に係る情報を効果的に収集し、機動的に調査・処分を行うため、添付資料のとおり、不公正な取引方法に係る協力スキームを構築し、これを円滑に運用するために協力していくこととした。
  
公正取引委員会としては、経済産業省の協力も得ながら、引き続き、不公正な取引方法について適切に対応していくこととしている。」
です。

 要するに、不公正な取引方法に関して、協力体制をとり、連絡会議も作りましょ、ということのようですね。それ自体は結構だと思います。ただ、私には、今回あえて一般公表するような内容とは思えないのですが、わざわざ出したというのには両省庁にそれなりに意味があるのでしょうねぇ。

  「不公正な取引方法に係る協力スキームについて」
    (経産省大臣と公取委委員長連名) 
   その別添資料「不公正な取引方法に係る協力スキーム」

【追記】(4/2)
 これについて、3月26日付の公取委事務総長記者会見内容が出ているのに気づきました。もっとも、それほど深い内容のあるものではありませんが。
 → 公取委サイト事務総長定例会見記録

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初めての消費者団体訴訟提起

 消費者契約法に基づく消費者団体訴訟制度は、昨年6月から導入され、現在は、その対象を特定商取引法景品表示法についてまで拡大する法案が国会で審議中となっていますが、昨日(3月25日)ようやく消費者契約法上の消費者団体訴訟第1号京都地裁に提起されたようです。

 これは、京都のNPO「京都消費者契約ネットワーク」(KCCN)が、マンションなど賃貸物件の退去時に生じる原状回復費の一部を賃借人に負担させる「定額補修分担金」条項は消費者契約法10条に違反して無効であるとして、京都市内の不動産会社に当該条項の使用差し止めを求めるものです。

 通常の使用による物件の自然損耗の回復費を借り手に負担させることは、違法であると最高裁も判断しており、KCCNは「一般的に過失による損耗は少なく、分担金は実質的に自然損耗の回復費を敷金に代えて脱法的に負担させるもの。消費者に一方的に不利で消費者契約法に反する」と主張している、とのことです。
 さきほど、訴状案を拝見しましたが、請求の趣旨など、参考になります(現段階で、ここで公開するのは差し控えますが)。

 KCCNは、昨年12月に「適格消費者団体」の認定を受けていて、今年2月末に差止を求める書面を不動産業者に送ったが、業者が回答せずに返送してきたため提訴に踏み切った、とされています。

【追記】(3/29)
 続きを、3/29付「消費者団体訴訟制度の動き:まとめを兼ねて」を書きました。

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2008年3月25日 (火)

ただの日記です。。。

【この記事は、3月25日に書いたものですが、26日朝までココログのメンテナンスのため、公開されてませんでした(うっかりしてました)。】

 顧問会社の会議が1時から金沢市内であるため、京都から乗り込んだサンダーバード車内で書いてます。
 京都駅で切符を買おうとすると、既に指定席は売り切れ。春休みの観光シーズンだからなのか(おまけに今日は快晴)、いつもこうなのかはわかりませんが、仕方なく自由席へ。
 私はタバコは吸いませんが、少し空いてるかと思って喫煙車両に乗ってみると、車内にタバコの香りがしみついてます。満員ながら何とか座席を確保してヤレヤレ。これから2時間、タバコの煙を我慢して、と覚悟を決めました。
 ところが、案外、喫煙する人は少ない。私のような非喫煙者がたくさんもぐり込んでいるのでしょうか。
 あるいは、この頃は喫煙者といえどもなるべく吸わないようにしているのか。。。まぁ、いつでも吸いたいときに吸えるという安心感と、車両にしみついた香りで、中毒症状が結構緩和されるのかもしれません。

 一昨日買った、佐々木俊尚「ウェブ国産力 日の丸ITが世界を制する」(アスキー新書)を早々に読み終えました。いや面白かった(我ながら貧弱なコメント)。
 経済産業省が音頭をとっている「情報大航海プロジェクト」については、ずいぶん前にこのブログでも触れたことがありましたが、この本を読んでやっとその位置づけが理解できたように思えました。

