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2007年5月の記事

2007年5月31日 (木)

写真家対小学館/著作権侵害損害賠償事件判決

東京地判(29民)平成19年5月30日
 平成17年(ワ)第24929号損害賠償請求事件
 最高裁HP掲載

 新聞でも報じられた判決ですが、原告の写真家加藤氏は、この訴訟の経緯や提出された書面を載せたサイトを公開しており、既に判決の報道記事までリンクされています。訴訟経緯や双方の主張書面を公開することについても、議論のあるところなんですが、今回はそれは置いておきます。

 本件は、小学館発行の雑誌「サライ」掲載用の写真を撮影した原告が、その写真のポジフィルムを小学館にわたしたところ、

・小学館が写真の一部をデジタル化して保存したことが、原告の著作権侵害(送信可能化権、複製権)を侵害した。
・小学館がポジフィルムの一部を紛失して所有権を侵害した。
・小学館が原告の営業を妨害した(詳細は省略・判決では棄却

ことにより、損害を被ったとして、著作権法、不法行為(民法709条)に基づき合計3000万円余りの損害賠償請求を求めたものです。

 判決は、まず、著作権(送信可能化権)侵害については、小学館の行為はデジタルデータを自動公衆送信しうるようにしていたとはいえないとして、認めませんでした。

 次に著作権(複製権)侵害については、ポジフィルムの一部をデジタルデータ化し、そのデータをHDDやCD-ROMなど記憶媒体に保存したことは、小学館において複製利用目的がなくても、複製権を侵害するとしました。

 また、本件ポジフィルムの所有権が原告にあることを認定し、紛失についての所有権侵害も認めました。

 以上に基づき、これらの行為による原告の損害を328万円として、小学館に対してその支払を命じたものです。

2007年5月30日 (水)

公取委公表資料・2題

 本日、公取委サイトにて、以下の資料の公表がありました。

☆平成18年度における独占禁止法違反事件の処理状況について

☆ 団体訴訟制度に関する研究会第2回議事概要

公取委HPの「報道発表資料」の頁(5月30日分)からそれぞれアクセスして下さい。
  → http://www.jftc.go.jp/pressrelease/19index.html

 独禁法・景表法に関する団体訴訟制度についての議論は興味あるところです。ただ、わずかな期間の議論で報告書を出そうとしている点がちょっと急ぎすぎるように思えるのですが。

消費者契約法で規定された団体訴訟制度のほうは、いよいよ動き出します。

2007年5月29日 (火)

景品表示法と下請法の18年度運用状況

 ともに独占禁止法の特別法である景品表示法(景表法)下請法について、5月23日公正取引委員会が、昨年度の運用状況等について公表した。

☆ 平成18年度における景品表示法の運用状況及び
       消費者取引の適正化への取組

☆  平成18年度における下請法の運用状況及び
       企業間取引の公正化への取組

緑資源機構の林道談合と松岡農水相の自殺etc.

 このブログでは、独禁法談合事件について何やかや取り上げてるので、その内、緑資源機構の事件もちょっとまとめてみようかと思ってたら、何だかエライことになってきましたね。

 松岡農水大臣の自殺に続いて、今日も、元理事の自殺が報じられています。

 しかも、日経BPネットの立花隆氏の「メディア ソシオ-ポリティックス」の昨日付『謎の自殺遂げた松岡農水相 阿部内閣が抱える「闇」の正体』によれば、10日ほど前に、松岡氏と関係のある熊本の地元有力者が自殺をしているとのこと。この立花氏の記事は興味深いですね。
 他の報道などからすると、この有力者は、熊本県阿蘇市で損害保険代理店を経営する62歳の男性で、松岡農水相とは同級生。松岡農水相の地元秘書的な人物だったらしく、また、今年初めの阿蘇市議選に立候補したが落選したようです。

 いずれにせよ、この3人の自殺が偶然とは思えず、単なる談合事件ではなくなってきたようですね。

 どういう展開になるのか、あるいは、関係者の自殺ということで、うやむやに終わらせるのか、注目したい事件です。

 (蛇足ですが)死者にむち打つことについては配慮も必要かもしれないが、それにしても、テレビのインタビューでの石原東京都知事のコメントはいけない。都知事の職にあるものが、公共に流れることがわかっていて、政治家の自殺を「サムライ」と美化するのはまずい。今後もこの事件で、そういう「サムライ」が増えたらどう責任をとるのか。もうちょっと考えて欲しい。

2007年5月28日 (月)

ヤフー個人情報漏洩事件控訴審判決延期

 ヤフー個人情報漏洩についての損害賠償事件の控訴審判決が、今月31日に予定されておりましたが、今朝、大阪高裁より弁護団に連絡があり、6月21日1時15分に判決言い渡しが延期となりました。

 まずはご報告まで。

2007年5月26日 (土)

NPO「消費者ネット関西」総会に出席しました

 本日、NPO「消費者ネット関西」の総会が大阪弁護士会であり、出席しました。

 この消費者ネット関西の立ち上げから関与し、名前だけにせよ、理事ということになっています(最近、ほとんどご協力できず恐縮です)。設立以来、消費者法の先達である甲斐道太郎先生が理事長となっていただいているNPOです。

 総会後、京都産業大学大学院法務研究科(ロースクール)の坂東俊矢教授による講演がありました。消費者契約法特定商取引法割賦販売法の現在の改正の方向などについて、お話があり、大変参考になりました。

 私の守備範囲の独禁法、景表法の議論、特に団体訴権の導入や、不公正取引などへの課徴金の導入なども、消費者法の観点からもきわめて重要な改正論議がなされており、それも、かなり急いだ議論になってきています。

 今日の坂東教授のお話についての、会場からの質問でも、消費者相談の現場の感覚と立法作業とのすれ違いのような実態を教えていただき、消費者法には限りませんが、今の社会の動きの激しさ、立法作業の難しさを実感することとなりました。

