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2017年12月15日 (金)

ジャパンライフに4回目の業務停止命令(消費者庁)

 1ヶ月ほど前に、当ブログに、家庭用永久磁石磁気治療器の販売業者ジャパンライフ(東京都千代田区)の問題を書きました。

  → 「ジャパンライフに3回目の業務停止命令(特定商取引法・消費者庁)」 
                          (2017/11/17 )

 その後、ジャパンライフ被害対策中部弁護団が刑事告発することが報道され、

  → ジャパンライフ被害対策中部弁護団「刑事告発をすることについての報道」

 特定適格消費者団体消費者支援機構日本が同社に関する情報提供を呼びかけるなどの動きが出てきました。

  → 消費者支援機構日本「ジャパンライフ(株)に関する情報をお寄せください。」

 そして、本日、消費者庁は、またジャパンライフに対して、特定商取引法に基づき連鎖販売取引に係る取引の一部(新規勧誘、申込受付及び契約締結)と、預託法に基づき預託等取引契約に係る業務の一部(新規勧誘、申込受付及び契約締結)を、平成29年12月17日から平成30年12月16日までの12か月間それぞれ停止するよう命じました。

 認定した違反行為は、特定商取引法については、勧誘目的等不明示故意による事実不告知契約書面不交付及び迷惑解除妨害預託法については、書類の備置き義務違反ということです。

 前の記事で書きましたように、ジャパンライフはここ1年の間に既に3回の業務停止命令を受けており、そのうち連鎖販売取引に係る取引の業務停止は2回目の業務停止命令が明日12月16日までが期限となっていたのですが、今回の4回目の業務停止命令により、さらに12月17日から平成30年12月16日までと延長されたわけです。

 今回、対象となった行為は、これまでの業務停止命令に違反しているのではないか、と思われます。詳しくは続報を待ちたいと思いますが、別途の行政あるいは刑事の処分がなされる可能性があります。

「履くだけで痩せる」レギンスの不当表示(消費者庁)

 昨日(12/14)、消費者庁は、株式会社SAKLIKIT(サクライキ・大阪市中央区)に対し、同社が販売する「CC+ DOWN LEGGINGS(シーシープラス ダウンレギンス)」と称する下着に係る表示について、景品表示法違反の不当表示(優良誤認)に該当するとして、措置命令を行いました。消費者庁公正取引委員会の調査の結果を踏まえたものです。

 健康食品などで多い「痩身効果」の表示ですが、本件は健康食品ではなく、レギンス(下着衣料)です。今回は景品表示法に基づく措置命令ですが、後記の通り、薬機法(旧・薬事法)の問題もあると思います。

  → 消費者庁公表資料 (PDF)

 本件は、対象商品「CC+ DOWN LEGGINGS」について、自社のスマートフォンサイトなどに、例えば、   

  •  「何もしなくても24時間絶食状態!! 異常なスピードで体重が落ちる!! その威力はたった3日で-5kg減量! 7日後・・・-10kg 10日後・・・-14kg 21日後には下半身だけじゃない!? 全身の脂肪が痩せていく!! ↓↓↓」と記載するとともに、人の身体を比較した画像を掲載した上で「78kg⇒56kg!! 体重-22kg減!!」と記載  

  •  「ただレギンスを履くだけで・・・ [1]ミクロ単位の骨盤矯正 ↓↓↓ [2]強制循環呼吸法 ↓↓↓ [3]脂肪の無限∞燃焼 ↓↓↓ [4]毒素の大量排出 この4stepで 365日・・・ 脱ぎ捨てるまで痩身スパイラルが止まらない」と記載

  •  「14日以内に全身の脂肪を削ぎ落とす!! ≫14日間着用≪」と記載するとともに人の腹部を比較した画像を掲載した上で「体重64kg⇒43kg 体重-21kg減 体脂肪率⇒驚異の9%」と記載

  •  「体型が激変した体験者は 既に300名を超えています」と記載した上で「◎最低体重記録を更新しました!柴田茜様(29歳)3週間着用」と記載するとともに人の身体を比較した画像を掲載した上で「61kg⇒43kg ≫-18kg≪ 出産を期に15kg太ってしまいました。5年くらい何をしても全く落ちなかったのに・・・・CC+ダウンレギンスを履き始めたら、ここ数年の最低体重記録を更新しました。」と記載

することにより、あたかも、着用するだけで、短期間で容易に著しい痩身効果が得られるかのように示す表示をしていました。 

 しかし、消費者庁が同社に対して、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社は、当該期間内に資料を提出しなかった、というものです(不実証広告)。

 本件のレギンスのように人体に密着して使用し、その人体に対する効能効果を宣伝する場合、これが医療機器と見られる可能性があります。医療機器としての認定を受けておれば、効能効果が認められる範囲でそれを宣伝文句に使うことは許されますが、そうでなければ、仮にそのような効能効果があったとしても、それを宣伝に使うことは薬機法に違反します。