 すみません、今回は単なるモノローグです。
 ここ数日、多くの方が読まれているので、かなり緊張して書いてたため、ちょっと休憩。
 3の付く日は「アホ」なことを書いて、5の倍数の日は「カシコイ」ことを書く、というような「世界のナベアツ」的ブログにするという企画も思いついたのですが、実名ブログでは、さすがに、それもなぁ・・・
                          駄文で失礼

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2008年3月24日 (月)

日本銀行情報流出事件と北海道警捜査資料流出事件訴訟判決

 日本銀行松江支店職員のパソコンからの情報流出が報道されていますね。3月21日朝に、日銀松江支店に「インターネット上に当店のものと思われる資料が掲載されている」旨の連絡が匿名であり、それが同支店の職務関連資料で、特定の金融機関等に関する情報が含まれていた、ということです。個別企業の信用に関わる資料もあったようです。

 日本銀行のサイトでの説明では、「情報が記載されていた金融機関等に対しては、個別に事情を説明させていただき、謝罪致しました。また、情報の掲載がこれまでに確認されたサイトに対しては情報の削除依頼を行い、削除済となっています。」となっています。

 ただ、情報は単に2ちゃんねるなどの掲示板に掲載されていたというのではなく、職員のパソコンが感染していたウイルスによって、P2Pソフトを介してネット上にばらまかれてしまっているようです(実際にファイルがどの程度流出してしまったかは不明ですが)。今日の報道では、6件の文書の流出が確認されており、当該職員のパソコンには39件の内部文書ファイルがあったということなので、判明している以外にも情報が流出している恐れがかなりあると見るべきでしょう。

 流出文書を貼り付けたような掲示板の記事をいったん削除しても、また改めて掲載される可能性は充分にあるわけで、本件に限らずこのようなネット上への流出情報を完全に回収することは不可能に近く、取り返しのつかないことになったり、被害がずっと継続するというようなケースも考えられます。

 自衛隊員や警察官などのパソコンからこのような機密情報が流出する事件は最近よく聞かれるのですが、民事裁判になったものとして、被疑者の捜査情報が、北海道警の警察官が自宅に持ち帰った私有パソコンからウイルス感染により情報流出したという同様の事件につき、北海道警察本部長、当該警察署長、管理担当者らの不法行為が成立するとして、国家賠償法に基づいて、当該被疑者が北海道に対して損害賠償(慰謝料200万円)を求めた訴訟があります。
 1審の札幌地裁(平成17年4月28日判決)は、当該文書をパソコン内に保存したまま自宅に持ち帰り、インターネットに接続させた行為は、捜査関係文書の保存、管理という点において捜査関係文書の作成という職務行為と関連して一体不可分のものというべきであって職務行為に当たるとして、被告の北海道に責任を認めて慰謝料40万円の支払を命ずる原告一部勝訴の判決を言い渡しました。
 しかし、2審の札幌高裁(平成17年11月11日判決)は、警察官の職務行為又は社会通念上職務の範囲に属すると見られる場合に当たらず、また、ウイルスによる流出の予見可能性もなかったとして、原告逆転敗訴の判決を言い渡しています(最高裁にて確定している模様)。

 同じような事件であっても、その職務行為性や管理の実態によっても判断は異なりますし、ウイルスによる流出についての予見可能性というのも判断の微妙なところですし、北海道警の訴訟では、現実に1,2審で判断が分かれたわけですが、今回の日銀の事件を考えるうえでは参考になる裁判例だと思います。

【追記】(4/15)
 本日(4/15)、日銀は、本件内部情報流出問題の調査結果と関係者の処分を発表しています。これについては、別の記事にしました。
 → 「日本銀行松江支店情報流出事件の調査報告」(4/15)

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2008年3月23日 (日)

AKB48の企画中止と独占禁止法

 一般紙などには報道されてないので気づかなかったのですが、独占禁止法がらみで面白いのを見つけました。ひさしぶりの芸能ネタでもあります。
 昨年末の紅白にも出た人気女性アイドルグループの「AKB48」に関するものです。ファンにとっては古いニュースかも知れませんけども。

 AKB48のシングルCD「桜の花びらたち2008」(2月27日発売)について、公式サイト上で2月25日に、秋葉原「AKB48劇場」での先行販売分(2月26日から)に、特別プレゼントとしてメンバー全員分のソロポスター44種類がもらえ、全種類集めると特別のイベント「春の祭典」に招待されるという特典が発表されました。
 これは、CD1枚購入でポスターが1枚付くというもので、しかもポスターの種類は指定できずランダムで渡されるので、全種類集めるためには相当数のCDを買う必要があったものです(最低でも44枚必要ですが、確率的にはすごい枚数を買わなきゃ独力では無理でしょうね)。

