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2017年10月11日 (水)

アディーレ法律事務所に対する懲戒処分(東京弁護士会)

 本日夕方、アディーレ法律事務所に対する東京弁護士会の懲戒処分のニュースが入ってきました。弁護士法人アディーレ法律事務所に業務停止2ヶ月、元代表の石丸弁護士に業務停止3ヶ月というものです。

  → 東京弁護士会会長声明 (公表文本文へのリンクもあります。)

 懲戒の対象となった行為は、昨年(平成28年)2月の消費者庁から出された景品表示法違反措置命令の対象行為(不当表示)です。

 これは、いわゆる有利誤認表示で、不当な二重価格表示に関するものです。

  → 消費者庁公表資料 (PDF)

 簡単に言うと、平成22年10月から平成27年8月までの約5年間にわたり、同事務所のwebサイトにおいて、事件の着手金を値引き、あるいは、無料とするキャンペーンを1ヶ月程度の期間限定と称して行っていたというものです。つまり、ずっと、値引きや無料であるのに、あたかも期間限定で、今ならお得、的な広告をしていたものです。

 したがって、同事務所が積極的に行っているテレビや電車内などの広告に対する懲戒ではありません。ツイッターなどを見ると、誤解している人も多いので念のため。ただし、業務停止期間中は、こういったテレビ広告などを含めた業務はできませんので、テレビCMの穴をどう埋めるのかな、と要らぬ心配もしております。

 なお、当ブログでは、景品表示法違反の消費者庁措置命令の事案は、ほとんど記事にしているのですが、上記のアディーレ法律事務所に対する措置命令の時は、ちょうどブログ更新を長らく怠っていた期間だったので、独立した記事は書いてませんでした。後で、他の事案の時に何度か言及をしていますけども。   

2017年9月29日 (金)

健康食品の痩身効果表示に対する消費者庁の処分に関する2題

 消費者庁は、本日、ティーライフ株式会社(静岡県島田市)に対し、同社の「ダイエットプーアール茶」に係る表示が景品表示法に違反する優良誤認表示であるとして、措置命令を行っています。

 自社webサイトにおいて、あたかも、普段の食生活における飲料を対象商品に替えることにより、対象商品に含まれる成分による痩身効果の促進作用が容易に得られるかのように示す表示をしていたものですが、不実証広告制度(景品表示法7条2項)に基づき、消費者庁から裏付け資料の提出を求められたが、合理的な根拠を示すものと認められる資料は提出されなかった、というものです。


 ところで、健康食品の痩身効果の表示といえば、本年8月6日付当ブログ記事で、葛の花由来イソフラボンを含む機能性表示食品の痩身(ダイエット)効果の表示について、消費者庁景品表示法違反ではないかと調査しているという通販新聞の記事を紹介しました。

 → 「機能性表示食品「葛の花イソフラボン」の不当表示調査の報道」 (8/6)

 そして、この件に関し、昨日(9/28)付の通販新聞「機能性表示食品 「葛の花」に措置命令へ 新制度で初、処分10社前後か」という続報記事を出しています。

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 これによれば、消費者庁が10月中にも景品表示法に基づく措置命令および課徴金納付命令を下す方針であり、対象は10社前後にのぼる模様である、とのこと。

 事案の詳しい内容は、上記の当ブログの以前の記事と今回の通販新聞記事をお読みいただきたいですが、単なる健康食品ではなく、機能性表示食品の表示に関するケースということで、10月中にも出されると見られる処分が注目されます。また、記事中にもありますが、葛の花イソフラボンの供給元である東洋新薬についての対応もポイントですね。

2017年9月19日 (火)

SNSアカウントなりすまし行為に対する損害賠償訴訟判決(大阪地裁)

 裁判所webサイトの裁判例情報に出ていた判決に「インターネット上の掲示板において,他人の顔写真やアカウント名を利用して他人になりすまし,第三者に対する中傷等を行ったことについて,名誉権及び肖像権の侵害が認められた事例」(平成29年8月30日判決 大阪地裁平成29年(ワ)第1649号 損害賠償請求事件)というのがありました。