 大変難しい問題がありますが、だからこそ、現場の相談員の方々と法律研究者、そして、我々法律実務家のしっかりした連携が必要であることを再認識した次第です。

2007年5月25日 (金)

内装用壁材のカルテルの課徴金

 昨日、ビル等の内装工事用壁材(けい酸カルシウム板)の製造販売業者2社に対し、公正取引委員会は、独禁法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定に違反するとして、排除措置命令及び課徴金納付命令を出しました。

 ニチアス株式会社(課徴金3億8120万円)と株式会社エーアンドエーマテリアル(課徴金3億4555万円)の2社(合計7億2675万円 )です。

 この2社の課徴金については、自主申告に基づく課徴金減免制度(リニエンシー)が適用されており、両社とも30%の減額を受けています。
 これは、公取委による調査開始後に申告をしたものと思われます。

 なお、この事件とは別に、今月に入って、次の案件でも、この課徴金減免制度が適用された事例が公表されています。

 近畿地区における天然ガスエコ・ステーション建設工事の入札参加業者に対する課徴金納付命令に関する件
 株式会社神鋼エンジニアリング&メンテナンス(全額免除)
 住友金属工業株式会社 (減額50%)

 なお、課徴金減免制度については、公取委HPへ
       → http://www.jftc.go.jp/genmen/genmen.html

2007年5月24日 (木)

『国際ジャーナル』のつづき

 ブログやホームページでは、アクセス解析ということができ、例えば、グーグルやヤフーというような検索サイトから、どういうキーワードで検索して、こちらに訪れて来られるかということを把握することができます。

 このブログを検索サイト経由で来ていただく訪問者のうち、結構な割合で、「国際ジャーナル」とか「国際ジャーナルの取材受けました」という検索キーワードで検索されて来られる方がおられます。

 私のブログで該当する記事は、次の4月9日11日の分なんですけど、1ヶ月以上たった今でも、これで来られる方がコンスタントに続いています。(リンクしておきます。)

 『国際ジャーナルの取材受けました』という話(4月9日)

 もうひとつの「国際ジャーナル」(4月11日)

 で、この4月9日の分に、今日(5月24日)になって、新しくコメントをいただきました。
 そっちを見てもらえばいいのですが、面倒な人もいるでしょうから、後にそれを掲載しておきます。ただし、これは匿名のコメントで、どういう方が書かれたか全く知りませんし、内容につき私は確認できていません。その真偽については、それぞれでご判断・ご確認ください。
 発行元の国際通信社さんのほうで、これは間違いだ、ということであれば、私宛に訂正の申し入れをしていただければ、確認のうえ、訂正記事ならびに正しい料金表を貼り付けさせていただきますので、よろしく。

 それにしても、あれ以来、気をつけているのですけど、銀行やホテルのロビーに、「国際ジャーナル」を置いてるのを見たことないし、もちろん、本屋でも見たことないのですがね。このへんも、あそこに置いてますよ、という情報があれば、お教え下さい。

 それと、私に具志堅用高さん連れて取材に来ようとしたときの、関西の法律事務所・特許事務所の特集の号はもう出たのでしょうか。もし出てれば、本屋で1冊、買いたいので教えて下さい。でも、あんまり高けりゃ嫌よ。

【コメントの内容】
 まずは電話で掲載料はA4の半分で79000円を基本にしています。と言われます。そして取材が終わると料金表を見せてA4・1ページにインデックスA4の1/3の大きさのセットで約40万円A4が2ページで約60万円、さらにカラーだと約10万円の費用がかかるそうです。さも7、8万円で済むような話に見せかけて取材後、驚くような金額表を見せられるといった構図です。お金を使っても取材を受けたい人はそれでいいですけど、結構安いからと思った人は後で後悔しますのできちんとした見積もり表を送るようにされたほうがよいと思います。

  ※太字、下線等、文字の修飾は川村の責任です。

2007年5月23日 (水)

催告後の債務承認と民法153条(時効談義:その9)

 3月8日に書いた「時効談義:その3」の後半部分に、「『催告』から6ヶ月以内に、訴訟などの法的手続をしなければ、せっかく催告して時効を中断させた効力がなくなります。」としています。これは、民法153条の規定の説明です。昨年、これについて興味深い判決が出ています(判例タイムズ1229号)。

 さて、正確には条文上、「催告は、6箇月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、和解の申立て・・(中略)・・をしなければ、時効の中断の効力を生じない。
となっています。
 そして、この「裁判上の請求」以下に列挙されている事由の中には、「債務の承認」は入っていません。
 したがって、素直に法律を読めば、催告の後、6箇月以内に「債務の承認」を債務者がしても、それが時効期間満了後であれば、催告による時効中断効は認められないという話になります。(下の1審判決はこの立場で、時効成立を認めた。)
 つまり、「債務の承認」は独立の中断事由にはなるが(民法147条3号)、153条の事由には該当しないことになります。私も債権回収関係の仕事をするときに、それを前提としてアドバイスなどをしていました。
(もっとも、時効期間満了後に「債務の承認」があった場合は、この議論とは別に、債務者側が「時効援用権の放棄」を行ったとして、時効主張ができなくなるという可能性はありますが、これは別の問題です。下記高裁判決も理由中に触れています。)

 しかし、昨年、大阪高裁は、「債務の承認」でもよい、とする判断をし、これに対する上告受理申立について最高裁は不受理の決定をしました。

 1審 神戸地裁尼崎支部 平成18年1月23日判決
     (民法153条を文字通りに解釈して、原告勝訴。)

 2審 大阪高裁第7民事部 平成18年5月30日判決
     (下記の理由で、催告による時効中断を認めて、
      1審判決を取り消して、原告側の請求棄却。)

