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2018年11月 8日 (木)

鮮魚の当日配送についての飲食店の不当表示(消費者庁)

 昨日(11/7)、消費者庁は、チムニー株式会社(東京都墨田区)に対し、同社が経営する飲食店「はなの舞」、「花の舞」、「さかな道場」において提供する魚介類のさしみなど料理に関する表示が不当表示(優良誤認)であるとして、景品表示法に基づいて措置命令を行いました。

 → 消費者庁公表資料 (PDF)

 本件では、チムニーが、各店舗のPOP広告やポスターにおいて、「超速鮮魚と既存流通の違い なぜ鮮度が違う?」「超速鮮魚 当日(産地によっては前日) 到着」と記載したうえで店舗配送までの流通経路を示すイラストを掲載することにより、あたかも、各店舗の対象料理で使用している魚介類は一部産地を除いて、水揚げされた当日のうちに店舗に配送されたものであるかのように表示していました。

 しかし、実際には、対象となっている料理の全ての魚介類が、水揚げされた翌日以降に配送されたものであった、というものです。

 本件の表示では、一般の流通が産地から陸送されて中央市場を介して各小売店・飲食店に配送されるのに対して、産地から羽田空港に空輸されてそこから直接、小売店・飲食店に陸送されるという表示がされていました。
 ご注意いただきたいのは、一部報道で、「朝どれ」表記に対する措置命令であるかのようなものがあったようですが、本件では、「朝どれ」「朝捕り」など、朝に漁獲したという表現が問題になったものではありません。

 ところで、今回の消費者庁の公表資料には(措置命令自体にはない)、わざわざ、次のような注釈を入れています。

「本件の措置命令は、羽田市場株式会社が提供する「超速鮮魚」と称する魚介類について、羽田市場株式会社の流通自体を問題としているものではない。 チムニー株式会社が仕入れていた魚介類のうち、「超速鮮魚」と称する魚介類は、平成28年3月31日までは、表示内容どおり、一部の産地を除き当日のうちにチムニー株式会社の店舗に配送されていたが、チムニー株式会社が物流を変更し、同社の物流センターを経由することにした結果、平成28年4月1日以降は、翌日、産地によっては翌々日にチムニー株式会社の店舗に配送されることとなったものである。」

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 これは、チムニーが利用していた鮮魚の運送は、別会社である羽田市場株式会社が行っていたようで、この会社の社名やサービスブランドである「超速鮮魚」(商標登録もあるようです。)の文字やロゴを、右の画像(消費者庁公表資料より)でもわかるように、本件の対象となったPOP広告などに使用しているため、今回の措置命令により、この羽田市場株式会社の運送サービスについての不当表示であるかのような誤解を招かないように消費者庁が配慮したのではないか、と思われます。

 

なお、日本経済新聞の報道によると、チムニーは、商品の品質には問題がないので返金はしない、との対応のようです。もちろん、消費者庁不当表示を認定されたからといって、即、消費者への返金義務が法的に生じるものではなく、今回の件で、返金すべきか否かについてコメントすることはできません。ただ、一般論としては、法的責任とは別として、消費者への対応が以後の消費者の企業評価に繋がるものであることは念頭において検討すべき事柄です。また、消費者への法的な返金義務の有無とは関係なく、課徴金納付命令の対象にはなります(売上要件などを満たせば)。

2018年11月 4日 (日)

「不貞慰謝料の算定事例集ー判例分析に基づく客観的な相場観ー」(新日本法規出版)

 不貞、つまり浮気(ちょっとニュアンスが違うかな)に関する慰謝料の請求の事件というのは、世の中には結構あり、我々弁護士が取り扱うことは珍しくありませんし、私もこれまで結構な数の事案を扱ってきました。
 こういった事案についての、慰謝料金額に関する法律実務の本としては、最近でも、LABO刊の 「判例による不貞慰謝料請求の実務」(中里和伸 ・著) とその姉妹本である 「判例による不貞慰謝料請求の実務 主張・立証編」(中里和伸 野口英一郎・著) があり、私も両書籍を当ブログでご紹介しましたので、内容については、こちらをご覧ください。この手の法律実務書にしては、よく売れていると聞きます。