 → 裁判所webサイトの判決本文(PDF)はこちらから

 事案を簡単に紹介しますと、あるSNSサービスにおいて、被告が、原告と同じアカウント名を設定したうえ、プロフィール画像に原告の顔写真を使用して、なりすまし行為を行ったうえで、他者に対する誹謗中傷、差別表現の投稿を多数行ったというもので、これに対して、原告が、名誉権,プライバシー権,肖像権及びアイデンティティ権を侵害されたとして,被告に対し,不法行為に基づき,慰謝料,発信者情報開示費用及び弁護士費用の合計である損害賠償金723万6000円及び遅延損害金の請求を行った、という訴訟です。請求金額の内訳は、慰謝料600万円、発信者情報開示費用(開示手続の弁護士費用)58万6千円、本件訴訟弁護士費用65万円となっています。

 結論から言うと、大阪地裁は、被告に対して、損害賠償として130万6千円(慰謝料60万円、発信者情報開示費用58万6千円、弁護士費用12万円)と遅延損害金の支払を命じています。

 裁判所の判断の詳細は、上記リンク先から判決本文を見ていただきたいのですが、原告が本件の請求の根拠としている名誉権、プライバシー権、肖像権、アイデンティティ権についての判断を見ますと、まず、「第三者に対し、原告が他者を根拠なく侮辱や罵倒して本件掲示板の場を乱す人間であるかのような誤解を与えるものであるといえる」として、名誉権の侵害は肯定されています。

 次にプライバシー権ですが、原告の主張はプロフィール画像を原告の顔写真にして公開したことがプライバシー権侵害であるというものであるところ、この顔写真は原告によって自らのプロフィール画像として公開されていたものであるから、「原告の顔写真は、原告によって第三者がアクセス可能な公的領域に置かれていたと認めるのが相当であり、他人に知られたくない私生活上の事実や情報に該当するということはできない。」として、プライバシー権によって保護するものではない、と否定されました。

 肖像権については、最高裁判例を引用して、「他人の肖像の使用が違法となるかどうかは、使用の目的、被侵害利益の程度や侵害行為の態様等を総合考慮して、その侵害が社会生活上受忍の限度を超えるかどうかを判断して決すべきである」としたうえで、「被告は、原告の顔写真を本件アカウントのプロフィール画像として使用し、原告の社会的評価を低下させるような投稿を行ったことが認められ、被告による原告の肖像の使用について、その目的に正当性を認めることはできない」「(投稿内容は)原告を侮辱し,原告の肖像権に結びつけられた利益のうち名誉感情に関する利益を侵害したと認めるのが相当である。」として、権利侵害を認めています。

 最後にアイデンティティ権ですが、原告の主張は、憲法13条後段の幸福追求権又は人格権から、他者との関係において人格的同一性を保持する利益であるアイデンティティ権が存在するとして、本件のなりすまし投稿行為は原告のアイデンティティ権を侵害したというものです。   
 今回の大阪地裁判決では、「個人が,自己同一性を保持することは人格的生存の前提となる行為であり,社会生活の中で自己実現を図ることも人格的生存の重要な要素であるから,他者との関係における人格的同一性を保持することも,人格的生存に不可欠というべきである。したがって,他者から見た人格の同一性に関する利益も不法行為法上保護される人格的な利益になり得ると解される。」として、人格の同一性に関する利益も考えられるとしたうえで、   
「他者から見た人格の同一性に関する利益の内容、外縁は必ずしも明確ではなく、氏名や肖像を冒用されない権利・利益とは異なり、その性質上不法行為法上の利益として十分に強固なものとはいえないから、他者から見た人格の同一性が偽られたからといって直ちに不法行為が成立すると解すべきではなく、なりすましの意図・動機、なりすましの方法・態様、なりすまされた者がなりすましによって受ける不利益の有無・程度等を総合考慮して、その人格の同一性に関する利益の侵害が社会生活上受忍の限度を超えるものかどうかを判断して、当該行為が違法性を有するか否かを決すべきである。」としました。   
 そして、本件では、なりすましが正当な意図,動機によるものとは認められないけれども、「なりすましの方法,態様についてみると、本件サイトの利用者は、アカウント名・プロフィール画像を自由に変更することができることからすると、社会一般に通用し、通常は身分変動のない限り変更されることなく生涯個人を特定・識別し、個人の人格を象徴する氏名の場合とは異なり、利用者とアカウント名・プロフィール画像との結び付きないしアカウント名・プロフィール画像が具体的な利用者を象徴する度合いは、必ずしも強いとはいえない」、「原告が被告によるなりすましによって受けた不利益についても、「原告の名誉権及び肖像権の侵害による不利益については別に不法行為上の保護を受ける」し、その余の不利益についても、なりすましは本件サイト内の投稿にとどまること、投稿の直後から他の本件サイト利用者により、投稿が原告本人以外の者によるものである可能性が指摘されていたことが認められること、なりすましは短期間(約1か月余り)であったこと、などの事実を総合考慮すれば、被告のなりすまし行為(名誉権侵害行為,肖像権侵害行為は除く)による原告の人格的な利益の侵害が社会生活上受忍の限度を超えるものとまでは認められない、として、本件のなりすまし自体は違法とまではいえないという判断をしました。

