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2007年2月の記事

2007年2月28日 (水)

地下鉄談合と公取の刑事告発

名古屋地下鉄談合事件については、報道の通り、大手ゼネコンの担当者らが逮捕されました。

これは独占禁止法(独禁法)の「不当な取引制限の禁止」という規定に違反する行為で、いわゆる「カルテル」の犯罪です。「カルテル」というと、価格のカルテルが思い浮かびますが、公共工事などの入札談合についても、「カルテル」とされています。

ところで、一般の犯罪とは違って、このような独禁法の主な違反罪については、公正取引委員会(公取)が専属告発権を持っていて、公取が告発しなければ、検察庁も動けないという制度になっています。もちろん、名古屋の事件では、公取が今日告発して、検察が今日強制捜査ということで、ちゃんと事前に協議して打合せのうえでなされているわけですが。

今日の報道では、今回の談合に関与した1社(ハザマ)が、談合の事実を自主申告したとして、告発を免れたとされています。一部の報道では、この点で不正確なものも見受けられるのですが、正確に言えば、独禁法の規定では、自主申告したからといって刑事告発を免れるということになっていません。

最近の独禁法の改正により、自主申告した企業に対しては、行政処分である「課徴金」を減免できるという制度(リニエンシー)が新設されました。密室下で行われ、摘発が困難な談合行為の規制を実効化するために、関与者からの一種の内部告発を促進させて、違反行為が表に出やすいようにすることが目的です。しかし、前述の通り、この制度は課徴金が課せられる行政処分について減免が認められるだけで、刑事責任まで減免するものではないのです。

これについては、刑事責任についても同様に減免しなければ、自主申告を促進することはできないというのではないか、という観点から、公取による刑事告発についても、同様に運用するかのような国会における当局の答弁が改正時にありました。

この告発権の裁量的な運用については、その意図する目的もわからないわけではありませんが、いくら後に自主申告したからといっても、違反行為に強く関与した企業が刑事責任を負わないということが、法律上の明確な規定もなく許されるのか、というような問題があります。また、公取による告発の裁量が恣意的なものとなる危険性もあります。

2007年2月26日 (月)

著作権騒動(「おふくろさん」)に思う

テレビの芸能ニュースを見ると、昨年末の紅白での森進一「おふくろさん」について作詞者川内康範氏が、激怒しているとのこと。

川内氏というと、なぜか私は、小さい頃に月光仮面(再放送である。念のため。)の主題歌のバックに流れる原作者の名前でしっかりと覚えている。ちなみに、この方の名前をWikipediaで調べると、いろいろな意味で凄い方であることがわかる。

事実関係を正確に把握しているわけではないので、残念ながら結論めいたことは書けない。著作権法上の問題でいうと中心的な点としては同一性保持権の問題が指摘されているようだが、JASRAC(日本音楽著作権協会)との関係や森氏が以前から同様の歌唱を行っていた事実などに関しても検討しなければならないであろう。

ところで、このような音楽(歌詞を含む)に関する著作権問題というのは、どちらかといえば、古典的な紛争である。著作権で保護される「著作物」は、「思想又は感情を創作的に表現したもの」で、「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」である(著作権法2条1項1号)。「創作的に表現」といっても、別に上等なものである必要はない。私のこの駄文にどなたも興味を示さなくても、ちゃんと著作物として著作権は発生する。特許権や商標権と異なり、どこかに登録したり届け出たりする必要もない。

さきほど古典的といったが、小説や絵画や音楽のような伝統的な芸術的分野での「盗作だ」、「模倣だ」というようなレベルで著作権を考えるのは比較的わかりやすいのだが、最近は、ソフトウエア(プログラム)だのデータベースだの、目や耳で直接的には感得、掌握できないようなものにまで対象が広がっているうえ、映画や音楽などの伝統的著作物でさえも、その経済的な価値が以前とはケタ違いになっていて、世界的な一大産業となっている。これもいわばデジタルコンテンツとしての価値とみることができよう。しかも、デジタルであるが故に、技術の飛躍的な進歩とあいまってコピーが容易である。さらに、インターネットを背景にしたIT社会では、そのコピーが増殖し、拡散していくのもあっという間の事である。ひとたび流出してしまえば、回収することが困難なことは、個人情報の流出の問題と同じ事である。

したがって、「おふくろさん」問題のトラブルならばいざ知らず、現代のデジタル化されたコンテンツの権利保護を、古典的な著作権法のツギハギで繕うことは限界をとっくに超えている。明らかに本来の守備範囲以上の過大な荷物を背負わされている著作権法が何だか可哀想に思えてしまう。

2007年2月15日 (木)

(続々)譲渡担保に関する最高裁判決

 しつこく、平成18年10月20日最高裁判決について......

