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2008年1月の記事

2008年1月30日 (水)

フィルタリングの話の続き

 2つ前の記事「フィルタリングと競争法」の関連ですが、長文になったので、別記事にしますね。

 携帯交流サイト「モバゲータウン」ディー・エヌ・エー(DeNA)が、今日、南場智子社長による業績発表会見を行っています。
 → 日経ネット ITプラス

 ここで、携帯電話のフィルタリング問題が取り上げられ、南場社長は「インパクトは大きい」と述べたとのこと。

 高校生あたりの携帯電話ユーザーをターゲットにしている同種の企業にとっては、このフィルタリングサービスの導入促進の流れは相当の痛手になるでしょうね。

 面白かったので、日経のITプラスのコラム「岸博幸の『メディア業界』改造計画」の昨年12月25日付記事「未成年携帯フィルタリングという『愚策』」」を紹介しておきます。

放火を認定した民事判決(火災保険金請求)

 最高裁サイトの下級裁判所裁判例集に掲載された民事訴訟の判決です(3ヶ月ほどで消えます。)。

 仙台地裁平成20年1月11日判決 火災保険金請求事件

 事案としては、原告が経営、所有する工場建物が火災となったため、被告である損害保険会社に火災保険金の請求をしたというものです。この請求に対して、被告保険会社側は、火災が原告代表者の放火によるものだから、保険契約上の免責条項により、保険金支払義務はない、と抗弁(反論)しています。

 争点としては、出火原因が放火か否か、放火だとして原告代表者によるものか否か、という点の事実認定が問題になります。

 結論として、判決は、原告代表者による放火と認定して、保険金請求を棄却しました。

 裁判所は、まず、放火以外の原因の可能性を検討して、それらが考えられないことから、「本件火災は,何者かの放火行為により生じたものであると推認される。」としています。

 さらに、放火をした人物につき、直接的な証拠はないものの、「本件火災当時,本件建物の窓及び出入口は完全に施錠されており,少なくともかぎを持たない第三者が本件建物内に立ち入って放火をすることはできない状況であった」とし、鍵の所持状況からみて、「少なくとも原告と無関係の第三者が本件建物内に侵入して放火行為を実行し得るような状況にはなかったことが明らかである。」としました。

 そして、原告代表者の行動その他の諸事情を検討したうえで、「本件火災は,施錠完全な建物内部への放火であること,原告代表者のほかに本件建物のかぎを所持していた家族及び従業員に放火の動機があったとはうかがわれないこと,本件火災の前後における原告代表者の行動に不自然な点が多々見受けられること,原告が極めて苦しい経営状態にあり,原告代表者も経済的に困窮していたこと,本件建物及びこれと隣接する別棟建物には総額7600万円もの火災保険が掛けられていたこと,放火により第三者等に被害が拡大するおそれは大きくなかったこと,原告が約5年前にも同様の状況で工場火災に遭遇し,被告から4000万円を超える保険金を受領して,その相当部分を借金の返済等に当てていること,原告代表者の出火原因に対する無関心な態度が不自然であることを総合すれば,本件火災は,原告代表者が,経済的な苦境の中,借金の返済等のため,火災保険金取得を企図して,本件建物に故意に放火をしたことにより発生したものであると認められる。」として、免責条項により、保険会社は保険金の支払義務を負わない旨判示しています。

 刑事事件(放火罪)であれば、有罪とするには、検察側はもっと厳格な証明が要求されるのではないかと思いますが、民事裁判での事実認定判断の一例としては参考になると思います。

フィルタリングと競争法

 産経の報じるところでは、携帯電話で未成年者が有害サイトを閲覧できないようにするフィルタリングサービス(以下、フィルタリング)について総務省が、携帯各社による過剰な規制に歯止めをかける方針を固めた、とのこと。ドコモ(DOCOMO)などは、自社が認定する「公式サイト」だけ閲覧可能とし、他の「一般サイト」にはアクセスさせないアクセス制限サービスを勧めているが、これでは健全な一般サイトまで利用できなくなる恐れがあり、携帯電話会社のサイト選別が市場をゆがめるとの批判が出ているためということです。

 この議論についての議事録などは近日中に出るのかと思いますので(かな?)、詳細はそれを待ちたいと思います。
  (配布資料は出ました。→末尾【追記の追記の追記】参照)

 安全性のための規制や拘束競争法(独禁法)との関係というのは以前からある論点なのですけども、青少年保護だけを重視すると、グレーゾーンも含めて閲覧できない範囲を拡げておかなかればならず、そうすると、多くの携帯サイトが排除される結果となることについて、競争法上どう考えるべきかということになるのでしょうか。
 そういえば、一昨年の情報ネットワーク法学会研究大会で、「フィルタリングと表現の自由」に関する報告がなされており、それも興味ある問題なのですが、今回はそれとはまた別の視点からの問題提起となります。

 実際問題として、「危ないゲームサイト/良いゲームサイト」、「危ない出会系サイト/まぁ仕方ないかのコミュニケーションサイト」の境界はあいまいですしね。漫画や小説の閲覧サイトも同様でしょう。私も子を持つ親の1人として、正直なところ悩んでしまうところです。

 ただ、言えることは、こういうことの議論を、通信事業者など経済界からの意見中心に決めてはならない、ということでしょう。競争法的な視野からも教育的な視野からも、教育者、保護者(親)、ユーザーなどそれぞれの立場から充分な検討が必要だろうと思います。

 私自身の個人的な感覚では(結論を出せるわけではありませんが)、青少年保護については、相当程度重視されるのが当然と思います。
 ただ、自分の会社の公認サイトのみ安全で閲覧できて、それ以外のサイトは全て駄目というシステムを強制するかのようなシステムは、青少年保護に名を借りた行き過ぎた市場制限だと思います。なるべくそういうことのないような柔軟なシステムによって、青少年保護が図れるような技術的検討ができればいいな、と思っています。