 本件の商品は、特に医療機器としての認定を受けてないと思われますので、上記のような宣伝が薬機法の違反行為とならないか、という疑いがあります。

 もっとも、健康食品にせよ、未認定医療機器にせよ、単なるダイエットとか痩身などの表現が、必ずしも薬機法上の違法に直ちに結びつくものではありませんが、腹回りなど特定部位の痩身であるとか、「体内の脂肪等の分解、排泄」、「体内組織、細胞等の機能の活性化」、「宿便の排泄、整腸」、「体質改善」などと結びつくと薬機法違反となるものとされています。

 すると、上記の同社サイトの表示では、単なる代謝を超えた体重減少を強調しているうえ、「全身の脂肪が痩せていく」、「レギンスをはくだけで、骨盤修正、強制循環呼吸法、脂肪の無限燃焼、毒素の大量排出」、「全身の脂肪を削ぎ落とす」などの表現を行っており、薬機法に違反する効能効果による広告ではないか、と私は思います。

 なお、本件商品と同様の下着などには、医療機器の認定を受けたうえで、「弾性ストッキング」などとして販売している例があるようです。

 また、こういった加圧式の下着(レギンス、スパッツ、ストッキング、タイツなど)はいろいろと出ており、私もランニングの時に履くスポーツ用タイツなどの商品が各社から販売されています。こういったものについて、衣服圧が高いことにより、脚などに悪影響を与える場合について、2011年に国民生活センターが報告書を出しています(報告書本体は次のリンク先からPDFにリンクしています。)。

  → 「加圧を利用したスパッツの使い方に注意!」(国民生活センター)

2017年12月 8日 (金)

「ジャニーズ通信」(mixi関連)強制捜査の報道

 ジャニーズ事務所の商標権を侵害したなどとして、兵庫県警が12月4、5両日に、IT大手の「ミクシィ」の子会社で、チケット転売サイト「チケットキャンプ(チケキャン)」を運営する「フンザ」を家宅捜索していたことが本日報道されています。

 報道によれば、フンザは、ジャニーズ事務所の所属アイドルのコンサート日程や場所をまとめたサイト「ジャニーズ通信」を運営していましたが、ジャニーズ事務所から名称使用の許可をとっていなかったということです。フンザは、家宅捜索後の12月6日には、このサイトを閉鎖したとのこと。このチケットキャンプは、チケット転売サイトの中でも最大手だそうです。

 不正競争防止法違反は、同法2条1号(混同惹起行為)2号(著名表示冒用行為)のいずれかだと思われ、いずれも、一般に知られている他人の商品などの表示を使う行為が対象となります。ジャニーズくらいの有名銘柄になると、2号の著名表示冒用行為に該当するのではないか、と思われます。このような不正競争防止法違反行為は、民事上の差止とか損害賠償だけでなく、刑罰規定もあり、犯罪となりますので、今回兵庫県警が強制捜査に乗り出したものですね。

 商標法違反は、他人が持っている登録商標を商品名称などに使うことが商標権の侵害とされ、これも同じく侵害行為には刑罰規定があり、犯罪ということになります。

 チケット転売は、一般の消費者が、病気や仕事の都合などで、せっかく買ったチケットが使えないような場合には便利です。しかし、一方では、ネットや電話を使ってチケットを買い占める転売業者が、どうしてもチケットが欲しい一般消費者に高値で転売して利益を上げるという問題があり、また、この買い占め行為により販売開始時に一般の消費者が買えない事態にもなっています。

 なお、チケットキャンプのサイトには、次のような記載がありました。

「この度、誠に勝手ながら本日2017年12月7日(木)をもちまして、チケットキャンプのサービスを一時停止致しますことをお知らせします。

 チケットキャンプのサービス一時停止に関する詳細は、以下の通りとなっております。

 2017年12月7日(木)      
・新規会員登録、新規出品・リクエスト、新規落札が行えなくなります。      
・現在出品中のチケットで、落札前(取引成立前)のものにつきましては、事務局にて削除を行いました。      
※現在出品中のチケットで落札後(取引成立後)のものにつきましては、削除は行わないため通常通りお取引を継続ください。      
※サンロッカーズ渋谷「チケキャンダンクシート」、千葉ジェッツふなばし「XFLAG JAMシート」はご購入いただけます。       
※売上金につきましては、振込依頼を行っていただくことで通常通りお受け取りいただけます。

 サービスの一時停止期間につきましては未定となっております。」

全国チェーンの業者に対する措置命令(有利誤認)が続いています。

 先日(12/5)、大阪弁護士会館にて、日本CSR普及協会近畿支部の公開セミナー「景品表示法(不当表示)規制の最新動向~規制強化を踏まえた対応のポイント~」を開催しました。私の所属する消費者公正競争部会の担当セミナーで、土平峰久さん(消費者庁表示対策課)、那須秀一さん(弁護士)のご講演と籔内俊輔さん(弁護士)が加わったパネルディスカッションでしたが、企業の方や弁護士さんが会場いっぱいに来られ、大盛況のうちに終わりました。 

