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2007年4月の記事

2007年4月30日 (月)

『予想外』に高かった携帯電話の話

 携帯電話端末を分割払いで買うと割引が適用されるというソフトバンクモバイルの料金サービスをめぐり、苦情や問い合わせが相次いでおり、月額利用料が割引対象なのに、携帯端末が安くなるかのように販売店で説明されていることが原因であると報道されている。

 競争の激しい携帯電話の料金体系は、各社とも各種の割引制度がかなり複雑で、いろいろ読んだりした経験では、よくわからないのが実情と思います。私もそれなりに携帯電話や他の電気通信サービスのシステムについては知っているつもりですが、それでも、各社の料金体系の説明を完全に理解できないことも多いので、一般的なユーザーにとってもかなり難しいのではないかと思います。
 携帯電話の契約というのは、ITや通信の専門家や企業だけでなく、未成年者も含め、システムや契約についてはあまり知識のない人たちも多い国民全体を顧客にすることによって成立しています。そして、そのことによって、電気通信事業者は儲けているわけです。

 このような状況の中で、販売店がいい加減な説明をしたり、デメリットを隠してセールスしてしまうと、どうしようもないですね。情報の偏りを利用して、企業の「予想通り」に、お客さんが「予想外」な金額を支払わされているのでは。

 と、ここまで書いていて気づいたのですが、保険会社と顧客の関係も似たようなもんですかね

   (また蛇足でした)。

2007年4月28日 (土)

知的財産の利用に関する独禁法上の指針(原案)

 公正取引委員会が、昨日付で「知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針」(原案)を公表し、意見募集しています(6月7日締め切り)。

  → http://www.jftc.go.jp/pressrelease/07.april/07042702.pdf

 公取委は、平成11年に「特許・ノウハウライセンス契約に関する独占禁止法上の指針」 を公表して、特許・ノウハウのライセンスに伴う制限行為に関する独占禁止法上の考え方のガイドラインを出しているのですが、今回、考え方を示す対象範囲を広げたため、タイトルも変えて全面改定ということのようですね。

 今朝の某新聞の記事では、見出し冒頭が「パソコンソフト 独禁法の対象に」となってますが、これは表現がおかしい。何だか、これまではパソコンソフトの取引や契約が独禁法の対象になってなかったように受け取れてしまわないかな(記事をよく読めばちゃんと書いてあると言われればそれまでなんですけど。でも、あの見出しの後で、一般的な読者が読めばどうですかね。)。また、新聞記事に例として載っているソフトの抱き合わせ販売の事案は、「エクセル」や「ワード」のOSとの同梱販売等に関して、公取委がマイクロソフト社に対して排除措置を命令した平成10年の勧告審決事件の事例で、10年近く前の過去の事案ですので、これまで独禁法上、無視されていたわけではありません。
 それに、今回のガイドラインの対象拡大は、もちろんパソコンソフトだけの話じゃないし・・・・・

 指針(ガイドライン)というのは、これまでの規制を変更して新たな規制を作るものではなく、現在ある法律の解釈や運用を、お役所側から、具体的な事案についての考え方を明確にするなどしてわかりやすく、一般に示すものです。

 今回の改訂の主なポイントとして、公取委は、以下の4点を挙げています。

(1) 対象となる知的財産の拡大 
  特許・ノウハウに限らず、広く知的財産のうち技術に関するものを対象とした。

(2) 技術を利用させないようにする行為
  ライセンス契約に伴う制限についてだけでなく、技術に権利を有する者が技術を利用させないようにする行為についての記述を加えた。  

(3) 競争減殺効果の分析方法
  競争に及ぼす影響を分析するに当たっての基本的な考え方を、横断的に記述し、競争への影響が大きい場合及び競争減殺効果が軽微な場合の例を明らかにした。 

(4) 構成要件の横断的記述
  (3)の分析を踏まえ、競争の実質的制限と判断される場合の考え方及び公正競争阻害性が認められる場合の考え方を明らかにした。

2007年4月27日 (金)

掲示板中傷放置で、名誉毀損幇助

 読売新聞の報道によれば、 ネット掲示板に書き込まれた中学生への中傷を放置したとして、大阪府警は掲示板管理者の男名誉棄損ほう助の疑いで書類送検していたことがわかった、とのこと。

 → http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070427i305.htm?from=main3

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 女子中学生への中傷が実名や学年と一緒に書き込まれているのを知りながら、削除などの措置をしなかったという疑いのようです。

 ネット掲示板における誹謗中傷の横行は目に余るものがあり、しかも、報道を見る限りは最近は青少年の間での度の過ぎた悪質な書き込みも多いように思えます。これらの書き込みに対して、掲示板管理者が必要な対応をしなければならないことはもちろんと考えます。したがって、このような形で書き込みを放置していた場合に、刑事責任を問われなければならないこともあり得ることでしょう。

 ただし、その反面で、本来の表現の自由の萎縮につながらないよう、公権力の発動には充分留意しなければならないことも決して忘れてはならないですね。

『下請けいじめ』放送業界も特別調査

 タイトルの見出しの記事が今朝の朝日新聞に掲載されていました。公正取引委員会下請法(下請代金支払遅延等防止法)に基づいて調査をするとの報道です。
   (※下請法の概要は → http://www.jftc.go.jp/sitaukepamph.pdf )

 概要は、公取委が、放送番組・映像制作トラック運送金型製造について、下請法に基づく特別調査を行う、と発表した、公取委はテレビ局が下請制作会社に対して、必要な費用を負担せずに作り直しをさせるなどの問題があるとみている、というものです。

 記事だけではよくわからなかったので、ちょっと調べてみると、26日付で、公取委から「中小企業の公正な競争環境整備に関する公正取引委員会の取組について ~『成長力底上げ戦略』を踏まえて~」が公表されていました。
 →  http://www.jftc.go.jp/pressrelease/07.april/07042602.pdf
 

 これは、政府の「成長力底上げ戦略」(2月)において、下請取引の一層の適正化推進が取り上げられたことに基づき、中小企業の取引適正化に関して、これまでの取組状況と今後に向けた更なる取組について公取委が公表したものです。
 この全体については、後日取り上げるかもしれませんが、最初の朝日新聞に掲載された放送番組制作との関係だけに絞ると、この中で「第4  今後に向けた更なる取組」として「中小企業の適正な取引環境を整備するための取締強化 」が挙げられ、今年度に下請法特別調査を実施することにしています。
 そして、最近の下請法改正で新たに同法の適用対象分野とされた取引のうち、放送番組・映像制作に係る情報成果物の作成などについての委託取引を重点分野として、調査を行うこととして公表したものです。

 なお、公取委は、平成16年2月に「テレビ番組制作業における下請取引実態と改正下請法の内容 ─改正下請法の円滑な運用に向けて─ 」という報告を出しています。
 → http://www.jftc.go.jp/pressrelease/04.february/040213-2.pdf