 それと、こういう問題は、悪質なサイトを青少年の目から遮断するということも必要なのかもしれませんが、目隠しすれば良し、ではなくて、正しい選択ができるような教育を家庭、学校、社会で行わなければいけないという面も忘れてはならないと思います。でなけりゃ、大人になってから同じ問題が生じるだけではないのかな。子供達にとても偉そうにいえないような事件を、教育者を含めた立派な肩書きの大人がたくさん起こしているのですものね。

【追記】(1/30)
 フィルタリングと総務省の関連情報
◎携帯電話におけるフィルタリングの普及促進について
    (平成19年2月16日 総務省・警察庁・文部科学省)
 都道府県、教育委員会、警察等に対し普及促進の啓発活動の取組を依頼

◎携帯電話等のフィルタリング導入促進に関する携帯電話事業者等への要請
    (平成19年12月10日 総務省)
  携帯電話・PHS事業者(DOCOMO、KDDI(au)、ソフトバンクモバイル、ウィルコム)と電気通信事業者協会に対し取組強化を要請。
 この要請で、契約時に原則としてフィルタリングサービスを利用するよう導入促進を図ることを強調しています。
 なお、総務省は、平成18年11月20日にも同様の要請を携帯電話事業者らに行っていますが、今回の要請は、原則導入の促進という点で強い要請になっています。

 この総務省の要請に応じて対策を示した各事業者の案につき、過剰規制の恐れがあるとして、総務省が逆に歯止めをかけようとしているというのが、冒頭の報道です。
 報道では、
フィルタリングの方式には(1)携帯電話会社の公式サイトから、有害の恐れのあるサイトを排除し、残ったサイトの閲覧を許可する「ホワイトリスト」(2)一般サイトを含め、有害情報サイトだけ遮断する「ブラックリスト」──の2方式があり、DOCOMOとKDDI(au)は原則ホワイトリストを適用し、希望者にはブラックリスト方式を提供する方針で、ソフトバンクと、PHSのウィルコムはブラックリスト方式を標準適用する。
 とされており、このうち前者のホワイトリスト方式を総務省が問題にしているということのようです。

【追記の追記】(1/30)
 続きの記事 → 「フィルタリングの話の続き」

【追記の追記の追記】(1/31)
 第3回「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」の配布資料は、総務省サイトに掲載されました。楽天とミクシーのプレゼン資料がフィルタリングについて懸念を示しています。
 なお、議事録は前回の第2回まで掲載されています。

 

 

2008年1月29日 (火)

犯罪収益移転防止法が3月から全面施行

 昨年(07年)3月に制定された犯罪収益移転防止法(正式名称:犯罪による収益の移転防止に関する法律)は、犯罪による収益の移転防止を図るとともに、テロ行為などへの資金供与の防止を確保するなどにより犯罪による収益やテロ資金のマネーロンダリング(資金洗浄)防止を目的とした法律です。
 時事の報道によれば、今日(1/29)朝の閣議で政府は、この犯罪収益移転防止法を3月1日に全面施行することを正式決定したようです。

 要するに、この法律の対象となる「特定事業者」(金融機関、ファイナンスリース業者、クレジットカード業者、宅地建物取引業者、貴金属等取引業者、郵便物受取・電話受付サービス業者、弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士等)に対する義務づけが3月から始まるということになります(同法2条2項)。
 弁護士もひとごとではないので、いろいろと大変なのですが、消費者問題的な観点からは、私設私書箱業者電話代行サービス業者が入ってるのが注目ですね。これらの業者が間に入ることによって、悪徳業者の実際の所在がわからず特定できないという例は随分以前から問題になっていました。

 これにより、「特定事業者」は、一定の取引について顧客等の本人特定事項の確認を行うことが義務づけられたとともに、その記録を7年間保存することが義務づけられ(同法4~6条)、取引記録も7年間保存することが義務づけられました(同法7条)。

 その他、業務において収受した財産が犯罪による収益である疑いがある場合等には、監督官庁への届出義務が定められています。

 この法律で統一的な規制が行われることにより、これまで金融機関等に本人確認を義務付けていた金融機関等本人確認法が廃止され、また、これまで疑わしい取引の届出を義務付けていた組織的犯罪処罰法第5章が削除されます。

 関係官庁から業種別ガイドライン案なども出されていたようですので、これから施行日に向けて、正式版が公表されていくのだろうと思います。

 制度や法律の概要については、警察庁のJAFICのサイトをご覧ください(もっとも、ざっと見たところ、現時点ではまだ今日決まった政令などは載っていないようでしたが、その内、載るでしょう。)。

【追記】(2/8)
 電話受付代行サービスについては、総務省からガイドラインが公表されたので、2月4日付記事に書きました。
 宅地建物取引業者(宅建業者)に関するガイドライン案も国交省から出ていますが(パブコメも終わりましたが)、まだ公表がないようですね。

2008年1月25日 (金)

独禁法違反行為を権利乱用として主張した裁判例

 最高裁サイトの判例速報(知的財産裁判例)に出ていたものです。
 原告側の行為が独占禁止法違反であり権利濫用にあたるという抗弁を、被告が主張した事案ですが、裁判所は結論的にはこれを認めませんでした。

 平成20年1月22日大阪地裁21民事部判決
   (平成19(ワ)2366号 意匠権侵害差止等請求事件)