 → 「書籍の紹介:「判例による不貞慰謝料請求の実務」(中里和伸著)(2015/8/ 5)

 → 「「判例による不貞慰謝料請求の実務〔主張・立証編〕」(LABO刊)」(2017/3/3)

 不貞関連のケースについての裁判や調停、交渉などの仕事の中で、実際にこれらの本の関係個所を引用して裁判で主張するなどして、活用させてもらっています。

 さて、このほど、同様の書籍が新日本法規出版から出版されました。新日本法規出版さんからご恵贈いただき、ざっと読ませていただきましたのでご紹介します。

 「不貞慰謝料の算定事例集ー判例分析に基づく客観的な相場観ー」 (久保田有子・著)です。大阪の弁護士さんたちの共著のようですね。

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 冒頭にあげたLABO版の本2冊は、どちらも裁判例の集積を体系的に整理したり、実際の裁判での主張や立証活動を念頭に置いて解説されています。

 一方、今回の新日本法規版も、多くの裁判例を分析したものであることは同様ですが、ケース毎の事例紹介に重点が置かれていて、冒頭に「状況別慰謝料索引」として、裁判において、不貞の被害を主張する原告が被告に対して不貞慰謝料を請求した裁判例を分析して、状況別に分類したものが置かれています。そして、それぞれの裁判例を順次紹介するという形になっています。

 両者それぞれ特徴があり、どちらがいいとかいうものではありませんが、損害賠償請求の法律上の体系的な整理や訴訟手続実務に関連して参照したい場合は、前者のLABO版を、具体的な事案をわかりやすく整理されたものを参照したい場合には後者の新日本法規版が適しているのではないかな、と思いました。もひとつ、LABO版がA5版の大きさであるのに対して、新日本法規版はB5版で一回り大きくなっており、本文や索引などの文字も大きくなっていますので、我々おじさんたちが、ナントカ・ルーペがなくても見やすいという点はいいですね。その分、置く場所は要りますが。

2018年11月 1日 (木)

続けて「酵素飲料」の不当表示と高額の課徴金

 前回、先週出された、健康食品の不当表示に関しての販売業者に対する課徴金納付命令の事案をご紹介しました。

 そして立て続けに、昨日、消費者庁は、株式会社シエル(東京都渋谷区)が販売する健康食品(飲料)である「めっちゃたっぷりフルーツ青汁」の表示について、景品表示法に違反する不当表示(優良誤認及び有利誤認)に該当するとして、措置命令課徴金納付命令を行いました。ここでも、前回の言歩木の商品宣伝と同様に「酵素」がうたい文句になっていますね。

 また、本件は後記の通り、1億円を超える高額の課徴金の支払を命じられた点も注目されます。

 → 消費者庁公表資料 (PDF)

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 これは、シエルが自社のwebサイトに、「海外でも大注目! 日本版スムージーの“青汁”ダイエット」、「おいしく飲んでスリムボディに!」、「149種類の酵素で燃焼する体に」、「野草、フルーツ、野菜、海藻の酵素を使用しており、特に野草のもつ免疫力やビタミン、ミネラルが、燃えやすい体を作り、肌の新陳代謝も促す。」などと記載して、あたかも、この商品を飲むだけで、簡単に痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた、というものです。
 ※ 右の画像は消費者庁公表資料より

 しかし、消費者庁が、同社に対して、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたにもかかわらず、同社は、その期間内に資料を提出しなかったため、不実証広告制度により、優良誤認表示とされたものです。

 また、同じく自社webサイトに、「初回 ¥680コース※税抜」、「毎月先着300名様限定」、「先着順となっておりますので、毎月300名様に達しましたら終了とさせていただきます。」、「毎回自動お届けコースとなり、2回目以降の価格は3,980円(税抜)となります。」と記載することによって、あたかも、毎月300名に限って定期購入を開始できるかのように表示していたのですが、実際には、新規定期購入者数は、300名を著しく超過していたもので、これが有利誤認表示とされました。