 この放送番組の下請制作会社に対する問題は、単に弱い立場の下請会社の保護という面だけでなく、あるある大辞典の納豆事件で代表される一連の番組内容捏造事件の放送業界の構造的な原因にも直結する問題であると思われます。
 その点に関連して、オーマイニュース(OhmyNews)の4月21日付の吉岡忍氏インタビュー記事(「テレビのどこが問題か──『あるある』外部調査委員に聞いた(上)吉岡忍氏 『そのひと言いただき、が象徴する事実軽視の体質』」平野日出木)も下請問題について触れていて興味深いところです。
 → http://www.ohmynews.co.jp/news/20070421/10350

2007年4月26日 (木)

独禁法・景表法の団体訴権導入について

 本日の公正取引委員会ホームページに、独禁法景表法への団体訴権の導入についての研究会開催が公表されてます。

 もっとも、見てみると、一ヶ月程度の期間で報告書ということなんですが・・・・・・

 以下、ホームページから抜粋

 司法制度改革推進計画(平成14年3月19日閣議決定)や消費者基本計画(平成17年4月8日閣議決定)において,独占禁止法及び景品表示法への団体訴訟制度の導入について検討を行う旨が決定されており,また,平成17年の独占禁止法改正の附帯決議においても,不公正な取引方法の差止請求に関して,一層効果的な措置を講ずるための方策の一つとして検討を行うべきとされた。これを受けて,現在,公正取引委員会では,団体訴訟制度の導入に係る論点等について検討しているところであるが,同制度の導入に当たっては,訴権の種類訴権を担う団体対象とする違反行為の範囲といった論点について,結論を得る必要がある。これらの論点について検討するため,下記のとおり有識者から成る研究会を開催する。   

 スケジュール
  本研究会は平成19年5月7日に第1回会合を開催し,6月中を目途に報告書を取りまとめ,これを公表する。 

2007年4月25日 (水)

定期預金は時効消滅しないか?(時効談義:その8)

 新聞にも載った昨日24日の最高裁判決ですが、「定期預金、時効消滅せず」というように新聞記事見出しの最初がなっているため(通信社配信と思われるのですが)、定期預金は時効消滅しないのか、という風に、ちょっと誤解を受けそうです。そんなことはありませんし、この判決も、そういうことを言ってません。定期預金も時効消滅することはあります。
 ということで、判決の説明を兼ねて、久しぶりに時効談義の続き。民事上の消滅時効の問題の一例で、時効期間の起算点がどの時点かという論点になります。ちょうど、「時効談義:その7」で起算点の話をしたところでしたね。

 最高裁平成19年4月24日判決(最高裁ホームページ参照)

 この事件は、預金者(原告)が、自動継続定期預金の支払を求めたのに対して、支払を拒否する金融機関(信用金庫)側が、予備的な主張として、消滅時効を主張していたものです。
 で、定期預金ですから、通常は満期が来て支払を求めることになるわけですが、では、この預金を預金者に支払うという金融機関側の債務の消滅時効期間はいつから始まるのか、特に本件は自動継続定期預金という点がポイントになっています。自動継続ではない定期預金であれば、満期日以後はいつでも払戻を受けられますので、約定の満期日から時効期間が進行する(始まる)ということで問題はありません。

 なお、よほどのことがない限り、通常は、金融機関は時効を主張して預金の支払いを拒否することはないと聞いていますが、この件は、信用金庫が破綻して、営業譲渡先に預金の書類がなくなっていた特殊なケースのようです。

 第1審の地裁判決では、自動継続定期預金の最初の満期日から時効が進行するとし、既に時効期間が経過しているという理由で、原告の請求を棄却しています。
 ところが第2審の高裁判決は、原告からの預金解約申入れした後に来る満期日から進行し、まだ時効期間は経過していないとして、第1審判決を取り消して原告の請求を認容しました。本件最高裁判決は、この判断を維持したものです。

 ところで、このような預金の支払についての消滅時効期間は何年でしょうか?以下に概略の考え方を要点のみ触れておきます。しかし、商法上の「商人」とか「商行為」とか、一般用語と違う言葉の意味が重要になる問題ですので、実際のトラブル対応については(特に5年か10年かで結果が異なる場合)、専門家にお聞き下さる方がいいと思います。

 まず、本件では民事消滅時効(民法167条1項)として10年の時効期間が前提にされています。
 しかし、商法上の「商行為」によって生じた債権については、原則として商事消滅時効(商法522条)となり、期間が5年になります。ただし、本件の金融機関は信用金庫であり、信用金庫信用組合は、商法上の「商人」ではなく、もし預金者側も「商人」でなければ、預金債権は商行為によって生じた債権ではないでしょうから10年になるのです。
 しかし、預金先が銀行(商法上の「商人」)であれば、これに該当しますし、商人預金者側が「商人」だとすれば、信用金庫信用組合の場合でも、その間の取引は「商行為」とされて、商事消滅時効5年となります。なお、このあたりの考え方は、実態にそぐわないとして、異論もあり、立法的に解決すべきという意見もあることを付言しておきます。

 さらに蛇足で付け加えますが、金融機関に対する債務(要するに借入金の返済など)についての時効期間も、上の民事消滅時効か、商事消滅時効かによって、10年5年かという問題が生じます。通常は、こちらの区別が問題になることが多いです。

【追記】

 その後本年6月7日に同様の結論を取る最高裁判決が出ましたので、6月7日付にて投稿(時効談義:その10)しておきました。ご参考までに。

2007年4月24日 (火)

正当防衛を認めた無罪判決

 正当防衛刑法36条1項)が認められて、無罪となるケースというのは、しょっちゅうお目にかかるわけではないので、下級審判決ながら紹介しておきます。

 奈良地裁平成19 年3 月27 日判決
 最高裁ホームページ下級裁判所判例集より

 検察官公訴事実の概略は、被告人(学生)が、大学構内で、他の学生であるAと口論となり、やにわにその顔面を手拳で数回殴打する暴行を加えて傷害を負わせたというもの(傷害罪の事案)。求刑懲役2年でした。

 なお、上記の学生Aも、被告人への頭突き行為により傷害を負わせており、罰金略式命令を受けているようです。

 本件の争点は、正当防衛の成否ですが、正当防衛の要件である、侵害の不正性防衛の意思行為の相当性という点については検察側も争わなかったようで、「侵害の急迫性が認められるか否か」という点に絞られています。

 弁護人は、本件では、Aを含む 3 名の学生が、多人数であることの威勢をもとに被告人に暴行を加えようと企てて、被告人を挑発して、Aが被告人に暴行を加えたのに対し,被告人が助けを求めたり退避する余裕もなく反撃した事案であり喧嘩闘争には該当しない、また、被告人の反撃行為は防御の意思に基づくものであって、積極的に加害行為をする意思に基づくものではなかったものであるなどの事実経過から、急迫性の要件を満たすことは明らかであると主張しました。