 事案はマンホールの蓋の意匠権その他の知的財産権侵害に関するもので、権利者が原告となって、被告に対して差止と損害賠償を求めていたものです。
 ここでは、権利侵害の有無や損害額についての争点は置き、被告からの独禁法違反(権利濫用)の抗弁についてのみ、簡単に触れます。

 マンホールの大手企業である日之出水道機器(以下、日之出)が、上記の知的財産権の本来の権利者であり、本件原告は、日之出から各権利を信託的に承継した会社(ライセンス管理会社でしょう)です。それで、被告は、日之出の行為が独占禁止法に違反するもので、原告の本件請求は権利の濫用に当たる旨主張しました。独禁法違反の詳細は判決をお読みいただくとして、私的独占、不当な取引制限および不公正な取引方法(優越的地位の濫用)が挙げられています。

 判決は、独禁法21条の従前の解釈を踏襲し、知的財産権の行使であっても、不当な権利行使については独禁法適用が除外されるものではない、としたうえで、日之出の行為に独禁法違反の行為があったとは認められず、その他、日之出又は原告において権利の濫用に当たる行為を行ったことを認めるに足りる証拠はない、として、権利濫用の抗弁を排斥しています。

 ◎本件と関連の裁判例として、
  当事者が同じ事案で、
   (まだ、ちゃんと読んでないので、上の事案と何が違うかわかりませんです)
   大阪地判平成18年12月7日(平成18(ワ)1304)
    → 白石忠志教授のサイト

  日之出 対 六寶産業 (債務不履行による損害賠償請求)
   大阪地判平成18年1月16日(平成16(ワ)10298)
             判時1947号108頁

 なお、公正取引委員会は平成17年、マンホール蓋の製造販売に関して、日之出が事業活動を支配し、独禁法3条及び19条の定に違反する疑いがあったとして、独禁法の規定に基づき審査を開始していましたが、18年12月、独禁法に違反する疑いを裏付ける事実を認定するには至らなかった、として審査終了を発表しています。

公取の審判制度の改正方針(独禁法)

 公正取引委員会が、談合やカルテルの事件については審判制度を廃止して、公取委の処分に不服のある対象企業は裁判所に処分取消訴訟を提起するという手続をとる方式へ変更する、また、他の事件についても事前審判制度に戻す、という方針を固めたとのことです。

 昨年11月17日の日弁連、早稲田大共催のシンポ「独占禁止法再改正のゆくえ」でも、いろいろな議論が出ていました。確かにスジとしては、裁判所による司法判断のほうがすっきりするとは思います。
 ただ、以前の事前審判制度から現行の事後審判制度への変更は平成17年改正で変わったばかりで、もう変えてしまうの?という感はあります。

 これも経済界の強い主張に動かされた結果ですね。

 どういう手続がよいか、というのは、どの分野でも難しい問題ですが、いずれにせよ、独禁法違反行為に対する公取委の権限発動が変に萎縮しないような方向での検討が望まれます。

消費者行政の一元化

 ここでも先日ちょっと書きましたけど、先日来、消費者行政の一元化が突然現実のものとして検討されだしています。

 昨日(1/24)、自民党の消費者問題調査会は、消費者行政の一元化に関する中間報告をまとめた、とのこと。
 三案併記のようで、
(1)消費者行政を担う新組織として独立した新しい省庁を設置する案
(2)内閣府の国民生活局を行政委員会に改組する案
(3)現行の国民生活局と国民生活センターの機能強化にとどめる案
ということのようです。

 昨日朝の報道では、新組織は、関係省庁に具体的な対応を指示できる是正勧告権を付与し、消費者被害の苦情などを受け付ける相談窓口、と位置づけるともされています。

 実は、24日は日本弁護士連合会(日弁連)消費者問題対策委員会があり、私も出席する予定だったのですが、残念ながら急用ができて欠席しました。そこで、この「消費者行政一元化」問題について議論されたようです。

 形式的にはいろいろなまとめ方があろうかとは思いますし、全てを一元化するのがいいのかどうか、という観点も重要とは思います。しかし、少なくとも、縦割りの弊害をなくすこと、および、消費者視点での行政が充分に行えるような組織的、予算的、人事的な措置は必要かと思います。

  各省庁の権限が奪われていくことが結構大きなハードルになることは間違いありませんし、それを乗り越えて、消費者行政の一元化を図るというのは政治的に大変な作業ではないかと想像されますね。前にも書きましたが、結局の所、名目だけいい加減な組織を1つ作って、一丁上がりというような悲惨な結果だけは御免です。
 途中で福田首相が退陣したりしたら、どうなるんだろうか?

 なお、昨年末に地味な記事ではありましたが、以下のような日経の報道(12/18)もありました。
「消費者と事業者のトラブル、第三者委設け仲裁・内閣府」
  内閣府は17日、消費者と事業者とのトラブルを仲裁する第三者委員会を設けると決めた。裁判を起こさなくても被害者が迅速に救済されるようにする狙い。独立行政法人の国民生活センター内に設け、事業者を呼び出したり書類提出を求めたりして紛争解決を図る。来年の通常国会に国民生活センター法改正案を提出、2009年度から委員会を発足させる。 国民生活審議会(首相の諮問機関)の消費者政策部会は18日にセンターの裁判以外の紛争解決(ADR)制度に関する報告書をまとめる。これを受け内閣府が消費者紛争の類型を内閣府令で定めるなどの詳細の詰めに入る。

2008年1月24日 (木)

亜鉛鋼板カルテルについての犯則調査(公取委)

(※追記あり 末尾参照)

 屋根などの住宅用建材に使われる亜鉛めっき鋼板の販売をめぐって、値上げの時期や上げ幅についてカルテルを結んでいた疑いが強まったとして、公正取引委員会は今日(1/24)、大手鉄鋼系列の日新製鋼日鉄住金鋼板JFE鋼板淀川製鋼所の4社の鋼板メーカーに対し、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで家宅捜索を行った、と報じられています。