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 ということで、景品表示法への関心も高まっているところ、今週は、消費者庁が、景品表示法違反(不当表示)に対する措置命令を2件出していますので、簡単に紹介をします。両方とも、全国に店舗を展開している小売企業であり、どちらも有利誤認の事案になります。先日、当ブログにも書きましたイエローハットも全国チェーンの小売業者で同じく有利誤認事案でしたので、12月上旬に、同じようなのが3件続いた、ということになりますね。   

 1件目は、12月5日の措置命令です。

 カジュアルウェアの直営ショップブランド「METHOD」「流儀圧搾」「Green&Leaps」などを全国展開する株式会社シーズメン(東京都中央区)に対し、同社の販売する衣料品に係る表示について、不当表示(有利誤認)が認められたとして措置命令が出されました。

 これは、各店舗の「夏期セール」において、POP(店頭表示物)に「40%OFF」等と記載し、商品に取り付けたタグに「販売価格+税」と記載するなどして、あたかも、対象商品が店舗における通常の販売価格から40パーセント割り引いて販売するかのように表示していましたが、実際には、対象商品はセール前に販売されたことがないものであって、表示の販売価格は、セールにおいて40パーセントという割引率を表示するために、株式会社シーズメンが任意に設定したものだった、というものです。

  → 消費者庁公表資料 (PDF・12/5)

 本件は二重価格表示基準価格がそもそも存在しなかった、というパターンですね。 先日のイエローハットの事案と同様のものです。

  → 「「通常価格」不当表示に対する措置命令(イエローハット)」 (12/1)

 2件目は、本日の措置命令です。

 対象となったのは、中古車販売チェーン「ガリバー」を運営する株式会社IDOM(イドム・東京都千代田区)に対し、同社が販売する中古自動車に係る表示について、不当表示(有利誤認)が認められたとして措置命令が出されたものです。

 これは、新聞折込チラシに中古自動車の画像とともに商品説明の一部として「保証付き」と記載するなど、チラシの裏面下部に「長期保証 最長10年」及び「重要機構部分を対象に最長10年の長期保証つき。」と記載するなどして、各商品には、車両に係る保証が無償で付帯しているかのように表示していたのですが、実際には各商品には、車両に係る保証は無償では付帯していなかった、というものです。

  → 消費者庁公表資料 (PDF・12/8)

2017年12月 6日 (水)

NHK受信契約締結義務に関する最高裁大法廷判決

 ニュース報道でご承知のように、本日、NHK受信料に関する最高裁大法廷判決がありました(平成26(オ)1130 受信契約締結承諾等請求事件).。

 受信契約を拒否している者に対して、NHKが受信契約は成立しているとして、受信料の支払いを求めていた裁判で、被告は、受信設備(テレビ)設置者に受信契約の締結を強制する放送法の規定は、憲法違反(13条、21条、29条)であるなどとして争っていた裁判です。

 この裁判の1審、2審は、NHKの主張を概ね認め、被告に対して受信料の支払を命じていました。

 そして、本日、最高裁大法廷は、憲法違反ではない、として、被告の上告を棄却しました。なお、受信契約の成立時期に関する原審判決の判断については、NHKも不服として上告していましたが、こちらの上告も棄却されています。

 大法廷判決多数意見は、   

  1. 放送法による受信契約の強制は憲法違反ではない
  2. 受信契約の承諾の意思表示を命ずる判決の確定により受信契約が成立し、それに基づき、受信設備の設置の月以降(つまり遡る)の受信料債権が発生する 
  3. 受信料債権(契約成立後に履行期が到来するものを除く)の消滅時効は、受信契約成立時(つまり判決確定時)から進行する

 というものです。NHKとしては、わざわざ裁判をしなくてはいけない、という負担は負うものの、遡って受信料債権が発生するうえ、判決確定までは消滅時効期間も進行しない、ということになり、非常に有利な結果といえます。

 この判決に関しては、4名の裁判官の補足意見が付されているほかに、15名の裁判官の内、唯一、木内道祥裁判官による反対意見が述べられています。木内裁判官は、大阪弁護士会の弁護士出身の最高裁判事です。

 この木内反対意見は、   

  1. 放送法の契約成立義務の規定は、意思表示を命ずる判決を求めることのできる性質のものではない
  2. そう考えても、契約締結義務を拒否する者に対して損害賠償責任や不当利得返還義務による追及は可能である

というものです。木内反対意見の全文を下に貼り付けておきましたので、長文ではありますが、興味のある方は是非お読みください。

〔裁判官木内道祥の反対意見〕  
 私は,放送法64条1項が定める契約締結義務については,多数意見と異なり,意思表示を命ずる判決を求めることのできる性質のものではないと解する。以下,その理由を述べる。   