 今回、支払を命じられた課徴金は、1億0886万円で、シエルは来年31年6月3日までに支払わなければなりません。

 この金額は、景品表示法違反の不当表示に対する課徴金としては、これまでで2番目の金額になります。1番目は、あの自動車燃費不当表示事件での三菱自動車に対する5億円近いものでしたが、今回は大企業ではなく、かなり高額であるといえるでしょう。なお、三菱自動車に対する課徴金については、以前の当ブログ記事をご覧下さい。

 → 「自動車燃費不当表示事件についての課徴金納付命令(消費者庁)」
                           (2017/6/15)

 不当表示に対する課徴金は、原則として、対象期間の当該商品売上額の3%なのですが、本件では、平成28年4月1日から平成30年7月30日までが対象期間であり、この2年3ヶ月の売上額が、約36億2879万円ということで、この3%が、今回の課徴金である1億0886万円となります。こういった商品がすごく売れているんですね。

2018年10月30日 (火)

酵素飲料の新聞広告に対する措置命令・課徴金納付命令(消費者庁)

 本日、公正取引委員会が、水処理会社など4社に立入検査に入ったと報じられています。これは、東京都の水道局が発注する浄水場施設の運転管理業務の委託に関して、4社が談合(受注調整)を行ったという独占禁止法違反容疑です。水ing(東京・港)、月島テクノメンテサービス(同・江東)、石垣メンテナンス(同・千代田)、日本メンテナスエンジニヤリング(大阪市北区)の4社です。また、東京都の職員から予定価格が漏れていた可能性もある、とのことですね。


 ブログの更新ができない間に、景品表示法関連では、健康食品の表示に関し、2社に処分が行われています。

 1件は、既に本年7月25日付で消費者庁から優良誤認表示として措置命令を受けていた件(株式会社Life Leaf、商品名「ファティーボ」)につき、10月26日に課徴金納付命令(266万円)が出されたもので、措置命令の際には当ブログでも紹介しました。

 → 「「太る」サプリについての優良誤認表示(消費者庁)」 (2018/7/26)

 もう1件は、10月25日に、消費者庁が同時に措置命令課徴金納付命令を出したもので、いわゆる「酵素飲料」の効果についての宣伝に関するものです。

 これは、株式会社言歩木(ことほぎ・千葉県市川市)が販売する飲料「山野草醗酵酵素ブルーベリーDX」の新聞広告における表示について、景品表示法違反の不当表示(優良誤認)に該当するとされました。

 → 消費者庁公表資料 (PDF)

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 新聞広告に書かれていたのは、例えば、「『かすみ』『ぼやけ』『ポタポタ』等…。加齢だけが原因ではなく、毛細血管の詰まりや減少により、繊細な目に必要な栄養が届かないためだが、これは放ってはおけない。当然加齢で衰えた消化酵素と代謝酵素が起因している。そこで60余年の醗酵技術が苦節7年の研究の末、視界によい 野生種ワイルドブルーベリーの酵素化に続き、3種のベリーの酵素化にも成功。滋養豊富な山野草醗酵酵素は、腸内環境を整えるのは勿論、衰えた消化酵素の力を借りずに吸収できるまで分解されている。様々な成分を体内に摂り込むことで、全身の代謝酵素が活発になり、瞳と体に栄養成分が届き組織を再生、滞った老廃物を排出するなど本来の仕事をしてくれる。瞳の健康には『瞳と身体の両方の健康』が重要なのは言うまでもない。」などと記載して、あたかも、この飲料を飲むだけで、商品に含まれる酵素の働きによって、視力の回復効果や「かすみ」、「ぼやけ」といった目の症状の改善効果が得られるかのように示す表示をしていました。
(※右の画像は、消費者庁公表資料より)

 消費者庁は、このような新聞広告の表示について、言歩木に対し、景品表示法に基づいて、期間を定めて当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料は提出されたものの、これらの資料は、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものでした。そのため、景品表示法に定める不実証広告制度に基づいて、不当表示であるとされて、措置命令課徴金納付命令(1814万円)が出されたものです。