 いくつかのネット上の報道を見ると、この企画については、ネット上でもファンから批判が相次き、また、ポスターがネットオークションに多数出品されるなどの騒動にもなったようです。

 そして、CD発売の翌日の2月28日には、発売元のデフスターレコーズ(ソニー・ミュージックエンタテインメント系列)は、サイト上で、「AKB48劇場販売限定特典ポスター・コンプリート購入者ほか対象『春の祭典』ご招待施策中止のご案内」を発表するに至りました。
 そこでは、上記の企画が、ファンの過熱を招いたことを謝罪したうえで、「当企画の『桜の花びらたち2008』発売に伴う『春の祭典』ご招待施策が『独占禁止法』上の『不公正な取引』に抵触する恐れがありましたので、AKB48『春の祭典』の実施を含め、施策を中止とさせていただきます。」として、企画の取りやめを発表しています。また、AKB48劇場でCD複数枚を購入した人には希望により返品等の処置をとる(3月末日まで)、とのことです(詳しくは上記発表内容参照)。

 この企画中止発表の前日のJ-CASTニュースは、この企画について、景品表示法上の「不当景品」に該当するか否かの問題を取り上げ、公正取引委員会や消費者法に詳しい村千鶴子弁護士の見解などを紹介して、景品表示法違反を法的に問うのは難しいのではないか、としていました。

 しかし、上記の企画中止発表によれば、景品表示法ではなく、独占禁止法で禁止されている不公正な取引方法に該当する恐れがあるとしています。景品表示法独占禁止法不公正な取引方法規制の特例法ではありますが、発表内容からすれば、親玉の独占禁止法自体の違反の可能性も検討されたようですね(ひょっとすると、公取委から何らかの示唆があったのかもしれません)。
 「不公正な取引方法」の一般指定のどれかに該当しそうだということになるのですが、おそらく「不当な利益による顧客誘引」(同9項)なのでしょうね(この行為の特別な規制が景品表示法の不当景品規制)。実際の宣伝の仕方によっては「欺まん的顧客誘引」(一般指定8項)も検討できるかな(こちらの行為の特別な規制が景品表示法の不当表示規制)。

 この企画中止によって、ネットオークションでのポスター落札でトラブルが生じないか、というのも心配ですね。

〈参考〉
不公正な取引方法「一般指定」(公正取引委員会告示)抜粋
8 ぎまん的顧客誘引
 自己の供給する商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について、実際のもの又は競争者に係るものよりも著しく優良又は有利であると顧客に誤認させることにより、競争者の顧客を自己と取引するように不当に誘引すること。
9 不当な利益による顧客誘引
 正常な商慣習に照らして不当な利益をもつて、競争者の顧客を自己と取引するように誘引すること。

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2008年3月22日 (土)

金融庁による日本ファースト証券の破産申立

 金融庁から破産を申し立てられていた日本ファースト証券(東京)が、3月21日、東京地裁から破産手続開始決定を受けました。破産手続開始決定というのは、数年前の破産法改正までは「破産宣告」と呼ばれていたものです。
 同社は、商品先物取引や外国為替証拠金(FX)取引を手掛ける会社で、負債総額約15億円、債権者数約700人と報じられています。

 金融庁の発表によれば、
 店頭デリバティブ取引(外為証拠金取引)に係る顧客から預託を受けた証拠金等の区分管理違反及び自己資本規制比率が100%を下回る状況となったことから、昨年12月3日、関東財務局長が金融商品取引法に基づいて、全ての金融商品取引について6ヶ月の業務停止を命じ、業務改善命令(区分管理不足の速やかな解消、自己資本規制比率の改善等)を出していました。
 しかし、区分管理違反の状態が解消できず、財産状況に照らし支払不能に陥るおそれがある状況となっており、また、自己資本規制比率についても回復を図ることが困難な状況となっていると認められたことから、3月19日、関東財務局長が、同社の金融商品取引業の登録の取消を行いました。
 また、同社は資産超過の状況で、店頭デリバティブ取引(外為証拠金取引)の顧客を含めた債権者に全額弁済できる可能性がある現時点において、顧客資産の保全等を図る必要があることから、金融庁長官が、「金融機関等の更生手続の特例等に関する法律」490条1項、495条1項に基づき、東京地裁に対して、破産手続開始の申立と保全管理命令の申立を行った、ということです。
 なお、日経の報道によれば(破産管財人の記者会見内容)、FXの預かり資産が1~2割棄損する可能性があるとのことです。
 → 金融庁報道発表資料(3/19)