 この捜索は「犯則調査権」に基づく強制調査で、平成17年の独占禁止法改正によって、これまで認められていた行政調査権の他に犯則事件についての犯則調査権という権限が与えられたものです。これは、犯則事件独占禁止法89~91条の犯罪を調査するための権限です。警察の強制捜査などと同じように、裁判官の発する許可状によって臨検・捜索・差押え等を行うことが可能となります。
 → 公取サイトの「犯則調査権限」ページ

 つまり、今回の調査は、単なる独占禁止法違反行為に対する公取委の行政処分である排除命令などのためのものではなく、独占禁止法違反罪という犯罪の告発(=刑事事件)に向けてなされたものということが言えます。

【追記】(11/8)
 この事件に関して11月に刑事告発の見通しという報道がありましたので、別記事を書きました。
 → 「亜鉛めっき鋼板カルテルの刑事告発について(独禁法)」(11/8) 

2008年1月23日 (水)

「百度」日本進出

 中国の検索サービス「百度」(バイドゥ、Baidu 本社・北京)の日本法人が本日(1/23)、日本における検索サービスの正式版を開始したと発表しています。今日のNHKの9時のニュースでもずいぶん大きく取り上げていましたね。

 先月、このブログでも、「asianetcomが訪問されました(「百度」?)」(07/12/6)として、この検索サービスについてはちょっと触れました。
 さて、「百度」の検索サイトを見てみると、先日までの画面はGoogle風にあっさりとしたものだったのに、今日は、検索ワードランキングだとか、話題の画像だとか、にぎやかになっています。

 ここは中国の企業ですが、ソニーの最高顧問(元代表取締役)出井伸之氏も社外取締役に就任しています。出井氏は、ドバイ政府系の投資ファンド(DIC)の顧問にも就任されたということで話題になっていますね。

 いろいろな検索サイトが競争すること自体はいいと思うのですが、やはり、国産の検索サイトが必要かな、とは思いますね。
 ちょっと古くなりますけど、1年ほど前のこのブログでの検索サイトに関する記事を参考のため、以下にリンクしておきます。(最後のタイトルが、ん?ですがね。)

 「検索サイトについて思う」(07/2/7)

 「検索サイトの影響力の課題」(07/2/14)

 「ゆびとま問題と中島みゆき」(07/2/22)

2008年1月22日 (火)

日弁連P2Pシンポジウム

 今日、日本弁護士連合会(日弁連)コンピュータ委員会シンポジウム「P2Pネットワークと法的問題~Winnyをめぐって~」が、日弁連会館で開催されました。
 内容は、
 「2007年ネットワーク法判例回顧」
      町村 泰貴(北海道大学大学院法学研究科教授)
 「ローカルネットワークによるWinny実演」
      岡田 崇(日弁連コンピュータ委員会委員
 「Winny開発者の立場から」
      金子 勇(プログラマー)
 「P2Pの分類 ~技術的要因と人的要因」
      高木 浩光
      (産業技術総合研究所
          情報セキュリティ研究センター主任研究員)
 「P2Pの将来性」
      篠田 陽一
      (北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科教授)
 「P2Pの法的問題」
      壇 俊光(日弁連コンピュータ委員会委員)
 パネルディスカッション

と、そうそうたる方々。

 もっとも、私は東京の日弁連会館にいたのではなく、同時中継会場の大阪弁護士会館で見させてもらってました。なかなか刺激的な内容で面白かったです。意外と大阪会場が空いていたのには驚きましたが。

 シンポの途中で、携帯から、最初の報告を終えられた町村教授のブログ「matimulog」を覗いてみると、町村教授金子氏の報告中に記事「日弁連コンピュータ委員会シンポ2008」を書かれていました。おまけに、既にその記事にコメントが付けられていて、誰かと思えば、大阪の奥村徹弁護士。その当の奥村さんは、私のいる大阪会場の最前列に座っておられます。

 大阪会場にいる私が、東京でのシンポを同時中継で見ながら、シンポに講師として出席されている町村教授がその場で書いたばかりのブログ記事と大阪会場の奥村徹弁護士のコメントを、携帯電話で読んでいるというのは、何だか不思議な感じがしますね。
 今では当たり前といえば当たり前な話なのですが。。。

2008年1月19日 (土)

消契法、特商法、景表法の一本化の方針

 政府が、消費者保護に関する法律のうち、重複分野などがある消費者契約法特定商取引法景品表示法の3法を一本化する方向で検討に入った、と読売が報道しています。

 この3法はいずれも消費者保護法ではあるのですが、所管官庁が内閣府経済産業省公正取引委員会と別々であり、行政規制的な部分も大きい法律ですので、そう単純に一本化できるのかな、という気もします。
 そのような役所の縄張り争いは別としても、消費者契約法特定商取引法の2法はともかくとして、景品表示法は、独占禁止法の特別法であって、同じ消費者保護の目的の法律といっても、ちょっと他の2法と性格を異にしています。独占禁止法で禁止されている「不公正な取引方法」の一般指定の「欺まん的顧客誘引」行為の内、消費者向けの表示や景品について特に規制を行っているのが景品表示法です。

 ところで、福田首相は、施政方針演説でも生活者重視政策を掲げ、消費者行政の一元化などを言いだしています。上に書いたような消費者行政の縦割り状態を解消する必要があり、統一的な組織として、「消費者庁」の新設までも議論されているようで、長年消費者問題に関わってきた私としては、本来歓迎すべき動きのはずなのですが、不安がないわけではありません。
 自民党の危機的な状況での一時的な国民への人気取り政策に終わったのでは、かえって消費者行政が力のない組織に押し込まれてしまうような結果にならないか、公正取引委員会による規制が骨抜きされないか、というような点が、非常に心配です。
 せっかくの生活者重視政策への転換ですから、逆の方向にならないように充分に監視していかなければならないと思います。