 健康食品として、「酵素食品」「酵素飲料(ジュース)」の宣伝や広告記事などをよく見かけますが、内容を見ると、「酵素」、「発酵」、「酵母」といった全然別の物(概念)がごちゃ混ぜになっていたりします。酵素は微生物ではなく(酵母は微生物ですが)、タンパク質の一種ですが、タンパク質ですので、当然、腸で消化されて体内に吸収されるため、酵素の働きとして、上記の表示のような効果があるとはとても思えません。

 新聞広告に限らず、ネット上でもこういった健康食品の不当表示が出回っていて、大企業の販売する健康食品の広告でもちょっと行き過ぎではないか、と思われるものもあります。景品表示法違反の不当表示と言うだけではなく、本件を含め、薬機法(旧・薬事法)違反と思われるものも少なくない状況ですので、消費者庁厚労省は強く取り締まってほしいと考えます。

2018年10月18日 (木)

ドコモショップのユニフォーム発注に関する談合(公正取引委員会)

 本日、消費者庁は、株式会社ジャパネットたかた(長崎県佐世保市)に対し、同社が販売するエアコンとテレビの表示について、不当表示(有利誤認)に該当として、景品表示法に基づく措置命令を行いました。

 これは、カタログ、折込チラシ、ダイレクトメールやwebサイトの表示において、実際には実績のない「ジャパネット通常税抜価格」等を記載し、あたかも実際の販売価格が通常販売している価格に比べて安いかのように表示していた、という二重価格表示に関する有利誤認表示の事案です。

 この件は、公正取引委員会九州事務所の調査の結果を踏まえたものということですね。

 → 公取委報道発表資料


 さて、その公正取引委員会ですが、本日、株式会社NTTドコモのドコモショップ女性スタッフ用ユニフォームの縫製会社、レンタル運用会社を決定するための見積り合わせの参加業者に対して、独占禁止法の禁止する不当な取引制限行為(カルテル・談合)があったとして、排除措置命令および課徴金納付命令を行っています。

 事案は、ユニフォームの縫製会社の決定、ユニフォームのレンタル運用会社の決定にあたり、事前に受注予定者を決める合意をしていた、という談合行為を行っていたものです。

 → 公取委報道発表資料

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 違反事業者は、計9社(伊藤忠商事、高島屋、ツカモトユーエス、サンペックスイスト、双日ジーエムシー、そごう・西武、三菱商事ファッション、丸紅、丸紅メイト)で、その内、排除措置命令対象事業者は7社(伊藤忠商事、高島屋、ツカモトユーエス、サンペックスイスト、双日ジーエムシー、そごう・西部、三菱商事ファッション)、課徴金納付命令対象事業者は3社(伊藤忠商事、高島屋、ツカモトユーエス)で課徴金の金額は合計1025万円となっています。

 丸紅丸紅エイトは、自主申告による課徴金減免制度(リニエンシー)に基づいて課徴金が免ぜられています(両社は排除措置命令の対象にもなっていませんね。)。

 本件のようなユニフォーム(制服)の取引に関しては、公正取引委員会は、昨年、公立中学校の制服取引実態の調査報告書を出して以降、今年になって、下記の公取委報道発表のように、JR(東日本、西日本)、ANA、NTT東日本のそれぞれ発注する制服や作業服に関して排除措置命令などを連続して出しており、この分野についての監視の目を強めているようです。

 → 公取委報道発表資料(公立中学校制服取引実態調査 2017/11/29)

 → 公取委報道発表資料(JR東日本、西日本の制服の事案 2018/1/12)

 → 公取委報道発表資料(NTT東日本の作業服の事案 2018/2/20)

 → 公取委報道発表資料(ANAの制服の事案 2018/7/12)

2018年10月 5日 (金)

都道府県の措置命令に関して初の課徴金(景表法)

 本日、消費者庁は、2件の課徴金納付命令を出しました。

 いずれも既に不当表示に対する措置命令が出されている事案ですが、1件は東京都が出した措置命令に係る事案です。課徴金の金額は、全部で8480万円と高額になっています。    
 平成26年12月から都道府県による措置命令ができるようになりましたが(それ以前は「指示」)、その場合でも課徴金納付命令消費者庁が行うことになっています。都道府県による措置命令の事案で課徴金納付命令が出されたのは初めてではないかと思います。都道府県による措置命令の案件は、売上高が少ないものも多いかと思いますので、課徴金の適用要件に満たないのも多いかもしれません。    
なお、東京都景品表示法違反で措置命令を行ったのは、この事案が最初のものです(まだ、これ1件ですが)。