1 意思表示を命ずる判決をなしうる要件   
(1) 意思表示の内容の特定 

 判決によって意思表示をすべきことを債務者に命ずるには,その意思表示の内容が特定されていることを要する。契約の承諾を命ずる判決が確定すると,承諾の意思表示がなされたものとみなされて契約が成立することになるが,1回の履行で終わらない継続的な契約においては,承諾を命じられた債務者は判決によってその契約関係に入っていくのであるから,承諾によって成立する契約の内容が特定していないまま,判決が債務者の意思表示の代行をなしうるものではない。   

(2) 意思表示の効力発生時期   
 判決が命じた意思表示の効力発生時期が判決の確定時であることは,民事執行法174条が定めており,これと異なる効力発生時期を意思表示を命ずる判決に求めることはできない。   

2 放送受信規約の定める受信契約の内容   
 放送法は受信契約の内容を定めておらず,原告の定める放送受信規約がその内容を定めている。そのことの当否は別として,放送受信規約の定める受信契約の内容は,次のようなものである。   

(1) 受信契約の種別と受信料(第1条第1項,第5条)   
 受信契約には,3つの種別があり,1の受信契約につき,その種別ごとの受信料が定められている。   

(2) 受信契約の単位(第2条)   
 受信設備が設置されるのが住居であれば,世帯が契約単位であり,1世帯で複数住居なら,住居ごとが単位となる。世帯とは,住居および生計をともにする者の集まり,または,独立して住居もしくは生計を維持する単身者である。   
 事務所等の住居以外の場所に設置される受信設備については,設置場所が契約単位であり,設置場所の単位は,部屋,自動車などである。   
同一世帯の1の住居に受信設備が何台あっても,契約は1,受信料も1であり,住居以外の場所では1の設置場所に受信設備が何台あっても,契約は1,受信料も1である。   

(3) 受信契約書の提出義務(第3条)   
 受信設備を設置した者は,遅滞なく,①設置者の氏名及び住所,②設置の日,③受信契約の種別,④受信できる放送の種類及び受信設備の数などを記載した受信契約書を原告に提出しなければならない。   

(4) 受信契約の成立(第4条第1項)   
 受信契約は受信設備の設置の日に成立するものとする。   

(5) 受信契約の種別の変更(第4条第2項)   
 受信契約の種別の変更については,受信設備の設置による変更は設置の日に,受信設備の廃止による変更は,その旨を記載した受信契約書の提出の日に,原告の確認を条件として,変更される。   

(6) 受信料支払義務の始期と終期(第5条第1項)   
 受信契約者は,受信設備の設置の月から解約となった月の前月まで,受信料を支払わなければならない。   

(7) 受信契約の解約(第9条第1項,第2項)   
 受信設備を廃止すると,受信契約者は,その旨の届出をしなければならない。原告が廃止を確認できると,届出があった日に解約されたものとする。   

3 放送受信規約の定めと意思表示を命ずる判決をなしうる要件の関係   
(1) 放送受信規約による契約内容の特定
   
 受信契約の承諾を命ずる判決には,承諾の対象となる契約の内容の特定が必要なところ,判決主文において明示するか否かを問わず,判決の時点における放送受信規約を内容とする受信契約の承諾を命ずることになる。そこで,放送受信規約の定めが,それ自体として,契約内容を特定するものとなっているのか否かが問題となる。   

(2) 放送受信規約による契約内容   
 放送受信規約は,受信設備設置者が設置後遅滞なく前記2(3)の事項が記載された受信契約書を提出して受信契約が成立することを前提としている。そのようにして受信契約が締結される限り,受信契約が受信設備設置時に遡って成立すると合意することは可能であり,1世帯に複数の受信設備があり,受信設備の種類が異なっていても,提出された受信契約書の記載によって,契約主体,契約の種別を特定することは可能である。
 他方,以下の①~③で示されるとおり,判決によって受信契約を成立させようとしても,契約成立時点を受信設備設置時に遡及させること,また,判決が承諾を命ずるのに必要とされる契約内容(契約主体,契約の種別等)の特定を行うことはできず,受信設備を廃止した受信設備設置者に適切な対応をすることも不可能である。   

① 契約の成立時点と受信料支払義務の始点   
 意思表示を命ずる判決によって意思表示が効力を生ずるのは,民事執行法174条1項により,その判決の確定時と定められている。承諾を命ずる判決は過去の時点における承諾を命ずることはできないのであり,承諾が効力を生じ契約が成立するのは判決の確定時である。したがって,放送受信規約第4条第1項にいう受信設備設置の時点での受信契約の成立はありえない。   
 受信料債権は定期給付債権である(最高裁平成25年(受)第2024号同26年9月5日第二小法廷判決・裁判集民事247号159頁)が,定期給付債権としての受信料債権を生ぜしめる定期金債権としての受信料債権は,受信契約によって生じ,その発生時点は判決の確定時である。受信契約が成立していなければ定期金債権としての受信料債権は存在せず,支分権としての受信料債権も生じない。したがって,放送受信規約第5条にいう受信設備の設置の月からの受信料支払義務の負担はありえない。   