2008年1月18日 (金)

近畿日産ディーゼルに対する下請法違反勧告(公取委)

 公正取引委員会は、本日付(1/18)で、近畿日産ディーゼル株式会社 に対し、下請代金支払遅延等防止法(下請法)4条1項3号(下請代金の減額の禁止)に違反する事実が認められたとして、同社に対して勧告を行っています。 
 → http://www.jftc.go.jp/pressrelease/08.january/08011801.pdf

違反事実の概要
 近畿日産ディーゼルは、トラックへの部品の取付けやトラックの修理を下請事業者に委託しているところ、下請事業者の責に帰すべき理由がないにもかかわらず、下請事業者に対して、「レス」と称して下請代金の額に一定率を乗じて得た額を負担するよう要請し、要請に応じた下請事業者に対し、当該下請事業者に支払うべき下請代金の額を減じていた。 

勧告の概要
 下請代金の額から減じていた額(総額9894万7267円)を下請事業者(98名)に対して速やかに支払うこと。
  減額行為が下請法の規定に違反するものである旨及び今後、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じることをしない旨を取締役会の決議により確認すること。
 今後、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じることがないよう、自社の発注担当者に対する下請法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講じるとともに,その内容等を自社の役員及び従業員に周知徹底すること。
 上記に基づいて採った措置を取引先下請事業者に周知すること。 

2008年1月16日 (水)

マラソンと「助力」についてのウダ話

 小林祐梨子選手の話に続いて、陸上競技のネタですが。。。

 先日報じられていたのですが、両足に障害があるクラスで短距離3種目の世界記録を持つ南アフリカの男子義足ランナー・ピストリウスが、北京五輪出場を求めていたところ、国際陸連が出場を認めないとの決定をしたということです。
 国際陸連の拒否理由は、彼の義足が、規約で禁じる「競技力向上を手助けする人工装置」にあたるというものです。国際陸連はこの決定にあたり、本人と一般選手5人でテストをしたようで、本人は約25%少ないエネルギー消費で足りることなどの優位性が明らかになったらしい。 ドーピングなどでも同じような問題はありそうですが、障害や故障のための治療行為(薬剤投与や手術など)や用具(義足や人工関節など)の当否や限界というところは厳密に考えてみれば難しいところかもしれません。義足とはちょっと違いますが、車いすマラソンのトップ選手たちは1時間30分を切りますので、この場合は一般のマラソンと対等の競技にはなりませんね。

 陸上の「助力」の問題としては、マラソン競技での「助力」禁止の判断が容易でないところが多くあります。
 先日の箱根駅伝でもありましたが、倒れたランナーに監督らが手をかければ即リタイヤとなります。1908年のロンドンオリンピック(第4回)でゴール直前に倒れ役員に助けられてゴールしたため失格した「ドランドの悲劇」も同じですね。

 マラソンでは、ペースメーカー(ラビット)も、長らく日本では公には認められませんでした。本当は存在してるのにもかかわらず、テレビ中継では先頭を走ってるのに実況では全く無視されるというような不思議な状態でしたが(別大マラソンでしたか、ほとんど優勝しそうなのに、遠慮してリタイヤした外人ランナーもいましたね。)、最近は堂々と公認されてますね。また、視覚障害者についての伴走も最近は認められているようです。
 これの微妙なものとして、男女混合のマラソンで、上位の女子ランナーを男子ランナーがエスコートしながら走っているというのもあります。黙認されているようですが、これは疑問ですね。

 ランナー同士が、水やスポンジをお互いに渡しあっているというのも、美しいスポーツマンシップと見えるのですが、助力ではないかという疑いがあります。同じ国の選手だけでのやり取りならなおさらでしょう。

 それと、これも最近、特に女子マラソンで目立ちますが、監督やコーチが沿道を自転車や脚で併走して声をかけているシーン。これも、コーチが夫だったりなどして、感動を呼ぶ側面もありますが、やっぱり助力じゃないのかと思います。

 私のような市民ランナーレベルでも細かいことをいえば色々あって、仲間の私設エイドでの飲食や救護などの援助は、陸上競技規則から言えば完全に違反です(ホノルルマラソンでも見られるように、市民レースでは、それもイベントの内ですが、競技マラソンとしては違反行為には違いありません。このあたりは、レースの性格やそれぞれの楽しみ方や記録に対する考え方によるのでしょうね。)。
 最近の話題では、デジタルオーディオを聞くというのは許されるのか、というような議論もありました。ランナー自身がポーチなどに入れて持って走る飲食物なども、私自身も含め市民ランナーでは普通のことですが、これについてはどうなのでしょうね。考えていくとこれも微妙な所があるような気がします。

 これが、刑罰法規の構成要件該当性というような問題だと、法律的な論文のひとつでも書けそうな気もしますけど、あんまり堅いこと言ってたらみんなから嫌われそうです。
 まぁ、テレビ中継見ながら、そんなことにツッコミ入れながら見てるというのが一番平和かもしれません。