 一方、検察側は、本件は、双方が暴力を伴う喧嘩になったもので、Aからの攻撃があることを予期して、その場から逃走するなどして喧嘩を回避することが可能であったのに、喧嘩の機会を利用して積極的にAに加害行為をする意思をもって暴行に及んだ場合であって、急迫性の要件を欠いており、正当防衛は成立しない、としました。

 これに対して、裁判所は、「刑法36条が正当防衛について侵害の急迫性を要件としているのは、予期された侵害を避けるべき義務を課する趣旨ではないから、当然又はほとんど確実に侵害が予期されたとしても,そのことから直ちに侵害の急迫性が失われるわけではない。」としたうえで、「侵害の確実な予期がなく、侵害の単なる可能性を予期していたにすぎないときや、不意打ちといえるほど予想外の場面で侵害を受けたときは、たとえ行為者に積極的加害意思があったとしても、急迫性は否定されないというべきである。なぜなら、このような場合に急迫性を否定することは、行為者に回避義務を課すことになり、その分だけ不当に行為者の行動の自由を制約することになって」、刑法 36 条の趣旨を逸脱することになるからであるとしました。

 そして、本件では、被告人がAからの侵害行為を確実に予期していたとは認められず、急迫性の要件は否定されないとしています。認定事実については省略しますが、当事者らの供述の信用性について検討を加えたうえで、正当防衛を認め、無罪の判決を行ったものです

汚泥・し尿処理施設談合の刑事事件判決

 大手プラントメーカー11社による汚泥・し尿処理施設工事をめぐる談合事件独占禁止法違反(不当な取引制限)の刑事事件判決が大阪地裁で続々と出ています。分かれているのは、途中で事件が分離されていったためのようですね。
 なぜか、3月からの判決についての各メディアのサイトの記事掲載のほとんどが消えています。苦労して探したのが以下の整理。報道を参考にしてますが、間違いがあればご指摘下さい。新しい順に並べています。起訴されているのは談合に参加したとされる11社と各社担当社員ら。
 下にあるのは、10社で、もう1社のJFEエンジニアリングが見あたりませんが、まだ判決に至っていないのでしょうか。

 まずは、昨日4月23日、クボタ三井造船、および、それぞれ当時の談合担当社員に対する判決がありました。
 クボタには、罰金2億2000万円、同社担当社員に懲役1年6月・執行猶予3年。
 三井造船には、罰金7000万円、同社担当社員に罰金140万円。

 3月29日には、大阪地裁は、荏原製作所、三菱重工業、タクマに対し、判決を言い渡しています。
 荏原製作所に対しては罰金2億円。この事件では、同社担当社員1名に対しては、独占禁止法違反および贈賄の罪で懲役2年6月・執行猶予4年、別の担当者には、贈賄の罪で懲役1年6月・執行猶予3年となっています。(賄賂は市会議員に対してのものです)
 三菱重工業には罰金8000万円、同社担当社員に罰金160万円、タクマには罰金7000万円、同社担当社員に罰金140万円。

 3月22日には、住友重機械工業罰金1億6000万円、 同社担当社員に懲役1年4月・ 執行猶予3年。
 西原環境テクノロジーには罰金7000万円、 同社担当社員には罰金140万円。 

 3月19日には、日立造船に対して、罰金8000万円、同社担当社員に罰金160万円の判決。

 3月15日には、アタカ大機(旧アタカ工業)に罰金1億6000万円、同社担当社員に懲役1年4月・執行猶予3年。

 3月12日には、栗田工業罰金1億6000万円、同社担当社員に懲役1年4月・執行猶予3年の判決。

2007年4月23日 (月)

消費者契約法9条1号の合憲判決(最高裁)

 最高裁平成18年11月27日判決
 判例時報1958号61頁~

 事案としては、最近よく報道されている大学の合格時の学生納付金の返還を求めたケースです。原審高裁判決は、原告の請求の一部を認め、(消費者契約法9条1号を適用して)授業料等の返還請求を認容しました。

 この高裁判決に対して、被告大学側は上告し、その上告理由として、消費者契約法9条1号が、消費者契約についての損害賠償額の予定、または違約金を定める条項の効力を制限していることが、憲法29条(財産権)違反であると主張したものです。

 なお、今回ここで紹介しているのは、憲法違反についての主張に関する上告事件ですが、既にマスコミ等で報道されたように、この事案を含めた数件について、同日、最高裁が学生納付金の返還請求について統一的な基準を示す判決を下しています。これについては、上記判例時報の12頁以下に紹介されています。

 さて、本件判決の話に戻りますが、まず、憲法29条は、1項で「財産権は、これを侵してはならない。」とし、2項で「財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。」としています(3項略)。したがって、消費者契約法の上記条項による規制が、公共の福祉に適合するといえるか否かが問題となります。

 詳しくは、判決を読んでいただきたいですが、本件最高裁判決は、憲法29条2項「公共の福祉に適合する」かどうかは、「規制の目的、必要性、内容、その規制によって制限される財産権の種類、性質及び制限の程度等を考量して判断すべきである」として、近年の最高裁判例の判断基準を引用したうえで、本件では、消費者契約法9条1号の規定の必要性、立法目的の正当性を認め、さらに、この規制内容が目的達成手段としての相当性を有するものであると判断して、憲法29条には違反しないとの結論を示しています。

2007年4月20日 (金)

また、北海道警察の捜査情報流出 

 北海道警察稚内署刑事課の男性巡査長の私用パソコン(公務利用の承認は受けていたが、無断で持ち帰っていたらしい)が、ウイルスに感染していたため、ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」を通じ、約560人分の個人情報を含む捜査情報がインターネット上に流出したようです(19日発表)。
 流出した個人情報は地元の暴力団組員やその家族、知人の氏名、住所、犯歴など。報道によれば、北海道警では現在、私用パソコンを含めウィニーの使用を禁止しているとのこと。

【参考】北海道警察江別署巡査の捜査情報流出事件での
    北海道に対する損害賠償請求事件の判決について

   札幌地裁 17.4.28.(被告北海道に慰謝料40万円)
   札幌高裁 17.11.11.(原告逆転敗訴)
   最高裁  18.10.19.(上告棄却)

    ということで、警察側の管理責任などは認められない結果
    となっていますが。

    今度の稚内署の事件で、暴力団組員らから賠償請求され
    たら、北海道はどのように対応するのか、何だか複雑な問
    題が出てきそうな気もしますね。暴力団の不当な要求には
    毅然と対応してほしいが、こんなことでは腰砕けにならない
    か心配ですね。

公取委 大忙しですね

 最高裁判決は裁判所が判決を出すだけのことですが、昨日19日はこの他に、公正取引委員会は、ガス管(鋼管)の設置工事談合事件林道整備調査業務談合事件の調査で大忙しのようでした。

 ガス管工事談合のほうは、お役所の発注する公共工事談合とは違って、ガス会社の発注の際の入札時の談合のケース。報道によれば、さらに、価格カルテルの疑いもあるとのこと。価格カルテル談合も、独占禁止法上は、「不当な取引制限」の禁止の違反の問題になります。

