2009年7月10日 (金)

修学旅行の価格カルテルについての排除措置命令(公取委)

 明日は、NPO法人「消費者ネット関西」の事業のお手伝いで、島根県浜田市まで講演に行ってきます。日帰りです。

 さて、3月に公正取引委員会が岡山市内の市立中学校の修学旅行について価格カルテルの疑いで旅行会社に立入検査に入ったことは、当ブログでも紹介しました。
 → 「修学旅行の価格カルテル(独禁法)」(3/11)

 で、この件につき、本日、公正取引委員会は、独占禁止法3条(不当な取引制限の禁止)に違反するとして、近畿日本ツーリスト株式会社(東京都千代田区)東武トラベル株式会社(東京都墨田区)トップツアー株式会社(東京都目黒区)の旅行会社3社に対して、排除措置命令を出しました。
 なお、この他に、株式会社JTB中国四国(広島市中区)株式会社日本旅行(東京都港区)の2社も、カルテル行為の当事者ですが、排除措置命令の対象からはずれています。排除措置命令書では、「・・・諸事情を総合的に勘案すれば,3社については,特に排除措置を命ずる必要があると認められる。」としています。
 また、課徴金減免制度の対象事業者としては、近畿日本ツーリストJTB中国四国日本旅行の3社が公表事業者となっています。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)
 → 課徴金減免制度の対象事業者

【違反行為の概要】

  1.  近畿日本ツーリスト、東武トラベル、トップツアー、JTB中国四国、日本旅行の5社は、平成19年4月7日ころ、平成21年度以降に実施される市立中学校の修学旅行について、貸切りバス代金の額や宿泊費の額、企画料金の料率、添乗員費用につき、一定額以上とすることを合意した。
  2.  5社は、平成20年8月8日ころ、平成22年度以降に実施される市立中学校の修学旅行について、上記の合意を見直して、価格につき合意した。
  3.  これらにより、5社は、公共の利益に反して、市立中学校の修学旅行に係る旅行業務の取引分野における競争を実質的に制限していた。

【排除措置命令の概要】

  1.  近畿日本ツーリスト、東武トラベル、トップツアーの3社は、それぞれ、
    ア 前記合意が消滅している旨を確認すること
    イ 今後、相互の間において、又は他の事業者と共同して、市立中学
     校の修学旅行について、貸切りバス代金の額、宿泊費の額、企画料
     金の料率及び添乗員費用の額を決定せず、各社がそれぞれ自主的に
     決める旨を,取締役会において決議しなければならない。
  2.  3社は、それぞれ、前記1に基づいて採った措置を、自社を除く2社及び市立中学校に通知するとともに、岡山市の一般消費者に周知し、かつ、自社の従業員に周知徹底しなければならない。
  3.  3社は、今後、それぞれ、相互の間において、又は他の事業者と共同して、市立中学校の修学旅行について、貸切りバス代金の額、宿泊費の額、企画料金の料率及び添乗員費用の額を決定してはならない。
  4.  3社は、今後、それぞれ、次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。
    ア 自社の従業員に対する、自社の旅行業務に関する独占禁止法の遵
     守についての行動指針の作成
    イ 自社の旅行業務に関する独占禁止法の遵守についての、市立中学
     校の修学旅行に係る旅行業務の営業担当者に対する定期的な研修及
     び法務担当者による定期的な監査

【追記】(7/10)
 2社は排除措置命令を免れているし、3社が課徴金減免制度の対象となっているのに、課徴金納付命令は全然ないし・・・まぁ時間がないので、後で考えようと思ってたら、泉水先生がブログに書いておられました。
 → 「独占禁止法の部屋ブログ」(7/10)

 21年度以降の修学旅行についての合意なので、合意を取りやめてしまったから、結局はカルテルが実行されなかったわけですね。深く読まずに、合意も途中で見直されているから、当然、実行されてるもんだと誤解していました。反省。

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放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドライン(第2版)(総務省)

 朝日や読売が先行して報道していた「テレビ局の下請けいじめ」についての総務省の指針の件ですが、本日、総務省は、「放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドライン(第2版)」を公表しました。
 → 総務省サイト報道資料
 → ガイドライン本文(PDF)

 朝日の記事を読んでいると、新しいガイドラインができたかのような印象を受けますが、そうではありません。今年2月に策定したガイドラインについて、検討のうえ、事例の類型を追加した改訂版です。前のガイドラインについても、当ブログでご紹介したところです。
 → 「『放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドライン』(総務省)」
                          
(2/25)