 もうすぐ大阪国際女子マラソンですね。

【追記】(08/2/15)
 冒頭に書いた両足義足の男子スプリンター、オスカー・ピストリウス(南アフリカ)が2月13日、国際陸上競技連盟(IAAF)が北京五輪出場を認めなかったことを不服として、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴したようです。
 結果が注目されるところですが、その一方で、2月14日付のタイムズ紙の報道で、大気汚染が心配されている北京五輪で、英国オリンピック委員会(BOA)が、競技中の選手のマスク着用を許可する方向で準備していると報じられているようです。吸着性物質を含むマウスピース付きマスクということです。報道を見る限り陸上競技に限った話ではなさそうですが、マラソン女王のラドクリフが既に試しているということです。
 普通ならば、選手がマスクをすることは邪魔なので、「助力」にはあたらないという気がしますが、この場合はどうなのでしょうね。こっちの成り行きも注目されます。

2008年1月15日 (火)

ITの巨人たちと独禁法

 ここのところ、報道が続いたので「覚え書き」として。。。

 まず、1月11日付の日経記事「NY州司法長官『インテル、独禁法違反の疑いで調査』」
 米ニューヨーク州司法長官が10日、MPU市場での高シェアを乱用し、AMDを不当に排除した疑いがあるとして、インテルに対し独禁法違反の疑いで調査を始めたと発表したとのこと。
 同社については、欧州連合(EU)の欧州委員会(European Commission)も昨年から、独禁法違反の疑いがあると調査を進めており、これと、平成17年の日本の公正取引委員会の同社への勧告については、昨年7月27日付で「インテルの独禁法違反事件の新たな報道」として書きました。

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 次に1月9日にAFPなどが報じているのは、EU欧州委員会が2007年4月に告発していた、アップル(Apple)の「iPod」ユーザー向けのオンラインメディアストアiTunes Storeに対する競争法違反の訴えを取り下げるとの発表。
 記事を見る限り、どうやら欧州市場で国ごとに価格が異なっていたのを(特に英国の消費者が不利だったようだが)、アップルiTuneの音楽販売価格を欧州全体で統一すると発表したことを受けての措置らしい。英国では他国に比べて10%くらい割高だったようです。

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 そして、最後に今日の日経のEU欧州委員会の記事で、「マイクロソフトを調査・独禁法違反、係争再発も」
 マイクロソフトが「ウィンドウズ」の独占的な地位を乱用した疑いがあるとして独禁法違反の調査に入ったというもの。競合他社への技術情報開示やソフトのセット販売が対象とのことです。
 これもこのブログで、昨年9月17日付「マイクロソフトの抱き合わせ敗訴(EU)」という記事を書きましたが、再び紛争が激化するかもしれませんね。
 なお、ちょっと古い話になってしまいますが、日本の公取委も、平成10年にマイクロソフトの表計算ソフト(エクセル)と他のソフトとの抱き合わせ販売について勧告審決を行っています。
 この勧告審決については、私の所属している「独禁法・公正取引研究会」サイトで、大阪の土田泰弘弁護士が研究会での報告内容を載せていますのでご参考まで。
 全くの余談ですけど、この研究会サイト、せっかく立派なのを早々に土田弁護士に作ってもらったのに、ずいぶん更新しないままに放置していてもったいないことになってます。

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  それと、これはタイトルとは離れますが、欧州委員会がらみの最近のニュースということで、一緒に書いておきます(抱き合わせ販売みたいですね。失礼!)。
 今日の日経などでの報道では、EU欧州委員会から、自動車部品や接着剤などに使うクロロプレンゴムの価格カルテルで制裁金支払いを命じられていた日本の電気化学工業が、欧州委の命令を不服として欧州司法裁判所に提訴することを発表したとのこと。同社は昨年12月、欧州委から約76億円の制裁金の支払いを求められていました。

2008年1月11日 (金)

不当廉売等への課徴金(公取委)

 このブログで何度か取り上げてきましたが(→12/20「不当廉売についての公取委の変節:怪しからぬ」など)、不当廉売にも課徴金を課す、という独占禁止法の改正方針について、昨日、時事が新たに報道しています。

 この報道によれば、公正取引委員会が固めた方針というのは、独占禁止法で禁止されている「不公正な取引方法」のうち、不当廉売差別対価などの不公正取引を繰り返した事業者に対して課徴金を課せるよう通常国会への改正案を提出するというもののようです。
 「繰り返し」の要件については、5~10年間に複数回の排除措置命令を受けた事業者ということのようです。単なる不当廉売ではなく、排除措置命令を受けても繰り返すような悪質な業者の行為を対象とするものですね。

 排除型私的独占に達するような不当廉売には課徴金を課すというもともとの公取の改正方針との折衷案というか苦肉の策というか。。。

 不当廉売差別対価以外の「不公正な取引方法」も対象にされるのか、など詳細は不明です。

2008年1月10日 (木)

迷惑メールによる企業損失年間7000億円

 先日、迷惑メールについて書いたところですが(1/4「迷惑メール関連報道などのまとめ」)、今日、読売が、財団法人日本データ通信協会の調査結果を記事にしています(協会サイトを見ても、私はこの調査結果の公表を見つけられなかったのですが)。

 これによれば、迷惑メールによって国内企業が受けている経済的な損失は年間約7000億円に達しているとのこと。
 これは、日本データ通信協会が企業にアンケート調査を行い、削除に要した時間でロスした国内総生産(GDP)額を「損失」として算出したもののようです。
 それ以外に、通信事業者の迷惑メール防止のためのシステム導入費用や、一般企業など対策ソフト購入費用が、合計で年約1000億円に上ると試算しています。ただし、メールによりウイルスに感染したことによる損害は含まれていません。

【追記】(08/3/12)
 日本データ通信協会の調査結果はこれですかね。
  → 迷惑メールが日本経済に及ぼす影響の調査(PDF)
      総務省「迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会」
                   (2007.12.20)報告資料

2008年1月 8日 (火)