民法153条は,債権者の催告について,債権者が正規の中断事由によって補強することにより時効中断の効力を認めるものであって(略),正規の中断手続をとるのが遅れることにより時効が完成するのを防ぐ便法として機能することを期待して定められたものと解される。そうであれば,債権者の催告について,債務者の行為による正規の中断事由である承認(これは権利の存在を明確にする事由である。)を,債権者の行為による正規の中断事由と区別する理由はないというべきである。実際上も,債権者の催告に対して債務者が承認した場合には,債権者は債務者において債権の存在を前提とした対応をするものと期待するのが当然であって、債権者に更に催告後6か月以内に正規の中断事由をとることを要求することは,難きを強いるものというべきである。

 大審院昭和4年6月22日判決(民集8巻597頁)も,民法151条に関し,「一箇月内ニ訴ヲ提起スルニ非サレハ時効中断ノ効力ヲ生セストアルハ其ノ一箇月ノ間更ニ強力ナル中断原因ノ生セサルコトヲ前提トスル法意ナルコト同法第153條ト其ノ軌ヲ一ニセルモノ」と説示し,民法151条の文理にかかわらず,上記期間内にされた承認による時効中断を認めた。 

 また,承認は,権利の存在を義務者自身が認めるのであるから,権利を時効により消滅させることの正当性を大きく失わせるということができ,訴えの提起等による時効中断と効力に差を設けるのは,不当であるということもできる。

 なお,最高裁判所昭和41年4月20日判決(民集20巻4号702頁)によれば,時効が完成した後の承認は,その承認をした者の時効の援用権を失わせるのが通例となるから,承認による時効中断を認めなくても同様の結論になるかにみえる。しかし,時効の援用の可否は,援用権者ごとに判断されるから,本件のように,主債務者が債務を承認し,連帯保証人などが時効を援用する場合には,連帯保証人などによる時効の援用は,主債務者による承認を根拠としては否定されないこととなり,主債務者の承認による中断を認める場合と結論が同一になるとはいえない。

 以上によると,催告後6か月以内にされた承認によっても,民法153条が定める催告による時効中断効が生じると解すべきである。」

  ※上記事例は、平成16年民法改正前の条文に関するものです。
   本件の解釈では、改正前後で変わりはないと思いますが、念のため・・    

2007年5月21日 (月)

し尿・汚泥処理施設談合の課徴金 etc.

 先般は、し尿・汚泥処理施設工事の談合事件に関して、その刑事判決について整理しましたが、ついでに、今年初めに出された課徴金納付命令について、最近の高額課徴金事件と一緒にまとめておきます。
 当然ながら、この課徴金は刑事判決での罰金の支払とは別に支払わなければならないものです。

 公正取引委員会は、独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)に違反する行為を行ったとして、平成19年1月16日、関係11社のうち既に事業を取りやめている事業者を除く4社(アタカ大機、西原環境テクノロジー、タクマ、三井造船)に対し排除措置命令を、11社のうち下記7社に対し、課徴金納付命令(合計20億7189万円)を行いました。 

 アタカ大機        2億7502万円
 西原環境テクノロジー 1億0275万円
 クボタ           6億0233万円
 栗田工業株式会社   3億2886万円
 JFE エンジニアリング  3億2256万円
 荏原製作所       2億8224万円
 住友重機械工業      1億5813万円

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 なお、橋梁工事談合事件では、昨年3月に50社に対して合計129億1048万円課徴金の納付命令が出されています。

 また、ごみ処理施設工事の談合事件では、本年3月に、三菱重工業(64億9613万円)、JFEエンジニアリング(57億3251万円 )、川崎重工業(51億6558万円)、日立造船(49億 0102万円)、タクマ(47億0265万円)の4社に対して合計269億9789万円という多額の課徴金納付命令が出されています。

【追記】
 さっき、日経のサイトを見ると、経団連が今日開いた自民党と政策を語る会の中で、官房長官の(独禁法の見直し検討中の)私的懇談会が「課徴金の対象範囲拡大や水準の引き上げなど、さらなる制裁強化に焦点をあてて議論をしている」と不満を表明した、とのこと。

 いろいろ意見はあっていいと思いますが、素朴な疑問として、課徴金の額や刑事罰を含め制裁強化がこれまでも続けられてきたにもかかわらず、どうして同じ企業たちが、何度も何度も談合を繰り返すのでしょうかね。
 多くの株主もこれを咎めていないのが実情です。
 普通に考えれば、高い課徴金罰金を支払ってでも止められないだけの企業利益があるとしか思えません。これは、人ごとではなく、公共工事の場合、その違法な企業利益というのが、国民全員の税金から出ていることを忘れてはいけないと思います。

2007年5月18日 (金)

ラジオショッピングと不当表示

 実際は、牛のサーロインの肉に牛脂などの添加物を注入する加工を行ったものを、飼育により「サシが入った」肉であるかのようにラジオショッピングなどで宣伝していた株式会社テレマートの行為に対して、5月18日、公正取引委員会は、景品表示法第4条第1項第1号(優良誤認)の規定に違反するとして、排除命令を行いました。 
 → http://www.jftc.go.jp/pressrelease/07.may/070518.pdf

 同社が販売する「牛サーロインステーキ」について、ラジオ放送において、「ステーキって、いつの時代も、私たち日本人の憧れ!今日は、そのステーキの中でも、特に!肉質の「柔らかさ」にこだわりましたよ!」、「 ご年配の方にも、美味しく召し上がっていただくために、オージービーフを特殊な技術で加工。とびっきり柔らかい部分、キメ細かなサシの入った、見た目も美しい、極上の部分だけを、厳選してご用意しましたよ。」、「 牛肉のとびっきり柔らかい部分だけ!キメ細かなサシの入った、極上の部分だけを厳選した『牛・サーロインステーキ』」などといった宣伝をしていたというもの(他に新聞広告も対象になっています。)。