 金融法務事情1794号(49頁~)にも紹介されました・・・・・・が、これに付けられているコメントは、前回ご紹介の判例時報判例タイムズと同じものでした。どういう人が判例雑誌のコメントを書いているのかは、ある程度知ってますけども、ん~、何だかなぁ。

 ただ、この同じ金融法務事情の4頁に、印藤弘二弁護士による判決解説が別コラムで掲載されています。この印藤さんのコメントでも弁済期猶予の認定の問題が指摘されているのですが、前回も述べた通り、高裁では弁済期の変更の事実認定を明言しているのは間違いありません。

 最高裁は、ひょっとして、知らぬ顔してこっそりと事実認定を覆してくれた、と考えるのが一番素直なのかも、と思う今日この頃です。

2007年2月14日 (水)

検索サイトの影響力の課題

 前に書いた検索サイトの影響力について、昨年6月の経済産業省産業構造審議会情報経済分科会による

  「情報経済社会の課題と展望」 ~『情報経済・産業ビジョン』のフォロー・アップ~ (案)

 の23ページあたりにも指摘がされていました。

 『グーグル八分』の言葉も使われているところが面白い。

 で、この関連で、経済産業省が情報大航海プロジェクトコンソーシアム(ホームページ有り)というのを発足させているようですね。果たして船はどこへ行くのでしょうか。

2007年2月12日 (月)

アフィリエイトとドロップシッピング

 今朝の日経朝刊法務面にドロップシッピングについて記事があります。アフィリエイトよりも、取引当事者としての要素が強いために、顧客に対する責任や(特定商取引法など)業者としての規制が及ぶ可能性が高くなるわけですね。アフィリエイトが成果報酬型広告にすぎないのに対し、ドロップシッピングは価格を決めることができるなど、販売業者の側面が強くなっています。

 もっとも、ドロップシッピングといっても、それを運営している会社により、いろいろなパターンがあるようで、アフィリエイトとあまり変わらないものもあるようです。

 逆に、アフィリエイトだからといって、顧客に対して責任を負わなくてもいいと安易に考えるわけにもいきません。一般の社会でも、宣伝・広告者が法的に責任を追及されるケースはあります。単にサイトの横に貼り出しているだけとは言っても、違法な商品だとか、悪徳商法だとかの宣伝をしていた場合や購入者に何らかの被害が生じた場合、その態様などによっては、損害賠償の責任を負ったり、また、違法を認識して協力しておれば、詐欺罪などの刑事責任すら問題になります。

 最近はアフィリエイト・ショップといって、いくつもの企業を紹介、宣伝すること自体を目的としたサイトも多いようですが、利益ばかり考えずに、自分が宣伝している企業や商品の中身をよく確認しておく必要がありますね。

 特に、ネットではよく見かける健康食品やサプリメント、化粧品のような場合、アフィリエイトでも、ドロップシッピングでも、自分のサイトで積極的に商品の良さをアピールするケースもあると思いますが、その商品によって健康被害が出たような場合、道義的責任のみならず、法的責任も背負い込むことになるかもしれません。また、商品の善悪とは関係なく、紹介記事の内容によっては、薬事法上の問題が発生する可能性もあります。消費者向け広告ですから、景品表示法の適用もあります。

 いずれにせよ、わずかであっても営利のためにやるわけですから、事業者としての責任は意識してほしいですね。

 ところで、弁護士が、サイトにアフィリエイト広告を貼っていると、厳密に言えば、弁護士法上、兼業の届出は必要なのではなかろうか?