小林祐梨子選手(陸上)のJSAA調停不成立

 今日(1/8)、陸上女子千五百メートル日本記録保持者小林祐梨子選手が実業団選手登録を求めて、日本実業団連合などを相手として日本スポーツ仲裁機構(JSAA)に申し立てた調停が、連合側が登録は認めないと回答して不成立に終わった、と報じられています。
 争点としては、小林選手が豊田自動織機に入社して実業団選手登録を申請しているのに、社内留学制度で岡山大学に入学している点が、実業団への勤務実態があるといえるかどうか、というようなところのようです。

 私自身も市民ランナーの端くれですが(微笑)、小林選手は須磨学園高校当時から高校生とは思えない走りを見せてくれていたので今後無事にランナーとして成長していってほしいと思います。

 それはさておき、小林選手側は、今回の調停不成立後、JSAAでの仲裁の申立か、東京地裁へ訴訟を提起する方針とのことです。
 JSAAの仲裁は、サッカーの我那覇和樹選手のドーピング問題でも話題になっていますね(もっとも、彼のほうはJSAAへの申立はできなかったようですけど)。
 仲裁
というのは、日常用語での「喧嘩の仲裁」などというのとは違い、法律で決められた制度のことです。10年ほど前までは民事訴訟法の一部に規定されていましたが、現在は、「仲裁法」という独立した法律ができています。

 「仲裁」は、当事者の仲裁合意に基づき、仲裁人で構成される仲裁廷が事件内容を調べた上で判断(仲裁判断)を示して、当事者がこれに従わなければならない手続です。要するに裁判みたいなものですが、裁判所を利用するのではなく、通常は裁判外紛争解決の組織を利用することになります。
 これに対して「調停」は、調停人が中立的な第三者として、トラブルの解決についての合意ができるように、交渉がうまくいくよう利害を調整しながら当事者間の話し合いを進めていく手続で、最終的に双方の合意に至らなければ不成立となります。

 JSAAは、「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」(通称ADR法)に基づく認証紛争解決事業者の第1号認証組織なのですね。
 ちなみに、我が大阪弁護士会の民事紛争処理センターは第2号のようです。

 今回この日本スポーツ仲裁機構(JSAA)のサイト(http://www.jsaa.jp/)を見てみたのですが、ここには、仲裁人、調停人の候補者リストというのがあって、結構知った名前があって面白かったです。

(参考)
 裁判外紛争解決手続に関する法務省のサイト「かいけつサポート」

【追記】(1/24)
 今日の報道では、日本実業団連合は臨時理事会で従来通り同選手の登録を認めない方針を確認した、とのこと。どうやら、JSAAの仲裁についても同意はしないようです。
 だとすると、小林選手側は裁判所に提訴せざるを得なくなりますが、それまでに何らかの解決の合意ができるかどうか、というところですね。

【追記の追記】(08/4/6)
 小林選手側は、結局提訴することなく、08年4月1日に、「実業団選手登録を認めない」とする日本実業団陸上競技連合の判断の受け入れを決めた、と発表してます。ひとまず、決着ということでしょうか。
 4月5日の競技会の女子5000メートルで、北京五輪の参加標準記録A(15分9秒00)を突破する15分7秒37で優勝しています。

2008年1月 6日 (日)

債権者代位と転付命令の優劣に関する高裁判決

 ちょっと複雑な事件で、専門的な内容になりますが、1年ほど前にもらった判決です。最近、判例時報に掲載されたので少しご紹介します。少しといっても、長文になりますけども。。。

大阪高裁平成18年12月13日判決 判例時報1984号39頁
 (請求異議控訴事件 上告受理申立後、和解により申立取下)

 事案を簡単にしてしまいます(実際には、債権譲渡やら、債権者代位の代位などが行われています。)。

① 本件被告(控訴人)A社が、本件原告(被控訴人)B社に対して貸金債権を有していた。また、B社P社(B社の関連会社)に対して賃料債権などを有していた。

② そこで、A社は債権者代位権を行使してP社に訴訟を提起し勝訴判決を得た。そこで、A社は、P社所有不動産に対して、強制競売を申し立てた。

③ 一方、別のQ社も、B社に対して貸金債権を有していたので、Q社も上記同様に債権者代位権を行使してP社に対する判決を得て、この(B→P)債権につき、差押転付命令を得た。

④ 上記の事実に関する時間的な関係を説明すると、A社の強制競売開始決定が平成17年1月、Q社P社に対する訴訟提起が同年5月頃、判決取得と差押転付命令が同年9月となる。

⑤ このような事情の下で、B社A社に対して、上記②の強制競売手続に関して、請求異議訴訟を提起して、強制執行の不許を求めたのが本件訴訟である。その異議理由は、上記③のQ社の転付命令取得によって、(B→P)債権Q社に移転したため、もはやA社は当該債権を喪失していて、強制競売を続ける権利はない、というものである。

 さて、これに対して、原審の京都地裁は、B社の主張を認めたうえ、強制執行停止決定も行いました。

 本件の法律的な争点は、本件転付命令の有効性ですが、権利濫用又は信義則違反の主張もA社からなされています(判決では判断されないので省略。これについても、判例時報コメントは若干触れています。)。

