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2007年8月 7日 (火)

控訴、上告と上告受理申立(民事訴訟):前編

 以下は、民事訴訟手続での控訴や上告についての話です。(刑事訴訟の場合は随分違うところがありますので、ご注意下さい。)

 先日、ヤフーBB個人情報漏洩事件の裁判で上告だとか上告受理だとか書きましたが、専門外の人にはわかりにくいかもしれませんので、概略ですが、解説をしておきます。

 「上告受理」の制度は、10年ほど前の民事訴訟法の大改正で新たにできた制度ですが、これについては、後で述べるとして(後編へ)、
 「上告」というのは、訴訟の第二審(控訴審)判決について、上級の裁判所に不服申立をすることをいいます(例外的なのもあるが、省略)。

 第一審判決について、その上級裁判所に不服申立をするのは「控訴」です。したがって、一審が地方裁判所なら、その判決に対して高等裁判所で再度審理してもらうように申し立てるのが「控訴」です。
 その高等裁判所の控訴審判決に対して、最高裁判所に不服申立をするのが「上告」ということになります。
 なお、簡易裁判所が一審の訴訟の場合は、地方裁判所への不服申立が「控訴」、その後の高等裁判所への不服申立が「上告」となります。この「控訴」「上告」を合わせて「上訴」といいます(正確には「上訴」には、もう1つ「抗告」も含まれますけども。)。

 さて、第一審判決に不服があれば、原則として「控訴」はできます。ただし、判決の主文の内容には文句はないけれども、その根拠となっている判決理由の内容に不服がある、という場合には、例外(相殺事案)を除いて、「控訴」はできません。
 例えば、被告に頭を殴られてケガをして100万円の損害賠償請求訴訟をしたところ、判決では原告の請求通りに100万円の支払命令が出たけれども、被告が原告に対してわざと執拗に棒で殴りつけたという原告の主張に対して、被告はわざとではなく、うっかり誤って原告に棒を何度か当てたためにケガをさせたのだ、という判決の認定になっていたとします。この判決を見て、原告が、「絶対に被告は故意に殴った。過失の事故だという裁判所の認定は、非常に不満であり、とても納得できない。お金の問題ではなく、真実を認定してほしい。」と思ったとしても、判決で請求額全額の支払が認容された以上、原告は、「控訴」はできません。
 もう1つの例です。原告から被告に貸した500万円を返せ、という訴訟があったとします。被告は、まず、反論の第1に、全額を約束通りにきちんと返済したと主張し、(領収証がないなど)その返済の証明が困難なので、反論の第2として、既に消滅時効により返すべき法的義務はなくなっている、と主張しました(予備的主張)。そして、審理の結果、裁判所は、返済の証明はできていないが、時効消滅は成立しているという理由で、被告を勝たせる(原告の請求を棄却した)判決を言い渡しました。(もちろん負けた原告は控訴できますが、)被告は勝つには勝ったものの、「自分は本当に約束通り返した。時効で勝ったというのは、残った借金を踏み倒したみたいに思われるかもしれず、不本意である。自分の名誉のためにも、高裁で、返済についてもっと証明を尽くして、返済を認めてもらいたい。」と思っても、やはり、上の事例と一緒で、「控訴」はできないのです。

 とはいっても、「控訴」は広く認められているのですが、以前から「上告」については理由が法律上限定されています。しかも、10年前の民事訴訟法大改正の際に、さらに上告理由が限定されてしまいました(ただし、高等裁判所への「上告」の理由は変化なし)。上告事件が多く、最高裁判所が大変忙しい状態であったため、上告理由を狭くしたものです。

 この上告理由が厳しくなったこととの関係で、「上告受理」の制度が新設されたのです。
         … 後編へ続く …

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