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2007年5月23日 (水)

催告後の債務承認と民法153条(時効談義:その9)

 3月8日に書いた「時効談義:その3」の後半部分に、「『催告』から6ヶ月以内に、訴訟などの法的手続をしなければ、せっかく催告して時効を中断させた効力がなくなります。」としています。これは、民法153条の規定の説明です。昨年、これについて興味深い判決が出ています(判例タイムズ1229号)。

 さて、正確には条文上、「催告は、6箇月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、和解の申立て・・(中略)・・をしなければ、時効の中断の効力を生じない。
となっています。
 そして、この「裁判上の請求」以下に列挙されている事由の中には、「債務の承認」は入っていません。
 したがって、素直に法律を読めば、催告の後、6箇月以内に「債務の承認」を債務者がしても、それが時効期間満了後であれば、催告による時効中断効は認められないという話になります。(下の1審判決はこの立場で、時効成立を認めた。)
 つまり、「債務の承認」は独立の中断事由にはなるが(民法147条3号)、153条の事由には該当しないことになります。私も債権回収関係の仕事をするときに、それを前提としてアドバイスなどをしていました。
(もっとも、時効期間満了後に「債務の承認」があった場合は、この議論とは別に、債務者側が「時効援用権の放棄」を行ったとして、時効主張ができなくなるという可能性はありますが、これは別の問題です。下記高裁判決も理由中に触れています。)

 しかし、昨年、大阪高裁は、「債務の承認」でもよい、とする判断をし、これに対する上告受理申立について最高裁は不受理の決定をしました。

 1審 神戸地裁尼崎支部 平成18年1月23日判決
     (民法153条を文字通りに解釈して、原告勝訴。)

 2審 大阪高裁第7民事部 平成18年5月30日判決
     (下記の理由で、催告による時効中断を認めて、
      1審判決を取り消して、原告側の請求棄却。)

民法153条は,債権者の催告について,債権者が正規の中断事由によって補強することにより時効中断の効力を認めるものであって(略),正規の中断手続をとるのが遅れることにより時効が完成するのを防ぐ便法として機能することを期待して定められたものと解される。そうであれば,債権者の催告について,債務者の行為による正規の中断事由である承認(これは権利の存在を明確にする事由である。)を,債権者の行為による正規の中断事由と区別する理由はないというべきである。実際上も,債権者の催告に対して債務者が承認した場合には,債権者は債務者において債権の存在を前提とした対応をするものと期待するのが当然であって、債権者に更に催告後6か月以内に正規の中断事由をとることを要求することは,難きを強いるものというべきである。

 大審院昭和4年6月22日判決(民集8巻597頁)も,民法151条に関し,「一箇月内ニ訴ヲ提起スルニ非サレハ時効中断ノ効力ヲ生セストアルハ其ノ一箇月ノ間更ニ強力ナル中断原因ノ生セサルコトヲ前提トスル法意ナルコト同法第153條ト其ノ軌ヲ一ニセルモノ」と説示し,民法151条の文理にかかわらず,上記期間内にされた承認による時効中断を認めた。 

 また,承認は,権利の存在を義務者自身が認めるのであるから,権利を時効により消滅させることの正当性を大きく失わせるということができ,訴えの提起等による時効中断と効力に差を設けるのは,不当であるということもできる。

 なお,最高裁判所昭和41年4月20日判決(民集20巻4号702頁)によれば,時効が完成した後の承認は,その承認をした者の時効の援用権を失わせるのが通例となるから,承認による時効中断を認めなくても同様の結論になるかにみえる。しかし,時効の援用の可否は,援用権者ごとに判断されるから,本件のように,主債務者が債務を承認し,連帯保証人などが時効を援用する場合には,連帯保証人などによる時効の援用は,主債務者による承認を根拠としては否定されないこととなり,主債務者の承認による中断を認める場合と結論が同一になるとはいえない。

 以上によると,催告後6か月以内にされた承認によっても,民法153条が定める催告による時効中断効が生じると解すべきである。」

  ※上記事例は、平成16年民法改正前の条文に関するものです。
   本件の解釈では、改正前後で変わりはないと思いますが、念のため・・    

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