 つまり、名誉権肖像権の侵害は認め、プライバシー権アイデンティティ権の侵害は認めなかったということになります。ただ、後者の2権利についても、なりすましの行為態様によっては、侵害が認められる場合もあることを示しているので、参考になろうかと思います。

2017年9月 1日 (金)

「経口補水液」の広告・表示に関する消費者庁要請

 昨日付(8/31)で、消費者庁食品表示企画課長から、自治体の衛生担当部局宛に、 「特別用途食品と誤認されるおそれのある表示について(周知)」という事務連絡が出ていました。

  → 消費者庁公表資料 (PDF)

 要するに、最近の猛暑の中、電解質組成を調整した清涼飲料水について、 「経口補水液」という名前と共に、広告・表示に、「脱水時」「熱中症対策」等と記載して、脱水症状を起こしている人を対象とした病者用食品であるかのように表示している事例が散見されるけれども、このような表示は、病者などの健康の保持・回復等の特別な用途を食品に表示する場合は、内閣総理大臣の許可を受けなければならないとする健康増進法26条1項に違反するおそれがある、というものです。

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※いらすとや使ってみました※

 さらに、このような表示の清涼飲料水の中には、脱水時等に経口補水療法を行う際に用いられる組成を参考として、強制的に体内に水分及び電解質が吸収されるよう調製されているものがあるが、特に、ナトリウムが多く含まれている製品については、脱水でない状態で大量に摂取した場合、ナトリウムの過剰摂取につながる可能性があり、腎機能に問題のない健常者であっても、ナトリウムの摂取量と腎臓により排泄される量が定常状態になるには、数日かかるといわれており、血圧や心臓への負荷等の影響も懸念される、とのことです。

 このような問題を踏まえて、自治体の担当部局には、管轄の関連事業者に対して、以下の3点を周知して欲しい旨を要請しています。

  1.  脱水時における水分及び電解質の補給を目的として調製された清涼飲料水に、「経口補水液」又はこれに類する広告その他の表示をするためには特別用途食品の許可が必要であること。

  2.  熱中症対策と称して、清涼飲料水と特別用途食品としての許可を受けたものを区分せず同一の棚に陳列して販売する等により、消費者に対して、当該清涼飲料水が特別用途食品としての許可を受けたものと誤認されるような表示をした場合健康増進法31 条1項(誇大表示の禁止)に違反するおそれがあること。

  3. 健常者が、水分及び電解質の補給を目的として調製された清涼飲料水を、脱水予防等のためとして短時間に大量に摂取した場合、ナトリウム過剰摂取等による健康リスクが生じるおそれがあることに留意の上、当該製品の成分調製内容に適した広告その他の表示を行うこと。

2017年8月29日 (火)

「JAROの最近の審議事例にみるインターネット上の広告・表示の現状と課題」

 日本広告審査機構(JARO)が、8月22日付で、 「JAROの最近の審議事例にみるインターネット上の広告・表示の現状と課題」 (リンク先はPDF)を公表しています。

 これによると、平成28年度にJAROに寄せられたインターネット広告の苦情は1936件で、前年度比128.9%となり、今後も苦情は増えていくと予想され、その適正化は重要な課題であるとされています。

 最近の特徴としては、以前から多かった、自ら商品を販売を行う広告主が主体となる広告における表現の問題に加えて、アフィリエイターの存在が目立ってきているとしています。