 最近の同じような事件では、加工した成形肉なのに、生肉であるかのようにメニューやポスターなどに表示した行為に対して平成17年11月に景表法違反として排除命令が出された「フォルクス」の事件がありました。
 ただ、今回の事件は、テレビやラジオのショッピング番組が盛んに放送されている中、ラジオショッピングの放送内容が不当表示とされたものですので、参考のため、載せておきます。

橋梁工事談合事件の刑事事件

 今朝、し尿汚泥施設談合事件刑事判決を投稿したばかりですが、今日、東京高裁で、鋼鉄製の橋梁工事談合事件(国などが発注)で、3社に罰金計16億円、社員2人は懲役1年という検察の求刑がなされたようです。もちろん、求刑ですので、結論は後日の判決待ちです。

 内訳は、三菱重工業宮地鉄工所に各7億円新日本製鉄2億円の求刑で、三菱重工と宮地の担当社員2人に、それぞれ懲役1年の求刑。

 この事件では、既に、昨年11月10日東京高裁が、他の23社に総額64億8000万円(各社6億4千万~1億6千万円)の罰金刑、担当者8人に執行猶予付きの有罪判決を言い渡しており、全て確定しています。 この判決では、発注側の元道路公団理事が懲役2年執行猶予3年横河ブリッジ担当社員に懲役2年6月執行猶予4年が言い渡されるなど担当者らも有罪となっています。会社の罰金の最高額は、6億4千万円で、談合組織の常任幹事だった横河ブリッジ川田工業に言い渡されたもの。

 なお、この橋梁談合し尿汚泥施設談合の両刑事事件の両方で有罪判決を受けているのが、
  住友重機械工業
  JFEエンジニアリング
  三井造船
  日立造船

の4社です。

JFEのし尿・汚泥施設談合の刑事事件判決

 大手プラントメーカー11社による汚泥・し尿処理施設工事をめぐる談合事件独占禁止法違反(不当な取引制限)の刑事事件判決が大阪地裁で続々と出ているというのは、このブログの4月24日付「汚泥・し尿処理施設談合の刑事事件判決」に書きました。

 昨日、残っていたJFEエンジニアリングに関して判決が出たようです。判決内容は、JFEエンジニアリングに罰金1億2000万円、同社担当社員に罰金170万円。

 前にも書きましたが、整理のため、他社の一審判決を再掲しておきます。報道によれば、以下の判決は、全て確定しているようです。

 4月23日、クボタには、罰金2億2000万円、同社担当社員に懲役1年6月・執行猶予3年。
 三井造船には、罰金7000万円、同社担当社員に罰金140万円。

 3月29日、荏原製作所に対しては罰金2億円。この事件では、同社担当社員1名に対しては、独占禁止法違反および贈賄の罪で懲役2年6月・執行猶予4年、別の担当者には、贈賄の罪で懲役1年6月・執行猶予3年となっています。(賄賂は市会議員に対してのものです)
 三菱重工業には罰金8000万円、同社担当社員に罰金160万円、タクマには罰金7000万円、同社担当社員に罰金140万円。

 3月22日、住友重機械工業に罰金1億6000万円、 同社担当社員に懲役1年4月・ 執行猶予3年。
 西原環境テクノロジーには罰金7000万円、 同社担当社員には罰金140万円。 

 3月19日、日立造船に対して、罰金8000万円、同社担当社員に罰金160万円の判決。

 3月15日、アタカ大機(旧アタカ工業)に罰金1億6000万円、同社担当社員に懲役1年4月・執行猶予3年。

 3月12日、栗田工業に罰金1億6000万円、同社担当社員に懲役1年4月・執行猶予3年の判決。

2007年5月16日 (水)

酒の製造・販売免許制度と果実酒

 自家製果実酒を宿泊客に提供している北海道ニセコ町のペンションが、違法だとして、税務署から没収・廃棄処分を通告されているらしいですね。厳密には違法ですが、どこでもやってそうな事なんですけど、なぜか目をつけられたのですね。

 だいたい、酒を勝手に造ったり売ったりしてはいけないということを法律で決めているのは、別に国民の身体の健康を守るためでもなく、酔っぱらいが危害を加えるのを防ぐためでもありません。税金を取るためです。そもそも明治政府が多額の軍事費をまかなうために酒税に目を付け、そして税収確保のために国民が勝手に作れないようにしたものです。だから、今でも、酒税法によって税務署が取り締まるわけです。

 アルコールに果物を漬け込むだけで新たに発酵をさせないタイプの果実酒(普通の梅酒のようなもの)についても酒税法の対象外というわけではなく、一定の規制が及んでいます。詳しくは省略しますが、酒税法43条1項、9項、10項、11項あたり(みなし製造)をご覧ください。なお、このタイプのものを一般的には「果実酒」と言ってますが、酒税法3条8項の定義する「果実酒等」はちょっと違いますので、酒税法を読まれる場合にはご注意下さい(ワインなどです。)。

 また、自分で酒造りを合法的にするために酒造免許を取ろうと思っても、法律で決められた量を製造することが免許の前提になっており、これが結構大きな数字で、とても自家製造の範囲の量ではありません。したがって、個人的に酒造免許を取ることは事実上無理です。

 私も酒は好きですし、かつて実験的に自分でワインのようなものやどぶろくを作ったこともあります(もちろん時効)。発酵してブクブク泡がでてくる様子などを見ていると、「酒を醸(かも)しているんだ」というちょっと感動的な気分も味わえるし、バイオ実験として子供の教育にもなると思うのですけどね。少量の製造については、せめて自家消費だけでも規制からはずしていいと昔から思っています。