 「金融機関等の更生手続の特例等に関する法律」てな法律に、金融庁長官による金融機関等の破産申立権限が規定されていたのですね。このニュースを見たときに「ヘェ~」と思ってしまいました。もっとも、一般の株式会社についても要件を満たせば、法務大臣が解散命令の申立を裁判所に対してできるのだから(会社法824条)、それほど不思議なことでもないのですけれど。

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2008年3月21日 (金)

下請法:中小企業庁長官から公取委への措置請求

 ふと見ると、公取委ではなく、何故か経済産業省のサイトに下請法に関する報道発表が本日ありました。
 → 「株式会社ミカドに対する下請代金支払遅延等防止法の措置請求について」

 内容は、中小企業庁が、株式会社ミカドに対し、下請代金支払遅延等防止法(下請法)4条1項3号(下請代金の減額の禁止)に違反する事実が認められたので、本日、公正取引委員会に対して、措置請求を行った、というものです。
 中小企業庁は、経済産業省の外局の1つですが、この公取委への請求については下請法にちゃんと規定がされています。下請法6条は、中小企業庁長官が同法違反行為の事実の有無の調査をして、その事実があると認めるときは、公取委に対して同法の規定にしたがって適当な措置をとるべきことを求めることができる、としている規定です(中小企業庁長官の請求)

【違反事実の概要】
 ミカドは、システムキッチン等の部品、部材の製造を下請事業者に委託しているが、今般自社の利益を確保するため、下請事業者に対して販売協力金の要請を行うとともに、これに合意した下請事業者に対しては、支払うべき下請代金額から一定の比率分を差し引いていた事実が確認された。 
 具体的には、平成17年7月から平成19年5月までの間に、下請事業者39社に対して、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、支払うべき下請代金の一部(約3,663万円)を減額していた。 

【追記】(4/9)
 本日、上記事案につき、公正取引委員会から勧告が出ました。
 → 「システムキッチン部品製造の下請法違反勧告(公取委)」(4/9)

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JUKIミシン販売の特商法違反(経産省)

 昨年締めくくりの当ブログに書きました2007年アルファブロガーの山口利昭弁護士「ビジネス法務の部屋」で当ブログをご紹介していただいたため、今日未明より多くのアクセスをいただいています。
 山口弁護士と訪問いただいた皆様に感謝しつつも、若干のプレッシャーを感じながら、今日も平常心で書きたいと思います(微笑)。

 さて、新聞等でも報道済ですが、3月19日に、経済産業省は、特定商取引法違反行為があったとして、JUKI家庭製品株式会社(以下、JUKI家庭製品)に対して、今月20日から9月19日までの6か月間、訪問販売に関する勧誘、申込みの受付及び契約の締結を停止するよう命じています特定商取引法8条1項)。経産省が、認定した違反行為は、勧誘目的の不明示、不実告知、債務の履行拒否、迷惑勧誘、判断力不足に乗じた契約締結等です(後記参照)。
 → 経済産業サイト報道発表

 なお、命令の対象となった「JUKI家庭製品」は、JUKI株式会社(以下、JUKI)の子会社です。
 しかし、JUKI家庭製品という会社は、平成19年4月1日付で、JUKIの家庭製品販売事業を子会社に継承させて、商号変更した会社であり、この継承日以前は、JUKIが訪問販売を行っていた、とのことです。
 したがって、今回の業務停止命令の対象は子会社たるJUKI家庭製品ですが、違反行為を行っていたのは(昨年4月1日以前までは)JUKIということになります。