 そして、平成28年度にJAROが警告を発した事例5件があげられています。詳しくは上のリンク先PDF資料を見ていただくとして、内4件が薬機法(旧薬事法)等違反に関するもので、その概要を紹介します。なお、他の1件はゲームアプリ内の課金イベントの告知表示が不適切とするものです。


【ケース1】

 健康食品事業者のケース。あるポータルサイトに、「○○症状の改善が期待できる成分A」とうたい、○○症状の要因について免疫系の働きを示唆する内容のバナー広告が掲載され、これをクリックすると、ポータルサイトとのタイアップによる記事体広告に移り、成分Aが○○症状に有効であることが研究により確認できたという内容になっていた。それだけなら商品広告にはならないので、薬機法の対象とはならないが、その記事体広告の最後にある「会社概要」をクリックすると、事業者のサイトに移動し、そこでは成分Aが配合された健康食品が購入できるようになっていた。

 これに対してJAROは、薬機法に抵触するおそれがあると指摘した。

【ケース2】

 大手ショッピングモールのメールマガジンに掲載された「気になる個所を集中ケア」などとうたうバナー広告をクリックすると、薬機法上不適切な表示が多い化粧品広告サイトに移動し、そこで購入ボタンをクリックするとショッピングモールにある広告主のショップに移る。そのショップの表示は適切。大手ショッピングモールは最初はその中間ページの内容も確認して不適切ではないと判断したようだが、その後ページを差し替えていた。

 JAROは、全体が化粧品の一連の広告に該当し、中間ページの表示は薬機法に抵触するおそれがあると指摘した。

【ケース3】 これは、アフィリエイターによるインフィード広告(twitter、facebookやニュースアプリなどのスマホのタイムライン中に出てくる広告)のケースですね。

 スマホ版のポータルサイトに掲載されたダイエットサプリメントに関するインフィード広告のリンク先はアフィリエイトサイトとなっていて、そのサイトの「購入はこちら」などのボタンから、サプリメント販売者の通販サイトに移動する。その通販サイトには不適切表示は少ない。しかし、アフィリエイトサイトには、飲むだけで痩身効果が得られるかのような文言や画像などの表示がされている。薬機法健康増進法は「何人も」が規制対象であるので、アフィリエイターであってもそれらに抵触するおそれがある、などと、JAROが警告を行った。

【ケース4】 これは比較ランキングサイトアフィリエイトのケースです。

 足がつる症状が改善するサプリメントのランキングを紹介するサイトで、そこが複数のサプリメントのアフィリエイト広告になっていて、商品名等をクリックすると、それぞれの商品の通販サイトに移動する。薬機法、健康増進法上問題となるおそれのある表示があるとして、JAROがサイト運営事業者に指摘をした。


 ケース3,4がアフィリエイト広告に関するものですが、景品表示法の表示規制の対象となるのは、商品やサービスを提供する事業者による表示ですので、アフィリエイターのように独自に広告を行う者は措置命令などの対象とはなりません。しかし、薬機法健康増進法の広告・表示規制は、そのような限定はなく、「何人も」となっているものです。

 今回のJAROの公表内容でも、その点を指摘しつつ、アフィリエイトサイトの不適切な表示であっても、本来の商品等提供事業者が、「表示内容に関与」した場合には、その事業者が景品表示法上の措置を受けるべき事業者に当たると考えられる、としています。このような点は、既に消費者庁「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」において指摘している点でもあります。

【追記】(8/30)

 読み直してみて、最後のところがちょっと説明不足で誤解を生じると思いますので、追記します。

 消費者庁「インターネット消費者取引に係る・・・・・留意事項」では、口コミサイトに関して、「商品・サービスを提供する事業者が、顧客を誘引する手段として、口コミサイトに口コミ情報を自ら掲載し、又は第三者に依頼して掲載させ、当該「口コミ」情報が、当該事業者の商品・サービスの内容又は取引条件について、実際のもの又は競争事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認されるものである場合には、景品表示法上の不当表示として問題となる。」などとしていて、商品等供給事業者が関与している場合には景品表示法に違反する場合のあることを指摘しています。
 それで、その指摘のことを本文最後に記載したのですが、今回のJAROの公表内容は、そのような積極的な関与がなくても、場合によっては、当該事業者の不当表示に該当する、としており、より踏み込んだ内容になっていますので、その点の表現が欠けていました。