 今回の第2版ガイドラインの目次だけ、以下に示しておきます。

第1章 はじめに
 1.ガイドライン策定の背景
 2.ガイドラインの内容

第2章 個別具体的な取引事例について(問題となりうる事例)
 1.トンネル会社の規制(下請法第2条第9項関係)
 2.発注書及び契約書の交付、交付時期(下請法第3条関係)
 3.支払時期の起算日(下請法第4条第1項第2号関係)
 4.買いたたき、不当な経済上の利益の提供要請等
   (納入した番組・素材についての著作権の帰属、窓口業務)
 5.買いたたき(下請法第4条第1項第5号関係)
 6.不当な給付内容の変更及びやり直し(下請法第4条第2項第4号関係)
 7.放送番組に用いる楽曲に係る製作取引に関する課題
 8.アニメの製作発注に関する課題
 9.出資強制に関する課題
 10. 契約形態と取引実態の相違に関する課題

第3章 個別具体的な取引事例について(望ましいと考えられる事例)
 1.発注書の交付等(第2章-2関係)
 2.支払期日の起算日(第2章-3関係)
 3.不当な経済上の利益の提供要請等(著作権の帰属)(第2章-4関係)
 4.買いたたき(第2章-5関係)

参考資料

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2009年7月 9日 (木)

諸外国の個人情報保護制度報告書・概要(内閣府)

 アメリカ、韓国へのサイバー攻撃が続いているようで、北朝鮮犯人説も出てきていますね。先日のココログの「第三者の悪意ある連続アクセスによる通信過負荷」による障害とは無関係かな?

 さて、内閣府の国民生活審議会個人情報保護部会の先月29日の第10回会合の配布資料がネットで公開されています。
 → 国民生活審議会個人情報保護部会ページ

 なぜか消費者庁関連資料がまとまって配布されていますが、これは、わざわざここで見ることもないですね。
 資料として興味を引いたのは、内閣府国民生活局の「諸外国等における個人情報保護制度の実態調査に関する検討委員会・報告書概要」。諸外国の個人情報保護制度についてまとまった資料はありがたいので、ここにメモ。ただ、この「概要」のもととなっている「報告書」は平成19年の報告書のことなんでしょうね。ちゃんと見比べてませんが。
 → 「諸外国等における個人情報保護制度の実態調査に関する検討委員会
    ・報告書概要」
(PDF)

 → 平成19年1月「諸外国等における個人情報保護制度の運用実態に関す
          る検討委員会・報告書」
(PDF)

 諸外国、特に、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、カナダ、オーストラリアの6ヶ国およびOECD、EU、APEC等の国際的取組を検討対象にしています。

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消費者庁・消費者委員会に関するシンポジウム(日弁連)

 先日、消費者庁新設に伴う消費者庁、消費者委員会の人事問題について、ちょっと書きました。
 → 「消費者庁長官と消費者委員会委員長の人事への批判続出」(7/1)

 昨日も、今回の人事報道に対して批判的な秋田弁護士会会長声明が出されています。 → 秋田弁護士会サイト

 さて、そんな中、日本弁護士連合会(日弁連)では、7月17日(金)に「シンポジウム動き出す消費者庁と消費者委員会 -消費者のための制度に育てよう-」が開催されます。

 このシンポでは、消費者庁消費者委員会とはどういう組織で、どんな権限があるのか、消費者安全法によって何ができるようになるのかなど制度の概要、地方消費者行政の支援策の現状と課題などの論点について、パネルディスカッション等によりご紹介する予定となっているのですが、当然、上記の人事問題も話題にのぼることと思われます。
 東京の弁護士会館での開催ですが、重要なシンポであるところから、この手のシンポとしては珍しく、各地の弁護士会の中にはテレビ中継を行うところもあります。大阪弁護士会でも、下記案内の通り、開催されることとなっています。私も、この大阪弁護士会の中継会場には行く予定にしています。

 なお、各地のテレビ中継会場については、事前申込が必要な会場も多いようですので、会場となる各弁護士会へご連絡をお願いします。中継が行われる各会場の案内なども下記日弁連サイトにあります。
 → 日弁連サイト シンポジウム紹介ページ

 日    時  7月17日(金)午後6時~8時(開場5時半)
 場    所  弁護士会館 2階講堂(千代田区霞が関1-1-3)
 プログラム(予定)
         消費者庁関連3法についての概要報告
         パネルディスカッション
           1 消費者庁と消費者委員会の組織機能について
           2 消費者安全法における消費者庁の権限機能について
           3 消費者庁の所管法
           4 地方消費者行政の支援策
         まとめ
 参加費等   参加無料・申込不要
         東京会場は事前申込不要。直接会場にお越し下さい、とのこと。
 主   催   日本弁護士連合会
 問合せ先   日本弁護士連合会 人権部人権第二課
                   TEL:03-3580-9508