 経産省が認定した違反事実の概要は、
「同社は、消費者宅を訪問する際、その勧誘に先立って勧誘の相手方に対して売買契約の締結について勧誘をする目的である旨を明らかにしていなかったほか、ミシンを十分点検することなく、修理できる可能性があるにもかかわらず「これは修理不能です。」等と勧誘をする際に不実のことを告げていた。
 また、消費者から商品の売買契約の解除を行ったのに対して、それに応じなかったりするなど、契約締結の解除によって生ずる債務の履行を拒否したり、商品の勧誘に際し長時間居座ったり、消費者が断っても執拗に勧誘を続ける等、消費者に迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘を行っていた。
 さらに、認知症等を患っている消費者にその判断力の不足に乗じて販売契約を締結させたり、高齢者であって当該売買契約について知識、経験及び支払能力が極めて脆弱であると認められる消費者に対して、それに照らして不適当と認められる勧誘を行っていた。」
というもの。

 このような違反行為について、過去に自治体等から何度も指導や改善要請がなされていたにもかかわらず、同社は依然として同様の違反行為を繰り返したということで、今回の厳しい処分に至ったようですね。

【違反該当事実】
(1)勧誘目的の不明示(特商法3条)
 勧誘に先立って 勧誘の相手方に対し、「。ミシンを無料で点検します」等と告げるだけで、本件商品に係る売買契約の締結について勧誘をする目的である旨を明らかにしていなかった。

(2)不実告知(特商法6条1項6号)
 ミシンを点検すると告げて訪問し、ミシンを十分点検することなく、修理できる可能性があるにもかかわらず、。「これは修理不能です」、「このミシンは壊れている。」等本件商品に係る売買契約の締結について勧誘をする際に不実のことを告げていた。

(3)債務の履行拒否(特商法7条1号)
 契約の翌日「やっぱり返したい。」と契約の解除を行ったのに対してそれに応じなかったり、相手方が電話でクーリングオフの申し入れをしたのにもかかわらず「手取り足取り教えるから信用してくれ」等と言って応じなかったりするなど契約の解除によって生ずる債務の全部又は一部の履行を拒否していた。

(4)迷惑勧誘(特商法7条3号に基づく特商法施行規則7条1号)
 訪問後に勧誘にあたり、顧客が「夕食の支度があるから帰って」と断っても帰ろうとしない等長時間居座ったり、断っても執拗に勧誘を続ける等、顧客に迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘を行っていた。

(5)判断力不足に乗じた契約及び知識、経験及び支払能力に照らして不適当と認められる勧誘(特商法7条3号に基づく特商法施行規則7条2号、3号)
 認知症等を患って判断力が不足していると認められる顧客に契約を締結させたり、高齢者であって当該売買契約について知識、経験及び支払能力が極めて脆弱であると認められる顧客に対して、それに照らして不適当と認められる勧誘を行っていた。

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2008年3月20日 (木)

消費者庁設置:自民党調査会決定と首相意向表明

 昨日(3/19)、自民党消費者問題調査会(野田聖子会長)が、消費者行政を一元化する新組織に関する最終とりまとめを決定しました。

 この「消費者庁」の設置を骨とするとりまとめについては、福田首相も前向きな考えを示した模様です。
 このとりまとめによれば、消費者担当大臣を置いて、国民生活センターを消費者庁に移管するなどとなっているようです。

 ところで、公正取引委員会は、自らを消費者取引に関する一元化組織の核とするような意見を出していましたが、今回の自民党とりまとめでは、新組織は、公取委とは別組織ということになっていますね。

 今回のとりまとめを踏まえて、政府が5月に具体案を示す予定のようです。

 ただ、いくつもの省庁の権限を新組織(消費者庁)に移管することになり各官庁からの抵抗、また、経済界からの抵抗もかなり予想されるうえ、政局がかなり流動的な状況となっていることもあって、すんなり行くかどうかはまだわかりません。

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2008年3月19日 (水)

08年独占禁止法改正(その4 景表法の課徴金)

 前回の(その3)では、今回の改正案で、独禁法の不公正な取引方法の一部についての課徴金による制裁が追加されていることを紹介しましたが、今回は、それに関連する景品表示法上の不当表示への課徴金の導入の話です。

 景品表示法(正確には「不当景品類及び不当表示防止法」)は、独占禁止法の特例法ですが、一般消費者向けの不当な表示や景品を規制して、不当な顧客誘引を禁止