フォト

weathernews

ツイッターでつぶやく

無料ブログはココログ

« 正当防衛を認めた無罪判決 | トップページ | 独禁法・景表法の団体訴権導入について »

2007年4月25日 (水)

定期預金は時効消滅しないか?(時効談義:その8)

 新聞にも載った昨日24日の最高裁判決ですが、「定期預金、時効消滅せず」というように新聞記事見出しの最初がなっているため(通信社配信と思われるのですが)、定期預金は時効消滅しないのか、という風に、ちょっと誤解を受けそうです。そんなことはありませんし、この判決も、そういうことを言ってません。定期預金も時効消滅することはあります。
 ということで、判決の説明を兼ねて、久しぶりに時効談義の続き。民事上の消滅時効の問題の一例で、時効期間の起算点がどの時点かという論点になります。ちょうど、「時効談義:その7」で起算点の話をしたところでしたね。

 最高裁平成19年4月24日判決(最高裁ホームページ参照)

 この事件は、預金者(原告)が、自動継続定期預金の支払を求めたのに対して、支払を拒否する金融機関(信用金庫)側が、予備的な主張として、消滅時効を主張していたものです。
 で、定期預金ですから、通常は満期が来て支払を求めることになるわけですが、では、この預金を預金者に支払うという金融機関側の債務の消滅時効期間はいつから始まるのか、特に本件は自動継続定期預金という点がポイントになっています。自動継続ではない定期預金であれば、満期日以後はいつでも払戻を受けられますので、約定の満期日から時効期間が進行する(始まる)ということで問題はありません。

 なお、よほどのことがない限り、通常は、金融機関は時効を主張して預金の支払いを拒否することはないと聞いていますが、この件は、信用金庫が破綻して、営業譲渡先に預金の書類がなくなっていた特殊なケースのようです。

 第1審の地裁判決では、自動継続定期預金の最初の満期日から時効が進行するとし、既に時効期間が経過しているという理由で、原告の請求を棄却しています。
 ところが第2審の高裁判決は、原告からの預金解約申入れした後に来る満期日から進行し、まだ時効期間は経過していないとして、第1審判決を取り消して原告の請求を認容しました。本件最高裁判決は、この判断を維持したものです。

 ところで、このような預金の支払についての消滅時効期間は何年でしょうか?以下に概略の考え方を要点のみ触れておきます。しかし、商法上の「商人」とか「商行為」とか、一般用語と違う言葉の意味が重要になる問題ですので、実際のトラブル対応については(特に5年か10年かで結果が異なる場合)、専門家にお聞き下さる方がいいと思います。

 まず、本件では民事消滅時効(民法167条1項)として10年の時効期間が前提にされています。
 しかし、商法上の「商行為」によって生じた債権については、原則として商事消滅時効(商法522条)となり、期間が5年になります。ただし、本件の金融機関は信用金庫であり、信用金庫信用組合は、商法上の「商人」ではなく、もし預金者側も「商人」でなければ、預金債権は商行為によって生じた債権ではないでしょうから10年になるのです。
 しかし、預金先が銀行(商法上の「商人」)であれば、これに該当しますし、商人預金者側が「商人」だとすれば、信用金庫信用組合の場合でも、その間の取引は「商行為」とされて、商事消滅時効5年となります。なお、このあたりの考え方は、実態にそぐわないとして、異論もあり、立法的に解決すべきという意見もあることを付言しておきます。

 さらに蛇足で付け加えますが、金融機関に対する債務(要するに借入金の返済など)についての時効期間も、上の民事消滅時効か、商事消滅時効かによって、10年5年かという問題が生じます。通常は、こちらの区別が問題になることが多いです。

【追記】

 その後本年6月7日に同様の結論を取る最高裁判決が出ましたので、6月7日付にて投稿(時効談義:その10)しておきました。ご参考までに。

« 正当防衛を認めた無罪判決 | トップページ | 独禁法・景表法の団体訴権導入について »

ニュース」カテゴリの記事

法律」カテゴリの記事

裁判」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/183277/14842084

この記事へのトラックバック一覧です: 定期預金は時効消滅しないか?(時効談義:その8):

« 正当防衛を認めた無罪判決 | トップページ | 独禁法・景表法の団体訴権導入について »