2017年8月23日 (水)

消費者被害防止ネットワーク東海とジャニーズ事務所との差止請求に関する協議が成立

 昨年、ジャニーズのファンクラブの規約に関して適格消費者団体から是正の申し入れがあったことについて、当ブログで以下の通り書きました。   

 → 「適格消費者団体によるジャニーズファミリークラブへの規約是正の申入」 (2016/11/17)
 → 「この機会に適格消費者団体による差止請求の説明でも」 (2016/11/19)

 その後、いろいろとやり取りがあって、ひとまず決着がついたようで、協議内容が本日、消費者庁サイトに掲載されました。

 → 消費者被害防止ネットワーク東海と株式会社ジャニーズ事務所との差止請求に関する協議が調ったことについて (PDF)

 これまでの経緯については、消費者被害防止ネットワーク東海のサイトの「申入れ是正の活動(終了したもの)」に記載されています。

 消費者庁サイトの本日の公表の概要は次の通りです。ジャニーズ事務所は、申し入れられた契約条項変更を受け入れたようですね。


 消費者被害防止ネットワーク東海と株式会社ジャニーズ事務所との差止請求に関する協議が調ったことについて下記の事項を公表する。    

(1)事案の概要    
 適格消費者団体「消費者被害防止ネットワーク東海」が、ジャニーズ事務所に対して、ジャニーズ事務所に所属するタレントを応援することを目的とするファンクラブであるジャニーズファミリークラブに関し、ジャニーズ事務所同クラブの会申込者、会員との間で用いられる会員規約について、次のように契約条項の変更を申し入れた事案である。

(申入れの概要)   

  • 「本件規約は予告なく改訂されることがあり、改訂された本件規約は、閲覧可能となった時点から効力を有するものとする契約条項」が、消費者契約法10条に条項に該当し無効であるとして、その変更
  •    
  • 会員が本件規約に定める会員資格の各条件を満たしている場合でも、会員を退会処分とする場合があり、「退会処分とされた会員は損害賠償等の一切の権利行使ができないとする契約条項」及び「ジャニーズ事務所は本件クラブのサービスに関しいかなる責任も負わないものとする契約条項」が、それぞれ消費者契約法8条1項1号及び3号に該当し無効であるとして、その変更
  •    
  • 「会員が資格を喪失した場合、理由のいかんを問わず、支払済みの入会金及び年会費の返還ができないとする契約条項」が、消費者契約法9条1号に該当し無効であるとして、その変更

(2)結果

 平成29年6月1日、ジャニーズ事務所は、消費者被害防止ネットワーク東海に対し、上記の申入れに係る契約条項の改定について連絡した。    
これを受けて、平成29年7月25日、消費者被害防止ネットワーク東海は、申入れの趣旨に沿う内容の改定がなされたものとして、ジャニーズ事務所に対し、申入れ終了の連絡をした。

2017年8月12日 (土)

2016年度消費生活相談、危害・危険情報などの概要(国民生活センター)

 先月、当ブログで、国民生活センターの商品テスト部門を訪問したことを、 「「プエラリア・ミリフィカ」を含む健康食品の危険性(国民生活センター)」(7/21)という記事に書きました。この時、一緒に訪問したメンバーのお一人である産経新聞の平沢記者が、先日(8/7)、産経新聞「ニュースの深層」に、同じく「プエラリア・ミリフィカ」を含む健康食品に関して「「胸が大きくなる」はずが…健康被害 「女子力アップにサプリで女性ホルモン」に潜む落とし穴」という記事を書かれました。興味のある方はご一読ください。   
※なお、新聞社のサイトでは、ほとんどの記事は一定期間経過後、非公開になりますので、後日、リンク切れとなるかと思いますがご了承ください。※


 さて、その国民生活センター関連ですが、8月10日付で2016年度の相談等の概要が報告されています。 

 1.2016年度のPIO-NETにみる消費生活相談の概要

 2.2016年度のPIO-NETにみる危害・危険情報の概要

 3.2016年度の越境消費者相談の概要

の3つですが、それぞれ概要と報告書本文(PDF)が掲載されています。詳細はそちらをご覧いただくとして、いくつか紹介します。

 なお、「PIO-NET」(パイオネット)というのは、「全国消費生活情報ネットワークシステム」(Practical Living Information Online Network System)の略称で、国民生活センターと全国の消費生活センターなどを、オンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデーターベースのことです。全国各地の消費生活センター(自治体等により名称は異なりますが)が受けた消費者相談のデータが集積されています。