 → 消費者庁報道発表資料 (PDF)

 この東京都による措置命令(平成30年3月26日)は、株式会社ギミックパターン(東京都渋谷区)に対するもので、同社が自社webサイト上で、ストッキングやブラジャーなどを着用するだけで、容易に「脚が細くなる」、「豊胸」、「痩身」などの効果が得られるかのように表示していた、というものです。この表示につき、東京都は同社に対して、合理的な根拠を示す資料の提出を求めましたが、同社は、期間内に資料を提出しませんでした(不実証広告により優良誤認表示とみなされます)。また、この件では、実際には存在しない「通常価格」を表示して、あたかも、実際の商品販売価格が「通常価格」よりも安いかのように表示していました(有利誤認表示)。

 → 東京都報道発表

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                 ※画像は消費者庁発表資料より

 もう1件の課徴金納付命令は、株式会社SAKLIKIT(大阪市中央区)に対して、消費者庁により措置命令(平成29年12月14日)が出されていたものです。    
不当表示の内容としては、上記のギミックパターンの件と似ていて、レギンスを履くだけで痩せるという表示をしていたものですが、これについては、当ブログでも以前ご紹介していますので、こちらをご覧ください。    
こちらの課徴金は、255万円です。

 → 消費者庁報道発表資料 (PDF)

 → 「履くだけで痩せる」レギンスの不当表示(消費者庁) (2017/12/15)      

2018年10月 3日 (水)

近畿大手百貨店の送料値上カルテル

 本日(10/3)、公正取引委員会は、近畿地区に店舗を持つ大手百貨店に対して、独占禁止法3条(不当な取引制限[カルテル行為]の禁止)に違反したとして排除措置命令及び課徴金納付命令を行いました。

  → 公正取引委員会発表資料 

 これは、阪急阪神百貨店(大阪市北区)、髙島屋(大阪市中央区)、近鉄百貨店(大阪市阿倍野区)、京阪百貨店(大阪府守口市)、そごう・西武(東京都千代田区)、大丸松坂屋百貨店(東京都江東区)の大手6社などが、各社の物流担当者が参加する会合の場で又は個別に,近畿地区の各店舗において顧客が支払う「優待ギフト送料」の額の引上げについて情報交換を行って、送料を一定額引き上げることを合意した、というものです。

 ※「優待ギフト送料」=中元・歳暮カタログの商品配送料金(全国一律)。

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                     ※公取委発表資料より

 課徴金納付命令の金額は、阪急阪神百貨店が6,758万円、髙島屋が5,876万円、近鉄百貨店が4,485万円、京阪百貨店が1,637万円、そごう・西武が641万円の合計1億9,397万円となっており、大丸松坂屋百貨店排除措置命令・課徴金納付命令の対象にはなっていません。

 課徴金は、カルテル・談合の実行期間中(最長3年間)の対象商品又は役務の売上額を基に、事業者の規模や業種ごとに定められた課徴金算定率を乗じて計算することになっています。
ただし、課徴金減免制度(リニエンシー)という、違反事実を自主申告した事業者には課徴金を減免する制度があります。

 これは、調査開始日前の最初の申請者については課徴金を免除し、調査開始日前の2番目の申請者は50%減額、3番目以降の申請者は30%減額となりますが、対象となるのは、調査開始日前と調査開始日以後とで合わせて最大5社(調査開始日以後は最大3社まで)に適用されることとなっています。
 今回は、大丸松坂屋百貨店が調査開始日前に最初に自主申告したために課徴金全額を免除され、調査開始日後に高島屋、近鉄、そごう・西武の3社が自主申告したために30%の減額を受け、それに遅れた阪急阪神、京阪の2社は課徴金減免制度の適用を受けられなかったということになっているようですね。