 林道談合のほうは、農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」が発注者となっている林道整備の調査業務の入札で、「緑資源機構」が落札予定業者を選定する形での談合の疑いとのこと。いわゆる「官製談合」ですね。これは、入札参加業者が自分たちで落札者を話し合いで決めるというのではなく、発注者側である「官」談合を主導しているケース。これも、同じく独占禁止法上の「不当な取引制限」の禁止に違反することになります。
 こちらのほうは、林野庁との関係で、今話題の「天下り」の弊害そのものという事件でもあるようです。

 談合というのは、何だか遠い世界でやっているような感覚になりがちですが、談合によって、工事などのコストが上昇すれば、結果的に、税金であったり、ガス料金であったりにはね返ってくるわけで、一般市民が余分に不要に高いお金を払わなければならないことになっていることに、もっと関心を持つべきなのではと思います。これも、立派な「消費者問題」なのです。 そう「納税者としての消費者」の感覚が大事だと思います。

 一方で、談合「必要悪」などというもっともらしい意見を言う向きもありますが、これはおかしい。また、これについては書きたいと思います。

2007年4月19日 (木)

東芝・NEC郵便区分機談合訴訟 最高裁判決

 前にちょっと書きました東芝NEC郵便区分機の談合に関する訴訟の最高裁判決が本日出ました。予想通り、原審高裁判決を破棄して、東京高裁に差し戻すという結論です。
 この訴訟は、郵政省(当時)が発注した郵便番号読み取り機の入札における談合に対して、排除措置を命じる公正取引委員会審決を不服とした東芝NECが、この審決の取り消しを求めたというものです(審決取消訴訟)。

 原審の東京高裁は、公取委の本件の審決書に、必要な事実関係の記載がないとして、審決を取り消す判決を言い渡していましたが、(報道によれば)今回の最高裁判決は、全体として見れば、認定事実が示されており、違法ではない、としたようです。そして、談合の有無などの事実認定に審理を尽くさせるため、高裁に差し戻した、ということです。

 近日中に、最高裁のホームページに判決が掲載されると思いますので、それを見たうえで、補足(訂正かも)のコメントをするかもしれません。

 【追記 4月20日】

 本判決が最高裁ホームページに掲載されました。

2007年4月18日 (水)

農業協同組合の活動に関する独禁法指針

 4月18日付で、公正取引委員会から「農業協同組合の活動に関する独占禁止法上の指針」が公表された。独禁法の公取ガイドラインのひとつである。

  →  http://www.jftc.go.jp/pressrelease/07.april/07041804.pdf

 この指針は、農協連合会単位農協のどのような行為が不公正な取引方法に該当し、独禁法上問題となるかについて、具体的な事例を挙げながら明らかにすることによって、連合会単位農協による独占禁止法違反行為の防止を図るとともに、農業分野における公正かつ自由な競争の促進に役立てようとするために作成されたものです

写真のHP無断掲載についての著作権侵害判決

 創価学会機関誌「聖教グラフ」に掲載された創価学会名誉会長の写真を複製等して、ホームページに掲載した行為が複製権侵害、公衆送信権侵害及び同一性保持権侵害に当たるとして、創価学会が、ホームページ開設者に対して損害賠償を請求した事例です。
 出版物の画像等を無断でコピーして、ホームページに掲載してコメントを付けるというような行為はよく見かけますが、それについて、裁判所がひとつの判断を示した事例ということになろうかと思います。判決理由にはいくつか突っ込みたい点もあるのですがね。

 → http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070417100022.pdf

 東京地裁平成19年4月12日判決
 平成18年(ワ)第15024号 損害賠償請求事件

 判決は、元の写真を誰か第三者によって白黒にされ上下左右の一部を切除して作成された写真をそのまま複製し、自らのホームページに掲載する行為も、客観的には、著作物の改変行為であり、著作権法20条1項同一性保持権侵害行為に当たる、としています。つまり、自分自身で白黒にしたり、一部切除しておらず、他人が改変した写真をそのまま複製して掲載することも同一性保持権の侵害に該当するのだ、ということになります。

 また、本件のホームページの掲載内容からすれば、掲載行為を、著作権法32条1項の「引用」すなわち「公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれる」引用と認めることはできない、としました。この理由の中で、写真の使用の態様が、「本件写真の著作者の制作意図にも強く反し」ていることが、「引用」に非該当の1つの判断要素になっていると見られる点については疑問があります。この点は、北海道大学町村泰貴教授が既に指摘されているところです。

 そして、被告の行為は著作権(複製権,公衆送信権)、同一性保持権を侵害するものと認められると判断したうえで、通常の実施料相当額が20万円であると算定し、本件は、原告の制作意図に反することを殊更に意図した形態で掲載したもので、通常の許諾の場合の金額と同一に論じることはできないとして、著作権侵害行為の損害額(原告の請求は200万円)を30万円としました。
 さらに、著作者人格権侵害(同一性保持権侵害)に基づく慰謝料(原告の請求は200万円)としては、改変の態様として特に悪性が強い態様ともいえず、本件写真が商業用に撮影された写真ではないこと、約2年2か月の間インターネット上に掲載されていたことを考慮しても慰謝料は5万円が相当と判断しました。
 そして、弁護士費用(原告の請求は40万円)については、5万円が相当因果関係のある損害としています。

 したがって、判決合計40万円の支払を被告に命じたものです(原告創価学会の請求総額は440万円でした。)。

2007年4月17日 (火)

雑談2発:その2 「国際弁護士」

 「国選弁護士」はいませんって書いたので、何となく連想で、最近テレビで良く見る「国際弁護士」という肩書きが頭に浮かびました。

 「国際弁護士」という特別の資格はありません。Wikipediaの記事がうまくまとめてあるので、説明はそちらに譲ります。

→ http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%BC%81%E8%AD%B7%E5%A3%AB

雑談2発:その1 投稿の日付

 さきに書いておきますが、以下、どうでもいい話題です。

 ひとつ前の記事「『国選弁護士』はいないのです。」のブログ上の投稿日付は、4月17日。このブログでは設定上、投稿時刻の表示はさせていないのですが、ココログココフラッシュを見るとこの記事の投稿時刻は午前0時10分になっています。

 しかし、実際に記事を投稿したのは、16日の午後9~10時頃。投稿直後にブログの記事を見たら、まだ、16日なのに、既に「4月17日」となっていました。
 実は、記事を書き上げて保存したのは16日午後9時以前。ただし、その時には、すぐに公開という指定ではなく、いったんは先の公開日時を指定して保存してます。そのときの公開日時の指定が、4月17日午前0時10分。この日時指定には特に意味はありません。
(ブログでは、このような公開日時指定ができ、書きためた記事を、適当な日時に公開できるので、投稿日時だけでは、何のアリバイにもなりませんので、ご注意。)

 そして、その後、さっさと公開しとこう、と思って、公開日時指定をやめて、すぐ公開にしました。にもかかわらず、ココログのサーバー上の投稿日時は、上のように、最初の指定公開日時のままという先の日付になってしまっているのでした。