② 契約の主体と受信契約の種別の変更   
 同一の世帯に夫婦と子がいる場合,放送受信規約第2条は,住居が1である限り,受信設備が複数設置されても受信契約は1とするが,夫婦と子のそれぞれが受信設備を設置しあるいは廃止すると,判決が承諾を命ずるべき者が誰なのかは,不明である。それぞれが設置した受信設備の種類が異なる場合,判決が承諾を命ずる契約の種別が何なのかも,不明である。   

③ 受信設備を廃止した受信設備設置者との関係   
 承諾を命ずる判決は,過去の時点における承諾を命ずることはできないのであるから,現時点で契約締結義務を負っていない者に対して承諾を命ずることはできない。受信契約を締結している受信設備設置者でも,受信設備を廃止してその届出をすれば,届出時点で受信契約は解約となり契約が終了する(放送受信規約第9条)ことと対比すると,既に受信設備を廃止した受信設備設置者が廃止の後の受信料支払義務を負うことはありえない。仮に,既に受信設備を廃止した受信設備設置者に対して判決が承諾を命ずるとすれば,受信設備の設置の時点からその廃止の時点までという過去の一定の期間に存在するべきであった受信契約の承諾を命ずることになる。これは,過去の事実を判決が創作するに等しく,到底,判決がなしうることではない。   
 原告が受信設備設置者に対して承諾を求める訴訟を提起しても,口頭弁論終結の前に受信設備の廃止がなされると判決によって承諾を命ずることはできず,訴訟は受信設備の廃止によって無意味となるおそれがある。   

4 財源としての受信料の必要性と放送法64条の関係   
 放送法の制定当時においても民事訴訟法736条が現行の民事執行法174条と同様の意思表示を命ずる判決を定めていたのであるから,放送法の制定にあたって,同法に定める受信契約の締結義務を,意思表示を命ずる判決によって受信契約が成立するものとし,それによって受信料を確保するものとする動機付けは存したかもしれないが,そのことと,実際に制定された放送法の定めが,受信契約の締結を判決により強制しうるものとされているか否かは,別問題である。   
 受信契約の内容は放送受信規約によって定められ,その規約による受信契約の条項は電波監理審議会の諮問を経た総務大臣の認可を経ているのであるから,放送受信規約は放送法64条1項の趣旨を具体化したものとなっていると解されるが,その規約の内容が,判決によって承諾を命ずることができるものにはなっておらず,かえって,任意の契約締結を前提とするものとなっていることは,前項で述べたとおりであり,放送法64条1項は判決により受信契約の承諾を命じうる義務の定め方をしていないのである。   

5 判決によって成立する受信契約が発生させる受信料債権の範囲    
 多数意見は,受信設備の設置の月以降の分の受信料債権が発生する理由を,受信契約の締結を速やかに行った者と遅延した者の間の公平性に求めるが,これは,受信契約が任意に締結される限り受信料支払義務の始点を受信設備設置の月からとすることの合理性の理由にはなるものの,放送法の定めが判決が承諾を命じうる要件を備えたものとなっていることの理由になるものではない。   
 契約の成立時を遡及させることができない以上,判決が契約前の時期の受信料の支払義務を生じさせるとすれば,それは,承諾の意思表示を命ずるのではなく義務負担を命ずることになる。これは,放送法が契約締結の義務を定めたものではあるが受信料支払義務を定めたものではないことに矛盾するものである。   

6 受信料債権の消滅時効の起算点   
 多数意見は,判決により成立した受信契約による受信料債権の消滅時効の起算点を判決確定による受信契約成立時とし,任意の受信契約の締結に応じず,判決により承諾を命じられた者は受信料債権が時効消滅する余地がないものであってもやむを得ないとする。   
 受信設備設置者は,多数意見のいうように,受信契約の締結義務を負いながらそれを履行していない者であるが,不法行為による損害賠償義務であっても行為時から20年の経過により,債権者の知不知にかかわらず消滅し,不当利得による返還義務であっても発生から10年の経過により,債権者の知不知にかかわらず消滅することと比較すると,およそ消滅時効により消滅することのない債務を負担するべき理由はない。   

7 放送法の契約締結義務の私法的意味   
 放送法64条1項の定める受信契約の締結義務が判決により強制できないものであることは,なんら法的効力を有しないということではない。   
 受信契約により生ずる受信料が原告の運営を支える財源であり,これが,原告について定める放送法の趣旨に由来することから契約締結義務が定められているのであるから,受信設備を設置する者に受信契約の締結義務が課せられていることは,「受信契約を締結せずに受信設備を設置し原告の放送を受信しうる状態が生じない」ことを原告の利益として法が認めているのであり,この原告の利益は「法律上保護される利益」(民法709条)ということができる。受信契約の締結なく受信設備を設置することは,この利益を侵害することになり,それに故意過失があれば,不法行為が成立し,それによって原告に生ずる損害については,受信設備設置者に損害賠償責任が認められると解される。   
 同様に「受信設備を設置し原告の放送を受信しうる状態となること」は,受信設備設置者にとって,原告の役務による利益であり,受信契約という法律上の原因を欠くものである。それによって原告に及ぼされる損失については,受信設備設置者の不当利得返還義務が認められると解される。