 これらを規制からはずしても、実際には市販しているようなおいしいワインや酒ができるはずもありませんし、このごろの安いワインなどを考えればコスト的にも全く見合うものではありませんので、酒造業者に打撃を与えたりすることもあり得ません。また酒税収入の面から見ても影響はないでしょう。

 実際にワインやどぶろくを作ってみると、業者の作っているおいしいワインや日本酒が、いかに芸術品かということがよくわかりました。くどいようですが、もちろん時効の過ぎた話ですよ(笑)。

【追記】(12/26)
 これに関連した報道がまたあったので、「船場吉兆の梅酒製造販売と酒税法」というのを12月25日付で書きました。

【追記の追記】(08/5/1)
 改正関連です。
  → 「『租税特別措置法』と『酒税法(^^;)』」(08/4/29)

また、住民データの流出

 読売などの報道によれば、愛媛県愛南町が、住民2万人分以上の個人情報のネット上への流出を発表した、とのこと。町民の名前、住所、転入や転出の履歴、金融機関の口座番号などのデータとなっており、この点でも、かなり問題のある流出事件です。

 同町が2004年10月の町村合併にあたり、住民基本台帳などのデータを一本化する作業を委託した業者の担当者のパソコンファイル交換ソフトが入っていたらしく、このパソコンから流出した可能性が高いとされています。

 他人のデータを預かるパソコンにファイル交換ソフトを入れること自体、基本的に間違っています。本来は、このような第三者の重要な多数のデータを、ネットにつながれたパソコンに保管することだけでも、充分慎重に考えなければならないのではないかと思います。ソフト開発業者なのだから、それくらいの配慮がなされて当然でしょう。

【追記】5月18日

 どうやら、全住民の住民基本台帳のデータが流出したようですね。おまけに、山口県旧秋穂町(現山口市)の住民の個人情報も、同じ山口市の情報処理会社山口電子計算センターから流出したらしいことも報道されています。

 愛南町が委託した電算処理会社が契約に反し、山口電子計算センターに下請けに出していた可能性が高いとのこと。そこの社員がデータを自宅に持ち帰り、ウィニーを入れたパソコンにコピーしていたようです。

 長久手の立てこもり事件の報道で一色になっていますが、この事件も個人情報の流出事件としては大事件ですね。

2007年5月15日 (火)

「はちみつ」表示事件のつづき

 地味な事件と思ってましたが、今朝のフジ系ワイドショー「特ダネ」では、結構、この「純粋はちみつ」事件を大きく取り上げてましたね。公取委からの天下り問題なども含めて結構面白かったです。

 今日は、農水省が表示調査を全国で実施すると発表したとも報道されており、不適切な表示がないか調べて、日本農林規格(JAS)法に基づいて問題が見つかれば、改善指示や業者名の公表を行うとしています。

 昨日も書いたのですが、「公正取引協議会」というのは、結局は業界団体です。それが、ちゃんと自主ルールを守ることをチェックできない事例が一つでも発覚したのですから、蜂蜜業界だけではなく、他の業界の「公正取引協議会」についても、公取委が今回、厳重に調査するのは当然。ジェットコースターでも、関係当局は、あわてて検査しているのと同じ事。

 お役所だけでは充分ではないので、民間に任せる、ということ自体は、悪いとは思いませんが、耐震偽装にせよ、この事件にせよ、業界に任せているだけではダメというのは初めから分かっていること。そこをチェックできなければ、役所側の責任にもなります。

 ひとまず、この「公正競争規約」というのは、景表法12条1項で(前回最初に改正前の10条と記載してスミマセンでした)「事業者又は事業者団体は、公正取引委員会規則で定めるところにより、景品類又は表示に関する事項について、公正取引委員会の認定を受けて、不当な顧客の誘引を防止し、公正な競争を確保するための協定又は規約を締結し、又は設定することができる。これを変更しようとするときも、同様とする。」とされているものです。

 そして、同条の3項では、「公正取引委員会は、第1項の認定を受けた公正競争規約が前項各号に適合するものでなくなつたと認めるときは、当該認定を取り消さなければならない。」とされています。本件は、これも視野に入れていなければなりませんね。

2007年5月14日 (月)

混り物の「純粋蜂蜜」を許した「公正取引協議会」

 これも消費者を馬鹿にしたニュース。
 「純粋はちみつ」と表示された商品について、社団法人「全国はちみつ公正取引協議会」が、人工甘味料などが混ぜられた商品を見つけたにもかかわらず、再調査や公取委への報告など「公正競争規約」に基づく措置を怠っていたということです。
 → はちみつの公正競争規約 http://www.jfftc.org/cgi-bin/data/bunsyo/A-6.pdf

 調査や報告が不十分だったというだけでなく、加盟業者への遠慮もあるということを認めたようで、要するに仲間内のかばい合いです。

  「公正競争規約」というのは、景品表示法(景表法)12条で、公取委の認定を受けて、事業者又は事業者団体が景品類又は表示に関する事項について自主的に設定する業界のルール
 単に自主ルールというだけではなく、法律に基づいた公取委の認定を受けたという「お墨付き」をもらっているのです。それだけに、公正競争規約に基づいてする事業者又は事業者団体の行為には、独占禁止法の手続規定は適用されない(景表法12条5項という規定があるくらいで、その自主ルールによる運用について、業界の団体を信頼して、それぞれの業界の実情にあった具体的で、明確な規制が可能となるということが法律上の制度として期待されているものです。(※最初、この記事で、改正前の10条と表記していました。お詫びして訂正いたします。)

 そして、この制度によって、これを守る事業者に対する消費者の信頼を高め、公正競争規約を作った業界全体に対する消費者の信頼も高めることができるとされています。別の面から言えば、いろいろな業界があり充分に公取委の監視が行き届かない中で、業界の自主的な監視活動に信頼を置いて、消費者に対する表示の適正をチェックさせ、景表法の実効性を高めるためのものです。