2007年2月10日 (土)

特定商取引法の改正(ネット売買決済や団体訴訟)

 日経新聞が「ネット売買決済、代金先払い以外も義務付け・経産省検討」と報じています。ネットショップやオークションでの詐欺商法やトラブルの防止のために、代金決済方法に関して、特定商取引法を改正して規制を行うことを検討する、ということですね。 ネットに限りませんが、ショップ側からいえば先払いが、顧客側からいえば後払いが、安全かつ有利なわけで、同時決済が困難なネット取引では、ここがトラブル発生の大きな原因となります。これを防止するために、エスクローサービスや代引きなどもあるのですが、別途の費用がかかるなど利用しにくい点もあり、利用が進んでいるとはいえないようです。

 ところで、他にも先日、高齢者被害が増加している悪質訪問クレジット商法の規制が報じられていましたように、インターネット取引(電子商取引)の決済に限らず、特定商取引法の規制全般について広く改正作業が始まります。ちなみに、この「特定商取引法」とは、以前の「訪問販売法」のことです。

(特定商取引法概要)http://www.meti.go.jp/policy/consumer/tokushoho/gaiyou/gaiyou.htm

 消費者契約法で今年6月から導入されることになっている消費者団体訴訟制度も、特定商取引法違反行為に対して導入を検討するとの報道がなされていますが、この団体訴訟制度については、独占禁止法違反行為についても導入が検討されています。

 消費者契約法での団体訴訟の原告となる消費者団体として準備が進められている代表的な団体としては、消費者機構日本(http://www.coj.gr.jp/index.html)や消費者支援機構関西(http://www.kc-s.or.jp/index.html)などが挙げられます。

 

2007年2月 8日 (木)

TBCの個人情報流出判決

 今日、東京地裁で、TBC(東京ビューティセンター)の個人情報流出事件の損害賠償訴訟で判決が出ました。東京の紀藤正樹弁護士たちがやっていた裁判です。

 訴訟では、、1人当たり115万円の損害賠償を求めていましたが、1人2万2000―3万5000円の支払いを命じる判決です。慰謝料に1人5000円の弁護士費用を加算したようです。

 私たちのやっているヤフーの情報流出事件の大阪地裁判決(平成18年5月19日判決、判例時報1948号122頁)で、1人5000円の慰謝料と1000円の弁護士費用でした。これについては、現在大阪高等裁判所で控訴審が継続中です。今日のTBC事件は、これより先に提訴されていたものです。

 まだ、判決文を見てませんので、感想のみですが、TBC事件とヤフー事件の違いは、TBC事件のほうが個人にとっては漏らされたくない程度の高い情報(機微情報、センシティブ情報)が流出したという点にありますので、ヤフー事件よりもTBC事件のほうが賠償額が大きいこと自体は理由のあるところでしょう。ただ、いずれにせよ、両事件とも、損害賠償額の認定については疑問が残ります。企業から言えば、全被害者の合計額から考えれば大変な金額だと言いたいのでしょうが、訴訟費用、弁護士費用やその他の負担から考えれば、被害者個人が訴訟を提起する動機付けには全くならない賠償額です。これなら企業としても、個人情報保護のために大きなコストをかける気にはならないでしょうね。それが一番の問題です。

 個人情報流出の事件の多さ(今日もいくつか報道がありました)から考えて、企業にも十分その責任を考えてもらうためには、被害者も積極的に行動を起こすべきと思うのですが、今の状況では極めて難しいと言わざるを得ません。企業にとっては、賠償責任がないのに等しい結論となります。

 こういったひとりひとりの実害が少ない事案であっても、社会全体として追及すべき問題については、まもなく実施される消費者契約法の消費者団体訴訟(独占禁止法でも検討が始まっています)のようなシステムが必要なのでしょう。もっとも、この団体訴訟では損害賠償請求はできないので(差止請求のみ)、完璧ではないのですが。このような団体訴訟あるいはアメリカのクラスアクション制度や懲罰的損害賠償制度(実損額の賠償だけでなく、懲罰的な意味での罰金的な損害賠償を認める制度)を念頭におかなければいけないと思います。