 まず、「2016年度のPIO-NETにみる消費生活相談の概要」をみると、   

  • 2016年度の相談件数は約88.7万件で、2015年度(約93.0万件)に比べ減少した。「アダルト情報サイト」や金融商品、情報通信サービスに関する相談の減少が影響している。
  • 利用した覚えのないサイト利用料の請求など「架空請求」の相談は2012年度から再び増加傾向にあり、2016年度は約8.3万件であった。
  • 契約当事者の年齢をみると70歳以上の割合は減少しているが各年代の中では最も高い。50歳代、60歳代の割合は増加している。
  • 「健康食品」「化粧品」「飲料」の相談が増加した。これら商品の定期購入に関する相談の増加が影響している。
  • 「興信所」の相談が増加した。「アダルト情報サイト」とのトラブル救済をうたう探偵業者等に関する相談の増加が影響している。
  • 「通信販売」に関する相談の全体に占める割合は約37%であり、2013年度以降、引き続き販売購入形態別で最も高かった。
  • 契約購入金額および既支払金額の合計金額は2014年度以降減少している。2016年度は契約購入金額の合計金額が4,281億円、平均金額が105万円であり、既支払金額の合計金額が1,465億円、平均金額が41万円であった。
  • 販売方法・手口をみると「還付金詐欺」が2012年度から2016年度の5年間で7倍以上も増加している。

となっています。

 次に、「2016年度のPIO-NETにみる危害・危険情報の概要」では、   

  • 「危害・危険情報」は15,153件で、対前年度比でみると0.3%増となっています。
  • 「危害情報」は11,602件で、上位3商品・役務は「健康食品」、「化粧品」、「医療サービス」でした。「危険情報」は3,551件で、上位3商品・役務は「四輪自動車」、「こんろ類」、「調理食品」でした。
  • 「危害情報」については、昨年度と比べ「調理食品」が74件減少、「美容院」が86件減少しましたが、「健康食品」が968件増加したほか、「飲料」が205件増加、「化粧品」が132件増加したことなどが影響し、964件増加しました。
  • 「危険情報」については、昨年度と比べリコールの影響で「こんろ類」が249件増加しましたが、1位の「四輪自動車」が137件、「調理食品」が159件、「菓子類」が92件それぞれ減少したことが影響し、925件減少しています。

となっています。ここでも、「健康食品」や「化粧品」の事案が多いですね。

 3つめの「2016年度の越境消費者相談の概要」には、「-越境消費者センター(CCJ)で受け付けた相談から-」という副題が付けられています。越境消費者センター(CCJ)というのは、国民生活センターが開設している海外から商品を購入した消費者と海外事業者とのトラブルについての相談窓口です。したがって、事業者間の取引(BtoB)やネットオークションなどでの個人間取引(CtoC)は取り扱っていません。    
 詳しくはこちらのサイトをご覧下さい。 → 越境消費者センター(CCJ)

こちらの報告概要によると、2016年度の傾向と特徴は、   

  • 2016年度にCCJに寄せられた越境消費者相談の件数は4,473件であり、2013年以降4,000件を超えている。
  • 相談が寄せられた取引のほとんど(98%)がオンラインショッピングに関するものであり、決済手段はクレジットカード決済が約8割を占める。
  • 2016年度に相談が多く寄せられたトラブルは、PCソフトウェアの解約トラブルである。このため、商品・サービス類型では「ソフトウェア」が、2015年度の9%から急増し、22%を占めた。また、SNSの広告を見て購入した化粧品通販トラブルも2015年度に引き続き多数の相談が寄せられた。
  • 詐欺・模倣品トラブルの相談全体に占める割合は、2015年度から12%減少し、2割弱となった。
  • 相手方事業者の所在地としては、アメリカが最も多く、続いてイギリス、中国の順で、これら3カ国で全体の約7割を占める。

となっています。海外旅行で購入した商品などについても対象になるのですが、実際には、ネット通販による商品購入に関するものがほとんどのようです。

2017年8月10日 (木)