 にもかかわらず、それを担っている業界の公正取引協議会が、表示の適正よりも加盟業者のかばい合いを優先したというのが今回の事件です。決して単なる一企業の不当表示事案とは意味合いが違う。公正競争規約の制度の根幹に関わるものなので、公取委の厳正な処分が必要であると思います。

2007年5月12日 (土)

公取委 団体訴訟制度研究会(第1回)

 これは完全に私の個人的メモ書き。
 来月から施行される消費者契約法上の団体訴訟(団体訴権)制度に引き続いて、独占禁止法でも消費者団体などによる団体訴訟制度の導入を検討する研究会の第1回が開催されたものです。

団体訴訟制度に関する研究会(第1回 5月7日) 公取委HPより

 議題  (1)改正消費者契約法について
       (2)海外における団体訴訟制度について
       (3)研究会において議論すべき論点等について 
           次回 5月24日(木)
   どうやら(損害賠償は含めず)差止請求に絞る方向ですね。

 研究会メンバー
  鹿野 菜穂子 慶應義塾大学大学院法務研究科教授
  川濱 昇   京都大学大学院法学研究科教授
  古城 誠   上智大学法学部教授
  泉水 文雄  神戸大学大学院法学研究科教授
  宗田 貴行  獨協大学法学部准教授
  角田 真理子 明治学院大学法学部准教授 
  三木 浩一  慶應義塾大学大学院法務研究科教授
  御船 美智子 お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科教授
  山本 豊   京都大学大学院法学研究科教授 

  配布資料
  資料1  消費者団体訴訟制度説明会資料
  資料2  諸外国における独占禁止法に関する団体訴訟制度の現状
  資料3  団体訴訟制度に関するこれまでの動き

2007年5月11日 (金)

石景山遊楽園とRecord China

 例の石景山遊楽園に対して、北京市当局から是正命令が出され、ディズニーキャラクターの使用を中止したなどと、「Record China」が報じています。

 →  http://www.recordchina.co.jp/group/g7892.html

 遊楽園のことについてはたぶんこの週末にテレビなどで報道されるでしょうから、そちらに任せるとして、私はどうもこの「Record China」というのが気になっています。(ここは、今回の件で初めて知ったので、以下は単なる私の個人的感想です。)

 サイトには、「Record China は、写真付き・中国ニュースの専門通信社です。このサイトでは、写真データの使用許諾権を販売しています。」と書いてあります。で、使用許諾権を販売するということで、サイトの上部には、特定商取引法による表示のボタンまであります。つまり、写真のネットショップにもなっているわけです。

 ただ、今回の石景山遊楽園の是正命令の記事に付けられている写真は、どう見ても、大型遊具機械の設置か取り壊しの写真であって、ディズニーキャラクターの使用中止などとは無関係でしょう。

 昨日でしたか、中国のどこかの遊園地か何かで、シマウマと称して、ただの白い馬に塗料で縞を書いただけというような記事を報じて、その馬の写真を掲載していました。それが、他のブログでも話題になっているようですね。
 そして、さっき見たら、サッカーをする鶏という記事もありましたが、あの写真は、サッカーボールの周りで鶏を遊ばせておいたら撮影できると思いますが・・・・
 こんなのも含めて、何となく、一般の通信社の報道というよりは、私には、ネット上で受けそうなネタ話を写真付きで流しているように見えてしまいます。その報道内容や写真について、完全に信用してブログネタにしてもいいものかどうか、ちょっと考えてしまいますねぇ。

2007年5月10日 (木)

家電量販店の優越的地位の濫用

 今日、家電量販店最大手のヤマダ電機に、公正取引委員会が立入検査に入ったと報じられています。

 これは、家電商品を納入している複数のメーカーに対して、店への販売員「ヘルパー」の派遣を強要していた疑いによるもので、独占禁止法違反(不公正な取引方法:優越的地位の濫用)に該当することになります。この派遣販売員の人件費はメーカー持ちと見られます。

 ヤマダ電機は、今年になって大阪市内の大型店舗でのメーカー派遣「ヘルパー」の就労に関して、大阪労働局による調査の結果、職業安定法違反(労働者供給事業の禁止)と認定され、是正指導されています。
 そして、この件で、衆議院経済産業委員会での議員の質問に対して、竹島公取委委員長が「・・ガイドラインに抵触するような場合には、きちんと対応していくつもりでございます。」と答弁しています。

 ここでいう「ガイドライン」とは、平成18年6月に公表された「家庭用電気製品の流通における不当廉売,差別対価等への対応について」(いわゆる「家電ガイドライン」)のことで、不当廉売等の行為の他、上記のような優越的地位の濫用についての考え方も示しているものです。
    概要 → http://www.jftc.go.jp/pressrelease/06.june/060629.pdf

 なお、家電販売に限らず、大規模小売業者に関しては、平成17年に「大規模小売業者による納入業者との取引における特定の不公正な取引方法 」(大規模小売業告示)という公取委告示が出されています。
    概要 → http://www.jftc.go.jp/daikibo.pdf 

2007年5月 9日 (水)

NTT東日本が審決取消訴訟を提起

 先日(4月16日)投稿の記事「NTT東日本に対する審判審決」で、Bフレッツの提供に関して、私的独占に該当するとした公取委違法宣言審決(3月26日)が出たことを紹介しました。その続報です。

 4月26日、この審決に対して、NTT東日本(東日本電信電話)は、同社のホームページで、「当社の行為が私的独占に当たるとは考えておらず、本審決における判断には納得できないことから、本日、東京高等裁判所審決取消訴訟を提起いたしました。」と公表しています。

 既に終了しているサービスに関する審決であり、排除措置命令は出されず、過去の行為についての違法宣言のみが内容となっている審決ですので、このままかなと思っていたのですが、NTT東日本としては、あくまでも違法性の有無について争うという姿勢ですね。