 でなければ、1万人の情報が流出したとしても、仮に1人10000円の賠償、合計1億円としても、実際には、その請求のための負担をしようとする者はほとんどいないという現状では、企業側の対応はほとんど変わらないと思いますね。

 なお、個人情報保護法の制定による、過剰な反応についての問題は、これとは別です。政府機関も含めて、法律についてきちんと理解しないままに、個人情報保護について、あまりにも形式的な対応をしているため、馬鹿な対応がなされている点が問題なのであり、情報流出の責任とは別のレベルの問題なのです。

 一般の方々には、今日の東京地裁のTBC事件も私たちのヤフー事件も、どちらも個人情報保護法の施行前の事件であって、同法の適用により認められた請求ではないということは、是非知っておいていただきたいと思います。

2007年2月 7日 (水)

検索サイトについて思う

 先日来、検索サイト(グーグルやヤフーなど)について勉強してますが、登録やら検索のシステムというのも、なかなか奥が深い。SE0(search engine optimization 検索エンジン最適化)という用語も初めて知りました。

 検索サイト別にいろいろと登録してもらえるテクニックやら、検索順位を上位に上げる方法などの情報も、いろいろとネット上にありますが、100%信用できないのですね。これには、検索サイト側が情報をオープンにしていないこと、それに、検索サイト側も検索エンジンの変更をしたり、不正対策などについていろいろと対応を変えたりしているので、古い情報ではあまり役にたたないこと、などの事情もあるようです。

 で、こういう情報を検索すると、有料で登録代行だとか、検索順位をアップさせるなどという売り文句で宣伝している業者がたくさん出てきます。業者によっていろいろですが、例えば5000円くらいの費用で依頼できるようなところも多いようです。実態は知りませんが、私も消費者問題を長年やっている経験から言うと、悪徳詐欺商法の格好の舞台になっているような気もします。登録等の対策といっても、何をしているのか、理解できない利用者も多いはずですし、その対策によって登録されたのかどうかなど調べる方法もありません。5000円とか1万円だったら、駄目もとで利用する人も多いでしょうし、問題にされる可能性も少ないようにも思います。

 それと、もうひとつ、グーグルやヤフーの検索結果が、マーケティングにとって重要な意味を持つことになってきている現状では、独占禁止法など競争政策上の問題も出てきますね。消費者側の選択が恣意的に歪められる恐れもないとはいえません。

これについては、もう少し考えていきたいと思います。

2007年2月 3日 (土)

(続)譲渡担保についての最高裁判決

 先日(1/29)に書いた譲渡担保についての最高裁判決(平18.10.20最2小判)の続編です。

 判例時報(1950号59頁~)判例タイムズ(1225号187頁~)に同時に掲載されました。それぞれのコメント(解説)を読み比べようと思ったのですが......

 コメントは全くの同文でした。当然同じ筆者が担当したものと思われますね。縦書きと横書きの違いから、「上記のとおり」が「右のとおり」となってるような所はありますが。判例時報のほうが、上告受理申立理由が掲載されている分、お得といえるかもしれません。

 ところで、先日書いたように、高裁判決では弁済期が変更合意されたことを前提に、最初の弁済期を基準としていたのに、最高裁は、その点(弁済期をどちらで見るか)について一切触れませんでした。そして、その点は金融・商事判例(1254号23頁~)のコメントでも指摘されていました。

 しかし、今回の判時、判タのコメントでは、高裁判決の認定事実の経緯では、「事実上譲渡担保権の実行を猶予していたにすぎないようである。」と表現し、今回の最高裁判決は、「当初の弁済期は変更されていないことを前提としたものと解される。」と説明しています。

 コメントのここのところは問題ですね。高裁判決(上記金融・商事判例に一審判決と共に掲載)の事実認定は、弁済期が変更されていると認定し、そのうえで、変更前の当初の弁済期を基準とするべきだ、という判断を示しています。したがって、単に(弁済期は経過しているのに)事実上担保権の実行を猶予していたにすぎない、という事実認定にはなっていません。被上告人(被告)側が、弁済期は変更されていないということを主張していましたが、高裁は事実認定の中でその主張を排斥しています。そして、最高裁は、その点には一切触れずに判決しているのです。もし、検討される方は、この点にご留意ください。

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