朝鮮学校無償化裁判判決についてネット炎上している裁判長代読などについて

 先日の大阪地裁での朝鮮学校の授業料無償化に関する判決について、なんだかTwitterなどネット上で炎上しているようです。

 もちろん、これに限らず、判決の内容、結論について、賛否いろんな議論がされるのは結構なんですが、今回は変なところで炎上しており、判決自体の議論の邪魔にもなるので、取り上げてみます。

 問題とされているのは、この判決の裁判長である西田隆裕裁判官が、4月1日で裁判官から検事になっており、判決当日は裁判官ではないのに、別の裁判官の代読という形で判決が言い渡されているのは違法で判決は無効ではないか、という批判です。なお、この裁判は、西田裁判官の単独の判決ではなく、3名の裁判官の合議体での判決であり、他の2名の裁判官については、そのままです。

 しかし、上記の批判はあたらない、というか、訴訟を知ってる実務家であれば、誰も疑問に思わないところだと思います。

 まず、判決言い渡しの日までに異動(転勤)や定年退官、辞職などがあった場合に、代わりの裁判官が代読するのは別に珍しいことではなく、よくあることです。特に4月の異動は多いですので、その後くらいの判決では多いですね。私もそのような判決を受けたことは何回も経験しています。退官や辞職の場合は、判決の当日には既に裁判官ではなくなっているのですが、それが違法というわけではありません。

 若干脱線しますが、弁護士から任官された裁判官が「弁護士任官どどいつ」というのをたくさん作られていますが、その中に、4月のどどいつとして、こんなのを作っておられます。

  「なんで私が テレビに映る 代わりに判決 読んだだけ」

その解説として、   
「裁判官の転勤は4月が多い。判決を書くのは結審時の裁判官なのだが、言渡しが転勤後になった場合は、後任の裁判官が代読する事になっている。社会の注目を集める判決の場合でも、法廷撮影で映るのは、実は判決に全く関与していない裁判官という事も少なくない。(略)」   
とあります。 → 弁護士任官どどいつ(7)

 それと、炎上の内容として、西田裁判長が4月に裁判官から検事に任官していることが、弾劾逃れだとか、というのもあるのですが、これも間違いです。

 今回は、西田裁判官が、4月から大阪国税不服審判所の所長に就任したのですが、この大阪国税不服審判所の所長は、これまで裁判官が就任することが通例となっています。前の所長も裁判官です。なお、東京国税不服審判所の所長は、検察官が就任するのが通例です。国税不服審判所の審判官には、裁判官、検察官、弁護士、会計士などいろんな所から任官されています。

 したがって、西田裁判官の場合も、いわば異動(転勤)みたいなもので、本人が弾劾逃れで仕事を変えたとかというものではありません。ただ、国税不服審判所は、裁判所ではありませんので、移るにあたって、いったんは裁判所から離れて(裁判官をやめて)、「検事」の肩書になるものです。何年かして、所長交代の際には、裁判所に戻るのが普通です(定年等の事情がない限り)。

 このあたりのところは、なかなか文献等はないのですが、なぜかwikipediaに具体的な説明がなされてましたので、リンクを貼っておきますね。しかし、こんなマニアックな解説を書いたのは誰なんだろうと思ってしまいました。内部の方でしょうか?

 → Wikipedia「国税不服審判所」 (組織)   
「なお、行政審判機関としての性格や、国税庁に対する中立性・第三者性保持の観点から、国税不服審判所本部所長には裁判官からの出向者が、主要支部である東京国税不服審判所長には検察官からの出向者が、同じく大阪国税不服審判所長には裁判官からの出向者が充てられるのが通例である。このほか、本部及び主要支部に、裁判官又は検察官からの出向者が若干名配置されている(なお、裁判官からの出向者の出向中の身分(官名)は、検察官からの出向者と同じく「検事」となるのが例である。)。」

2017年8月 7日 (月)

消費者法白書2017(「消費者法ニュース」112号)発行されました

 消費者法ニュース112号(7月号)が発行され、今日届きました。毎年恒例の消費者法白書掲載号です。白書以外も、特集が「NHK・受信料等の消費者問題」など、いつもの通り記事が満載ですが、詳しくは消費者法ニュースサイトから目次をご覧下さい。