2017年12月 1日 (金)

「通常価格」不当表示に対する措置命令(イエローハット)

 本日、消費者庁は、大手自動車用品チェーン業者である株式会社イエローハット(東京都中央区)に対し、カーナビなどの自動車用品の新聞折り込みチラシの表示が、景品表示法に違反する不当表示(有利誤認表示)であるとして措置命令を出しています。

  → 消費者庁公表資料 (PDF)

 これは、北海道、神奈川県、福井県、長崎県の4店舗でのセール企画の新聞折込チラシ(約500万枚)に、当店通常価格のマーク(〇の中に通)を付し、通常価格の金額を記載して、セールでの販売価格が通常の販売価格より安いかのように表示していましたが、実際には、その通常価格の金額は、各店舗において最近相当期間にわたって販売された実績のないものだった、というものです。
 例えば、カーナビの通常価格が税込¥75,384と記載して、販売価格を税込¥59,184と表示していました(写真は上記消費者庁公表資料より。)。

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 以前にも書きましたが、こういったいわゆる「二重価格表示」の場合の基準価格(今回の件では「通常価格」)については、ガイドライン(告示)があり、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」の基準が示されています(ガイドライン第4参照)。

  → 消費者庁「二重価格」のページ 

  → 「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」 (PDF)

2017年11月30日 (木)

民法(債権法)大改正といわゆる「電子(消費者)契約法」

 民法(債権法)の大改正となって、施行に向けて、私たち専門家も関連企業も、その勉強なり準備なりに迫られているところです。

 昨日は、私が所属するNPO法人・消費者ネット関西の理事会にて、消費者問題と関連して概括的な勉強会を行いました。

 今回の大改正によって、民法そのものだけではなく、当然ながら、民法の特別法など他の法令の内容にも大きな影響を与えることになります。そのための関連法の整備のために、 「民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」という法律(以下、整備法と略します。)も成立しておりまして、関連するたくさんの法律の改正の内容が定められています。

 この整備法の規定には、いわゆる「電子契約法(電子消費者契約法)」と称されている法律も含まれています。この法律の正式名称は、 「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」で全部でわずか4ヶ条のみの法律です。1条は趣旨、2条は定義で、中身的には、3条民法95条(錯誤)の、4条民法526条、527条(隔地者間の契約の成立時期等)について、それぞれ民法の規定の特例を定めている法律です。

 上にも略称をカッコ書きで書いていますが、 「電子契約法」だと何だか大層な電子契約全般に関する基本法みたいな印象を受けますし、 「電子消費者契約法」も若干大層なうえに、3条電子消費者契約を対象とするものであるのに対して、4条はそれに限らず広く電子契約に関するものですので、ちょっと誤解が生じることになります。私は、2つの法科大学院で、それぞれ消費者法と情報法の授業を担当しておりますので、この法律はどちらの授業でも取り上げるのですが、略称については、いつも言い訳をしながら使っていました。そういう印象を軽減するために、 「電子(消費者)契約特例法」という名称を使ったこともあります。

 前置きが長くなりましたが、今回の民法(債権法)大改正に伴って、この法律がどうなるか、ということは、整備法298条に規定されていて、3条に関連しては、民法95条に関する改正がありますので、 「第95条ただし書き」 「第95条第3項」に、 「電子消費者契約の要素に錯誤があった場合であって、当該錯誤が」「意思表示が同条第一項第一号に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであり、かつ、」 に変わります。前者は条文番号の変更に伴うものであり、後者は、これまでのいわゆる「要素」の錯誤の部分の表現が変わりましたので、それによるものです。

 そして、4条については、民法における隔地者間の契約成立時期等が、改正により、従前の(意思表示の)発信主義が、到達主義(一般の契約成立の場合の原則)に変わるため、発信主義の例外を定めていた4条は不必要になりますので、削除となります。それに関連して、1条(趣旨)、2条(定義)4条関連部分も削除されます。

 また、法律の名称自体も、4条が削除されたことにより、 「電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律」と変わりますので、「電子消費者契約法」とか「電子消費者契約特例法」と略称してもおかしくないことになりました。

2017年11月27日 (月)

「eスポーツと景品表示法」(白石忠志東大教授)を読んで

 eスポーツというのは、本来のスポーツ=運動競技とは異なり、コンピュータゲームによる競技の大会です。このeスポーツに関して、欧米では盛んに行われているのに、日本ではあまり開催されないのは、景品表示法の景品規制により、賞金の最高額が10万円と低額だから、という話を、最近、特にネット上で見ます。日経電子版でもそのような紹介があったようです(本年7月19日付)。