 大きく言うと、債権者代位権を行使した者(本件のA社の立場)と、他の債権者(本件のQ社の立場)との関係の問題になるのですが、従前あまり論じられていないところです。

 高裁判決は、「債権者が債権の満足を得るために、債権者代位権という法的手段を執ることについては、それに相応しい法的保護が与えられてしかるべき」とし、「代位債権者の訴えの提起は、自己の債権の保全ないし実現のために、債務者(被代位債権の債権者)に属する債権を取り立てるという点において、実質上、差押・取立命令を得た債権者が取立訴訟を提起しているのと異ならないということができるから、上記処分制限の効力が生じたときは、民事執行法159条3項を類推適用すべきことになる。」としました。
 そして、上記②の(A→P)訴訟の請求認容判決が確定すれば、その判決の効力として、代位債権者(A社)と他の債権者(Q社)との関係においては、「被代位債権の行使は、上記確定判決を債務名義とする第3債務者に対する執行に集約され、被代位債権は、他の債権者(Q社)の差押については、もはやその被差押債権としての適格を欠くに至る」とし、(B→P)債権については、遅くとも、上記②の(A→P)訴訟の「第一審判決言渡しの日までには、処分禁止効が生じたものというべきであるから、民事執行法159条3項の類推適用により被転付債権としての適格を失ったものというべき」であり、さらに同別件訴訟の判決が確定により、「被差押債権としての適格を欠くに至ったものというべき」だから、「いずれにしても、その後に発せられた本件転付命令は無効である」と判断して、原審の判決を取り消して、B社の請求を棄却しました。

 本件判決については、その後B社が上告受理申立をしたのですが、関係当事者間に和解が成立し、同申立は取り下げられ、この控訴審判決が確定判決となっています。大変興味深い判決で、最高裁の判断も見たかったという気もします(判例時報コメントも同様に期待されてるのですが、残念ながら・・・です。)。

 なお、この事件に関連しては、この訴訟に対抗する形でA社からB社およびQ社に対して提起された転付命令無効確認・債権不存在確認請求事件という別件訴訟があります。これも、原審がA社の請求を認めず(理由は省きますが、却下。)、控訴審ではA社の請求に理由があるとして、原判決を取り消した上で、原審に差し戻す判決を行っています。これも、上記の和解により訴え取下に終わっています。

 この事件は、もう1人の弁護士(こちらが主担当ですが)といろいろと工夫をした上記2事件の途中話ももちろんですが、後の和解に至る経過や、和解が履行されて解決した後のエピソード(不幸な話なのですが)も含めて、大変印象深い事件となりました。

2008年1月 4日 (金)

迷惑メール関連の報道などのまとめ

 最近、英語の迷惑メールがやたら来ていて本当に迷惑なんですが、昨年後半の迷惑メール関連情報のまとめをしておきます。
 なお、総務省と経済産業省は、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(迷惑メール防止法)特定商取引法の改正による迷惑メールの規制強化を検討しており、通常国会に改正案を提出する予定とされていますが、今回はこれについては省きます。

 まず、迷惑メール対策製品企業バラクーダネットワークス(アメリカ)の発表としては(12/12)、07年中に送信されたメールの90%から95%が迷惑メールで、増加の傾向にあるということです。対象は同社製品のユーザーで、1日当たり10億通以上のメールとのこと。

 同様にシマンテック(アメリカ)も発表していて(12/10)、07年11月の迷惑メールは72%。ちょっと数字に開きがありますが、調査対象や期間も違うからでしょうかね。シマンテックは世界中で4億5000万にのぼるメールボックス(メールアドレス)に送られてくるメールを調査しているとのことですが。同社の発表でも迷惑メールの割合は増加傾向にあるとのことです。

 日本では、読売や日経も報道したところですが、(財)日本産業協会の調査では、同協会の調査用のおとりパソコンが受信した迷惑メールは07年10月に過去最高の約6万1000通と1年前の約2.5倍に達した、とのこと。海外発のメールが9割以上を占め、多くが中国からとみられ、7月の受信メールでは海外発のうち55%が中国からで、発信元は黒竜江省など特定地域に集中していた、としています。
 → 同協会サイトの「迷惑メール調査最前線!」

 また、迷惑メールだけの問題ではありませんが、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が、12月4日付で「情報セキュリティに関する脅威に対する意識調査(2007年度第1回)」の報告書を公開しています。
 ここで、興味深いのは、ワンクリック不正請求で支払を行った経験がある人が3.8%も存在するという点です。
 これは、迷惑メールなどで誘導されてアダルトサイト等を閲覧しようとしてクリックすると突然、入会金や会費を請求するというものです。アンケートの取り方にもよりますので、3.8%という数字は現実には大きく出ているのではないかという気がしますが、こういった架空請求に対し怖くなって支払うというような人も結構な割合でいることは事実で、それがある限り、迷惑メールを含め、こういった手口はなくならないということになりますね。若者への啓蒙活動が不可欠だと思います。

 迷惑メールは、受信した側の直接的な被害(不愉快。削除などの対応が面倒。青少年への悪影響。不当請求による経済的損害などなど)ももちろんあります。
 しかしそれだけではなく、無駄なメールがたくさん流通することによって過剰な設備投資の必要性が出てきます。例えて言えば、不必要な車が9割も常時走ったら、道路など交通施設整備等に余計な費用がかかるのと同じですね。もちろん、各種料金や税金という一般市民の経済的負担にはね返ります。
 その他、青少年問題を含めた社会風俗への影響、それから、不当請求による利得の多くは裏の社会へ流れるという点からの社会的な悪影響というような問題も決して小さな問題ではないと思われます。

2008年1月 1日 (火)

あけましておめでとうございます

 謹 賀 新 年

   新年明けましておめでとうございます。

 ともかく、いい年でありたいですね。というようなお願いだけでは、どうしようもなく、それぞれみんなが自分で皆がいい年になるように努力していかなければ前には進まないですよね。

 目先や小手先だけにとらわれず、明るい世の中を作れるようにそれぞれが自分の持ち場で地道に率直に意識を変えていくことが大切なのだなと思ったりします。

 もちろん、私もですが。。。偉そうなことを書いてても、府知事選には出ませんけど。

   平成20年(2008年)元旦

                川  村  哲  二

 

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