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2007年3月14日 (水)

民事の時効-取得時効(時効談義:その4)

 民事の時効(取得時効消滅時効)のうち、今回は取得時効を取り上げます。

 簡単にいうと、物を、自分の物として占有していて一定期間継続すると、所有権を取得できるという制度です。まず、民法162条1項で、20年間、所有の意思をもって、平穏かつ公然に他人の物を占有すると所有権を取得すると規定され、同条2項では、(1項の場合に加え)占有開始時点に、善意・無過失である場合には時効期間が10年とされます。対象は、動産不動産に限りませんが、動産の場合は、192条の「善意取得(即時取得)」という別制度もあるので注意してください。

 所有権以外の財産権(賃借権など)の取得時効も同様の規定です(163条参照)。

 ところで、上の10年の時効になる場合の「善意」ですが、時効に限らず法律用語として出てくる場合は、日常の意味と異なります。普通、日常的に使う「善意」というのは、「良い事をしようと思う意志」とか「誠実な気持ち」だとかの意味ですね。しかし、法律で出てくる場合は、「善意」というのは、ある事実を「知らない」という場合を指します。したがって、反対語である「悪意」は、日常用語で使われる「相手に悪さをしようとする気持ち」などというのとは違い、法律用語としてはある事実を「知っている」場合に使われます。つまり、ここでは、それを知っていたり、知らなかったりすることが「良い事」か「悪い事」かという社会的・道徳的・倫理的な評価とは無関係です(ただし、若干意味の異なる場合もあることに注意・・例えば、法定離婚原因の「悪意の遺棄」)。

 したがって、この(10年の短期時効の)条文で「善意」という意味は、ある物が自分の物であると信じていること(自分の物であると思っていること)です。「善意・無過失」となると、自分の物と信じており、しかも、そう信じたことについて過失がない、という意味になります(過失とは何だ、というのは、ここでは省略。)。

 よく他人の土地でも勝手に使っていたら自分の物になるというように取得時効の制度が理解されることがありますが、「所有の意思」が外形的に出なければならないのが原則なので、人から借りて長年占有しているだけでは取得時効は成立しません。

 実際の裁判などで取得時効が争われるケースとしては、例えば、「相当以前にもともと売買によって取得したはずなのだが、登記も移しておらず、売買契約もなく、当時の所有者も死亡して子供の代になっている」というような場合です。この場合、売買契約の効力に基づいて登記の移転を請求するのが本来だが、昔の契約書などは何も残っておらず証明できない、けれど昔から自分(や先代)が使っているのは明らかだから、時効取得を主張して登記を移す請求をするという組み立てができます。

 また、「元の契約が、何らかの理由で無効だったことが何年もたってわかって返還を請求された」という場合、既に引渡を受けて使っている(占有する)者が、契約は無効だとしても既に時効取得している、という形で反論主張するケースもあります。

 その他、本来の土地の境界と違う線を境として使用されている場合、その越境部分について時効取得の主張がなされるというケースもあります。

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