  〈大阪弁護士会のテレビ中継会場の案内〉
 → 大阪弁護士会サイト シンポの案内(PDF)

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2009年7月 8日 (水)

「ニュースの理由」のセブン・イレブン記事(日経)

 セブンーイレブン・ジャパンのコンビニ加盟店への見切り販売制限についての公正取引委員会の排除命令については、その後も話題になっていますが、それに関するものです。

 先週金曜になりますが7月3日の日経夕刊2面「ニュースの理由(わけ)」に田中陽編集委員執筆の「公取委、セブンイレブンに排除命令」というコラム記事がありました。実は、うっかり見過ごしてたのですが、夕べ読んでみると、この記事、よくわからない。全体しての趣旨も私の読解能力のせいか、法律的な観点からはわかりにくいように思えました。

 以下のブログで実務家と研究者の専門家おふたりがコメントされているので、ここでは掘り下げませんが、特に最上段の川越憲治弁護士のコメントを引いて書かれている段落の意味は私には不明(川越弁護士が悪いわけではありません。)。

 → 「企業法務戦士のブログ」(7/3)
 → 「独占禁止法の部屋ブログ」(7/7)

 この日経新聞編集委員の田中陽氏は、日本経済新聞社から2006年に「セブン‐イレブン覇者の奥義」というセブン・イレブンについての書籍を出されているほどで、コンビニを含めた流通業界については詳しいベテラン記者という方です。

 ところで、この問題で当初から気になっていたところですが、この日経コラムでも問題とされている「優越的地位の濫用」「再販売価格拘束」の両者についてです。
 「再販売価格拘束」が適用されなかったことについて議論されているわけですが、そもそも、対象となっている弁当などの商品が、セブンーイレブン・ジャパンが売り主として加盟店に販売した商品であるならば、「再販売価格拘束」の問題が生じると思うのですが、これらが別の食品メーカーから加盟店に直接に販売されている形であれば、一般指定に定める「自己の供給する商品」には該当せず、「再販売価格拘束」の問題は基本的に生じないのではないのでしょうか?少なくとも公取委の排除措置命令では、別の仕入先から仕入れる商品を対象としていると思います。もっとも、形はともあれ、実質的には、本部側が卸しているのだ、という実質論からのアプローチも可能かもしれませんが。
 この点、不勉強のため、ご教示いただければ幸いです。

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2009年7月 7日 (火)

「遺言・相続センター」での初仕事(大阪弁護士会)

 今日は午後1時から4時まで大阪弁護士会「遺言・相続センター」の電話相談のための事務所待機という仕事がありました。

 この「遺言・相続センター」は、大阪弁護士会が昨年9月に開設したものですが、私が電話相談を担当するのは今日が初めてです。大阪弁護士会の案内文によれば、
「遺言・相続センターは、市民の皆様にとって身近な法律問題である遺言や相続に特化して、法律相談等を行います。遺言・相続問題は身近なことではありますが、極めて多くの法律的な問題を含んでおり、その処理は司法の担い手である弁護士が最も得意とする分野です。
 ただ、弁護士の費用が不透明である、敷居が高いとのご指摘もあって、これまで弁護士をあまり利用されない方が多い状況でした。このようなご指摘を受け、
 1 電話で弁護士に20分間の無料法律相談ができる、
 2 その後の法律相談や遺言書作成料についても、弁護士の費用を明示する
という制度」
ということです。
 誰しも死を避けることはできず、相続という問題は、多くの人にとって他人事ではなく、かといって、身内のことですので、トラブルが生じるのはできれば避けたい、と思うものです。トラブルにはしたくはないけど、ちょっと法的な知識を聞いておきたい、とか、相続や遺言に伴う手続を知りたい、というような、ちょっとした法的アドバイスをひとまず必要としているような人には、気軽に利用しやすい良い制度だろうと思います。私が今日担当した事案も、そういったものであったと思います。

 電話での無料相談(20分間)が基本ですが、場合によっては、継続相談や遺言作成、遺産分割手続などを当該弁護士に依頼することも可能です(相談料など弁護士費用は発生します。)。

 詳しくは、
 → 大阪弁護士会サイト「遺言・相続センター」

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経済産業分野の個人情報保護ガイドライン改正案パブコメ(経産省)

 先日ご紹介した特定商取引法・割賦販売法改正法経済産業省の全国各地での説明会はすでに満員状態のようですが、9月~12月のスケジュールも公表されました。申込はまだです。大阪はここに2回ばかり入ってますが、これもすぐ申し込まないと満員でしょうね。 → 経産省サイト