 前にも同じようなことがあり、おかしいなとは思ってたのですが、どうやらココログはこういう仕様になっているようですね。

「国選弁護士」はいないのです

 先週、大阪府下の自治体関係の団体の市民法律相談に出ていたとき、相談者の中に遺産分割(遺言)についての相談者の方がおられました。
 その人の相続問題は、場合によっては、ちゃんと弁護士を依頼した方が良いのではないかと思われたため、そのようにアドバイスをして、弁護士会や法テラスなどで弁護士の紹介を受ける方法があることをお教えしました。
 すると、その相談者は、「『国選弁護士』というのがおられるのではないですか?」と尋ねてきました。
 実は、法律相談をしていると、この「国選弁護士」について聞かれることが結構あるのです。こういう場合お尋ねされる方の気持ちとしては、国選弁護士なら費用が少なく済むのではないか、と期待してのことと推察します。そして、一般の弁護士とは別に「国選弁護士」という種類の弁護士が存在すると考えておられるようです。

 しかし、残念ながら弁護士の中に「国選弁護士」と、そうでない「ただの弁護士」という2種類がいるわけではありません。それに、「国選弁護士」という言葉もありません。

 これは、刑事訴訟における「国選弁護人の制度と混同されているものです。

 そして、この刑事訴訟での国選弁護人」にしても、そういう名前の専門の弁護士制度や資格があるのではなく、一般の弁護士が、それぞれの刑事訴訟で「国選弁護」をやれば、その刑事訴訟についての「国選弁護人」ということになります。おおまかに説明すると、刑事訴訟では弁護人は必ずつけなければいけませんが、経済的な理由などで自分で弁護人を選任できない場合に、国の費用で弁護人をつけてもらう制度(刑事訴訟法36条~)です。

 したがって、「国選弁護人」という特別の弁護士がいるわけではないのはもちろんですし、冒頭にあげた相続問題のような民事事件、家事事件について、「国選弁護」という制度はありません。

 ただし、別途、法律扶助制度で、資力の乏しい人に対して、弁護士費用をいったん立て替えてもらえる制度がありますので、ご相談されたい方は、各地の「法テラス」(日本司法支援センター)や弁護士会にご相談下さい。

2007年4月16日 (月)

NTT東日本に対する審判審決

 平成19年3月26日 公正取引委員会の審判審決

 詳しくは公取委HP参照。なお、本件は、東日本電信電話株式会社(NTT東日本)に、FTTHサービス(光ファイバ設備を用いた通信サービス。同社では「Bフレッツ」。)の私的独占行為について平成15年12月4日付で勧告がなされたのに対して、NTT東日本がこれを応諾せず審判となっていたものです。(以下、独禁法の法条は、平成17年改正前の法律によりますので、現行法と異なるものがあります。ご注意下さい。)

 この審決で、公取委は、NTT東日本の行為が、光ファイバ設備を用いた戸建て住宅向けFTTHサービスを提供しようとする他の事業者の事業活動を排除することにより、競争を実質的に制限していたものとして、独占禁止法2条5項、3条違反(私的独占)に該当する違法行為であることは認定しましたが、既に違反行為は終了しており、排除措置命令の必要性(同法54条)はないとして、排除措置の命令はなく、違法宣言のみの審決となっているものです。

 違反行為の概要は以下の通り。

 NTT東日本は、平成14年6月1日以降、戸建て住宅向けのFTTHサービスとして新たに「ニューファミリータイプ」と称するサービスを提供するに当たり、同社の電話局から加入者宅までの加入者光ファイバについて、1芯の光ファイバを複数人で使用する分岐方式(以下「分岐方式」という。)を用いるとして、ニューファミリータイプのFTTHサービスの提供に用いる設備との接続に係る接続料金の認可を受けるとともに、当該サービスのユーザー料金の届出を行ったが、実際には分岐方式を用いず、電話局から加入者宅までの加入者光ファイバについて1芯を1人で使用する方式(以下「芯線直結方式」という。)を用いて当該サービスを提供した。同社は、当該サービスのユーザー料金を、当初月額5,800円、平成15年4月1日以降は月額4,500円と設定したが、いずれも、他の電気通信事業者が被審人の光ファイバ設備に芯線直結方式で接続してFTTHサービスを提供する際に必要となる接続料金を下回るものであった。
 なお、同社は、平成16年4月以降「ニューファミリータイプ」の新規ユーザーに対して、芯線直結方式でサービスを提供することをやめている。 

2007年4月14日 (土)

野球選手肖像権訴訟と独禁法

 東京地裁平成18年8月1日判決
  判例時報1957号116頁

 高橋由伸選手(巨人)らプロ野球選手33名が、所属球団(10社)を被告として、プロ野球ゲームソフト、プロ野球カードに関して第三者に対して肖像を使用許諾する権限が各球団にないことの確認を求めた裁判の第一審判決です。選手側の請求は棄却されています。
 なお、この事件は、知財高裁控訴審が続いています。先月27日、ヤクルト・古田敦也選手兼任監督(原告の1人)の尋問が行われています。報道によれば、次回は6月19日で、選手会会長の宮本慎也選手(ヤクルト・原告の1人)と原沢敦氏(巨人副代表)の尋問が行われる予定とのこと。

 この訴訟では、野球選手が球団と交わしている「統一契約書」の16条に肖像権などが球団に属していて、球団が宣伝目的のためにいかなる方法で利用しても異議をいわない、という規定があって、この契約条項が無効であるとの主張がなされています。
 そして、この契約条項の無効の理由のひとつとして、この条項が、独占禁止法(独禁法)不公正な取引方法一般指定14項(優越的地位の濫用)または13項(拘束条件付取引)に該当して、健全な取引秩序を乱し、かつ、公正な商慣習の育成を阻害するので公序良俗に反するというのが、原告の主張でしたが、上記第一審判決は、優越的地位の濫用にも拘束条件付取引にも該当せず、この無効主張には理由がないとしました。

【関連事件】
 公正取引委員会の平成15年4月22日付のコナミ株式会社に対する警告等と日本野球機構に対する要請というのがあり、これは、日本野球機構が管理する(球団、選手関連の)知的財産権についての、コナミ(プロ野球ゲームソフト製造販売事業者)に対する独占的使用許諾契約に関するものです。他のゲームメーカーへの再許諾に関して、独占禁止法で禁止されている不公正な取引方法(一般指定2項〔その他の取引拒絶〕)に該当する行為があったおそれがあるとされたものです。
         → http://www.jftc.go.jp/pressrelease/03.april/03042202.pdf

 これに関連して、日本プロ野球選手会側は、平成14年8月、野球ゲームソフトに選手らの氏名及び肖像を使用したコナミと、同社に使用を許諾した日本野球機構に対し、野球ゲームソフトの販売の差止め等を求める訴えを東京地方裁判所に提起したのですが(平成14年(ワ)第18466号)、上記の独占的使用契約が終了したこともあって、平成16年コナミに対する訴えを取り下げています。日本野球機構に対する部分がどうなったのか、私は知らないのですが、こちらの訴訟の形を変えて平成17年に提起したのが冒頭の訴訟ではないのかな。