2007年5月 8日 (火)

20数年前のディズニーに関する判決

 マスコミでもネット上でも、中国北京の石景山遊楽園のニュースがまだ盛り上がっているようですが、ディズニーがらみでは、こういう判決がありましたね。これは不正競争防止法に関する結構有名な判決です。
 もちろん、国も違いますし、対象となる行為も違いますので、この判決があるから、石景山遊楽園がどう、とかいう話では全くありません・・・かな。 

 さて、これは、東京地裁で、ウオルトディズニープロダクシヨンズが原告となり、ある個人を被告として、被告が営業の名称に「ディズニー」などを使うことや、ディズニーキャラクターらの図柄の使用禁止(差し止め)や損害賠償などを請求した事件です。

 東京地裁昭和59年1月18日判決(標章使用差止等請求事件)

 この事件の被告は、実はいわゆる「おとなのおもちゃ屋(アダルトショップ)」であり、「ポルノランドデイズニー」という屋号で営業をしていたもので、ビデオ販売や本などを含めたアダルトグッズの販売の他にマッサージの営業までしていました。(この争いの途中で、ちょっとだけ屋号を変えてるんですが、それは省略)

 ところが、被告は争いをあきらめたのか、簡単な答弁書を出しただけで、裁判所に出頭しなかったようです。しかも、その答弁書請求原因事実に対する認否を記載していなかったため、民事訴訟法上の「擬制自白」が成立し、いわゆる「欠席判決」として、原告代理人弁護士の主張内容が全て認められ、差し止めと700万円の損害賠償を命ずる判決が出されたものです。

 ところで、この裁判は、不正競争防止法違反を法的根拠とするものなんですが、現在の不正競争防止法であれば、ディズニーのような世界的ブランドは、「著名表示」についての規定が適用されるので問題は少なかったのですが、当時の同法にはこの規定がありませんでした。
 そこで、一般の営業表示の場合と同じように「(誤認)混同」の要件が必要となりました。そこで、原告訴訟代理人としては、どうしても双方の営業の「(誤認)混同」を言わなければならないのですが、本来のディズニーの営業と、被告のアダルトショップでは明らかに別の営業であるという点が大きなネックになりますので、この点について、以下のように主張しています。

 「『デイズニーランド』が、『夢と冒険と魔法の世界』といわれるのに対し、同じように、セツクスに関する『大人の夢』を実現するランドとして一般に宣伝する等被告の営業を原告の営業と関係づける工夫を積極的に行つている。したがつて、一般世人に、原告が、被告の営業に何らかの形で関与しているかのように誤認混同されるおそれがあり、原告の営業イメージは、被告の営業と混同されることにより・・・・」

2007年5月 7日 (月)

熟年離婚と年金分割

 このブログでは、情報法だ、独禁法だ、知財だ、と書いてますが、結構うちの事務所でも、離婚やら相続やら親子関係やらの家事事件の取扱の割合はかなり多いのです。で、今日はそのお話です。

 その中で、このところ、自治体の法律相談を含めて、やはり、年金分割制度の話を知っての熟年離婚というか、中高年離婚について女性側からの相談がよくあります。マスコミでもよく取り上げられている団塊世代の大量退職年金分割制度の実施を待っての女性側からの離婚という流れです。報道だけではないのだな、というのが実感です。

 この年金分割の制度についての説明は今回は省略しますが、年金分割制度だけでは大した利益にならないことも多いですし、まだ、過渡的な制度の段階であることも知っていただきたいところです。
 それと、相談をしていて、ここ半年ばかり私が気になっているのは、奥さんの側が、離婚できることを前提に相談されていること、と、慰謝料財産分与は考えずに年金分割のことだけを考えておられることなのです。

 しかし、夫側が離婚を拒否しているとなると、離婚は簡単にできるものではありません。家庭裁判所での調停裁判が必要ですし、これまで、「積年の恨み」という腹の中の憤りは充分あるとしても、長年の間、夫は何も思わずに平穏な夫婦生活を送っていたとなると、簡単に妻の希望だけで離婚はできません。
 一方だけの思いで離婚するには、裁判で離婚を認めてもらわなければならないのです。そのためには、民法上の法定離婚事由というのが必要なのですが、長年、奥さんが一方的に黙って我慢してきたという場合には、必ずしも簡単に認められるものではありません。
 ですから、年金のことより、第一にそのことを十分に検討していかなければなりません。

 また、結構、夫側に財産がある場合に、年金分割の額よりは、慰謝料財産分与の金額を十分に考えた方がいいのに、単純に年金のことだけでいいと思っておられる女性の方もおられるのですね。

 今回の年金分割の制度は、確かに大きな制度改革ではあるのですが、離婚の本質を変えるものではありませんし、慰謝料財産分与といった一時金の大切さも変わるわけではありません。したがって、年金分割ができるようになったからといって、熟年離婚が容易になったわけではないことは充分に認識していただいたうえで、まずは老後の生活設計と離婚についての夫の対応を自分で考え、次には夫婦でよく話し合って、広い視野で離婚と今後の生活を考えて進んで行っていただきたいと思う次第です。

「マリンホース」の国際的価格カルテル事件

 タンカーから陸上施設への石油輸送などに使われる「マリンホース」の販売に関して、メーカーの価格カルテルの疑い(独占禁止法違反:不当な取引制限)で、公正取引委員会が、ブリヂストン横浜ゴムなどメーカーに立ち入り検査に入ったと報じられています。

 このマリンホースのカルテルについては、先日、アメリカの司法省が、米欧の石油大手や米国防総省などへの販売におけるカルテルの疑いで、ブリヂストンの化工品海外部長を含む英国、フランス、イタリアの企業社員計8名を逮捕しています(ブリヂストンの発表では、同社社員はその後釈放)。

