フォト

weathernews

ツイッターでつぶやく

無料ブログはココログ

« 汚泥・し尿処理施設談合の刑事事件判決 | トップページ | 定期預金は時効消滅しないか?(時効談義:その8) »

2007年4月24日 (火)

正当防衛を認めた無罪判決

 正当防衛刑法36条1項)が認められて、無罪となるケースというのは、しょっちゅうお目にかかるわけではないので、下級審判決ながら紹介しておきます。

 奈良地裁平成19 年3 月27 日判決
 最高裁ホームページ下級裁判所判例集より

 検察官公訴事実の概略は、被告人(学生)が、大学構内で、他の学生であるAと口論となり、やにわにその顔面を手拳で数回殴打する暴行を加えて傷害を負わせたというもの(傷害罪の事案)。求刑懲役2年でした。

 なお、上記の学生Aも、被告人への頭突き行為により傷害を負わせており、罰金略式命令を受けているようです。

 本件の争点は、正当防衛の成否ですが、正当防衛の要件である、侵害の不正性防衛の意思行為の相当性という点については検察側も争わなかったようで、「侵害の急迫性が認められるか否か」という点に絞られています。

 弁護人は、本件では、Aを含む 3 名の学生が、多人数であることの威勢をもとに被告人に暴行を加えようと企てて、被告人を挑発して、Aが被告人に暴行を加えたのに対し,被告人が助けを求めたり退避する余裕もなく反撃した事案であり喧嘩闘争には該当しない、また、被告人の反撃行為は防御の意思に基づくものであって、積極的に加害行為をする意思に基づくものではなかったものであるなどの事実経過から、急迫性の要件を満たすことは明らかであると主張しました。

 一方、検察側は、本件は、双方が暴力を伴う喧嘩になったもので、Aからの攻撃があることを予期して、その場から逃走するなどして喧嘩を回避することが可能であったのに、喧嘩の機会を利用して積極的にAに加害行為をする意思をもって暴行に及んだ場合であって、急迫性の要件を欠いており、正当防衛は成立しない、としました。

 これに対して、裁判所は、「刑法36条が正当防衛について侵害の急迫性を要件としているのは、予期された侵害を避けるべき義務を課する趣旨ではないから、当然又はほとんど確実に侵害が予期されたとしても,そのことから直ちに侵害の急迫性が失われるわけではない。」としたうえで、「侵害の確実な予期がなく、侵害の単なる可能性を予期していたにすぎないときや、不意打ちといえるほど予想外の場面で侵害を受けたときは、たとえ行為者に積極的加害意思があったとしても、急迫性は否定されないというべきである。なぜなら、このような場合に急迫性を否定することは、行為者に回避義務を課すことになり、その分だけ不当に行為者の行動の自由を制約することになって」、刑法 36 条の趣旨を逸脱することになるからであるとしました。

 そして、本件では、被告人がAからの侵害行為を確実に予期していたとは認められず、急迫性の要件は否定されないとしています。認定事実については省略しますが、当事者らの供述の信用性について検討を加えたうえで、正当防衛を認め、無罪の判決を行ったものです

« 汚泥・し尿処理施設談合の刑事事件判決 | トップページ | 定期預金は時効消滅しないか?(時効談義:その8) »

法律」カテゴリの記事

裁判」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/183277/14831402

この記事へのトラックバック一覧です: 正当防衛を認めた無罪判決:

« 汚泥・し尿処理施設談合の刑事事件判決 | トップページ | 定期預金は時効消滅しないか?(時効談義:その8) »