 なお、選手会のホームページには、肖像権問題が結構詳しく載っています。
 → http://jpbpa.net/index.htm 

【追記】(08/3/14)
 平成20年2月25日、控訴審(知財高裁)で棄却判決がなされ、その後、選手側が上告しています。
 → 「野球選手肖像権訴訟控訴審判決(知財高裁)」(08/2/26)

2007年4月13日 (金)

プロバイダ責任制限法の判決

 大阪地裁平成18年6月23日判決
  判例時報1956号130頁

 インターネット掲示板に投稿をした発信者の情報開示プロバイダ(携帯電話会社)が認めなかったため、プロバイダ責任制限法に基づいて、被害者が、発信者情報開示損害賠償を求めた事案で、発信者情報(住所、氏名、メールアドレス)の開示は認容したものの、損害賠償請求については、プロバイダ側に故意・重過失はなかったものとして棄却した判決。

「外国為替証拠金取引は賭博」判決

 東京地裁平成17年11月11日判決
  判例時報1956号105頁

 外国為替証拠金取引について、為替レートの変動という当事者が関与せず予見し得ない事情によって損益金の金額が決定されるものであり、賭博の構成要件に該当するとして、公に認められた取引所を通じて行うもの以外は原則として公序良俗に反する違法行為といわざるを得ないとして、顧客からの損害賠償請求が認められた事例。

 なお、同様に賭博性を肯定した事例として、札幌地裁平成15年5月16日判決があります。上記判時のコメントによれば、未公刊の別件控訴審判決である札幌高裁平成17年6月23日判決も賭博行為該当性を認めているとのことです。

2007年4月12日 (木)

「知的財産高等裁判所」の根拠探し

 特許権侵害事件などの訴訟の判決記事に、最近「知財高裁(知的財産高等裁判所)」という名前の高等裁判所の名称が出てきます。おおまかにいえば「最近できた裁判所で、知的財産関係の控訴事件の裁判をやる所でしょ」という理解でほぼ正しいです。平成17年4月1日に設立されているのです。しかし、この裁判所の制度上・法律上の位置づけをちゃんと理解していない法律家も結構多いのではないかと思います。

 結論からいうと、この知財高裁というのは、従来からの札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡にある8つの「高等裁判所」と、並列的に存在する高等裁判所ではありません。

 民事訴訟法6条は、特許権などに関する訴訟の特別な管轄を定めていますが、それらの事件について同条3項は「……終局判決に対する控訴は、東京高等裁判所の管轄に専属する。」となっています。ほかにも同法20条の2第2項(移送)310条の2(合議体の構成)でも、東京高裁という表現になっていて、知財高裁の名前は出てきません。

 それでは、知財高裁はどこに?と考えて、裁判所法を見ても「知財高裁」については規定されていません。
 もう少しマニアックに「下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律」を見ても、1条に「別表第一表の通り高等裁判所を、(中略)設立する。」とあって、その別表第一表には、上に書いた従来からの8つの高裁を列記しているだけで、知財高裁は、現在もどこにも規定がないのです。普通の小型の六法だと、ここで、謎のままで終わるかもしれません。

 で、正解に移りますが、この裁判所設置の根拠法は、「知的財産高等裁判所設置法」です。

 そして、この法律の2条は、「東京高等裁判所の管轄に属する事件のうち、次に掲げる知的財産に関する事件を取り扱わせるため、裁判所法22条1項の規定にかかわらず、特別の支部として、東京高等裁判所に知的財産高等裁判所を設ける。(後略)」となっています。

 つまり、この裁判所は従来の高裁と並列ではなく、東京高裁の「特別の支部」という位置づけなのです。

 したがって、民事訴訟法において東京高裁の管轄とされているはずの事件を知財高裁が審理することは、要するに東京高裁の支部である知財高裁が審理しているということになり、民事訴訟法の規定に反するものではない、ということになります。

ややこしいですね。

経産省のIT経営ポータルサイト

 4月10日付で経済産業省HPに「『IT経営ポータルサイト』の試行運用開始について~「IT経営」の実践を目指す企業をサポートします~ 」という記事が出ている。

 なんだか良くわからんが、ちょっと面白そうなので、ひとまずブックマークをしておきました。
  → http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/it_keiei/

 経産省いわく、「経済産業省では、ITを高度に活用することで経営改革を実行し、企業の生産性を高め競争力を強化させる「IT経営」の実践を推進しています。
この度「IT経営」実践企業を目指す経営者への情報提供を行うポータルサイトの試行運用を開始いたします。当該ポータルサイトの活用により、企業におけるIT経営の理解と実践に向けた取り組みの進展が期待されます。試行運用中における利用者の御意見を反映させながら、コンテンツの充実を図っていく予定です。
1.人口減少下においても日本経済が持続的に成長していくためには、生産性の向上が重要な課題です。ITの活用はその重要な手段であり、ITを高度に活用して経営改革を実行する「IT経営」の実践が求められています。
2.「IT経営」実践のためには、まず自社のIT活用度合いを把握し、強み・弱みを理解することが必要です。そのためのツールとして、当ポータルサイトに「ITの戦略的導入のための行動指針」「IT経営力指標」を掲載するとともに、これらに基づく「IT経営力診断システム」を公開いたします。
3.  「IT経営力診断システム」は質問に答えるだけで、自社のIT経営力のセルフチェックができるもので、先に行った調査結果約1200社のデータから自社のIT経営力に関する位置づけを知ることが可能です。
4.その他、「IT経営」を実践の成功事例の掲載なども充実させていく予定であり、この度の試行運用中における利用者の御意見を反映させながら、コンテンツの充実を図ってきたいと考えています。 」

とのこと。

 お役所もいろんなことしないといけないのですねぇ。でも、これが繁盛したら、他のポータルサイトから、「民業圧迫」とか言われないかなぁ。

2007年4月11日 (水)

もうひとつの「国際ジャーナル」

 国際通信社発行「国際ジャーナル」誌からの取材依頼の件の追加です。

 検索していてわかったのですが、多くのページに「学術論文を国際ジャーナルに掲載」というような表現がなされている。それも、いろんな分野にわたって。学術論文の投稿の世界は無知なのですが、どうやら、いくつか見ていると、もちろん上記の「国際ジャーナル」誌のことでもなく、ある特定の1つの雑誌の名称でもなさそうですね。各分野での学術論文を掲載する国際的な権威を持ついろいろな学術誌の総称のようです(間違ってたらご指摘ください)。
 だから、検索すると、冒頭の国際ジャーナル関係で「掲載されました」という中小事業者の喜びの報告と、学術論文に関するページが混ざって出てきます。