 経済産業省からの情報は、同省サイトの報道発表ページから得ているのですが、この特定商取引法・割賦販売法の説明会の9月以降分の公表は載っていませんでしたので、別ルートからの情報でした。そして、以下の本題も同じく報道発表ページには出ておらず、別ルート情報からでした。

 で、本題です。個人情報保護法についてのガイドラインは各省等から出されていますが、中でも重要な「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」の改正案についての意見募集(パブリックコメント)が、6月30日に出されていました。意見の締切りは7月29日です。
 → 経産省サイト パブコメ

 まだちゃんと読んでませんが、改正案の概要によれば、
〔改正案の主な内容〕

(1)「個人情報の保護に関する基本方針」の一部変更への対応

(2)「個人情報の保護に関する法律施行令」の一部改正への対応
    平成20年5月に、個人情報取扱事業者から除外される者の要件が改正
   されたことに伴う改正。

(3)「個人情報保護に関するガイドラインの共通化について」への対応
    内閣府により平成20年7月に「全事業分野に共通するような標準的な
   ガイドライン」が策定されたことに伴う改正。

(4)「パーソナル情報研究会」で検討を行った各課題への対応
   ①性質に応じた個人情報等の取扱い
   ②「事業承継」に係るルールの明確化
   ③「共同利用」制度の利用普及に係る具体策

(5)その他

となっています。

 なお、上の(3)にある内閣府の「全事業分野に共通するような標準的なガイドライン」とあるのは、各省庁の各分野の個人情報保護ガイドラインの内容や形式を統一的にしてわかりやすくしようという趣旨で作られているもので、全分野の統一ガイドラインを作ったというわけではなく、おおざっぱに言えば、個人情報保護ガイドラインを各省庁が各分野のガイドラインを作成するための「ガイドライン作成のガイドライン」みたいなもののようです。

 ただ、「全事業分野に共通するような標準的なガイドライン」という用語はいくつかの文章中には出てくるのですが、これがタイトルになった文書は私がちょっと探した範囲では見つかりませんでした。
 おそらくは、内閣府および関係省庁が個人情報保護関係省庁連絡会議の申合せとして平成20年7月25日に出した「個人情報保護に関するガイドラインの共通化について」にある、ガイドラインの共通化についての考え方の「別紙」(下記リンクの「ガイドラインの共通化の考え方について」)の「○○分野における個人情報保護に関するガイドライン」というガイドラインのひな形書式みたいな文書が、それに該当するものだと思います。(間違っていたらご指摘ください。)

 → 「個人情報保護に関するガイドラインの共通化について」(PDF)
 → 「ガイドラインの共通化の考え方について」(PDF)

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2009年7月 4日 (土)

「天使のスィーツ」と「エンゼルスィーツ」の知財高裁判決(商標権)

 久しぶりに知的財産関係の判決紹介です。
 商標権に関するもので、特許庁の無効審判手続において、無効審判の請求が認められなかった森永製菓が、商標登録を有する被告企業に対して、審決取消訴訟を提起していたもので、裁判所サイト知的財産裁判例に載っていました。この知的財産高裁判決は、森永製菓の請求を認めて、特許庁の審決を取り消しました。

 平成21年7月2日知的財産高裁判決 審決取消請求事件(商標権) 

 「エンゼルスィーツ」の片仮名文字及び「Angel Sweets」の欧文字を上下二段に表した登録商標(指定商品「菓子及びパン」など)を有していた原告の森永製菓が、被告が有する「天使のスィーツ」の文字を横書きにした登録商標(指定商品「菓子及びパン」)について、商標法4条1項11号(不登録事由・・他人の先願の商標と同一又は類似のもの)に該当するとして、特許庁に無効審判を請求しました。

 これに対して、特許庁は、本件商標(被告の商標)と引用商標(原告の商標)とは、その外観、称呼及び観念のいずれにおいても同一又は類似のものということはできず、森永製菓の本件審判の請求は成り立たない、とする審決をしました。この審決の取消を求めた訴訟が本件訴訟です。

 この訴訟で森永製菓が主張して争点となった審決の取消事由は、「1.両商標から生じる観念の類否の判断の誤り」「2.出所の混同を生ずるおそれがないとした判断の誤り」の2つです。