 この景品表示法の件は以前から言われてはいたのですが、カジノなどの研究者である木曽崇氏が、昨年、消費者庁に、この問題について意見照会したところ、消費者庁もこれを認めた、という話が一挙に拡がった、というところが現在の状況です。これについては、私も、若干、消費者庁の回答の内容の検討がなされないまま、結論だけが一人歩きをしている感じがしておりました。

 そして今回、この問題について、独占禁止法景品表示法などの研究者である白石忠志東京大学教授が、東京大学法科大学院ローレビュー(Vol.12 2017.11)に、 「eスポーツと景品表示法」という論説を掲載されました。この論説はネットで読むことができますので、詳しくはそちらをご覧下さい。ただ、景品表示法の景品規制の制度についての基礎知識がないと、ちょっと難しいかもしれません。

 白石教授は、冒頭で、「この問題に関する検討材料を提示しようとするものである。」とされ、景品規制の制度の紹介と趣旨の解説の後、上記の木曽崇氏による意見照会(法令適用事前確認手続)と消費者庁の回答の内容を踏まえて、eスポーツの大会を、大きく2つに分けて検討されています。ひとつは、 「一般ユーザー競技大会」の場合で、もうひとつが、 「一般ユーザー観戦大会」の場合です。前者は、一般の(普通の)ユーザーが競技者となることを中心とする大会で、後者が、有名選手らによる高度な大会で一般ユーザーは観戦することが中心である大会とされています。もちろん、白石教授も、この中間形態の大会があることは前提として、検討のための単純化したモデルを示されているものです。また、ここでは、ゲーム開発会社が大会を主催し、賞金も当該会社が提供することを前提とされています。

 そのうえで、従前の当局(公正取引委員会消費者庁)の関連する告示、運用基準等の紹介をされて、特に「一般ユーザー観戦大会」の場合は、 「顧客を誘引する手段として」(景品表示法2条3項)に該当しないと考えることができるのではないか、そして、 「一般ユーザー競技大会」の場合であっても、一定の要件を満たす場合には、同様に考えられるのではないか、と述べられています。

 「優等懸賞」 (単純なくじや抽選ではなく、特定の行為の優劣又は正誤によって景品類が提供される方式。)や、 懸賞の例外とされている「セールスコンテスト等」、また以前に規制が廃止された「オープン懸賞」などについての従前の考え方も丁寧に解説されており、eスポーツの賞金問題に関する議論が一人歩きしている現在の状況において、大変タイミングの良い素晴らしい論説かと思って、読みました。

2017年11月25日 (土)

「ガンが治る」飲料水の連鎖販売取引業者への業務停止命令(特商法)と電子治療器?に関する記事

 昨日(11月24日)、消費者庁は、 「ナチュラルDNコラーゲン」と称する清涼飲料水を販売する連鎖販売業者であるフォーデイズ株式会社(東京都中央区)に対して、特定商取引法に基づく業務停止命令(6ヶ月)を行いました。連鎖販売取引に係る取引の一部(新規勧誘、申込受付及び契約締結)の停止を命じたものです。

 「連鎖販売取引」とは、いわゆるマルチ商法のことで、特定商取引法において厳しい規制がなされています。ただし、本件に関しては、連鎖販売取引特有の規制に関するものではなく、一般的な訪問販売であっても同じことです。

 また、あわせて、フォーデイズに対して、特定商取引法に基づいて、   

  1. 商品購入者に対して、「本件商品を摂取することで、あたかも病気の治療若しくは予防又は症状の改善ができるかのように告げていたことがあるが、本件商品にはそのような効能はない。」旨を通知し、結果を消費者庁に報告すること。
  2.    
  3. 特定商取引法違反行為の発生原因について、調査分析の上検証し、結果を消費者庁に報告すること。
  4.    
  5. 再発防止策及びコンプライアンス体制について、消費者庁に報告すること。

を指示しています。

  → 消費者庁公表資料 (PDF)

 今回、認定された違反行為は、氏名等不明示及び不実告知です。

 具体的には、   

  •  連鎖販売取引をしようとする際に事前連絡なく自宅訪問し、勧誘に先立って、会社の名称、連鎖販売取引勧誘目的、商品の種類を明らかにしなかったこと(特定商取引法33条の2〔氏名等明治義務〕違反)
  •    
  •  連鎖販売締結勧誘をするに際し、そのような効能がないのに「これを飲んだら目が治ります。」、「脳幹出血も改善します。」、「鬱っぽい気持ちになっているお母さんの状態も治り、絶対元気になるから。」、「多くの人の病気が治っているし、ガンが治った人もいる。」、「パーキンソン病が良くなって、デーサービスに行けるようになった。」、「杖なしでは歩けなかった人が、歩けるようになった。」、「血液検査の数値が改善された人もいる。」、「父は膀胱がんになったんだけど、治りました。」など、病気の治療、予防、症状の改善ができるかのように告げていたこと(特定商取引法34条1項1号〔不実告知〕違反)