 ところで、先日の取材依頼の際、私が「国際ジャーナルって、知らないのですが、どういう雑誌ですか?」と質問すると、答えは「この雑誌は銀行や病院などの待合いに置いてあるアサヒグラフのような雑誌」でした。この雑誌は銀行や病院に置いてあるのでしょうか?それとも、それはアサヒグラフについての説明文句なのでしょうか?どっちにしろ、私は見たことないですけどね。

2007年4月 9日 (月)

『国際ジャーナルの取材受けました』という話

 4月9日午後、私が事務所に帰って留守中の電話メモを見ると、国際通信社大阪本社の人から、「国際ジャーナル」という雑誌の7月号に関西の法律事務所特集として載せたいので、取材のため、今週木曜か金曜に30分ほど時間をいただけないか、インタビュアーは具志堅用高さんです、との取材依頼の内容。

 これを見ただけで笑ってしまいましたが、面白そうなので、ネットで「国際ジャーナル」を検索すると、あちこちのブログで、「国際ジャーナルの取材を受けました」と喜びの報告がすごくたくさんありますねぇ。インタビュアーも、具志堅さんはもちろん、吉沢京子石橋正次村野武範大沢逸美・・・・・

 ネット上の情報では、まずは7万円の記事掲載料の支払の話があり(取材料をくれるのではないですよ)、記事の大きさで増額するらしい。ブログで取材を報告されている人たちは一体いくら支払ったのでしょうね。

 また、電話してくるそうなので、それを楽しみにしてます・・・と、ここまで書いた所でちょうどお電話が。

 関西の法律事務所、特許事務所を10カ所ほど、木曜金曜で回るという話で、弁護士というと敷居が高いイメージがあるので、そうではない話を取材したいとのこと。

 ここで、私から、それは掲載料が必要なのでしょ、と言うと、A4サイズの雑誌でその1/4サイズの記事で7万円(やっぱり~)ということでした。そのサイズでは、ほとんど記事にはならないでしょ、と突っ込むと、原稿用紙一枚ですね、との答え。

 もっと逆取材したかったのですが、仕事も忙しいので、ここらで「結構です」というと、あっさりと「わかりました」と引き下がりました。

【関連】
  → 「もうひとつの『国際ジャーナル』」(4/11)

  → 「『国際ジャーナル』のつづき」(5/24)

【追記】(08/2/22)
 今日、国際通信社からこのブログ記事に関しての電話がありました。内容については
→ 「国際通信社からの電話(国際ジャーナル)」(08/2/22)
    

当選のお祝いとお礼

 今朝、顧問会社から電話で相談があり、今回の統一地方選挙の当選者に対して、お祝いを贈ることは問題がないか、ということでした。

 常識的な額ならいいじゃないの、という感覚の方もおられると思いますが、間違いです。前提として、会社・労働組合等の団体からの当選者へのお祝いを含めた寄付は駄目ですので(政治資金規正法21条)、以下は、個人からのお祝いのことと考えて下さい。

(なお、各選挙管理委員会のホームページなどで、この問題も含めて、解説されているので、詳しく知りたい方は参照あるいは、直接問い合せして下さい。)

 まず、現金や有価証券は駄目です(政治資金規正法21条の2)。しかし、個人から祝い酒を贈るなどの物品のお祝いならOKになっています。
 ただし、政治資金規正法22条で、個人からの当選祝いを含む寄付は、同一人に対し年間150万円までとなってます。

 逆に、当選した候補者が、支援者などにお礼として金品を渡すことは、公職選挙法(公選法)199条の2で原則として禁止されています。したがって、お祝いで酒などをたくさんもらった当選者が、支援者らとの宴会でその酒などを振る舞うと、候補者からの寄付に該当してしまう危険性があります。

 また、当選者が物品を渡す場合ではなく、単に当選のお礼のあいさつ行為をする場合にも制限があります。
 よく、「選挙期間中は、大声で『お願いします』と頭を下げながら、当選したらお礼のあいさつすら来ないのは、けしからん。」などという意見も聞きますが、これは法律で制限されています。慣れない当選者は、全くの善意で、お礼の街頭演説をしたりすることがあるので、その方法には注意が必要です(公職選挙法178条に該当する行為は禁止)。1月にも宮崎県知事選挙後、東国原(そのまんま東)知事の後援会ホームページで、当選御礼のコメントを掲載したことが問題となりましたね。でも、検索してみたら、今回も含め、また、国会議員も含めて、たくさんのホームページに当選御礼が出てますね。確かに、ホームページ上の単なる当選御礼を規制する必要は乏しいように思えますね。

 以上は、政治資金規正法公職選挙法の問題ですが、これとは別に、当選者に対して何らかの職務上の行為に関連して贈り物をすれば、贈賄罪(刑法198条)に該当する場合があります。

 結構細かい規制になりますので、心配な場合は、各地の選挙管理委員会などにお尋ねください。

 ところで、政治資金規正法の「きせい」は「規制」じゃなくて「規正」だったんですね。恥ずかしながら、今回気づきました。

【追記】(2016/07/11)
参議院選挙が終わって、この記事へのアクセスが増えたようですので追記しておきます。
平成25年のインターネット選挙運動解禁により、インターネットを利用した挨拶は可能になりました。詳しくは下記。

インターネット等を利用した選挙期日後の挨拶行為の解禁 (総務省)

2007年4月 8日 (日)

多重債務対策関係のシンポ紹介

 日本弁護士連合会多重債務対策本部シンポジウムが次の水曜日午後から、東京霞ヶ関の弁護士会館で開催されます。私は仕事の都合で行けませんが、興味のある方は是非ご参加ください。

【多重債務問題解決のために
  
- 地方自治体での取り組みのあり方を探る -
○日時 2007年4月11日(水)
      午後1時~5時(午後12時30分開場)
○場所 弁護士会館クレオBC
      東京都千代田区霞が関1-1-3
○主催 日本弁護士連合会
○後援 総務省 金融庁
○内 容
1 当連合会の多重債務問題への取り組みの報告
 (宇都宮健児 日弁連多重債務対策本部長代行)
2 貸金業法改正の概要について
 (木村裕二 日弁連多重債務対策本部事務局次長)
3 地方自治体等での多重債務問題への取り組みの報告
4 パネルディスカッション
   ◆パネリスト
     生 水 裕 美 氏
     (滋賀県野洲市市民健康福祉部市民課)
     山 下 靖 代 氏
     (岐阜県環境生活部環境生活政策課)
     湯 浅  誠 氏
     (ホームレス総合相談ネットワーク事務局)

 → http://www.nichibenren.or.jp/ja/event/070411_2.html

2007年4月 6日 (金)

Yahoo!メールが

 「Yahoo!メール」会員約28万人の約450万通の本文部分を誤って消去、回復できなくなり、他の約515万通のメールも一時的に読めなくなったが回復させたとのことです。

 朝日の報道だと、仕事上の損害が生じたなどの報告はないという、となってます。もし、あったらどうなるのでしょう。(全く確認してませんが)規約上、賠償責任の大部分は免れるようになっているのでしょうかね。