 今回の各社の事情はわかりませんが、かつて、光ケーブルのカルテルについて自主申告が遅れたため課徴金減免制度を受けられなかった住友電工の役員らに対して株主が課徴金と同額(約88億円)の損害賠償を会社に対して行うよう求めた株主代表訴訟が提起され、結局、訴訟上の和解で、役員らが会社に5億2000万円の解決金を支払うこととなったケースがありますので、カルテル、談合が行われていたことが発覚した場合には迅速に自主申告などの対応を検討・実行しなければ、役員は個人で極めて高額の賠償責任を負うリスクがあります。

2018年9月21日 (金)

「星ドラ」ガチャの表示に関する判決

 前回記事で触れましたが、スマホゲーム「星のドラゴンクエスト」(星ドラ)において、期間限定で提供されていたガチャの説明表示に関して、プレイヤーたちが原告となって運営会社スクウェア・エニックスを被告として、ゲーム内通貨の購入金額などの支払を求める訴訟の一審判決が、9月18日に東京地裁で言い渡されました。
 結果は原告らの請求棄却(敗訴)です。この判決を読む機会がありましたので、ご紹介します。(以下は、今回の判決の記載内容に拠っています。)

 この訴訟では、「星ドラ」には「★5そうび」と称する貴重なアイテムを得ることができる「宝箱ふくびき」と称するいわゆるガチャ(ゲーム内通貨を対価とする)の表示が問題となっています。このガチャでは、「★5そうび」が一定の確率で提供されるのですが、期間限定でのみ提供される「★5そうび」(ピックアップそうび)が排出されることとなっており、その説明画面には、「※★5そうびは、上記のそうび(川村注:ビックアップそうび、のこと)の他にも排出される場合があります。」と表示されていました。
 プレイヤーである原告らは、この表示は、ピックアップそうび以外の★5そうびも排出される場合もある、という程度、すなわち、ピックアップそうび以外については低い確率で排出されるという内容であると主張し、にもかかわらず、実際には、ピックアップそうびは極めて低い確率でのみ排出されるようになっていたことに関して、   

  1. 債務不履行解除
  2.    
  3. 錯誤無効
  4.    
  5. 詐欺取消
  6.    
  7. 不実告知(消費者契約法4条1項)に基づく取消
  8.    
  9. 景品表示法違反(優良誤認および有利誤認)

により、1については原状回復請求権、2~4については不当利得返還請求権、5については不法行為に基づく損害賠償請求権により、ゲーム内通貨購入金額の返還を求めるなどしたものです。

 これに対して、今回の判決では、まず、上記の「※★5そうびは、上記のそうびの他にも排出される場合があります。」という表示が意味するところについて、ピックアップそうびの出現確率が他の★5そうびよりも高いことを表示していると認識させるものとはいえず、一般通常人をして、単に、ピックアップそうび以外の★5そうびも排出する可能性があるという事実を指摘しているものと認識されるにとどまる、としました。

 そして、この判断を前提とすれば、原告らの上記1~5の主張には理由がないものとして、原告らの請求を棄却したものです。

 上記の表示についての認識内容について、原告らの主張が認められなかったということになりますが、原告団のTwitterアカウント「星ドラ集団訴訟ツイッター」によると、東京高裁への控訴を準備中とのことです。

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» 続きを読む

2018年9月20日 (木)

牛肉の不当表示事案(大阪府)と健康食品への措置命令取消訴訟

 ブログの更新ができない間に、景品表示法関連のニュースがいくつか入っています。

 まず、スマホゲーム「星のドラゴンクエスト」に関するガチャの不当表示を巡る返金訴訟の判決で原告側が敗訴した(9/18)という件については、判決を入手しましたので、後日に別記事にてご紹介したいと思います。


 次に、9月11日に大阪府が、先日(4/19)のイオンに対する措置命令「ようやく大阪府も措置命令(景品表示法)」参照)に続き、法改正以来2件目となる措置命令を出しました。

 これは、株式会社恒づね(大阪府枚方市)が経営する飲食店「ステーキカッポー恒づね」が提供する料理の提供およびネットショップで販売する牛肉商品について、その表示が景品表示法に違反する不当表示(優良誤認表示)に該当するとして、大阪府措置命令を出したものです。