 まず取消事由1ですが、両方の商標から生じる観念の類否の判断ということになります。商標の類似の判断は、「外観、称呼、観念」を比較するという方法が一般的に採用されていますが、このうち、「観念」の類否の問題です。
 本件知財高裁判決は、
「よって,本件商標からは,「天使の甘い菓子」,「天使のような甘い菓子」又は「天使」という観念が生じる。また,上記(1)のとおり,「エンゼル」「Angel」が「天使」の意味を有する我が国で親しまれた語であることに照らすと,引用商標からも,「天使の甘い菓子」,「天使のような甘い菓子」又は「天使」という観念が生じる。」とし、
「本件審決は,両商標がいずれも特定の観念を生じないと判断しているが,両商標の観念は,以上のとおり共通するのであって,本件審決の判断は是認することができないといわざるを得ない。」として、両者の観念は同一であるとし、
「・・・同一でも類似でもないとした本件審決の前記判断は,誤りである。」として、取消事由1を認めました。

 次に取消事由2(出所の混同を生ずるおそれがないとした判断の誤り)については、昭和43年最高裁判決を引用して、「商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,それには,そのような商品に使用された商標がその外観,観念,称呼等によって取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべく,しかも,その商品の取引の実情を明らかにし得る限り,その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当である」としたうえで、
 本件商標と引用商標との類否については、まず、両商標の「外観」「称呼」は相違するとしながら、
「・・両商標から生じる観念は同一であり,指定商品も「菓子及びパン」を共通にするものである。そうすると,本件商標と引用商標は,外観及び称呼において類似するとはいえないものの,観念が同一であって,取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すると,同一の指定商品である「菓子及びパン」に使用した場合に,商品の出所につき誤認混同されるおそれがあるということができる。なお,これに反する取引の実情は見当たらない。」として、
「そうすると,本件商標は,商標法4条1項11号に該当し,同号に該当しないとした本件審決の判断は,誤りである。したがって,取消事由2は,その趣旨をいうものとして理由があるといわなければならない。」(わかりにくい文章だ)とし、

 判決の結論として、原告森永製菓主張の取消事由1.2はいずれも理由があり、特許庁の審決は取り消されるべき、としたのです。

 特許庁と結論を異にしたのですから当然ではありますが、ちょっと微妙な判断かな、と私は思います。「天使のスィーツ」「エンゼルスィーツ」(「Angel Sweets」)の類否判断・・いかがでしょうか?

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2009年7月 3日 (金)

Googleブック検索についての米司法省調査(続報)

 Googleのブック検索サービスに関連して著作権者らとのクラスアクションでの和解については、このブログでも何度か触れてきました。
 そのうち今年の5月5日に「Googleブック検索の和解案に関して2題(米司法省調査・日本の著者対応)」という記事で紹介した米司法省の調査についての報道が読売でありました。司法省が、独占禁止法違反関連で正式な調査を始めたことを7月2日に明らかにした、というものです。

 司法省の広報によれば、この和解について「独占禁止法規制当局は、デジタル書籍の知的財産権と流通に関して非競争的な手段が用いられた可能性を調査している」とのことで、独占禁止法関連の調査だから当然の内容であり、以前の記事以上に目新しい内容もないのですが、ただ、調査していることを司法省自体が公式に認めたという点の値打ちでしょうか。

 なお、この読売の記事によれば、著作者が和解案に参加するかどうかを選択する期限を当初予定されていた5月から9月へと4ヶ月間延長したとのことで、この和解案についての最終審理を10月に予定している、とのことですね(既報のようですが)。

 今見たところでは、日経も報じてました。

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2009年7月 2日 (木)

公正取引委員会サイトから

 なんだか2ちゃんねるからトップページに大量に流れてこられているようなので、地味な固い記事でも置いておきましょう。

 今日は、公正取引委員会関連では、愛媛県発注のり面保護工事の入札談合に関する審判審決、元詰種子の価格カルテルに関する課徴金納付の審決、ダクタイル鋳鉄管製造販売業者に対する課徴金納付の審決の3審決が出ていますが、今回はスルーします。詳しくは公取委サイトへ。
 → 公取委サイト報道発表資料

 それと、これは今日公表されたものではないですが、公正取引委員会事務局長の6月24日の定例記者会見記録で、「株式会社セブン-イレブン・ジャパンに対する排除措置命令について」「国土交通省が発注する車両管理業務の入札参加業者らに対する件について」という先日当ブログでも触れた両事件について紹介してました。
 → 公取委サイト事務総長定例会見記録

 眼帯生活がまだ続いています。眼帯をしているほうの眼は開けておくべきか閉じておくべきか、ずっと悩んでます(笑)

 政局がますますわからなくなってきて、山本一太参議院議員のブログ「山本一太の『気分はいつも直滑降』」を読むのが日課になってしまいました。支援者でもなんでもないですが、面白い。

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