 目先の賠償責任の有無はともかくとしても、この手の企業は基本的な信頼性を失う事件が相次ぐと、それがボディーブローのように効いてくることは、こんなブログで言わずとも、あれだけの偉大な経営者がやっておられる大企業ですから、その重大性は十分に分かっておられると思います。現代日本を代表するIT企業だもの、雪印や不二家のような古い体質の企業とは全く違いますよね。

 たぶん。

下請代金不当減額勧告 もう一丁

 先日の2社といい、順守要請といい、公正取引委員会は年度をまたいで、下請いじめ行為に対して頑張っているようですね。

 本日、東芝ライテック株式会社の下請代金の不当減額行為に対して勧告が出されています。下請代金支払遅延等防止法(下請法)4条1項3号違反です。

  この勧告事件の特徴は、改正下請法施行(平成16年4月)後、中小企業庁長官からの措置請求(6条)に基づき勧告公表する初めての事案という点です。 

 違反事実の概要は、東芝ライテックは、自社の利益確保のため、下請事業者のうちの一部の者に対して、「出来高CR」と称して下請代金から一定額の値引きを要請し、これに応じた下請事業者に対し、下請代金の額から一定額を差し引くことにより、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、当該下請事業者に支払うべき下請代金の額を減じていた、というもの。 

→ http://www.jftc.go.jp/pressrelease/07.april/070406.pdf

番組転送サービス仮処分:続報

 ここでも紹介した日本デジタル家電テレビ番組ネット転送サービスに対する仮処分決定(認容)であるが、決定内容が、最高裁のホームページに出ていた。

 著作隣接権等侵害差止請求仮処分命令申立事件
 東京地裁民事第29部決定 平成19年3月30日
     ↓
   http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070330182742.pdf

 中身は、暇を見て読みたいと思いますが、ひとまず「覚え書き」・・・

携帯電話からのブログ読み取り

 ココログでは、携帯電話からのブログ読み取りがしやすくなったようです。

 さっそく、このブログ左下にQRコードを貼り付けましたので、携帯電話のバーコードリーダー機能を使って、アクセスしてみました。
 これまで携帯で見るには余計な部分が多くて読みにくかったのが、すっきりと読めるようになりました。

 ここのURLを直接、携帯電話に入力しても、今までとは違い、携帯用のページに移ってくれるようです。ということで、携帯で読んでやろうという方は、ブログ左下のQRコードを読み取っていただくか、ここのURL(http://stuvwxyz.cocolog-nifty.com/blog/)を直接入力のうえで、ご登録ください。

〈補足〉QRコード下の「携帯にURLを送る」というのをクリックすると、携帯用ページのURLをメール送信できるフォームが開くようです。これを使って、自分の携帯宛にメールを送って、アクセスするということのようです。)

 ブログ管理も携帯でできるようになったようですが、こちらはぼちぼちと実験してみることにします。こちらは、書き込みが携帯からやりやすくなったということが主ですので、あまり私には関係なさそうです。ただ、急いで訂正や削除などをしなければならないときは、(被害拡大が防げて)ありがたいかもしれませんね。

2007年4月 4日 (水)

日本人形著作権協会

 日経が、「日本人形にも著作権、業界団体で登録第1号」として報じています。

   http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20070404AT1G0303U03042007.html

 要するに、日本人形メーカー、問屋が設立した団体が、著作物性(創作性)の認定が困難な工芸品(日本人形)について、専門家によって創作性を認証することにより、著作権を主張しやすくして、複製対策にするということのようです。

 そういえば、博多人形についての著作権の有名な事件がありましたね。いわゆる「応用美術」についての著作物性が認められるかどうかという論点です。

 このニュース、個人的には興味深いのですが暇がないので、今日は紹介のみ。

下請法順守の要請

 先日、下請法関係の公正取引委員会による勧告2件について紹介しましたが、その補足です。

 この勧告(3月30日)の直前の3月23日付で、経済産業大臣公正取引委員会委員長の連名で、下請代金の支払遅延、下請代金の減額、買いたたき等の行為が行われることのないよう、親事業者(約2万社)、関係事業者団体(約560団体)に対し、下請代金支払遅延等防止法の遵守の徹底等について要請がなされています。 

 詳しくは → http://www.jftc.go.jp/pressrelease/07.march/070323.pdf

2007年4月 3日 (火)

NOVA最高裁判決

 報道によれば、英会話学校「NOVA」の解約精算金規定をめぐる訴訟で、最高裁は本日午前、NOVAの規定は、受講者の自由な解約権の行使を制約するとして、NOVA側の上告を棄却する判決を言い渡したとのこと。精算規定が特定商取引法に違反して無効として、原告の男性元受講生の請求通り約31万円の支払いを命じた1,2審の判決が確定したことになります。

 先日もここでちょっと触れましたが、最高裁が口頭弁論期日を開かずに判決をする場合は原審(高裁)判決の結論を維持するというのが慣行ですので、やはりその通りでした。

 なお、判決文は既に最高裁判所のホームページに掲載されています。

(※注 「特定商取引法」は、以前は訪問販売法(訪販法)と呼ばれていた法律です。)

2007年4月 2日 (月)

経済産業省の報道発表2題

 経済産業省が3月30日に、
 「『電子商取引及び情報財取引等に関する準則』の公示について」
    http://www.meti.go.jp/press/20070330011/20070330011.html

  「『個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とする
  ガイドライン』の改正について」

    http://www.meti.go.jp/press/20070330012/20070330012.html
 を報道発表してます。詳しくは経済産業省HPをご覧ください。   

 「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」は、これまで「電子商取引等に関する準則」として、電子商取引に限らずネット関連の著作権やオークション、また情報財取引に関しての法律上の問題の考え方を示していたもので、何度か改訂されてきましたが、今回の改訂にあわせて、タイトルも変えたようです。
 だんだんと分量も増えてきて読むのも大変ですが、インターネットなどに関するいろいろな法的な問題について検討する際に便利なので、時間を見つけて読まなくては。ロースクールで「情報法」を担当している身なので、これを読んでおくのは必修なんです。結構専門的な内容ですので、一般向けとはいえませんが、ネット取引やオークション、著作権などについて、法的な考え方を勉強したい方には良い資料です。もちろん、このガイドラインは、各種の論点について経済産業省が一応の考え方を示したものですので、法律的に正解かどうかは保証の限りではありません。

 「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」は、あの分かりにくい個人情報保護法の具体的な解釈指針を示すもので、広く一般の事業向けに書かれています。これも大部なので目を通すのも大変です。今回の改訂は、個人情報保護法のいわゆる「過剰反応」に対応したものが主です。

 しかし、いつも利用していて思うのですが、経済産業省のホームページは見たい所を探すのが難しいように思います。公正取引委員会のホームページは比較的わかりやすいのですけどね。経済産業省のほうが、守備範囲がはるかに広く、コンテンツも多くなるから仕方ないかもしれませんが、上の電子商取引準則などを探すときにいつも迷ってます。検索したらいいと言ってしまえばそれまでですけど。

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