 → 大阪府報道発表資料

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 料理提供に関しては、店舗用メニューなどで「ディナーの牛肉は融点温度の低い雌牛のみを使用しています」と表示して、あたかも全てのディナーに雌牛を使用するかのように表示していましたが、実際には、使用されていた牛肉の大半(「和牛ヒレ」は約66%、「和牛サーロイン」は約44%、「国産牛ヒレ」は約99%)が雄牛(去勢牛)であった、ネットショップの牛肉商品に関しては、商品名などに「恒づねA5和牛」、「最上級A5ランク」、「A5ランク霜降り和牛」などと表示していましたが、実際には、商品を仕入業者から購入する際に、牛肉の格付けを確認しておらず、本件商品がA5ランクであることの裏付けとなる合理的な根拠を示す資料を示すことができず、大阪府の調査の結果、本件商品にA5ランク以外の精肉が混入していたことが認められた、というものです。


 また、昨年3月に、健康食品「アスタキサンチン アイ&アイ」による目の症状改善についての表示について、消費者庁より措置命令が出されていた株式会社だいにち堂(長野県安曇野市)が、8月24日に、この措置命令の取消を求めて、消費者庁を相手として訴訟を提起したと、本日の通販新聞が報道しています。

 → 通販新聞「だいにち堂 消費者庁を提訴、アイケイ健食の処分取消し求め」(9/20)

 この同社に対する昨年の本件措置命令については、当ブログでもご紹介しています。

 → 「健康食品による目の症状改善についての不当表示に対する措置命令」
 (2017/3/9)

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 なお、通販新聞の記事によれば、「だいにち堂をめぐっては、処分以降、通常であれば行われる日刊紙等への「謝罪広告」の掲載が行われておらず」とあり、同社が措置命令に従っていないような表現となっています。景品表示法違反の不当表示行為自体には罰則規定はありませんが、措置命令の違反については罰則があります。このあたりはどうなっているのかな、と思います。

2018年9月 5日 (水)

やせる健康食品の不当表示(消費者庁)

 昨日は台風21号が四国、近畿、北陸を駆け抜けていき、ご承知の通り、関西国際空港をはじめとして、大阪近辺でも大きな風の被害を残していきました。私の事務所も昨日は休業しましたが、今朝は、あちこちで街路樹が倒れているなどの情景を目にしました。

 さて、その昨日(9/4)、消費者庁は、株式会社キリン堂(大阪市淀川区)に対し、同社の販売する健康食品「グラリスゴールド」の表示について、景品表示法に違反する不当表示(優良誤認)に該当するとして、措置命令を行っています。キリン堂は、大阪を中心に多くの店舗を展開するドラッグストアチェーンですね。健康食品の宣伝に関する不当表示事案が続いています。

 → 消費者庁公表資料 (PDF)

 本件は、キリン堂の各店舗における店頭表示物に、太った人物が腹部を掴んでいるイラスト、細身の人物がサイズの大きなズボンを掴んでいるイラスト及び人物が腹部を指差している画像と共に、「挑戦者続出」、「食べるの大好き&運動嫌い」、「でも燃えた!!」、「脂肪を減らしながら基礎代謝を上げる だからリバウンドしにくい」、「①脂肪分解酵素を分解 ②脂肪燃焼力を大幅UP ③脂肪合成酵素を徹底抑制 + さらに④還元型CoQ10で燃焼力UP↑」及び「脂肪の消費を大幅UP」と記載して(下の絵)、あたかも、摂取するだけで、特段の運動や食事制限をすることなく、体脂肪の分解、燃焼及び合成抑制による、外見上身体の変化を認識するまでの痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた、というものです。

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                     (※画像は消費者庁公表資料より)

 しかし、消費者庁が、キリン堂に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求め、同社は資料を提出しましたが、それらは、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められず、不実証広告制度(景品表示法7条2項)により、優良誤認表示とみなされたものです。

«アフィリエイト・リンク先に不当表示の周知ページを掲示させる(消費者庁)

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