というものです。   

 本件は、特定商取引法違反行為ということで業務停止という消費者庁の行政処分がなされましたが、根拠なく病気が治るというようなセールストークを行って消費者に商品を買わせるというのは、景品表示法違反(優良誤認表示)に該当して、措置命令課徴金納付命令の対象となります。もちろん、医薬品ではない、ただの健康食品(飲料水)の販売に際して人体への効能効果をうたうことは、薬機法(旧薬事法)にも違反する行為であり、こちらは、刑罰の対象となる犯罪行為です。そして、当然のことながら、効果がないことを知りながら消費者を騙して商品を購入させることは、刑法上の詐欺罪に該当する犯罪です。本件では、相当の売上をあげているようですし、今回の特定商取引法による業務停止命令だけではなく、これらの法令を厳格に適用してほしいものです。特に、要件に該当するのであれば、課徴金納付命令を行って収益を取り上げてほしいですね。

 さて、こういった効能効果を宣伝文句にして健康食品を売りつける詐欺的な商法については、これまで何度も当ブログで取り上げてきたところですが、上記の業務停止命令と同じ昨日、朝日新聞の長野剛記者が、電子治療器(?)に関して、このような記事を書かれています。

  → 「元大臣も称賛!? 「何でも治る」治療器の社長、根拠論文は「ない」」   
                     withnews 長野 剛(朝日新聞記者)

 詳しくは、リンク先の記事を読んでいただきたいですが、こちらは健康食品ではなく、医療機器のような機械です。医薬品と同じで、医療機器として認定されていない機械などの使用により身体への効能効果をうたうことは薬機法(旧薬事法)で禁止されていますので、記事の通りだとすれば、薬機法違反ということになろうかと思います。もちろん、根拠なしに効能効果をうたうことが景品表示法違反(優良誤認表示)にあたる可能性が高いことは上の事案と同様です。

2017年11月19日 (日)

AirbnbとAmazonの排他的取引の報道(独占禁止法)

 独占禁止法に関連する米系企業の2つのニュースが続けて流れてきました。

 1つは、いわゆる「民泊」の世界最大の紹介サイトを運営しているアメリカのIT企業「Airbnb」(エアビーアンドビー)が、民泊を行う国内の業者に対し、他の民泊紹介サイトに情報を掲載しないよう求めていたとして、公正取引委員会が、独占禁止法違反の疑いで、10月に日本法人Airbnb Japan(東京都)に立入検査をしていたことがわかった、というものです。

 もう1つは、インターネット通販大手のAmazonが自社の人工知能(AI)スピーカー「Amazon Echo」(アマゾン エコー)を国内発表した11月8日以降、競合するLINEのAIスピーカー「clova wave」(クローバ ウェーブ)のAmazon内での販売を禁止したことがわかった、というものです。LINEAmazon内に正式サイトを出店していて、このclova waveも販売していたのですが、Amazonの商品一覧から削除されたとのこと。

 Airbnbの事案は、取引先である民泊業者に対して、ライバル業者と取引するな、という形であるのに対して、Amazonの事案は第三者への圧力ではなく、自社の通販サイトでの販売をできなくさせた、という形で、少し異なりますが、市場において強い支配力を持つ企業が、ライバル業者の事業を妨害する結果となる点では似ています。

 Airbnbの事案については、公正取引委員会が立入検査を行ったのは、各社の報道では同社も認めているということですが、公正取引委員会は現段階では何らの公表を行っていないので、どういった疑いで調べているのかは明らかではありません。

 公正取引委員会の流通・取引慣行ガイドラインでは、

市場における有力な事業者が,例えば次のように,取引先事業者に対し自己又は自己と密接な関係にある事業者の競争者と取引しないよう拘束する条件を付けて取引する行為取引先事業者に自己又は自己と密接な関係にある事業者の競争者との取引を拒絶させる行為取引先事業者に対し自己又は自己と密接な関係にある事業者の商品と競争関係にある商品の取扱いを制限するよう拘束する条件を付けて取引する行為を行うことにより,市場閉鎖効果が生じる場合には,当該行為は不公正な取引方法に該当し,違法となる(一般指定2項(その他の取引拒絶),11項(排他条件付取引)又は12項(拘束条件付取引))。」

とされています。

 Amazonの事案は、上記の通り、取引先事業者に対する行為ではないので、Airbnbの事案とは異なります。また、こちらは、現時点で公正取引委員会が動いたとかの事案ではありませんし、Amazonがどのような規制をかけたのかが明らかではありませんが、産経新聞の記事では、舟田政之立教大名誉教授が、独禁法違反の可能性もある、というコメントが出されていますね。   
 こちらのほうは、私的独占とか単独の取引拒絶(ボイコット)などが思い浮かぶのですが、AIスピーカーという新しい商品分野に関して、Amazonが後発で発売している状況であり、しかも、LINEは自社サイトを含め他の流通ルートでの販売は可能ですので、そこらあたりをどう考えるかでしょうか。   
 なお、Amazonによる販売禁止商品に関しては、Apple TVAmazonで販売ができない状態が続いているようです(最近、和解したとかのようですが。)。

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