 ブリヂストンのホームページによれば、アメリカの司法省だけでなく、英国公正取引局欧州委員会も捜査を開始したとの情報を得た、となっています。日を置かずに今回、日本の公取委も調査開始となったわけで、おそらく、国際的に協調した捜査(調査)活動が始まっているものと考えられますね。

【追記】(7/5)
 今朝(7/5)の朝日新聞が、「国際カルテル摘発、横浜ゴムの「自首」端緒 おとり捜査」と報じています。
 横浜ゴムの米司法省への自首・減免申請(リーニエンシー)が発端だったことがわかったという内容で、これによれば、米司法省は、申請受理後、同社の協力でおとり捜査を仕掛けて一斉逮捕につなげたとのこと。

【追記の追記】(08/2/13)
 この事件の発覚後の調査の中で、中南米や東南アジアなどの外国公務員に対する不適切な支払いが、少なくとも1億5000万円あったとブリヂストンが発表した、と報道されています。
 これについては、別記事(08/2/13付)「外国公務員に対する贈賄事件(不正競争防止法)」に書きました。

2007年5月 5日 (土)

石景山遊楽園(北京)

 さっき書いた知的財産権についての利益対立の話題に比べれば、先日からテレビなどで話題の石景山遊楽園(中国:北京市)の話題は、ほほえましく思えてしまう。

 ご存じない方は、「石景山遊楽園」で検索してみて下さい。

 しかし、思えば、閉園したドリームランド(私は横浜ではなく、奈良のドリームランド)は、ディズニーランドのぱくりという点では先駆的でしたね。物心ついた頃から親に連れて行ってもらった記憶があります。当時やっていたディズニーのテレビ番組の世界を模倣したような感じでした。随分経って親の世代になり(東京ディズニーランドも知ってから)、行ってみると結構笑えました。中でも、セメントで出来たワニや象が単純な動きをする中を船が進むジャングルクルーズもどきが一番好きでしたね。顔の所々が欠けていたりして・・・

 いずれにしても、遊園地は大人も子供も夢を見に行く場所。今日のエキスポランドのジェットコースターのような悲惨な事故は御免こうむる。あれではロシアンルーレットではないか。

【追記】
 今、Wikipediaを見てみると(もちろん、一般的にここに頼っていいかどうかの問題は置いといて)、奈良ドリームランドは、ウォルトディズニーが無償のノウハウ提供と技術者派遣をしたうえで、1961年開園(私は2歳)したとのことである。だとすれば、「ぱくり」という表現はまずい。
 古き良き時代のディズニーのエピソードとしては記憶しておきたい出来事ですね。 

治療薬の特許権無視を認める大統領令

 時事通信の報道では、ブラジル大統領が、米製薬会社が特許を持つエイズ(HIV)治療薬について、ブラジルでの特許権無視を認める大統領令を出したとのことです。

 これを見て、ちょっと調べてみたのですが、ブラジルやアフリカ諸国などとHIV治療薬の特許権という問題は以前からいろんな形で生じていたのですね(不勉強でした)。
 HIVで苦しんでいる被害者、特に経済的な力のない患者が、治療薬を使えないで命を縮めていくという社会的な状況をどうみるのか、その一方で、多額の研究費とリスクを負担して開発する製薬会社にとっては、その製品から利益を上げる必要も当然ながら無視するわけにもいかないし、無視されるならば、治療薬開発の意欲を削ぎ患者の不利益になるという逆の問題もあるわけですね。

 最近の著作権保護の論議でも同じことなのですが、人類の創造物を、人類全体の利益のために自由に利用できるようにしなければならない、という面と、新たな創造物を作った人の権利を保護しなければならない(言い換えれば、創造に向けてのモチベーション・動機付けですね)、という面の調和が求められることになります。

 自由経済の抱える矛盾なのでしょうね。私などが簡単に答えを出せる問題ではありませんが、一つだけいえることは、少なくとも、発明者、著作者の権利と言えども、必要以上に馬鹿げた利益を与える必要は全くない、ということくらいでしょうか。

2007年5月 1日 (火)

携帯電話の個人情報流出で、架空請求メール

 「詳細な個人情報を掲載した携帯メールにご注意!」国民生活センターが架空請求メールの事例を紹介していたのですが
 → http://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/keitai_tyui.html

 それに関連して、今日、朝日が報道しています。
 → http://www.asahi.com/digital/mobile/TKY200705010319.html

 今のところ、中国地方に集中しているようですが、総務省中国総合通信局によると、「携帯電話の関連会社の顧客情報が漏れた可能性が高い」とみているとのことです。どこの携帯電話会社の関連かは報道されてませんね。

 別の事件ですが、NTT西日本グループは、自社の社員の個人情報、約6万件を紛失していたと発表しています(4月24日)。関連会社の事務所移転時にノートパソコン1台を紛失したということであり、パスワード保護もされているらしいので、実際に第三者に情報が流出したかどうかはわかりません。紛失した情報には、氏名コード、氏名、年齢、所属組織、役職等の社員情報が含まれていたとしています。
 → http://www.ntt-west.co.jp/news/0704/070424a.html

 これらの事件に限らず、情報のセキュリティには他企業以上に注意しなければならない大手の電気通信事業者が、これまでにも種々の情報流出事件を起こしています。金融・信販関係も同じ。

 自衛隊や警察が、機密情報をどんどん流出させている現状から考えれば、私企業がこれくらい流出させるのは当然のことと諦めないといけないのでしょうか。

【追記】
 投稿後見つけたニュースです(時事通信)。
 「郵便のあて名情報流出」日本郵政公社が1日公表したところによれば、九州地区の私書箱利用者など59人分の住所・氏名などの個人情報が、保守委託先社員の個人所有パソコンからインターネット上に流出していた、とのこと。
 これも、基本の基本が徹底されていなかったようですね。

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