  → 消費者法ニュース112号

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 私も、例年通りに白書の「独占禁止法・景品表示法」の章を書いています。

 おそらくAmazonでは扱っていないと思います。上記のリンク先から購入することもできますので、ご関心のある方は、よろしくお願いします。 

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2017年8月 6日 (日)

機能性表示食品「葛の花イソフラボン」の不当表示調査の報道

 前回記事で、薬機法(旧・薬事法)景品表示法に関連したDVDについて宣伝させていただきましたが、ちょうど関連するような報道が出ています。


 8月3日付の通販新聞が、 「機能性表示食品の広告問題 「葛の花」販売企業を〝一斉聴取〟 課徴金調査で処分不可避か」 という記事を報じています。 

 詳しい経緯は、上記のリンク先記事をご覧いただきたいですが、要するに、東洋新薬がOEM供給する「葛の花由来イソフラボン」を含む機能性表示食品の広告問題が、本年5月のスギ薬局の「お詫び社告」で明らかになりましたが、これに関し、他の多数の東洋製薬の供給先についても消費者庁が調査を行っていることに関する報道です。供給先は記事によれば26社とのことです。

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 スギ薬局の社告に関しての前回の通販新聞の記事(本年6月8日付)はこれです。

「機能性表示食品で初の処分か スギ薬局「お詫び社告」の波紋、東洋新薬「葛の花」OEMで」

 この6月の記事でも、既に他の供給先への調査の拡大について触れているのですが、今回の記事によれば、6月下旬から2週にわたり、十数社を対象に調査が行われた、とか、7月下旬から少なくとも4社に課徴金に関する調査の依頼が来たことが確認できた、などと、かなり具体的に突っ込んだ内容の報道になっています。

 消費者庁からの正式な情報があるわけではありませんので、詳細はわかりませんが、通販新聞の報道の通りだとすると、景品表示法だけではなく、薬機法違反の問題も生じてきます。薬機法違反の表示の場合は、刑事罰が科せられることもありますので、注意が必要です。つい先日も、水素水をガンに効くと宣伝したスーパーと担当社員が警視庁により書類送検されています( これについての当ブログ記事 )。

 今回、対象となっている商品は、単なる健康食品ではなくて、機能性表示食品に関するものです。健康食品などの商品広告・表示に関して、消費者庁の対応は厳しくなっており、特定保健用食品(トクホ)機能性表示食品の広告・表示についても監視を強めていることは、以前にも当ブログで触れています。

「日本サプリメントに対する措置命令及びトクホ等に関する景表法の取組要請(消費者庁)」 (2017/2/14)

 健康食品や美容サービスなどに携わる事業者は、これまで皆が同じような宣伝をやってきたから、という安易な考えは改めないと、単なる表示差止の措置命令だけではなく、高額の課徴金の支払いを消費者庁から命じられるリスクが高くなってきていることを肝に銘じて対策を取っておく必要があります(これまでにも繰り返し言ってきたことですけれども)。これは、今回のようなOEM供給製品の供給元も供給先も同じことです。

 なお、機能性表示食品について詳しく知りたい方は、この消費者庁の資料等をご参考にしてください。

 → 「機能性表示食品制度に関する情報」(消費者庁サイト)

【追記】(8/8)

 8月1日付で、葛の花イソフラボンの商品に関して、日本第一製薬が、「【葛の花イソフラボンスリム】広告表現に関するお詫びとお知らせ」を自社サイトに掲載していました。内容抜粋は以下の通りです。

 平素より日本第一製薬株式会社に格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
 弊社で販売しております機能性表示食品『お腹の脂肪に 葛の花イソフラボンスリム』のWEBページ等の広告において、葛の花由来イソフラボンには「肥満気味な方の、体重やお腹の脂肪(内臓脂肪と皮下脂肪)やウエスト周囲径を減らすのを助ける」機能がある機能性表示食品でありながら、あたかも本商品を摂取するだけで、どんな条件下でも誰もが容易に痩身効果を得られるとお客様に過度の期待を抱かせる表示を行っておりました。
このため、弊社全ての広告を見直し、逸脱した表現を速やかに削除、変更する対応を進めております。広告表現が不適切でありましたことを深くお詫び申し上げます。

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