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2008年1月30日 (水)

放火を認定した民事判決(火災保険金請求)

 最高裁サイトの下級裁判所裁判例集に掲載された民事訴訟の判決です(3ヶ月ほどで消えます。)。

 仙台地裁平成20年1月11日判決 火災保険金請求事件

 事案としては、原告が経営、所有する工場建物が火災となったため、被告である損害保険会社に火災保険金の請求をしたというものです。この請求に対して、被告保険会社側は、火災が原告代表者の放火によるものだから、保険契約上の免責条項により、保険金支払義務はない、と抗弁(反論)しています。

 争点としては、出火原因が放火か否か、放火だとして原告代表者によるものか否か、という点の事実認定が問題になります。

 結論として、判決は、原告代表者による放火と認定して、保険金請求を棄却しました。

 裁判所は、まず、放火以外の原因の可能性を検討して、それらが考えられないことから、「本件火災は,何者かの放火行為により生じたものであると推認される。」としています。

 さらに、放火をした人物につき、直接的な証拠はないものの、「本件火災当時,本件建物の窓及び出入口は完全に施錠されており,少なくともかぎを持たない第三者が本件建物内に立ち入って放火をすることはできない状況であった」とし、鍵の所持状況からみて、「少なくとも原告と無関係の第三者が本件建物内に侵入して放火行為を実行し得るような状況にはなかったことが明らかである。」としました。

 そして、原告代表者の行動その他の諸事情を検討したうえで、「本件火災は,施錠完全な建物内部への放火であること,原告代表者のほかに本件建物のかぎを所持していた家族及び従業員に放火の動機があったとはうかがわれないこと,本件火災の前後における原告代表者の行動に不自然な点が多々見受けられること,原告が極めて苦しい経営状態にあり,原告代表者も経済的に困窮していたこと,本件建物及びこれと隣接する別棟建物には総額7600万円もの火災保険が掛けられていたこと,放火により第三者等に被害が拡大するおそれは大きくなかったこと,原告が約5年前にも同様の状況で工場火災に遭遇し,被告から4000万円を超える保険金を受領して,その相当部分を借金の返済等に当てていること,原告代表者の出火原因に対する無関心な態度が不自然であることを総合すれば,本件火災は,原告代表者が,経済的な苦境の中,借金の返済等のため,火災保険金取得を企図して,本件建物に故意に放火をしたことにより発生したものであると認められる。」として、免責条項により、保険会社は保険金の支払義務を負わない旨判示しています。

 刑事事件(放火罪)であれば、有罪とするには、検察側はもっと厳格な証明が要求されるのではないかと思いますが、民事裁判での事実認定判断の一例としては参考になると思います。

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